2019/08/18 - 2019/08/18
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たびたびさん
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遠野は、柳田國男の「遠野物語」の舞台となった町。河童や座敷童子など豊かな民話の故郷です。今回の訪問は、久しぶり。日帰りの日程なので、遠野駅から歩ける範囲に絞って、限界まで探索してみることにしました。
江戸時代、遠野は遠野南部氏の城下町。この遠野南部氏というのは、八戸根城にあった八戸南部氏のこと。南部藩の宗家は、三戸南部氏ですが、本家はむしろ、八戸南部氏という見方もあって、実質的な移封は微妙な側面を持っていたのではないか。南部藩の中にあっても、遠野は違うというような気風も少しはあったかもしれません。
ちなみに、南部氏は、頼朝の奥州合戦の後、御家人に任ぜられてこの地に入り、以降、700年に渡って、同地を治めるという稀有な一族。しかし、三戸南部、八戸南部だけではなく、一戸南部、四戸南部、七戸南部、九戸南部といった分家が多く、一枚岩となっていない弱みがありました。津軽為信の離反もこうした背景があってのものなんですね。
ただ、遠野が全国区となったのは、やはり、柳田國男の「遠野物語」のお陰。そして、「日本人とは何か」という視点で日本民俗学を大成した柳田にとっても、その後を決定的にした地でもあったと思います。もしかしたら、そうしたことを考えてしまうからかもしれませんが、私としては、民話の不思議な感覚は民話の中だけではなくて、実際の現地の風土にも感じられなくはない。岩手にあって、宮沢賢治のファンタジーの世界の匂いがする花巻と双璧のような気もします。
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夏油温泉から北上駅に到着。
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ここから、花巻駅経由、遠野駅に向かいます。
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花巻駅で待ち合わせ時間があるので、例によってちょっと周辺散策。
これは、未来都市銀河地球鉄道壁画。花巻駅を出て、だらだらと坂を下りた先です。日が暮れてから、蛍光色に浮かび上がる壁画が見ごたえがあるという情報もあったのですが、そうもいかなくて、こうして昼間に拝見。うーん。なかなかのスケールがあるし、やっぱり、銀河鉄道の絵がいい。宮沢賢治の世界が見事に表現されていると思います。 -
で、ここで早めの昼飯。
この一品香は、花巻駅からは少しありますが、地元では大人気の中華屋さん。開店の11時にはもうちょっとした行列ができています。 -
いただいたのは、一番人気のサンマーメン。東京でも食べたことはありますが、ここのも、野菜たっぷりの餡かけラーメンでさっぱりとしたおいしさ。するするっと胃に落ちて行く感じで食べられます。
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イチオシ
慌ただしく、遠野駅に到着。
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遠野駅を出てすぐにあるのが遠野物語碑。
遠野の名を全国区に押し上げたのは、柳田國男の遠野物語ですが、碑は、昭和45年、遠野物語出版65年を記念して建てられた自然石の碑。碑文は「此話はすべて遠野の人佐々木鏡石君より聞きたり……」の序文の一節。柳田國男にとっても、その後の日本民俗学への道を歩む端緒となった作品。我々日本人全部にとっても、意義深いことだったと思います。 -
旅の蔵 遠野は、これも遠野の駅前すぐの施設。
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観光案内所に地元のおみやげ物の販売所が併設されているのですが、しっかりとした建物で、中も悠々余裕がある。街歩きの前にちょっとここで一休みという感じでしょうか。木のぬくもりを感じられる雰囲気も悪くないと思います。
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遠野駅を出た駅前を左右というか東西に走る通りが新穀町通りで、これを越えて進むと遠野市街の中心部に至ります。ただ、この通りが何か特別かというと何でしょう。レトロ風の建物がないわけじゃないけど、そうでもない。この通りを取り立てて云々ということではないような気がします。
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市街に入って、少しスイーツチェックとか。
市街にはいくつか名物の「明がらす」を扱うお店があって、竹林堂もその一つ。 -
看板商品は 、やっぱり「明がらす」。
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ちなみに、「明がらす」は、米粉と小麦粉に砂糖と水飴を加えて煮詰み、炒った黒ゴマとクルミを混ぜて棒状に練り上げ、それを裁断したもの。
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甘すぎず、ゴマの香りがほのかにしてなかなか上品なお菓子です。
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イチオシ
続いては、名物のさかまんじゅうのお店、まん十屋です。
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酒饅頭ですかと声をかけると、女将さんが「酒は入ってないです」の回答。
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酒饅頭はそもそも酒ではなくて麹菌でふくらませる饅頭のこと。意外に知識がないことに驚きましたが、まあ、おいしい酒まんじゅうを提供してもらえれば文句はありません。ふっくらの生地はさすがですが、餡子は少し甘さ控えめかなと思います。
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こちらも「明がらす」のお店ですね。
ただ、この松林堂は、その中でも最右翼といった位置付けみたい。 -
店内の雰囲気もそうだし、
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お菓子の包装とか、熊野の八咫烏をあしらったりして、なんだか本格的な扱い。
