2018/06/15 - 2018/06/24
12位(同エリア49件中)
tonaさん
勤続○年のリフレッシュ休暇でロマネスク旅へ!
計画していた昨年秋の旅行は諸事情で中止に。これから海外は行きにくくなりそう・・・。行ける今、一番行きたいロマネスクへ!
ロマネスク教会の多くはアクセスが困難で、車なしであっちもこっちも巡るのは至難の業。長年全部盛りツアーは敬遠したきたけど、それもありかな~
数少ないロマネスクツアーを探すと、憧れのサン・ブノア・シュルロワール行きが!さらに美術史家同行の南イタリア行きのツアーが!
いいっ!けどお高い上に催行が決まってない・・・
う~ん、悩む
ここはやっぱり、一番行きたいフランスかな~
見所満載なだけに、プラスαが欲しいところ。やっぱりフリーだ!
これまでも大好きなパリ+ロクロナン(ブルターニュ)、+サン・トロフィーム教会(アルル)、+ロカブリュヌ(コート・ダジュール)など巡ってきたけど、今回もこの手で姉に声をかけてみようっ
今回パリはちょっと置いといて、ロマネスクの街ポワティエをメインに、姉のハート鷲掴み系 Les Machines de L'ile(ナント)、城(アンジェ)
そして憧れの地コンクも巡ちゃおう!
ということで
「ポワティエ、ナント&アンジェ、トゥールーズ」に決定!
と、ここで
「4~6月にフランス国鉄、過去最大規模のストライキ(3日走ったら2日スト)」が発覚!
だだでさえ曜日調整が大変(ショーヴィニー行きバスは土日運休、Les Machines de L'ile月曜休業、都市間の長距離バス(安い!)が毎日運行してないetc・・・)な中、スト日とにらめっこしながら、訪問地をパズルのようにあっちに動かしこっちに動かし、ど~にかこ~にかクリア
決まってしまえば後は楽しい楽しい関連書籍読み
今回初読の
・コンクに詳しい『フランスの聖者たち』
・今回ショーヴィニーってことで、中世の怪物系を数冊。中でも『欧州百鬼夜行抄』、『幻獣辞典』、『怪物の友』が◎!
~ポワティエ~
Viennne ヴィエンヌ県、Nouvelle-Aquitaine ヌーヴェル=アキテーヌ
フランス西部、ポワトゥー・シャラント地方のクラン川に囲まれた高台にある都市で、ガリア・ローマ時代に開かれた古都
フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼地(オルレアンからスペインに向かうトゥールの道)として世界遺産に登録
★ポワティエ(ショーヴィニー)
ナント
アンジェ
トゥールーズ
コンク&コルドシュルシェル
- 旅行の満足度
- 5.0
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
PR
-
羽田空港
夜便、ってことでスーツケース出勤し仕事の後、羽田へ
22:55 羽田空港発 エールフランス便
04:30(翌朝) Pari SDG空港着
空港内のカフェで朝食&行程おさらい
カフェの近くにスーパーマークス&スペンサー発見
朝食付きはトゥールーズのホテルだけだから、紅茶&デヴォンのスコーンを買っておこう -
SDG空港駅
SNCF空港カウンターで航空Eチケットを見せ、ポワティエ行き列車チケットをもらう
今回のチケットは航空券とセットのTGV AIR。乗ってきた飛行機は11:19発便にのみ接続、便変更不可
って時間あり過ぎ!
