201706突然ハワイ！の作り方-02ひろあき君の受難

2017/06/05 - 2017/06/05

Ｒ60★亀（亀次朗）であります。

さて、突然の思い付きでハワイ行きを決めた老夫婦。
どさくさと準備を進めます。
ようやく旅支度が整ったのは出発の朝の事でした。

この記事は2017年（平成29年）6月5日から13日までのものです。


突然ハワイ！に向けてまっしぐらな老夫婦。出発前日までに空港にスーツケースを送ったりＪＲの指定券を手配したりと大忙しでありました。この日の円ドル為替レートは112円/1＄。一時よりは多少円高に振れて来たものの80円/1＄時代を知る者には消費意欲を減少させる黒田バカズーカであります。いいもん！ＣＰＢには1＄＝90円で預けたドルがまだたっぷり（うそ、ちょっとだけ）眠っています。今回は現地預金の切り崩しですな。

例によって、文章と画像は全く関係はございません。

エリア ホノルル(ハワイ)

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

さて、ひろあき君であります。

北斗晶の「晶」＋藤岡弘の「弘」で「弘晶」君。漢字で書くとあまりにも暑っ苦しいので平仮名で「ひろあき君」としました。

相模農協から貰った猪年のマスコット貯金箱。普段は５００円玉貯金をため込んで貰っています。前回のハワイ旅行から一年以上経っています。その間にひろあき君のお腹に貯まった５００円玉貯金は２万円を超えています。これが今回の亀次朗のお小遣い相当額になります。

ハワイ旅行中のひろあき君の任務は紳士な亀次朗に代わっておやぢ目線な画面に登場する事であります。カメラやパスポートと一緒に機内に入りましょう。

出発当日の朝の事です。
あせあせと機内持ち込みの貴重品やひろあき君をパッキングしていたら電話が掛かってきました。

ナンバーディスプレイには見知らぬ携帯電話の番号です。普段なら無視する処なんですけど、これから暫く留守になります。何かあってもイケないので仕方なく電話に出てみました。

「あ、おれ。スタバから電話無かった？」
ううむ。。。典型的なオレオレ詐欺の電話のようです。

「もし電話があったら聞いておいてくれないかなあ」
いつもなら「バカな電話するんじゃない！（怒）」と即座に電話を切ってしまうのですが、その時亀次朗の口から飛び出したのは当人である亀次朗ですら思いもよらない言葉でありました。

「おお、ひろあき。うちに電話くれるなんって久し振りだね」

勿論、鶴亀家には「ひろあき」なんて名の息子は居ません。きっと機内持ち込み荷物を整理していて「ひろあき君」が手近にあったからでしょう。

電話の向こうの老人が見事に引っかかったと勘違いした「ひろあき」は更に続けます。

「スタバでさあ、ちょっとトイレに行っていた間に俺の携帯と会社の書類無くなっちゃたんだよう」
息子の窮地に老人は狼狽えます。
「お店の人によく聞いたのかい」
老人ががっしりと餌に喰いついたのを確信したひろあきは
「だからお店から電話があると思うから聞いておいてくれるかな」
出来の悪い息子程可愛いい者はいないと申します。
思いっきり心配してあげて一旦電話を切りました。


自慢ではありませんが鶴亀家の三人の息子の勤め先はそれぞれ限りなくブラックに近いんです。

長男はこの10年間に10か所近く転勤に継ぐ転勤でげっそりと痩せてしまいました。

次男は毎日朝5時前に出勤し夜遅くまで帰ってきません。土日も付帯する業務があって殆ど自宅で休めていません。勿論代休とか時間外手当なんかは全く貰えていません。

三男の勤める個人企業には就業規則すらない有様。

とても就業時間中にスタバに行く余裕なんって鶴亀家の息子達にはありゃしないんです。

それでも一応三人の息子とお嫁ちゃんに確認の電話を入れていたら「ひろあき君」から再度電話が入りました。

「スタバから電話無かった？」

「うん、気を付けているけど無かったよ。他に大事な物無くしてないかい。」老人はやさしく息子に語り掛けます。

「お客さんから預かった書類無くしちゃったんだよう」
息子の真に迫った泣き声に老人は狼狽えます。

「そんなに大事な書類だったの？」
実際の処鶴亀家の三人の息子は大事な書類を預かるような立場にはありません。

「今部長がお客さんの処で謝っているんだ。部長は＜お前はまだ顔を出すな＞って云うんだけど無くしたのは俺だし、すっごく責任感じてるんだ」

その後畳みかける様にひろあき君から何度も電話がやってきます。
あと一時間でハワイに出発するんだけどなあ。

「今お客さんの処覗いてみたら部長が土下座してるんだ。何とかしないと俺も部長も大変な事になっちゃう」

切羽詰まったひろあき君に老いた親としては言わねばならない事があります。心を鬼にして言い切ってしまいましょう。

「ひろあき、お前そんなことより今夜よね子さんが上京してくるんだろう。携帯無くしちゃったら連絡取れないじゃないか」

しっかりと罠にハメたハズの老人が＜大事な書類＞より＜今夜上京してくるよね子さん＞の心配を始めてしまった事にいささか戸惑っているようです。

「ツマラナイ仕事とよね子さんとどっちが大切なんだ」

「でもさあ、部長が。。。」

「んだったらお前がそこに飛び込んで＜私が悪うございました。部長の責任ではありません＞って一緒に土下座しなさいよ。今行かなかったらお前は一生その部長さんのシモベになってしまうよ」

「部長さんが内緒にしてくれるだなんってさあ、そんなもん三日もあれば社員はおろか掃除のおばさんまで知れ渡ってしまうもんだよ」

自分が描いている展開とは真逆になっていくストーリーにひろあき君は言葉が出て来なくなりました。

老人は嵩にかかって畳み掛けます。
「今どんな仕事をやっているのか知らないけどそんなあやふやな態度だったらいずれ行き詰まるぞ。仕事ってのはな、汗水流して真っ黒になってやるもんだ。口先だけで金儲けしようだなんって世間は甘くないよ」

ひろあき君は老人を罠に引っ掛けたつもりなので、説教じみた年寄りの連射にじっと耐えています。
この連中は詐欺電話がバレたと分かると
「
死ね！クソババア」

とかいって電話を切るもんなんです。

でもひろあき君はぐぐっと我慢を続けているんです。案外ちゃんとした育ちのぼこかも知れません。

さあ、そろそろ出発の時間です。

ひろあき君と付き合っている暇はありません。

「じゃこうしよう。ひろあき、お前は部長さんの処に戻りな。儂は今からお前の会社に行って社長に直談判してやる。うん、そうだ、そうしよう」

そう言い放ってさっさと電話を切ってしまいました。

罠にハメた相手から一方的に電話を切られるという経験が不足しているひろあき君は慌てて何回も何回も電話をかけて寄越しますが、わしらは出発の時間です。

会話を録音したＳＤカードとディスプレイに表示された携帯電話の番号を駅前交番の不在ポストに放り込んで空港に向かいましょう。


では
次回から「2017突然ハワイ」旅行記
綴っていきます。