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胡桃の欠片の切り口が烏に似ているということで付いた名前だとか。
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イチオシ
女将さんのうんちくもなかなかです。
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遠野市街の中心部から鍋倉城址の方に進みましょう。
池端の石臼の碑は、「池端の石臼 遠野物語第二十七話」という杭が立っています。ただ、見るのはそれではなくて、 -
そこからガレージを抜けて行った先の小さな神社のような場所。地元の人に聞かなかったら、決して分からなかっただろうと思いますがそれを見ないといけません。
ちなみに、池端の石臼は、「米一粒を入れて回すと黄金がポロリ。しかし、欲張ってたくさんの米を入れてしまったことで、臼は水たまりに沈んで池になる」といったお話です。 -
さらに進んで、CocoKana。もう南部神社の入口も近くです。
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地味な外観とうって変わって、店内には色紙がいっぱい。人気店のようですね。
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イチオシ
私は。、面白そうだったので、ここでどぶろくのアイスをいただきました。喫茶のアイスですから、適度なスイーツかなと思ったら、けっこう日本酒のしっかりした味わいがして、かなりきつい香り。白いのをいただきましたが、ピンクの方があって、そっちの方がちょっとマイルドなんだそうです。
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新里とうふ店 は、CocoKanaの真向かい。CocoKanaを出て、「立ち食い豆腐」とあるこの店に気が付きました。
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おばちゃんに声をかけると「はいよ」という感じでざるどうふを盛ってくれて、
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しょうゆをかけていただきます。普通の冷奴よりちょっと柔らかめかな。するするっと食べる感じが気持ちいいです。
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ここから、まずは南部神社の方へ。
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石段は、鍋倉公園の方に続いています。
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始まりは南北朝時代のようですが、今は遠野南部氏の祖、南部実長から八代政光まで八柱を祀る神社。安土桃山時代から江戸時代までは、鍋倉城の麓にあったので、鍋倉神社とも。遠野南部氏は本流の八戸根城からここに移された南部一族の一つ。盛岡藩の藩主は三戸南部氏ですが、本来は八戸根城のこの一族の方が南部氏の惣領であった時期もあるようで、その関係は微妙です。しかし、どちらにしても、見知らぬ土地でアイデンティティを保つのはそれなりに苦労があったのではないかと想像しました。
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南部神社からさらに鍋倉城址の方へ。
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小山に向かって石段を登って行きます。
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その入り口に簡単な説明板があって、はじめ横田城と称し、天正年間阿曽沼氏の築城と伝えられる。本丸、二の丸、三の丸などの曲輪が存在する中世的山城の形式だとか。八戸から南部直義が入部し、240年余りに渡って居城としたとありました。
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けっこう上りますし、それなりに覚悟をもっての探索となると思います。
開けた場所に出ましたが、これは鍋倉公園。登り切った後、この比較的平坦な場所に着くとホッとします。 -
市街を見下ろすちょっとした展望所もあって、
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それなりに気持ちいいです。
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予定ではここから引き返すつもりだったのですが、
五百羅漢への道案内が出ていて、それでは行ってみることにしましょうか。 -
鍋倉公園から五百羅漢は3キロくらい歩くのですが、その途中で気が付くと程洞稲荷神社。
遠野物語には119の昔話が収められていて、遠野周辺には数多くのそんな雰囲気を持つ場所があるのですが、ここは遠野物語第16話のコンセイサマ(金精様)を祀る小さな祠。車の通れる道路の脇に赤い小さな鳥居が立っていて、そこからしばらく山の方に登ったところです。 -
そして、これが五百羅漢の入口です。
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陰気な渓谷のような場所を上っていくと、
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ごろごろむき出しの岩のあちこちに羅漢が線刻されていて、それが五百羅漢なんですね。
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ただ、まずは、この大水が出た跡のような渓谷のおどろおどろしい雰囲気が印象的。
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もしかしたら、
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それを鎮めようとしたのが
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五百羅漢なのかなと感じました。
