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5月9日は、楽友協会(ムジークフェライン)の黄金のホールではなく、室内楽用のブラームス・ザールで、夜7時半から、フォルテピアノ(Patrick Coin)、チェロ(Christoph Coin)、ヴァイオリン(Baderkubizek)の室内楽(Clara Schumann, Robert Schumann、Blahetka)の作品を聴くことになっていた。コーワンは、古楽器の演奏で知られているが、今回は、1838年製のウィーンで製作されたベーゼンドルファーを使用することになっていた。弦楽器も当時のものとのことだ。<br /><br />その日の午前中は予定もなかったので、久しぶりに新王宮Neue Burgにある古楽器の展示を見に行くことにした。そこは、世界博物館の一部で、歴史的な古楽器が置いてあるところだ。残念なことに半分くらいは、修理整理中でコレクションは一部しか見られなかったが、シニア料金で安く入場できた。私も20本くらいコレクションを持っているフラウト・トラベルソ、ブロック・フレーテなども見たが、鍵盤楽器の部屋も見た。<br /><br />モーツァルトやベートーヴェンが使用した時代のワルター製のフォルテピアノなどが置いてある部屋で、写真を撮っていると、突然楽器を演奏しはじめた人がいる。館員が傍にいるので、無断ではないとわかったが、最初モーツァルトのあちこちを探り弾きしていたが、その後、ベートーヴェンの「悲愴ソナタ」を弾き始めたら、部屋の空気が変わった!!!これは、プロだ!!! しばらく弾いていたが、止めると立ち上がって、思わず拍手をした家内のほうを向いて、胸に手を当てて、深くお辞儀をした!誰だ!この人は!一瞬、今晩演奏するコーワンのことを思い浮かべたが、そのまま、館員と二人のプロらしい人は次の部屋に行き、別のフォルテピアノを弾く音が聞こえてきた。我々は閉鎖中で入れない部屋だったが。。今思うと、その時は恐らくクララ・シューマンが実際に使用した楽器を弾いていたに違いない。<br /><br />夜の演奏会で現れた奏者は、まさに、博物館で見た二人のコーワン氏だった。この夜のプログラムはクララ・シューマンのフォルテピアノ曲がハイライトなのだ。演奏会で使用した楽器はベーゼンドルファーだったが、博物館で弾いていていた楽器は、その部屋に入れなかったので、確認できなかった。「悲愴ソナタ」は6オクターヴのワルター製を弾いていたのだが、クララ・シューマンの時代のピアノはもう少し大型になっている。演奏会で使用したものは、7オクターヴのものだったと思う。音量も大きくなっていた。ブラームス・ザールだと十分な音量だった。しかし、ワルター製で聴いたコーワン氏が弾いていた音は、なんと、エレガントでチャーミングな響きだったことだろう。。。家内も私も、その響きが忘れられないでいる。確か、博物館でコーワン氏が弾いたときは、ほとんど我々以外には客はいなかったと思う。その時の写真を出そう。演奏会場のほうは、演奏前の写真しかないし、服装は改まっていた。初めて入場したブラームス・ザールの響きは素敵だった。この広さなら古楽器で大丈夫だ。ホールの真ん中にブラームスの像があり、その前で、クララ・シューマンの曲を演奏するのは、音楽史を知っている人なら、ただ事ではないとわかるだろう。面白い一夜だった!<br /><br />実は、我が家でハイドンのピアノ・トリオを演奏するときは、家内がピアノ、息子がチェロ、私がフルートを使う。ハイドンのピアノ・トリオは一部、ヴァイオリンではなく、フルートで演奏できるようになっているので、昔、なんどか、一緒に演奏した曲だが、その曲の参考演奏は、まさに、このコーワン氏たちのものだったのだ。こういう形で、コーワン氏の弾く音を由緒ある場所で、それぞれ聞けたのは、いい思い出となった。  <br /><br />この博物館内は、写真撮影可能だから、そこで音を出している方も撮影してかまわないであろう。<br /><br />一枚目の写真は、自慢の一枚だ!手前はPatrick Coin, 向こうにいるのが、チェロをひくChristoph Coin。現地時間5月9日午前11時ごろ。<br />

ウィーン滞在9回目(3.古楽器博物館と楽友協会でフォルテピアノ奏者を聴く)

