１年半後の春に向け準備万端の敦賀を歩く【延びる北陸新幹線の現場めぐり＆富山アップデートの旅その１】

2022/09/09 - 2022/09/09

　待望の我が子が誕生して、もうすぐ４年。生後すぐに難病が見つかり、治療が落ち着いたらコロナ禍へ。発達の遅れもあって、自由にならない日々が今なお続いています。
　そんな中でも我が子なりに成長してくれたおかげで、頑張れば夫婦どちらか一人でも、面倒を見られるようになってきました。そこでお互い、１泊２日の休日を設けることに。先月はヨメさんが別府鉄輪温泉ひとり旅へ、そして今月は僕の番の休みです。
　ひとり１泊鉄旅再開の１回目は、１年半後の北陸新幹線延伸を待つ北陸の街と、独身時代から街の成長と変化を見守り続けた富山へと旅立ちました。

エリア 敦賀(福井)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• グルメ: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: 新幹線 JR特急
• 旅行の手配内容: 個別手配

　ヨメさんと我が子にバイバイして、まずは博多駅を目指します。通勤時間帯で快速は混雑する時間帯なので、鳥栖からは特急「かもめ」に乗車。
　西九州新幹線の開業を３週間後に控え、「かもめ」としての力走もあとわずか。ダイヤ改定後は、「リレーかもめ」か「かささぎ」に生まれ変わります。

特急 リレーかもめ 乗り物

　博多駅のJR西日本窓口に並び、富山・氷見までの乗車券と特急券を購入しました。最近はネット購入ばかりなので、JR西日本の窓口に並んだのは久しぶり。３年前は我が子の治療を東京で受けていたので、多目的室を取るのに通った窓口でもあります。
　お弁当屋さんには生ビールの舌代が！ テイクアウトもOKということで、おにぎりとともに思わずオーダーしてしまいました。

野の葡萄 博多菜彩DELI グルメ・レストラン

　新大阪行き「みずほ」に乗車。「のぞみ」同等以上の速達性と、４列座席の快適性を兼ね備えた、山陽新幹線のフラッグシップトレインです。
　８両編成と短いこともあって乗車率は高く、ひょとして空いている「のぞみ」の方が快適ではなかったか？ という雑念もモヤリ。

N700系 みずほ 乗り物

　ぷはー！ 朝からやると、目立ちます。

山陽新幹線 乗り物

　博多～氷見間の切符は、上司から譲ってもらった株主優待券を使って、５割引で購入しました。乗継割引との重複割引はないので純粋に半額とはいきませんが、それでもかなりお安くなります。

　ゆったり座席でくつろいでいれば、あっという間に新大阪。乗り換え時間は９分だったので、急いで昼ご飯を買い込みました。
　新大阪からは、北陸特急の雄・サンダーバードに乗り換えます。

新大阪駅 駅

　京都までは、複々線の外側線（急行線）を力走。内側線の各駅停車を、走りながら抜いていきます。関西の電車が大好きな我が子の顔が、ちらりと思い浮かびました。

　サンダーバードは、もともとは大阪から富山までを結んでいた特急。長時間の乗車でも快適な、どっしりとした重厚感のある座席が並びます。
　2015年から順次リニューアルが実施され、清潔そのもの。車内は空いていて、まだまだコロナ禍の影響を脱することはできていません。

特急 サンダーバード 乗り物

　デッキにある小部屋は、喫煙室の名残りかな？ おむつ替えやら授乳やらできる小部屋にでもしてくれれば、子連れとしては助かるんだけど。ちょっと狭いか。

　北陸本線の特急といえば最後まで食堂車が残り、その後も車内販売の充実っぷりには定評がありました。それが今や、自販機すら営業終了とは。
　時間はお昼時。新大阪発車早々に半分くらいの人はお弁当を開いており、車内で食事という文化そのものは、そうそう廃れないようです。

　というわけで、僕もいただきます！ １年半後、北陸新幹線が敦賀まで延伸すれば、サンダーバードも新大阪～敦賀間のシャトル特急に生まれ変わります。
　新大阪～敦賀は1時間15分、敦賀～金沢が46分となると、車内で食事の風景もまた変わってくるんでしょうね。

　滋賀県に入り、車窓左手を琵琶湖が飾ります。でかい。ずっと琵琶湖。京都～敦賀間だと、半分以上の時間は琵琶湖とともにあります。
　ついつい左ばかり見てしまいますが、右も比叡山の山並みが続き、心なごむ景色。湖西線の車窓、大好きです。
https://youtu.be/muhs9wxodWM

琵琶湖 自然・景勝地

　米原からの線路と合流し、ループ線をまわれば敦賀駅へ。北陸新幹線関連の工事が、急ピッチで進んでいます。

　新幹線と在来線の乗換駅となる敦賀は、新幹線の真下に在来線特急が接続するという新しい形態に。高架下の在来線の工事も進んでいます。
　九州新幹線・新八代駅の対面乗り換えはスムーズだったけど、敦賀ではどんな乗り換えシーンが展開されるのでしょうか。楽しみなような、面倒くさそうな。