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一つ一つの線刻は苔むしてあんまりよくわからないようなことになっています。
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五百羅漢から、基幹道の方に出てきました。
さてこれも、楽しみにしていた場所。 -
卯子酉様は、恋愛の神様です。
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小さな祠の周辺には赤い布がびっしりと巻かれていて。
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なんでも、左手だけで木に結ぶことができれば恋人と結ばれるというのだそうです。
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イチオシ
赤い布がこれだけ覆っていると異様な感じもありますが、そこは遠野。薄気味悪いところにちょっと神秘的な感覚も混じっていて、その微妙なところがまたいいんじゃないかと思います。
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卯子酉様から遠野市街に戻る途中。「日本一大仁王像」の石柱に気が付いて寄ってみました。対泉院です。
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仁王像は、昭和55年に建立された高さ5mの一体。
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赤い屋根付きの建物にすっくと立っていました。ぬめっとした感じだし、ちょっと荒い感じもしなくはなくて微妙かな。でも、がんばっているのは伝わります。
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市街に戻って、これは高善旅館跡。柳田国男が常宿としていた旅館のようです。
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そして、遠野蔵の道ギャラリーは、広い敷地に建つ蔵を活用したギャラリー。
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展示室というか部屋では絵本みたいな企画展とか。
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昭和の市民生活の再現コーナーも。外観は大きいのですが、中は意外にこじんまり。建物の中に身を置いて楽しむといった感じかな。子供連れの人で賑わっていました。
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遠野蔵の道ギャラリーの向かい側の鶴乃屋菓子店は、
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地元密着の小さな和菓子屋さんで、おばあちゃんが一人で切り盛りしています。
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いただいたのは、こちらでも「明がらす」。
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しっかりした米粉とゴマの香りの甘さがあって、やっぱり年季を積んでますねえ。ここの「明がらす」も、ニンマリするようなおいしさがありました。
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続いては、遠野城下町資料館。
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さっきの遠野蔵の道ギャラリーも正直イマイチだったし、あんまり期待はしていなかったのですが、
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イチオシ
遠野南部家伝来の品を含む展示品は保存状態が良くて美しい。
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大名の暮らしぶりまで偲ばれて、ちょっとうっとり。
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ちなみに、遠野は内陸部と沿岸部を結ぶ交易の拠点。
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陸奧国代遠野南部氏12千石の城下町の豊かさを
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リアルに感じれるように思います。
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イチオシ
遠野のもう一つの顔ですね。
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では、最後に、とおの昔話村がリニューアルしたというとおの物語の館へ。
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土蔵の方へ。
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前回来たときは、ミニシアターで神隠しにあった女の子の話、食わず嫁という実は化け物の話など。臨場感抜群の語りと演出を味わいましたが、
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今回は展示品を中心に拝見。
一寸法師や桃太郎、雪女に舌切り雀。 -
花坂爺さんに、
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イチオシ
座敷童や
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かっぱまで。
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曲屋に
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石臼
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イチオシ
ネズミの嫁入りとか。
遠野の民話だけじゃなくて、幅広く題材を広げています。