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2019/05/09 - 2019/05/09

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tad

tadさん

5月9日は、楽友協会(ムジークフェライン)の黄金のホールではなく、室内楽用のブラームス・ザールで、夜7時半から、フォルテピアノ(Patrick Coin)、チェロ(Christoph Coin)、ヴァイオリン(Baderkubizek)の室内楽(Clara Schumann, Robert Schumann、Blahetka)の作品を聴くことになっていた。コーワンは、古楽器の演奏で知られているが、今回は、1838年製のウィーンで製作されたベーゼンドルファーを使用することになっていた。弦楽器も当時のものとのことだ。

その日の午前中は予定もなかったので、久しぶりに新王宮Neue Burgにある古楽器の展示を見に行くことにした。そこは、世界博物館の一部で、歴史的な古楽器が置いてあるところだ。残念なことに半分くらいは、修理整理中でコレクションは一部しか見られなかったが、シニア料金で安く入場できた。私も20本くらいコレクションを持っているフラウト・トラベルソ、ブロック・フレーテなども見たが、鍵盤楽器の部屋も見た。

モーツァルトやベートーヴェンが使用した時代のワルター製のフォルテピアノなどが置いてある部屋で、写真を撮っていると、突然楽器を演奏しはじめた人がいる。館員が傍にいるので、無断ではないとわかったが、最初モーツァルトのあちこちを探り弾きしていたが、その後、ベートーヴェンの「悲愴ソナタ」を弾き始めたら、部屋の空気が変わった!!!これは、プロだ!!! しばらく弾いていたが、止めると立ち上がって、思わず拍手をした家内のほうを向いて、胸に手を当てて、深くお辞儀をした!誰だ!この人は!一瞬、今晩演奏するコーワンのことを思い浮かべたが、そのまま、館員と二人のプロらしい人は次の部屋に行き、別のフォルテピアノを弾く音が聞こえてきた。我々は閉鎖中で入れない部屋だったが。。今思うと、その時は恐らくクララ・シューマンが実際に使用した楽器を弾いていたに違いない。

夜の演奏会で現れた奏者は、まさに、博物館で見た二人のコーワン氏だった。この夜のプログラムはクララ・シューマンのフォルテピアノ曲がハイライトなのだ。演奏会で使用した楽器はベーゼンドルファーだったが、博物館で弾いていていた楽器は、その部屋に入れなかったので、確認できなかった。「悲愴ソナタ」は6オクターヴのワルター製を弾いていたのだが、クララ・シューマンの時代のピアノはもう少し大型になっている。演奏会で使用したものは、7オクターヴのものだったと思う。音量も大きくなっていた。ブラームス・ザールだと十分な音量だった。しかし、ワルター製で聴いたコーワン氏が弾いていた音は、なんと、エレガントでチャーミングな響きだったことだろう。。。家内も私も、その響きが忘れられないでいる。確か、博物館でコーワン氏が弾いたときは、ほとんど我々以外には客はいなかったと思う。その時の写真を出そう。演奏会場のほうは、演奏前の写真しかないし、服装は改まっていた。初めて入場したブラームス・ザールの響きは素敵だった。この広さなら古楽器で大丈夫だ。ホールの真ん中にブラームスの像があり、その前で、クララ・シューマンの曲を演奏するのは、音楽史を知っている人なら、ただ事ではないとわかるだろう。面白い一夜だった!

実は、我が家でハイドンのピアノ・トリオを演奏するときは、家内がピアノ、息子がチェロ、私がフルートを使う。ハイドンのピアノ・トリオは一部、ヴァイオリンではなく、フルートで演奏できるようになっているので、昔、なんどか、一緒に演奏した曲だが、その曲の参考演奏は、まさに、このコーワン氏たちのものだったのだ。こういう形で、コーワン氏の弾く音を由緒ある場所で、それぞれ聞けたのは、いい思い出となった。  

この博物館内は、写真撮影可能だから、そこで音を出している方も撮影してかまわないであろう。

一枚目の写真は、自慢の一枚だ!手前はPatrick Coin, 向こうにいるのが、チェロをひくChristoph Coin。現地時間5月9日午前11時ごろ。

旅行の満足度
5.0

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  • ハプスブルク家の新王宮。世界博物館、古楽器コレクションは右手のほうに入口がある。

