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2020年6月23日(火)、梅雨の合間の暑い日の午後、JR奈良線のJR藤森駅から藤森神社へ向かう。JR藤森駅は1997年に開業した新しい駅(下の写真)。同じ名前の京阪の藤森駅とは離れており、むしろ墨染駅の方が近い。住所表記としての深草藤森町(京都教育大学の所在地)に最も近い駅。もともと京都教育大学前となる計画もあったが、京阪と同じ駅名を採用し、区別のために頭にJRを付けた。ちなみに京阪の藤森駅は1910年(明治43年)に師団前駅として開業したが、1941年(昭和16年)に駅名が陸軍師団の所在地を示のはまずいとして、改称された。<br /><br />JR奈良線は元々は奈良鉄道が開発した線で、京都・奈良間が1896年(明治29年)に開通したが、当初は京都駅から桃山駅までは現在の近鉄京都線のルートを通っていた。今のルートに変更されたのは1921年(大正10年)。それまでに1905年(明治38年)に関西鉄道に譲渡され、その2年後に国有化され、1909年(明治42年)に木津駅までが奈良線、その先が関西本線となっていた。1984年に全線電化され、複線工事も進められているが、現在はこの駅から先、宇治駅までは単線のままで、その先新田駅から木津駅までも単線。<br /><br />JR藤森駅から西に400mほど先に藤森神社の表参道の入口。藤森神社は平安遷都以前より祀られている古社。菖蒲の節句発祥の神社として知られ、菖蒲から尚武、勝負と繋がり、明治時代から第二次大戦終了まで周辺が軍用地であったことから、馬と武運の神社として信仰を集め、現在も馬と勝負事の神社として馬主・騎手等の競馬関係者や競馬ファンの信仰を集めている。また、日本書紀の編者であり、日本最初の学者である舎人(とねり)親王を御祭神としてお祀りしていることから、学問の神としても信仰され、特に受験での勝運をもたらす神社とされる。京都十六社朱印めぐり、伏見五利益めぐり、京都刀剣御朱印めぐりの一つ。<br /><br />毎年5月5日に行われる藤森祭(深草祭)は菖蒲の節句発祥の祭と云われ、各家々に飾られる武者人形には藤森の神が宿るとされる。この祭りは平安時代の860年に第56代・清和天皇の宝祚(ほうそ)に際し、奉幣(ほうへい)の神事が行われたことに由来すると云う。境内の表参道を馬で疾走しながら曲馬(くせうま)の技を披露する駈馬(かけうま)の神事が行われることで有名でもある。<br /><br />藤森神社の名前は、かつて一帯に藤の木が繁茂し、あたかも藤の森のように見えたことからと云われるが、他にも経津(ふつ)、経道(ふちみ)よりの転訛で、「人が住み通ったところ」の森(山、村)と云う意味、あるいは川、池の淵(ふち)の森から来たと云う説もある。いずれにせよ、鎌倉時代末の文献に名前が残っており、その頃にすでに定着していた。<br /><br />創建年代や祭神には諸説あるが、社伝では弥生時代の西暦203年に、三韓征伐から凱旋した神功皇后が、山城国深草の里の藤森に纛旗(とうき、いくさ旗)を立て、兵具を納め、塚を作り、祭祀を行ったのが当社の発祥であるとしている。平安時代が始まった794年には、第50代桓武天皇より、弓兵政所(ゆずえのまんどころ)の宝称が授けられ、遷都奉幣の儀式が執り行われた。 <br /><br />室町時代中盤の1438年、現在の伏見稲荷大社の場所にあった藤尾社が東殿として合祀された。奈良時代の759年に創建された神社。当時山上にあった伏見稲荷大社が火災焼失したため、後花園天皇の勅により6代将軍・足利義教が山麓へ遷座し、それに従って藤尾社が現在地に遷された。藤森神社の氏子は鴨川東岸の藤森神社周辺から北、伏見稲荷大社から東福寺周辺を越えて、現在JR東海道線が走る辺りまで広がっており、藤森祭の神輿もJR東福寺駅の北にある瀧尾神社で休憩し、その後、伏見大社楼門前に渡御し、今も参道北に祀られている小祠・藤尾社に寄せられており、これを裏付けている。<br /><br />それより少し先の1470年には平安時代の800年に塚本(現在の東福寺近辺)の地に創建された塚本の宮が、たびたびの火災により深草古天王(小天皇塚、聖母小学校北向)へ移っていたが、応仁の乱で焼失したため藤森に遷され、西殿に祀られた。祀られている早良親王が陸奥国の反乱に対し征討将軍として出陣したのが5月5日で、これが現在の駆馬神事の元となっている。<br /><br />ご祭神は、本殿(中座)には三韓征伐にまつわる7柱の神々、素盞鳴命(すさのおのみこと)、別雷命(わけいかずちのみこと)、日本武尊(やまとたけるのみこと)、第15代応神天皇、第16代仁徳天皇、神功皇后、武内宿禰(たけのうちのすくね)が祀られ、東殿(東座)、藤尾社に周辺地域一帯の地主神と考えられる神々、舎人親王と第40代天武天皇が、西殿(西座)、塚本宮に怨霊や厄神を宥めるための御霊神である早良親王、伊豫親王、井上内親王が祀られている。<br /><br /><br />続く