日本人からすれば、だれでも知っている話だし、やっぱり正直者じゃないとダメだとか至極当然の内容。一方、蛇足ですが、韓国人って平気で嘘をついたりしますよね。韓国にはこういう昔話ってないんでしょうか。最近ちょっと気になっているところです。 -
そして、ここからは、柳田國男が滞在した宿「高善旅館」と晩年を過ごした「旧柳田國男隠居所」のエリア。
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「旧柳田國男隠居所」は、氏の生涯と功績を紹介する柳田國男展示館。
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高善旅館の方も
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老舗らしい落ち着いた雰囲気がよくわかります。
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さて、最後は遠野の名物の一つ、ジンギスカン。
遠野では、ここ遠野食肉センターと元祖といわれるあんべが双璧です。 -
市街からけっこう離れているので、歩いて行くのはけっこうしんどいんですが、あんべがお休みだったので、頑張ってここまで足を延ばしました。
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イチオシ
いただいたのは、上ラムセット。ジンギスカンというより、臭みもないし、さらっとした普通の焼肉のような感覚かな。たれも淡白な感じ。もうちょっと個性があってもいいんじゃないかなと思うくらいに自然で違和感がほとんどないジンギスカンでした。
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遠野駅まで帰る途中の鳥屋部製は、バイパス沿い。まあまあ目立つ和菓子屋さんです。
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遠野饅頭という看板が見えたので寄ってみました。
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遠野饅頭は黒糖生地のまあるい蒸し饅頭。しかし、特徴というほどの特徴はないかなあ。まん十屋の酒まんじゅうとか明がらすとか。遠野の名物は他にもあるので、これが遠野を代表するというには厳しいかなと思います。
さて、これで遠野は終了。
今夜の宿の盛岡に向かいます。 -
盛岡駅に到着して。
銀河堂は、フェザンおでんせ館の入り口。目立つ場所にあって、翌日の朝飯をここで調達しました。 -
奥の方にはイートインスペースもあって、ゆったりした構え。
なお、いただいたのは、ソフトフランスミルククリーム。ほのぼのした甘さがいけてます。 -
宿泊は、ホテルパールシティ盛岡。盛岡駅から開運橋を渡って少し行ったところ。看板も見えているし、安心感がありますね。たまに、値段が安くなる時があって、それにあたるとちょこちょこ利用しています。受付もしっかりしているし、部屋も悪くない。このクラスでは本当にコスパがいいホテルです。
明日は、今回の旅の一番の目当て。花輪囃子に向かいます。
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この旅行記へのコメント (6)
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- travelさん 2020/06/16 13:35:44
- サンマ-マンもどぶろくアイスも美味しそう。
- たびたびさん、旅先でのお食事は楽しみですね。
花巻のサンマ-メンと東野のどぶろくアイスは美味しそうで食べてみたいです。
花巻温泉に行った時のホテルのご飯がとっても美味しかったのを思い出しました。
ポタラ宮の旅行記にも訪問頂き有難うございます。
時を経てもチベットの旅はインパクトが強かったのでつい昨日の事のように思い出します。
海外へ行けるのはまだまだ先になりそうですね。
travel
- たびたびさん からの返信 2020/06/17 13:42:34
- RE: サンマ?マンもどぶろくアイスも美味しそう。
- 大阪の堺のことですが、千利休、行基、与謝野晶子と並んで堺の生んだ四人の偉人のひとりといわれる河口慧海という人物がいます。中国や日本に伝承されている大乗仏教に疑問を持ち、より釈迦本来の教えに近い小乗仏教のチベットに入国。日本人として初めて入国するとともに、チベット語仏典を収集することに成功したというのです。
堺を旅した時に初めて知りましたが、私はチベットと聞くとその人のことを思い出します。
たびたび
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- 異邦人♪さん 2020/05/13 16:03:44
- こんにちは♪
- いつもいいね、ありがとうございます
たびたびさんのスイーツチェック楽しみにしています
お店は下調べをしていくのですか?
それとも行き当たりばったりですか?
- たびたびさん からの返信 2020/05/13 16:43:20
- Re: こんにちは♪
- それなりに下調べはします。
ただ、何が名物なのかは行ってみないとわかりませんけどね。
ところで、私の感覚ですが、お菓子はその地方の文化度を表しているようなところがある。その視点にハマるとちょっとしびれます。
たびたび
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- 4traさん 2020/05/03 11:10:33
- 蛇足
- GWどこにも行けず暇なので、韓国人の学者の方々が書かれた本を買いました。『反日種族主義』という分厚い本で、まだプロローグしか読んでないので、本の善し悪しはわかりませんが、蛇足の参考にはなるかもしれません。
- たびたびさん からの返信 2020/05/03 18:35:46
- RE: 蛇足
- 『反日種族主義』ですか。私も斜め読みしましたが、いきなり韓国人はうそつきだから始まっていますよね。すごく挑発的なんですが、逆に韓国ではうそつきと言われても、最悪の屈辱ではないのかな。日本なら、うそつきって最悪なんですけど、正義のためのうそつきならいいとか。そういうのがあるのかもしれませんね。
一方で、日本では嫌韓も浸透してしまって、もう元には戻りそうにない。国際情勢や経済を考えればやっぱり危ないように感じます。
たびたび
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