    ハプスブルク家の新王宮。世界博物館、古楽器コレクションは右手のほうに入口がある。

  • 世界博物館入口

    世界博物館入口

  • 世界博物館 ここはかつては実際の王宮だ。<br /><br />cafeがあり、ランチをここで食べた。優雅な雰囲気。<br /><br />

    世界博物館 ここはかつては実際の王宮だ。

    cafeがあり、ランチをここで食べた。優雅な雰囲気。

  • 世界博物館

    世界博物館

  • 白大理石が美しい<br /><br />どこから来た大理石か知らないが、多分イタリアからだろう。<br />北イタリアはハプスブルク家の領土だったし。。

    白大理石が美しい

    どこから来た大理石か知らないが、多分イタリアからだろう。
    北イタリアはハプスブルク家の領土だったし。。

  • 白大理石が美しい

    白大理石が美しい

  • 美しい白大理石

    美しい白大理石

  • 世界博物館の中の<br /><br />狩猟、武器コレクション

    世界博物館の中の

    狩猟、武器コレクション

  • 武器コレクション

    武器コレクション

  • 武器コレクション

    武器コレクション

  • 武器コレクション

    武器コレクション

  • パロディ版?<br /><br />様々な国のものが展示されているが。。

    パロディ版?

    様々な国のものが展示されているが。。

  • パロディのパロディ版?<br />

    パロディのパロディ版?

  • 右の方は、もっと小型のサイズでいいような。。。

    右の方は、もっと小型のサイズでいいような。。。

  • 細川家のコレクションを借りているようだ。

    細川家のコレクションを借りているようだ。

  • 民族楽器のあれこれ

    民族楽器のあれこれ

  • どうやらこのあたりからヨーロッパの古楽器か。

    どうやらこのあたりからヨーロッパの古楽器か。

  • ヨーロッパの古楽器

    ヨーロッパの古楽器

  • ヨーロッパの古楽器

    ヨーロッパの古楽器

  • ヨーロッパの古楽器

    ヨーロッパの古楽器

  • モーツァルト以前のタイプのフルート。金属のキーが1個のみ。普通にはトラベルソで通用する。フラウト・トラベルソ、バロック・フルートなどと呼ぶことも多い。

    モーツァルト以前のタイプのフルート。金属のキーが1個のみ。普通にはトラベルソで通用する。フラウト・トラベルソ、バロック・フルートなどと呼ぶことも多い。

  • あ!夜の演奏会で、この人が、コーワンだと確認できた。<br /><br />弾いているのはワルター製。

    あ!夜の演奏会で、この人が、コーワンだと確認できた。

    弾いているのはワルター製。

  • ワルター製の説明

    ワルター製の説明

  • コーワン氏は、途中から、ベートーヴェンの「悲愴ソナタ」を弾き始めた。<br />素晴らしい音楽がこの博物館の部屋に響き渡った!!!

    コーワン氏は、途中から、ベートーヴェンの「悲愴ソナタ」を弾き始めた。
    素晴らしい音楽がこの博物館の部屋に響き渡った!!!

  • 先ほどまでコーワン氏が弾いていたワルター製のフォルテピアノ

    先ほどまでコーワン氏が弾いていたワルター製のフォルテピアノ

  • 次の楽器の説明

    次の楽器の説明

  • 初期のブロードウッドだろう。ロンドン製

    初期のブロードウッドだろう。ロンドン製

  • 次の楽器の説明

    次の楽器の説明

  • ウィーンのShantz。ハイドンなどが当時愛用とある。鍵盤楽器もまだまだかなり展示されているが、省略。

    ウィーンのShantz。ハイドンなどが当時愛用とある。鍵盤楽器もまだまだかなり展示されているが、省略。

  • 表に退出する

    表に退出する

  • この建物が新王宮という表示。オーストリアの歴史的建造物はすべてこのような紅白の旗で表示されている。

    この建物が新王宮という表示。オーストリアの歴史的建造物はすべてこのような紅白の旗で表示されている。

  • 裏手から新王宮を見る。このすぐ右手に有名なモーツァルトの像がある。

    裏手から新王宮を見る。このすぐ右手に有名なモーツァルトの像がある。

  • モーツァルトの像

    モーツァルトの像

  • モーツァルトの像

    モーツァルトの像

  • モーツァルトの像

    モーツァルトの像

  • モーツァルトの像<br /><br />この像と同じ公園の一角にフランツ・ヨーゼフ皇帝の像があるが、そちらは、サイズもみかけも、謙虚、というより、貧弱。誰が大事にされているか理解できるだろう。

