JR北海道６日間　ノスタルジック鉄道　留萌

2022/06/06 - 2022/06/11

乗り放題６日間のチケットで１日使い、廃線がささやかれる留萌本線に行ってみたいと思います。
廃線になるから乗りたい、というわけではありませんが、廃線になってしまえば二度と乗れません。
明治時代から100年以上、いろいろな人生を運び続けてきても、採算が取れなければ切られる、それが北海道の旧国鉄の路線がたどってきた運命です。
わたしが1985年に北海道に渡って以来、物凄い距離の路線が廃止されましたが、そのほとんどは乗る前に消えてなくなりました。
どこの沿線も美しいところばかりで、鉄路で旅をしたらどれほど素敵だったか。

留萌本線の先の増毛線は廃線になる直前に訪れていますが、留萌本線には乗っていません。
留萌は、駅そばのニシンそばが美味しそうです。

エリア 留萌（るもい）(北海道)

• 旅行の満足度: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦
• 交通手段: JR特急 JRローカル

昨日６月７日、17:44稚内発札幌行き特急宗谷で稚内を発ちました。
車内に夕日が差し込み、日本海がきらきら光っています。

天塩川の夕景を見ながらビールと納豆巻き、それからセイコーマートのもりそばで夕食をとると、強烈な眠気に襲われました。

しばらくして、列車が急停止して目が覚めました。
シカと衝突したようです。
時計を見ると18:50。
この沿線ではサファリパークなみに頻繁にシカを見かけます。
シカのサファリパークがあるか知りませんが、図体がでかい分、キタキツネよりも圧倒的によく見かける。
そして、列車との衝突も頻繁らしい。
だから、警笛は鹿笛と呼ばれる鹿の鳴き声そっくりの音がするものが使われています。
「お待たせいたしました。」
そうアナウンスが入り、処理が終わったことを伝えます。

19:20ころ、天塩中川駅に着きました。
この時期のこととて、まだ日があります。

天塩中川駅 駅

しかし天塩中川駅舎にはすでに灯りがともり、夕闇の到来を予感させる。

22:57、列車はいつの間にか鹿衝突の遅れを取り戻し、定刻に札幌駅到着。
二日間で1419.8営業キロを走り、駅ちかのJRイン札幌のベッドに倒れこむように眠りました。

眠る前に、釧路の和商市場で衝動買いした「フカヒレ松前」を冷蔵庫にしまったのは言うまでもありません。

明けて6月8日
JRイン札幌。
ここには二泊して列車旅の疲れをいやし、次の移動に備えます。
とはいえ、せっかく乗り放題ですから、本日は廃線がうわさされる留萌本線に乗ってこようと思います。

どこか機内食のような無料朝食を食べ、ぶらぶら札幌駅に向かう。

JRイン札幌 宿・ホテル

まず10時ちょうどのライラックで深川に向かいます。

8年後に、新幹線が来るので、札幌駅周辺はいろいろ再開発の波が押し寄せています。
遠い将来のことと思っていたら、けっこう間近な将来になりつつある。

日本一長い直線道路を有する国道１２号線沿いの町は、深川、滝川、砂川と、川の名前がついているところが多い。
いずれも豪雪地帯ですが、石狩川沿いなので、それにちなんだ名前と思っていましたが、深川の名前の由来は分からないらしい。
街の真ん中を流れる石狩川の川幅が狭くなっているので、深い河になっているからではないのか。
滝川は、滝のある川というアイヌ語かららしいですが、石狩川ではなく空知川のことらしい。
砂川もアイヌ語の訳らしいですが、こっちはきっと石狩川の由来でしょう。

いつも素通りするこの沿線の街々ですが、列車の窓から見ていたら、なんともノスタルジーを感じさせる街並みです。
帰りに、これらの町を寄り道するのも良いなと思いました。
特急乗り放題なので、途中下車しながら概ね一時間おきに乗りついてゆけます。

深川駅で11:10発の留萌行きに乗り継ぎます。
乗り継ぎ時間５分。

こちら留萌本線の方は、実にローカルです。
運転士さんは、自分の務めを淡々とこなすのみ。

男は黙って安全運転。

ノスタルジーに浸れる可愛い駅の数々。

雨竜川をまたぐ鉄橋、雨竜川橋梁もあり沿線は変化にとんだ景色。
乗っていて楽しい路線。
利用者の減少が廃線の原因ですが、もったいない気がします。

観光資源として残す手はないのだろうか。
素人が考えるほど甘くはないのだろう。

恵比島駅です。
別名、あしもい駅。

恵比島駅 駅

明日萌駅。
ご存じの方もいらっしゃるでしょう。

いもしあ、ではありません。
１９９８年放映のNHKの連続テレビ小説「すずらん」の舞台になりました。
その放送ではこの路線に撮影用のSLを走らせたそうで、それがきっかけでC11機関車を動態保存して運用したということです。
その列車、SLニセコ号として函館本線も走っていて、そちらのほうでは乗ったことがあります。https://4travel.jp/travelogue/10940565