別途切符買って移動しようかとも思ったけど、直通便だし、ポワティエ時間はたっぷりあるし、のんびり行こうシャルルドゴール空港TGV駅 駅
-
ストライキってことで、今回TGVはここだけ
今日はスト日じゃないとはいえ、動いてて良かった~
Bordeaux St Jean行きってやつだね
さすがTGV空港駅、待合スペースが広い
カフェ・スタンドもある。空港と違ってトイレは有料。そろそろ小銭を切らさないようにしないと -
SDG空港駅のホーム
11:19 SDG空港発
定刻出発、一路Poitiersへ! -
13:32 Poitiers駅着
晴れ!そして暑いっ
事前にショーヴィニー行きのバスを確認しておこう(駅に隣接のバスターミナル)
昼休みなのかいつもなのか、駅もバスの窓口もクローズ
「Lignes en Vienne」社の時刻表はあるけど、「OuiBus」のがない・・・
あったと思ったら、時刻表箇所が白い紙で伏せられている。これはもしかして・・・
OuiBusは絶賛ストライキ中のSNCF運営のバス。ってことで事前に数ヶ所で尋ねたところ走ってそうだったし、SNCF HPの乗車日検索でも出てきたし、大丈夫だろうと・・・
万が一運休(っていうかかなり濃厚)だと「Lignes en Vienne」社の7:45発しかない。ま、代わりがあるだけいいか。後で街のインフォで確認しよう
まずはホテルへ
駅から徒歩15分程だけど、スーツケースもあるし、坂道&階段みたいなのでタクシーで
乗り場に車が来る気配がない。みると「モバイルで呼べ」的なことが・・・。ま、駅前だし、いつか・・・不安になったころ、ようやく1台滑り込んできた~ポワティエ駅 駅
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Hotel de Europe
ホテルはrue Carnot沿い、この青いアーチをくぐった先。いい感じ
チェックインは入った正面の建物、手前が部屋棟Hotel de l'Europe ホテル
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お部屋(2F)
終日仕事して飛行機乗って列車乗って・・・ここまで長かった~ -
バスルーム
汗も疲れも流して、いざ! -
Place du Maréchal-Leclerc マレシャル・ルクレール広場
街の中心の広場まではホテルから4分程
正面のいかにもフランスらしい美しい建物は、Hotel de ville ポワティエ市庁舎
土曜日で、広場では巨大チェス、オセロ的なゲーム大会をやっててのどかな午後
街の見所は何と言ってもロマネスク!
明日の別行動を見込んで、今日は姉とメインどころを巡ろうポワティエ市庁舎 建造物
-
石の道、石の建物、見上げると細長い空
あぁ~、5年ぶりの大好きなフランス
その先に・・・あった!
松ぼっくり頭の鐘楼 -
イチオシ
青空の下、思ったより小ぶりでかわいい
前の広場のブック市のパラソルがい~感じ
一歩、また一歩と近づくと、次から次へとロマネスクレリーフが目に飛び込んでくる -
◆Eglise Notre-Dame la Grande ノートルダム・ラ・グランド教会
聖母マリアに献堂
起源は10世紀頃、現在の姿はロマネスク最盛期11世紀後半に再建されたもの
'la Grande’にしては小さいのね~、と思ってたら、「偉大な」聖母マリアという意味だった。にゃるほど!ノートルダム ラ グランド教会 寺院・教会
-
案内板
-
まずは堂内へ
連なる半円アーチが波紋のように奥へ広がる身廊(11世紀~12世紀初め) -
側廊
身廊と同じくらい天井が高い。これはポワトゥ地方の特徴の1つらしい
トランセプト(翼廊)はない -
柱頭はシンプルなものが多い・・・と思ったら、濃い目のレリーフが
-
栄光のキリスト(柱頭)
中央にマンドルラ(アーモンド型の光背)に座すキリスト
両サイドにそれを抱える天使たち。ギュイ~ンと身を反らせているのがロマネスクらしい
色彩が残ってるね -
コリント柱に囲まれたアプシス(内陣)
ロマネスクな小さな窓から光が注ぎ込む -
天上のフラスコ画(アプシス)
ぼんやりとしかわからないけど、黙示録のシーンらしい
アプシスの外側には巡礼路沿いの聖堂に多くみられる周歩廊、放射状祭室が設けられている
(ミサ中でも巡礼者たちがミサを妨げることなく、お祈りできる) -
模様も色も様々に彩色された柱は、1851年の修復時にビザンチン風にペイントされたもの
「ありの~ままにぃ~」を良しとする今と違って、リニューアルって感じ?けど当時でも「タトゥー」と酷評されたりしちゃったらしい
ロマネスクの聖堂の多くは彩色されていたっていうし、これはこれでなかなか
にしても、タトゥーとはよく言ったもんだね~。急に柱が生々しく見えてくる -
ではでは外へ
青空の下、仕掛け本のページを開いたような美しいファサード
11世紀からこの姿でここに・・・
すごいよ~。感涙だね -
マンドルラ
中央にキリスト、それを囲む四福音書記者シンボル
マンドルラがちょっとぐねってて、味がある -
イチオシ
キリストの頭上に輝くのは、太陽と月
日食(磔刑時に起こったといわれる)的なことでたまに描かれるモチーフ
磔刑シーンじゃないけど太陽と月だね。しかもかわいい!
マンドルラをよく見ると、外枠は草飾り、その内側はなんとモディロ~~~ン(持ち送り)!
ロマネス君たちが鎖状につながっている~!
モディロンといえば、ファサードにないこともないけど、主に裏舞台(後陣外壁とか)で謳歌してるイメージ。まさかのキリストを支えるマンドルラに!