    モーツァルトの像

    この像と同じ公園の一角にフランツ・ヨーゼフ皇帝の像があるが、そちらは、サイズもみかけも、謙虚、というより、貧弱。誰が大事にされているか理解できるだろう。

  • ここからは、同日の夕方、楽友協会(ムジークフェライン)の小ホール(ブラームス・ザール)に話は移る。<br /><br />演奏会のポスター。歴史的古楽器の説明がある。

    ここからは、同日の夕方、楽友協会(ムジークフェライン)の小ホール(ブラームス・ザール)に話は移る。

    演奏会のポスター。歴史的古楽器の説明がある。

  • 楽友協会(ムジークフェライン)の全景。ここの大ホール(黄金のホール)からニュー・イヤー・コンサートなどが放送される。<br /><br />小ホール(ブラームス・ザール)も正面入口左側に行くと、入場できる。

    楽友協会(ムジークフェライン)の全景。ここの大ホール(黄金のホール)からニュー・イヤー・コンサートなどが放送される。

    小ホール(ブラームス・ザール)も正面入口左側に行くと、入場できる。

  • 楽友協会(ムジークフェライン)の全景

    楽友協会(ムジークフェライン)の全景

  • 小ホールの二階席

    小ホールの二階席

  • 小ホールの二階席

    小ホールの二階席

  • 今日の演奏は正面ステージではなく、一階客席の真ん中で演奏するようだ。<br /><br />演奏家の後ろにブラームスの像がある!!!意味深。

    今日の演奏は正面ステージではなく、一階客席の真ん中で演奏するようだ。

    演奏家の後ろにブラームスの像がある!!!意味深。

  • ブラームス像

    ブラームス像

  • これがベーゼンドルファーの1838年製のフォルテピアノ。複製でなく、本物を使用する。

    これがベーゼンドルファーの1838年製のフォルテピアノ。複製でなく、本物を使用する。

  • 今日は自由席なのだが、二階正面から聴くことにした。<br /><br />ここに登場するのが、昼間、世界博物館でフォルテピアノを演奏する姿を真横でみたコーワン氏なのだ。音はお届けできない。その姿を確認した後、今日の博物館で弾いていた人がコーワン氏だと言えることになった。

    今日は自由席なのだが、二階正面から聴くことにした。

    ここに登場するのが、昼間、世界博物館でフォルテピアノを演奏する姿を真横でみたコーワン氏なのだ。音はお届けできない。その姿を確認した後、今日の博物館で弾いていた人がコーワン氏だと言えることになった。

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この旅行記へのコメント (4)

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  • OE-343さん 2019/05/23 00:15:09
    Clara Schumanns Fortepianos in KHM
    tad様

    ヴィーンの旅行記楽しく拝見させていただいております。

    パトリック・コーエン、クリストフ・コワンらのクララ・シューマンプログラム、大変興味深いです。

    楽器博物館にあるクララ・シューマン関係の楽器ですが、私が記憶に残っているのは(10年前、フォルテピアノの知識がほとんどなかった頃に訪れたのですが)結婚記念に贈られたグラーフと、それこそブラームスザールのオープニングで使われたヨハン・バプティスト・シュトライヒャー の記憶があります。J.B.の方はその楽器でクララ・シューマン作品を演奏したCDを(高かったのに)買ってきて、そのおかげでロマン派時代のフォルテピアノに興味を持ち、またクララ・シューマンの作品に興味を持ち、といろいろ成果のあったCDで、今年の2月までは大変お気に入りのCDでした。(演奏しているのはオイゲニーエ・ラッソというガーシュインやコープランドを専門とする人でしたが。。。)せっかくなので9月13日にその辺の写真で旅行記を出そうと思っています

    そのCDのJ.B.の楽器は 1868年製のもので、なんと総鉄骨フレーム、交差弦の楽器で、それなのにフォルテピアノの音がする、と言う摩訶不思議なものでした。。。永年ベーゼンドルファーでお仕事をされ、それこそクララ・シューマンのフォルテピアノの調律も行ったという方と3月にお話しする機会がありましたが、楽器博物館は絶対にオーバーホールをしない方針だそうで、弦も切れたものを修理して使い続けるそうです。「演奏可能な状態」にこだわる浜松とは全く逆ですね。