　今回は富山までの途上、新幹線工事の進む主要駅にいくつか降り立ってみます。株優の乗車券は途中下車自由なので、懐にも優しいです（ただし特急券は要分割）。
　敦賀駅のホームと列車には、大きな段差が生じていました。ベビーカーではまずクリア不可能。新幹線開業を目前にして、設備投資は控えられているみたいです。

敦賀駅 駅

　在来線側の駅舎もリニューアルされてはいますが、昔の風情が残ります。
　一方、駅前はすっかり整備され、木の香り漂う上屋がお目見えしました。駅舎っぽく見えるスクエア型の建物は、「交流施設オルパーク」なる施設です。

　駅前からは、立派なシンボルロードが伸びています。人口６万人の街の駅前とは思えません。さすが、産業のある街は違います。
　雪国らしく堅牢なアーケードには情報装置まで。しばらく動いていないっぽいですが。人通りはまばらです。

シンボルロード 名所・史跡

　アナログなポスター掲示板にも広告はほとんどなく、北陸新幹線のさらなる延伸を祈念する広告だけが気を吐いていました。
　敦賀での乗り換えが長く続いてほしくないという気持ちは、僕も同じです。早く大阪へ！

　シンボルロードの歩道橋も、屋根だけでなく壁で囲まれたしっかりしたもの。冬の厳しい気候が思われます。

　建設中の巨大駅舎の背後では、３つのタワークレーンがせわしなく動き、まさに工事たけなわといった雰囲気。
　シンボルロードは３車線もあり、うち１車線は駐車場になっていました。過大設計にも見えるけど、冬は除雪スペースになるのかも。

　シンボルロードは400ｍほどで右折し、北へと向きを変えます。交差点には巨大なショッピングセンター・アルプラザ敦賀。
　これくらいの規模があれば、郊外に少々のSCができても太刀打ちできそうです。平日昼間にしては、賑わっていました。

アルプラザ敦賀 ショッピングモール

　シェアサイクルまで整備されてました。

　駅前は、新幹線を迎えるべく、再開発が完了したばかり。中でもTSURUGA POLT SQUARE 「otta」は１週間前の、2022年９月１日のオープンです。
　芝生広場がのびのびしていて、いい感じ。いくつか飲食店が開いていて、ランチはここでもよかったかなと思います。

　駅舎側に「ちえなみき」なる施設が。入ってみましょう。

ちえなみき 美術館・博物館

　本屋のようで本屋でない、図書館のようで図書館でない。ゆったりした吹き抜けに本が並び、ところによっては平積みされた、知的な空間が広がりました。

　階段を登れば、書架のてっぺんの「名言」が見えてきました。そして書架そのものも、木の形をしています。こりゃすごい。
　敦賀市の知育・啓発施設で、公設書店でもあります。本を通じた まちづくりの推進拠点をコンセプトに、こちらもオープンしたばかりです。

　書架の間にはもちろん、書架の中にも閲覧スペースが埋め込まれています。楽しかろうなぁ、特に子どもには。

　落ち着いた閲覧スペースもあり、リモートワークに精を出す人の姿も見られました。

　子ども向けの図書も充実。プレイスペースもあり、隣接して児童館まであるのはうらやましいです。近所なら、いや少々距離があっても、電車に乗って毎週来ちゃいますね。

　中庭を望む閲覧スペースもあって、一人でやって来て１日過ごすのも楽しそうです。
　各地で「蔦屋図書館」がブームになる中、ちょっと違ったコンセプトのこちらは丸善のプロデュースだとか。本を通じた活性化の、もう一つのムーブメントになるかもしれません。

　館内カフェはもちろんスタバではなく、地元の中道源蔵茶舗というのは、外来客には嬉しいです。時間がなかったので（というか時間配分を間違えて）立ち寄れず残念！
　途中下車にも楽しい、充実した施設でした。旅人は寄り道で楽しんでおけばよいけど、年間４千万円の指定管理料の価値があるかの判断は、敦賀市民の皆さんに任せましょう。

中道源蔵茶舗 グルメ・レストラン

　金沢～敦賀の延伸開業まで５６９日。１年以上を残して敦賀駅前の準備が万端すぎる気もしますが、実は新幹線の方が１年遅れになったがゆえの相対的な早さです。

　敦賀駅の新しい跨線橋も開通済み。天井のモニタには、別の場所にある発着案内表示をカメラで映したものが流されていました。
　なかなかシュールで面白い仕掛け。新幹線開業までの、暫定的な表示であることを願います。

　新幹線駅舎工事は着々と進行中。あまりの規模に、見上げる首が痛くなるほどです。いやはや、立派だ…。
　新幹線口の駅前も観察したかったけど、近隣に駅裏へ通じる道路はなく、諦めました。

　そして新幹線の高架橋は今後、どこへ向かって伸びていくのでしょうか…
　この先は金沢まで、新幹線工事たけなわの区間となります。つづく。