これがポワティエ、これがロマネスク最盛期
もう気絶しそう~ -
おとぎの国にでてきそうなかわいい鐘楼
見覚えが・・・と思ったら、愛読書『ロマネスクの教会堂』の表紙だったね
(ポワティエと同じ地域圏のアングレームの大聖堂) -
鐘楼の屋根を支えるモディロンは、ロマネス君たちの競演
その下には美しいロマネスクな半円アーチ -
ファサード参拝
向かって左のアーチから見ていこう -
フリーズ(アーチ上)
左から
知恵の木を挟んで立つアダムとイブ
ネブカドネザル二世
預言者(ダニエル、モーゼ、イザヤ、エレミア)
受胎告知
エッサイの木
ダビデ王 -
受胎告知
マリアの服にうっすら青い色彩が残ってる -
マリアの頭上
押すな押すなと、ひしめきあうロマネス君たち
左から、
口から蔓草を吐き出す(飲み込む?)グリーンマン
巻物みたいなのを咥えた獣(ハイエナ?)モディロン
モーツアルトばりの鬘姿モディロン
その上段で猫のように身を丸めるのは狐かな? -
イチオシ
マリアの足元
大きく足を広げているのはロマネスクでお馴染みの二股人魚・・・じゃない?!
お猿さんだ。お猿は悪魔の象徴でもあるから、位置的にも、っぽい
ん?だけじゃない!
開いた二股の先に顔!猫又ならぬ猿又!?
底なしロマネスク -
葉飾りが美しいアーキヴォルト(飾り迫縁)
二つ折りの葉が、一枚一枚並んでアーチを縁どる
柏餅を包んでいるみたいな、ふっくら感がたまらない
ティンパヌム(楣とアーチで形づくられる半月形の部分)にはさらに二つの小さなアーチを内包
そのアーチには草飾りと聖杯のようなカップが交互に並ぶ -
ティンパヌムと柱頭
アーチに沿うようにしやなかに肢体を丸めているのは、豹かな
パンサー=キリスト教伝道者の象徴でもあるし(豹・バンサー・ピューマ・チーターの区別はちょっと置いといて)、かな
古代マヤ・アステカ感漂う顔がかわいい
柱頭にはグリフォン
ビシッとシンメトリーをキメている -
中央のアーチへ
-
フリーズ
エッサイ(左)と椅子に座ったダヴィデ王(右)
顔は壊されたのか、どちらも剥離している
ダヴィデ王の鎖帷子的な衣装レリーフが、ちゃんと鎖模様になってる!
すごいっ、こんなのあまり見たことないぞ -
モディロン:ダビデ王の右上
左から
グリーンマン・・・っていうか人じゃないからグリーンアニマル?
眠い目をこすっている鋭い牙の獣(ハイエナ?)
目も歯も剥いた人?獣? -
モディロン:中央アーチ上
左から
人、牛、そして三番目は正座して両手(翼)を合わせる鳥っ!?
ピングーみたいでかわいいっ
モディロンの間もびっちりロマネス君 -
4連のアーキヴォルト
ティンパヌムには、新しい感じの木製のレリーフ -
草飾り・・・かと思ったら、2番目と4番目以外は何か違うっ!
1番外枠は、鳥が一羽一羽、クの字に身を折っている
3番目は馬みたいなのが、身をよじって尻尾をくわえてる
1つ1つ微妙~に違うんだな、これが
ぜんっぜん見終われないっ -
アーチの上に、ドラゴン発見!
人魚と並ぶロマネスク聖堂の2トップ
見返りスタイルで、隆々とした長いしっぽが真ん中で蜷局を巻いてる。写本の四隅に棲んでいるのとよく似ている -
間の柱頭
みょぃ~んと口を開けた動物に頭を噛まれている人
動物のしっぽが、その頭上でアカンサスの葉のようにぐるっと渦を巻く
もともとはギリシャのコリント式オーダーから発展した柱頭
いつしかアカンサスの茂みに動物や人が見え隠れして、そしてすっかりロマネスク住民たちの棲み家に -
間の柱頭
すごい牙の動物に両サイドから噛まれる逆さ吊りの動物
三段重ねで噛まれる動物
人頭のグリフォン(っていうかスフィンクスだね)は、しっぽに顔があって噛みつこうとしている~! -
柱頭:中央アーチ向かって右
草飾りでシンプル、と思ったら、一頭二身のライオン(?)が鎮座 -
向かって右手のアーチ
-
フリーズ
旧約聖書の物語が綴られる
左から
エリザベト訪問
降誕
幼子の沐浴
ヨセフ
その下に、組み合う二人 -
降誕シーン
横たわるマリアが手を伸ばした先に、お包みで巻かれた幼子イエス
よく見ると、それを牛とロバがやさしく覗いている
かわいい! -
幼子の沐浴シーン
横でそれを見守るヨセフがいいね
その斜め下の組み合う二人
ヤコブと天使の戦い、という説など
でも二人とも同じような格好をしているから、なんかの擬人像的なのかな~? -
3連のアーキヴォルト
だいぶ摩耗してるながらも、細い外枠には虎のような動物が歩き、2番目は草飾りかな
3連目には、シャンと背筋を伸ばした犬(?)がずらりとお座り -
ティンパヌムにはさらに二つの小さなアーチ
ちょっと不思議な立体の草飾り
小さなティンパヌムには、鳥(?)とグリフォン(?)のレリーフ
中央の柱頭には獣っぽい鳥が長いしっぽをハート型にもたげシンメトリーを描いてる -
柱頭:右側アーチ右
一頭二身の動物(内側)
頭を下げた鳥(外側)は、しっぽの先が大きな葉になっている!