    コメント欄に書くには長すぎる話題なので、9月13日公開のつもりの旅行記に詳細は譲ろうと思いますが、クララ・シューマンと楽器博物館には本当に感謝しています。あんなに多くのことを彼女に教えて貰えるなんて、10年前に楽器博物館に行ったときは想像などできませんでした。

    コーエンもきっとすごいと思いますが、私としてはやはり、オルガ・トヴェルスカヤとマイリー・ローソンの組み合わせでクララ・シューマンの Sie liebten sich beide が聴きたいです。 ヴォジーシェク作品をあれほど素晴らしく弾くトヴェルスカヤですからクララの曲も最高の音楽にしてくれるでしょう。彼女こそ。。。
    クララ・シューマンは、私にとてつもない影響を与えました。今、トヴェルスカヤ のファンをやってるのも、クララのお陰です。

    OE-343

    tad

    tadさん からの返信 2019/05/23 17:23:37
    Re: Clara Schumanns Fortepianos in KHM
    近年フォルテピアノにいれこんでおられるだけの詳しいコメントありがとうございます。私もいい刺激を受けました。ただし、クララ・シューマンの曲は聞く方からすれば、今一つという感じでしたが。。

    KHMとありますが、Kunsthistrisches Museumのことですか?楽器博物館はそこではなくて、Neue Burg のほうにあるWeltmuseumの一部です。実際には楽器コレクションのコーナーといった方がいいのでしょうが。。

    ウィーンのこのコレクションは、歴史的な由緒ある楽器などを集めているように思われますので、自由に貸し出して弾かせるためではないと思いますし、すぐに弾けるように新しい部品で改造するようなことは避けると思います。浜松とはコンセプトが異なるのでしょうね。

    フォルテピアノは一部の理解者は熱心ですが、演奏ビジネスとしては成立しにくいのではないでしょうか?古楽器界にしばしば当てはまることのようですが、音量の小ささが、現代のビジネス中心の大型ホールとマッチしないようです。大きいホールで聴くと、古楽器演奏は魅力が伝わらないので、聴衆は増えないでしょう。サロンなどでの仲間内の演奏がバロック音楽などで中心だった理由でしょう。ただ、ヨーロッパのオペラ界では、結構、古楽器演奏が普通になりつつありますから、興行主の意識と聴衆のサポート次第ではありますが。。日本はまだまだ一部の活動以外は、旧態依然のようです。。モダン・オケで頓珍漢な音でがんがん鳴らしているようです。

    今回聞いた演奏会のひとつですが、チェチーリア・バルトリとモナコ王室合奏団の演奏で、バルトリの美声もさることながら、ガット弦のアンサンブルの美しさに圧倒されました!ヴィヴァルディの四季を初めて古楽器アンサンブルで聞いたのですが、昔聞いたパイヤール合奏団などの普通のモダン楽器の音とはまったくの別物でした!!ムジークフェラインの音響も流石で、美しさがすべて伝わりました!今回の音楽会では、ウィーン・フィルのマーラー8番と並んで思い出に残ります。

    OE-343

    OE-343さん からの返信 2019/05/27 17:23:49
    RE: Re: Clara Schumanns Fortepianos in KHM
    お返事ありがとうございます。

    KHMはおっしゃる通り Kunst Historisches Museum です。。。私が訪問した時や、そこで購入したCDにはそのように記載されていました。。。 Kunsthistorisches Museum Sammlung für Alter Musikinstrumente https://www.khm.at/besuchen/sammlungen/sammlung-alter-musikinstrumente/
    だったと記憶しているのですが。。。

    クララ・シューマンの曲は今ひとつ。。。これ、そうなんですよね!今回の演奏会では、クララ・シューマンのピアノ三重奏をお聞きになられたようですが、ちょうどクララの三重奏と、ロベルトの三重奏を比較して「なぜつまらないのか」を分析した「論文」まで見たこともあります。。。 私がちょっと指導を受けたことのある作曲家の先生が書いておられました。その先生、ファニーとフェリックスも比較してやはりいろいろ批判していました。そして、リゲティが「20世紀で最も重要な作曲家の1人」と讃えたというRuth Crawford-Seeger(
    ペギー・シーガーの母親)やトーリ・エイモスを絶賛です! (その作曲家の先生、リゲティのお弟子さんです)