京都 伏見 藤森神社(Fujinomori Shrine, Fushimi, Kyoto, JP)

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2020/06/23 - 2020/06/23

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ちふゆ

ちふゆさん

2020年6月23日(火)、梅雨の合間の暑い日の午後、JR奈良線のJR藤森駅から藤森神社へ向かう。JR藤森駅は1997年に開業した新しい駅(下の写真)。同じ名前の京阪の藤森駅とは離れており、むしろ墨染駅の方が近い。住所表記としての深草藤森町(京都教育大学の所在地)に最も近い駅。もともと京都教育大学前となる計画もあったが、京阪と同じ駅名を採用し、区別のために頭にJRを付けた。ちなみに京阪の藤森駅は1910年(明治43年)に師団前駅として開業したが、1941年(昭和16年)に駅名が陸軍師団の所在地を示のはまずいとして、改称された。

JR奈良線は元々は奈良鉄道が開発した線で、京都・奈良間が1896年(明治29年)に開通したが、当初は京都駅から桃山駅までは現在の近鉄京都線のルートを通っていた。今のルートに変更されたのは1921年(大正10年)。それまでに1905年(明治38年)に関西鉄道に譲渡され、その2年後に国有化され、1909年(明治42年)に木津駅までが奈良線、その先が関西本線となっていた。1984年に全線電化され、複線工事も進められているが、現在はこの駅から先、宇治駅までは単線のままで、その先新田駅から木津駅までも単線。

JR藤森駅から西に400mほど先に藤森神社の表参道の入口。藤森神社は平安遷都以前より祀られている古社。菖蒲の節句発祥の神社として知られ、菖蒲から尚武、勝負と繋がり、明治時代から第二次大戦終了まで周辺が軍用地であったことから、馬と武運の神社として信仰を集め、現在も馬と勝負事の神社として馬主・騎手等の競馬関係者や競馬ファンの信仰を集めている。また、日本書紀の編者であり、日本最初の学者である舎人(とねり)親王を御祭神としてお祀りしていることから、学問の神としても信仰され、特に受験での勝運をもたらす神社とされる。京都十六社朱印めぐり、伏見五利益めぐり、京都刀剣御朱印めぐりの一つ。

毎年5月5日に行われる藤森祭(深草祭)は菖蒲の節句発祥の祭と云われ、各家々に飾られる武者人形には藤森の神が宿るとされる。この祭りは平安時代の860年に第56代・清和天皇の宝祚(ほうそ)に際し、奉幣(ほうへい)の神事が行われたことに由来すると云う。境内の表参道を馬で疾走しながら曲馬(くせうま)の技を披露する駈馬(かけうま)の神事が行われることで有名でもある。

藤森神社の名前は、かつて一帯に藤の木が繁茂し、あたかも藤の森のように見えたことからと云われるが、他にも経津(ふつ)、経道(ふちみ)よりの転訛で、「人が住み通ったところ」の森(山、村)と云う意味、あるいは川、池の淵(ふち)の森から来たと云う説もある。いずれにせよ、鎌倉時代末の文献に名前が残っており、その頃にすでに定着していた。

創建年代や祭神には諸説あるが、社伝では弥生時代の西暦203年に、三韓征伐から凱旋した神功皇后が、山城国深草の里の藤森に纛旗(とうき、いくさ旗)を立て、兵具を納め、塚を作り、祭祀を行ったのが当社の発祥であるとしている。平安時代が始まった794年には、第50代桓武天皇より、弓兵政所(ゆずえのまんどころ)の宝称が授けられ、遷都奉幣の儀式が執り行われた。 

室町時代中盤の1438年、現在の伏見稲荷大社の場所にあった藤尾社が東殿として合祀された。奈良時代の759年に創建された神社。当時山上にあった伏見稲荷大社が火災焼失したため、後花園天皇の勅により6代将軍・足利義教が山麓へ遷座し、それに従って藤尾社が現在地に遷された。藤森神社の氏子は鴨川東岸の藤森神社周辺から北、伏見稲荷大社から東福寺周辺を越えて、現在JR東海道線が走る辺りまで広がっており、藤森祭の神輿もJR東福寺駅の北にある瀧尾神社で休憩し、その後、伏見大社楼門前に渡御し、今も参道北に祀られている小祠・藤尾社に寄せられており、これを裏付けている。

それより少し先の1470年には平安時代の800年に塚本(現在の東福寺近辺)の地に創建された塚本の宮が、たびたびの火災により深草古天王(小天皇塚、聖母小学校北向)へ移っていたが、応仁の乱で焼失したため藤森に遷され、西殿に祀られた。祀られている早良親王が陸奥国の反乱に対し征討将軍として出陣したのが5月5日で、これが現在の駆馬神事の元となっている。

ご祭神は、本殿(中座)には三韓征伐にまつわる7柱の神々、素盞鳴命(すさのおのみこと)、別雷命(わけいかずちのみこと)、日本武尊(やまとたけるのみこと)、第15代応神天皇、第16代仁徳天皇、神功皇后、武内宿禰(たけのうちのすくね)が祀られ、東殿(東座)、藤尾社に周辺地域一帯の地主神と考えられる神々、舎人親王と第40代天武天皇が、西殿(西座)、塚本宮に怨霊や厄神を宥めるための御霊神である早良親王、伊豫親王、井上内親王が祀られている。


続く

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