もうなんでもありだね -
鐘楼の柱:向かって右
石を積んで積んで昇る柱の束。色がちらほら違うのも味があるね -
柱頭には、お馴染みの一頭二身獣が鎮座
ん?なんか目線を感じる・・・
と思ったら、柱頭上から計6つの目がこっちを見てる!
なんとも言えない顔をした犬っぽいのが3頭。まさにがん首並べて
鐘楼の傘を支えるモディロンにも漏れなくロマネス君
エンドレス・ロマネスク -
遠景で終われないのがロマネスク
-
鐘楼:向かって左
-
イチオシ
定番の棲み家である柱頭、モディロンだけでは飽き足らす、あちこちあふれ出すロマネス君
さっきは3頭、こっちは増えて5頭。しかもいろんなのが・・・
浮彫っていうか、生まれてるね、これは -
聖ベルナール(12世紀の神学者)が、聖堂の怪物レリーフを1つ1つ挙げ連ね非難しつつ、
「日がな一日 ずっと見ていたくなる」
と、思わず本音(じゃないだろうけど、ね)が出ちゃった奇妙なレリーフ群
色褪せないどころか、逆に斬新すぎる聖堂装飾 -
ロマネスク様式の教会が建てられたのは11~12世紀。いわゆる黙示録的な闇が明けた混沌残る頃
白日に晒された、正悪明白なゴシックの手前
見えないものを信じ、見えないものを恐れる時代
静かに途切れなく漂う想像力のもと、次々と生まれ落ちたロマネスクの不思議な生き物たち
だって想像は何でもありっ、だもんね!
次はサン・ジャン洗礼堂へ
https://4travel.jp/travelogue/11540850
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この旅行記へのコメント (4)
-
- mistralさん 2024/02/21 20:54:50
- ロマネスク
- tonaさん
はじめまして。
mistralと申します。
一度ひっそりと拝読して、今回はじっくりと見せていただきました。
3月20日にパリへ、乗り継いですぐポワティエに直行し、3泊します。
目指すはロマネスクです。
tonaさんと同じだと思ったら、宿泊予約しているホテルも同じでした。
このコロナ禍で、海外旅は久しぶりで、勘が戻るまで時間がかかりそうです。
なかなか予習?の時間が取れず心配ですが、これからtonaさんの旅行記で
予習させていただきます。
よろしくお願い致します。
mistral
- tonaさん からの返信 2024/02/22 12:31:18
- RE: ロマネスク
- mistralさん
コメントありがとうございます。
「目指すはロマネスク」、素敵ですね。
ポワティエ3泊、そしてホテルも同じなんですね。旅行記が少しでもお役に立てればうれしいです。訪れて数年経ちますが、いまでも時折あのロマネスク群漬けの日々に思いを馳せます。
mistralさんの旅行記、拝見させていただきました。マドリードのサン・ヴィセンテ聖堂(ファサードの覗くお馬の頭に釘付けになりました)、セゴビアの水道橋、素晴らしいですね!行ってみたくなりました。
ロマネスク、ゆっくり楽しんでください♪
- mistralさん からの返信 2024/02/22 19:49:48
- RE: RE: ロマネスク
- tonaさん
ご返信を有難うございました。
tonaさんへのコメント欄を拝見しましたら
以前、当方からコメントさせていただいていたことを発見。
改めて興味、関心が似通っていることを再発見した次第です。
今後ともよろしくお願い致します。
mistral
- tonaさん からの返信 2024/02/25 09:23:45
- RE: RE: RE: ロマネスク
- mistralさん
ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
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