    ですから、私、2013年前半にクララ・シューマンに入れ込んだことを非常に恥じていました。あんな単純な曲にわざわざ入れ込んで、何故?と。。。でも、今年の2月に、(またこの話ですが)オルガ・トヴェルスカヤの演奏する Music at the court of St Petersburg のCDを聴いて、考えががらりと変わりました! 簡単な曲にも、豊かな音楽世界があるんだ、と言うことを知ったんです。


    あの時クララ・シューマンは私に、フォルテピアノがなかったにもかかわらず、そしてフォルテピアノの経験もなかったにもかかわらず(!) 重要な和声の感覚や、本質的な意味での微妙なタイミング、ルバートの意味、音色のコントラストの重要性などを教えてくれたのです。なぜか、グラーフやブロートマン、シュトライヒャー などではなく、ベヒシュタインのアップライトを通して。それはそれは、不思議な陶酔感でした。そして、私が「自分自身のために」音楽をやる、と言う感覚を、初めて持った瞬間でもありました。

    無論、その時は非常に奇妙な感覚を持っていて、「メトロノームで練習しなさい」と言われていた今までの世界観との違いに大きく戸惑っていました。そして、公開掲示板では詳しくは書けませんが、どんどん私の道がおかしな方向に行っていくにつれ、夢の陶酔感とお別れになりました。その後、クララ・シューマンの曲は殆ど弾いていませんし、ピアノを弾けない体に戻りました。でも、その感覚は、無理を押してたまに弾いていたシューベルトの初期ピアノソナタでの感覚に、或いは他の曲に、そしていろいろな演奏を聞いていく感覚に、しっかりと(無論、実際に自分で表現できるレベルでは無いのですが) 残っていたのです。
    私のシューベルト演奏、以前は、いろいろ何かを抑えたように、中位の音量とモダンピアノでは決して出ないppを求めているだけだったんです。ペダルは極限まで控えめに、頻繁に踏み換えて踏んでいました。
    それがそれが、インテンポでの演奏はしなくなり、極限のピアニッシモを求める姿勢は変わりませんが、和声の変化に従ってペダルを踏んで(他の人よりすごく長いです)、必要だと思う所では一気に急加速して、一気に出せる限りのフォルテシモを響かせようとするようになったんです。テンポ以外のダイナミクスの発想は。。。たぶんその何年か前に聴いたディーター・ツェヒリンのシューベルトCDの影響かと思います。

    あの陶酔する世界に戻りたいと時々思ってましたが、無理でした。でも、去年ポッジャー聴いて、インマゼール 聴いて、そして今年2月、トヴェルスカヤを聴いて。。。戻ってきてしまいした。
    実は、フォルテピアノに憧れながらも、いろんな演奏聴いていて「もしかしてあの世界はモダン、というより私のベヒシュタインでないと、無理なのでは?」と思ってたんです。。。でも、トヴェルスカヤを聴いて「フォルテピアノでこそ実現できる」と知りました。無論、私にできるかどうかはわかりませんが。


    で、私のベヒシュタイン売れました!100万円です。。。ということであと数百万円必要です、ヴィーン式6オクターヴ半の楽器を買うには。。。才能のない私にとって、ベヒシュタイン売却は上記の理由である種の賭けです。でも、この5年間ベヒシュタインは隣にあっても記憶の中の楽器でした。それなら、弾ける楽器を買うのは、理にかなっているでしょう。100万円では足りないのが悩みです。


    演奏会ビジネスですが、300〜500席のホールでフォルテピアノやチェンバロのコンサートがあることを考えれば、モダンのスタインウェイでもそのようなホールでコンサートを行うことがソロリサイタルなどでは多いのですから、楽器運搬費用等を別にすれば、採算を取るチャンスはあるのでは?と思っていますが、どうなのでしょう。。。

    ヨーロッパでの古楽器オーケストラによるオペラ、先日もベルリン国立歌劇場のラモー「イポリットとアヌシー」が放送されましたね(ヴィーン滞在中とは思いますが、録画されましたよね。。。 10年前私がヴィーン行った時は、滞在中に日本でカウンターテノールが出たオペラが放送されていたらしいのですがちょうど録画を逃しました) 。
    プロハスカとコジェナーは大好きな歌手なので見ようと思ってますがまだ見てません。。。NHKのオペラ放送も以前程の勢いはないですよね。。。おかげさまでいろいろなオペラを知ることができましたが。