この日は、一つ前の駅から養護老人ホームの方たちのツアーが同乗し、若いスタッフたちが甲斐甲斐しく世話してました。
車いすの方もおられて、みなこの駅で降りてゆきました。
駅の外に迎えの車が来ているのだと思います。

いくつかのトンネルを越え。

峠下駅に。

峠下駅 駅

ここでは、列車交換が行えます。

可愛い駅舎。

藤山駅 駅

ブレーキバン(緩急車)。
本来の役割を終えたブレーキバンは、北海道のローカル線では、駅舎の代わりにされて第二の人生を送っていることが多いです。

最後に留萌本線が谷に入り、留萌川に沿ってぐにゃぐにゃ蛇行したと思ったら留萌の市街地に出ました。
そして終点留萌駅。

この列車は折り返して深川に戻ります。
札幌から列車で行くと、折り返し戻ると８分しか乗り継ぎ時間がない。
では次の列車にしようとすると、４時間も開いてしまう。
８分か４時間という究極の選択を迫られ、８分にしました。
ローカル線のもどかしさ。
その間にニシンそばを食べることが可能か。

留萌駅 駅

とにかく、急いで改札を出て蕎麦屋さんに行ってみます。

駅構内の立ち食いそば屋。
ニシンそば６５０円。
予約注文してお弁当を受け取っている人もいます。

留萌駅立喰そば グルメ・レストラン

試しにテイクアウトできるか尋ねると
「できますよ。」
とのこと。
良かった、口の中のヤケド覚悟で掻き込まなくて済みそうです。

せっせと作ってくださいますが、私は妻にそばを託して、折り返しの列車の座席を確保に駅に戻ります。
ないと思いますが、席が取れなかったりすると、揺れる車内で立ち食いという羽目になります。

もう一人、そばを注文している男性がいて、私らがテイクアウトについて尋ねたのを聞いて、
「あ、じゃあ俺もテイクアウトで！」
とのことでした。

「はい、ニシンそば二つ。七味はそこのあるからね。」

刻々と発車時間が迫る車内から改札を見ていると、そばを二つ手にしたどや顔の妻が戻ってきました。
良かった。
この列車を逃がすと４時間ブラブラしなければならなくなります。
留萌で４時間はちょっと辛い。

両手にそばの妻は、何やら怒ってます。
「まったくあの駅員たら、さっき通ったばっかりなんだからいちいち切符見なくてもわかるでしょ！」
どうやら、両手にそばを持っている妻の切符を確認させたようです。
「一個、駅員さんに持ってもらったらよかったんじゃない。」
「両手ふさがってるのに、手伝いもしない！」
しばらく怒りが収まらないようでしたが、そばを手に座席につくとすぐにご機嫌に。

ちなみに、テイクアウトも立ち食いと料金一緒です。

そばに箸をつけると、それを合図のように列車も発車。

そばは、絶品です。
ニシンは柔らかく煮込んであり、そのニシンのうまみがそばに絡み、初めてニシンそばが美味しいと思いました。

そばも鉄道も、今のうちに行っておいた方がいいと思います。

この旅行記へのコメント （2）

• kummingさん 2023/02/11 22:48:19

  悲しいニュースT_T

  ちびのぱぱさんこんばんは♪
  旅行記の日付2022年6月、という事は、もう時すでに遅し⁈
  
  ほんとに鹿がぶつかってくるのですね、びっくりぽん(*_*)
  確か、最新のブログでもぶつかってたような？
  
  味わい深い駅舎ばかり、車窓の風景も心惹かれました。廃線のニュースは多いですね、利益が出ないからって、社会インフラとして残す方法はないのでしょうか？色んな情報を新聞で見ますけど、絶対解はないみたい。
  北海道には昔ムカ～し、二十歳の頃に2度行ったきりです、しかもどちらも真夏。
  
  一昨年の冬～去年春、だったか、息子が廃線になる鉄道目指して上北しました。が、し～か～し、そのちょっと前に、大雪で鉄道運行して事故？だか何だかの不祥事があり、その影響で前日に運行予定を決める！となって、息子が行った当日は晴天だったのに、前日休業が決まっていて、運行されなかった！と言っていました。
  
  ちびのぱぱさんの、昔の海外ブログも楽しいですが、この北海道シリーズは別の趣きが♪時々お邪魔させて頂きます。

  ちびのぱぱさん からの返信 2023/02/12 15:37:51

  Re: 悲しいニュースT_T

  コメントありがとうございます。
  そういえば、塩野七生さん、わたしもいくつか読ませていただいてます。
  ローマ帝国について、興味が尽きないですね。
  そうとう昔ですが、私も訪れたことがあります。
  kummingさんのローマ紀行、少しずつｗ読ませていただきます。