2017/12/10 - 2017/12/10
4位(同エリア604件中)
旅猫さん
10月に浄土平を訪れた際、福島駅前で見かけた美術館の案内に、大好きな版画家斎藤清の文字を見付けた。
しかも、かの『会津の冬』シリーズが全作品展示されるという。
ところが、この時は、悲しいことに翌日から開催だった。
そして、展覧会が終わりに近づくにつれて、やはり観に行きたくなり、12月最初の週末に宿を取った。
ところが、前日になって行けなくなり。
それでも諦め切れず、結局、最終日の12月10日に日帰りで観に行くことにした。
- 旅行の満足度
- 3.0
- 観光
- 3.0
- グルメ
- 3.0
- ショッピング
- 3.0
- 交通
- 3.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円 - 3万円
- 交通手段
- 新幹線 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
今回は、大宮駅を7:38に出る『つばさ123号』に乗車。
天気も上々。
小山駅を過ぎたあたりからは、鬼怒川越しに高原山の雄姿が。
あの山の西麓には川治温泉が、北麓には塩原温泉がある。高原山 自然・景勝地
-
宇都宮駅近くからは、日光の山々が。
左側に見えているのが男体山。
その右にあるのが大真名子山で、一番右が女峰山。
男体山と大真名子山の間に見えている白い頂は、日光白根山だ。 -
そして、那須塩原を過ぎると、車窓には那須連山が見えてきた。
中央の白い山が、主峰茶臼岳。
左手には、白笹山と南月山、その手前に黒尾谷岳が。
茶臼岳の右手には、朝日岳とその奥に、最高峰三本槍岳、その先に須立山の姿も。 -
国境を越え、みちのくへ。
野州では晴天だったのに、あっという間に冬空に。
福島駅に到着する時、秋に訪れた東吾妻の山並みが、どんよりとした雲の下に白く輝いて見えた。 -
福島駅には、8:48に到着。
大宮駅からは、1時間10分だった。
ホームへ降り立つと、さすがに風が冷たかった。福島駅 駅
-
改札を抜け、東口へとコンコースを進む。
足元には、これから乗る福島交通の案内が。
『飯坂電車』という名前がいいな。
飯坂温泉を訪れたことが懐かしい。 -
その飯坂電車が発車するホームへ。
しばらく待つと、二両編成の電車が入線。
この9:12発の飯坂温泉行きに乗り、今回の旅の目的地へと向かう。 -
福島駅を発車した電車は、僅か3分で美術館図書館前駅に到着した。
細いホームが、ローカル線らしい雰囲気だ。
駅の脇には、JR東北本線の線路も。美術館図書館前駅 駅
-
駅には小さな駅舎もあったが、やはり無人駅。
しかも、駅は住宅街の中にあり、駅前は路地裏だった。 -
駅から、路地を抜けると、すぐ広い道に突き当たり、その向こうが美術館の土地だった。
道を渡り、案内板の前へ。
そう、この『斎藤清からのメッセージ』展がお目当てだ。 -
入口を入ると、とても広い空間が目の前に。
低層の大きな建物が二棟、優雅な佇まいを見せる山を背後に並んでいた。
右手にあったのは、県立図書館。 -
二棟を繋ぐ建物の前には池も。
背後の山は、福島の名の由来とも云われる有名な信夫山。
福島市民の花見の名所だそうだ。
信夫三山があり、それぞれ出羽三山が勧請されている。 -
その左手にあるのが、目指す県立美術館。
開館時間は9時半だったので、少し待つことに。
最終日なので、開館前から人が多いかと思ったが、数人しかいなかった。福島県立美術館 美術館・博物館
-
ふと空を見上げれば、いつしか青空が広がっていた。
日差しも強く、思ったよりも暖かくなってきた。 -
会館と同時に入り、早速展覧会を鑑賞。
今回は、斎藤清の代表作『会津の冬』シリーズ全115点が目玉だが、展覧会は、画伯の作品の変遷を時代を追って鑑賞できる構成となっていて、とても興味深いものだった。
奈良や鎌倉の作品も良かったが、やはり会津の冬シリーズは素晴らしかった。
思い切って訪れて、本当に良かった。 -
1時間半ほどゆっくり観賞し、美術館を後にした。
まだ時間があるし、天気も良いので、飯坂温泉で温泉でも楽しもうかと思ったが、先に来たのが11:14発の福島行きだったので、乗ってしまうことにした。 -
途中の車窓に、趣のある建物が目に入った。
隣の曽根田駅の駅舎だったので、福島駅に着いた後、歩いて見に行くことに。
そして、その曽根田駅は、大型商業施設の裏手にひっそりと佇んでいた。
立派な駅舎だが、平日の朝夕以外は無人駅とのこと。
しかも、高層ビルへの建て替え計画もあるらしい。
残念なことだが、今は震災の影響で凍結されているようだ。曽根田駅 駅
-
駅へと戻る途中、懐かしい場所が。
ソフトクリームの専門店などが入る古い商業ビルで、再開発が進む駅周辺の中では取り残されたような感じだ。
個人的には、こんなところが残った方が嬉しいのだが。 -
そこから、ふと思いつき、福島県庁へ行ってみることにした。
県庁のある場所は、福島城があった場所。
県庁西庁舎の裏手から入ると、趣のある庭園があった。