    ヴィヴァルディの四季、ポッジャーの録音大好きです。FLACのダウンロード販売をやってるのでご興味あれば。。。(ポッジャーにインスタグラムで岩木山の写真やら弘前の古い旅館の写真やらが次々と「いいね」され、恐縮すると同時にもう安易にネットに投稿できなくなり困っています。フェイスブックでは「募金のお願い」が来るし。。。私が存じている社会人になってからヴァイオリンはじめたバロックヴァイオリニストの先生もポッジャーに習いに行ったので、「だったら自分もいずれあのフォルテピアノの方にレッスン受けれれば。。。」などと妄想してしまいます。)




    > 近年フォルテピアノにいれこんでおられるだけの詳しいコメントありがとうございます。私もいい刺激を受けました。ただし、クララ・シューマンの曲は聞く方からすれば、今一つという感じでしたが。。
    >
    > KHMとありますが、Kunsthistrisches Museumのことですか?楽器博物館はそこではなくて、Neue Burg のほうにあるWeltmuseumの一部です。実際には楽器コレクションのコーナーといった方がいいのでしょうが。。
    >
    > ウィーンのこのコレクションは、歴史的な由緒ある楽器などを集めているように思われますので、自由に貸し出して弾かせるためではないと思いますし、すぐに弾けるように新しい部品で改造するようなことは避けると思います。浜松とはコンセプトが異なるのでしょうね。
    >
    > フォルテピアノは一部の理解者は熱心ですが、演奏ビジネスとしては成立しにくいのではないでしょうか?古楽器界にしばしば当てはまることのようですが、音量の小ささが、現代のビジネス中心の大型ホールとマッチしないようです。大きいホールで聴くと、古楽器演奏は魅力が伝わらないので、聴衆は増えないでしょう。サロンなどでの仲間内の演奏がバロック音楽などで中心だった理由でしょう。ただ、ヨーロッパのオペラ界では、結構、古楽器演奏が普通になりつつありますから、興行主の意識と聴衆のサポート次第ではありますが。。日本はまだまだ一部の活動以外は、旧態依然のようです。。モダン・オケで頓珍漢な音でがんがん鳴らしているようです。
    >
    > 今回聞いた演奏会のひとつですが、チェチーリア・バルトリとモナコ王室合奏団の演奏で、バルトリの美声もさることながら、ガット弦のアンサンブルの美しさに圧倒されました!ヴィヴァルディの四季を初めて古楽器アンサンブルで聞いたのですが、昔聞いたパイヤール合奏団などの普通のモダン楽器の音とはまったくの別物でした!!ムジークフェラインの音響も流石で、美しさがすべて伝わりました!今回の音楽会では、ウィーン・フィルのマーラー8番と並んで思い出に残ります。

    tad

    tadさん からの返信 2019/05/29 18:19:36
    RE: RE: Re: Clara Schumanns Fortepianos in KHM
    これはまた長編コメントですね!私も長いことがありますが、負けました!

    エッセー風で、特に賛成反対を書くタイプではないようなので、ここではながなが書きません。

    ただ、ベヒシュタイン売れたそうですね。後の作戦がどうなっているのでしょうか?
    チェンバロもフォルテピアノも復元品でも相当するでしょう?

    鍵盤奏者はパイプオルガンは自分で購入できる人はほとんどいないでしょうから、諦めもつくでしょうが、チェンバロやフォルテピアノも大型車一台以上するでしょうから大変ですね。

    私の場合、家で音楽をやる部屋は、ピアノや大型のオーディオ装置で手一杯です。鍵盤楽器の購入予定はありません。

    トラベルソとリコーダーは20本以上現役がありますが、これはかさばらないので、問題ありません。子供たちにやがて分けてやることになるでしょう。実は抗がん剤治療で、手足の痺れの後遺症が予想より酷くて、このところ、この半年で、小さな穴を正確に抑えることができなくなりました。残念ながら、今、演奏できるのは、モダン・フルートだけです。キーの上を抑える指の位置が適当でいいからです。演奏できるレパートリーが激変せざるをえませんね。

    お互い、状況に制約がありますが、できることをやるのみですね。




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