しかし、これは城跡の遺構ではないようだった。 -
さらに裏手に回ると、土塁らしきものが。
案内板があったので見てみると、これは西門南土手の内堀土塁跡だそうだ。
市街地に呑み込まれてしまった福島城跡では、貴重な遺構だ。大仏城址(福島城址) 名所・史跡
-
その土塁跡のすぐ南側には、滔々と流れる阿武隈川が。
都心の巨大な側溝のような川と違い、なんと気持ちの良い風景だろうか。
市の中心部で、このような景色が見られるのは羨ましい。
広い空と山々。
こんな場所で、弁当でも食べてのんびりしたいものだ。 -
阿武隈川沿いに県庁の裏手を歩いて行くと、急に庭園が現れた。
紅葉山公園と呼ばれているもので、福島城の旧二の丸御外庭の遺構だそうだ。
福島藩初代藩主板倉重寛が、三河国のかきつばたの名所を真似て、池や築山を設けたとのこと。紅葉山公園 公園・植物園
-
その一角に佇んでいたのは、杉妻稲荷神社。
その名のとおり、元は杉妻城(福島城の旧称)の艮の方角を守る社だったもの。
社殿は、天保11年(1840)に再建されたものだそうだ。
この社とは別に、立派な神社が鎮座していた。
板倉家初代重昌を祭神とする板倉神社で、震災で倒壊後、再建されたものだった。板倉神社 寺・神社・教会
-
杉妻稲荷神社のすぐ近くには、欅の大樹が。
福島城の庭園の面影を今に伝える生き証人らしい。 -
紅葉山公園からすぐのところにあった偕楽亭跡。
福島城の庭園の一部であったこの場所には、明治後期に、阿武隈川と対岸の弁天山を借景とする『偕楽亭』という料亭があったそうだ。
やはり、風光明媚な土地だったのだな。 -
紅葉山公園の中を通り、県庁の表門へ。
公園の一角には、古びた宝塔と石碑が建っていた。
宝塔は、弘安6年(1283)の銘が彫られたもので、杉妻城の全身が杉妻寺と言う寺を城とした大仏城であったことを証明する貴重なものらしい。
石碑は、鎌倉時代のものとのこと、 -
県庁前から大手門跡を通り、レンガ通りへ。
並行する国道13号線が万世大路と呼ばれるほどの広い道であるのに、こちらはかなりの細道。
しかし、こちらは元奥州街道であり、福島の兜町とも呼ばれる場所。
歴史的にはこちらのほうが重要な道だが、その面影はもはやない。 -
その道の途中にあった日銀の福島支店の角に、歴史を伝える場所があった。
日銀の東側にあった細い道が、米沢藩上杉氏が参勤交代の折に利用した庭坂口があった場所だそうだ。 -
さらに福島駅の方へと進むと、まちなか広場という場所に出た。
その四つ角は、奥州街道が直角に曲がっていたところ。
この角に、福島宿の本陣が二軒建っていたそうだ。
今は、まったくその面影はなかった。 -
福島駅前に戻ると、秋にも出迎えてくれた芭蕉さんと曾良さんが。
秋には蜘蛛の巣だらけだったが、嘘のように綺麗になっていた。 -
駅まで来て、さてどうしようかと思ったが、とりあえず昼食を。
歩き疲れていたし、探すのも面倒だったので、駅構内にあった『粋家』に入ることにした。
『粋家』は、就職したばかりの頃、上野駅や赤羽駅で帰宅前に良く立ち寄ったラーメン店。
懐かしくなり、豚小間と白菜が特徴的な定番の『粋家らーめん』を注文した。
とは言え、当時より旨味は減っているのだが。らーめん粋家 エスパル福島店 グルメ・レストラン
-
しかし、メニューに福島名物『円盤餃子』を発見。
これはやはり食べなくてはと。
もちろん、迷わず餃子の友、ビールも注文。
餃子の形とビールの大きさが違うが、この三つ揃えは本当に懐かしい。
食後、もう満足といった感じになり、列車の時間までお土産を物色。
お酒と味噌漬けを購入し、14:16発の『つばさ142号』で福島を後にした。
美術展だけのために日帰りで訪れた福島。
展覧会に満足し、福島の歴史にも触れられた、思いのほか良い旅だったかな。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- 前日光さん 2018/02/18 16:28:39
- 斎藤清はいいですよねぇ~
- こんにちは、旅猫さん。
福島まで日帰り美術鑑賞旅、途中の高原山や日光連山、那須岳などのご紹介もあって、とてもうれしくなりました。
斎藤清は、柳津の美術館でけっこうゆっくり鑑賞できました。
おっしゃるように「会津の雪景色」などは、やはり生活に密着した作品だと思います。
屋根の雪も大地に積もる雪も、斉藤氏の絵を見ていると、
太郎をねむらせ、太郎の上に雪ふりつもる
次郎をねむらせ 次郎の上に雪ふりつもる
という三好達治の、あのフレーズが浮かんできます。
しんしんと降り積もる雪、その下の家の中には眠るこども。。。
雪の質感とか、空気感が伝わってきますよね。
斉藤氏は思いの外、京都や奈良、鎌倉なども描いていて意外に感じたことも思い出しました。
またなんと言っても、斉藤氏の猫の絵はとても好きです。
展覧会の最終日に、じっとしていられなくなって日帰りで駆けつけた気持ち、私が薬師寺東塔の水煙を、最終日に見に行った気持ちと共通するかと思いました。
こんな旅が、印象に残ったりしますよね(^_^)v
前日光
- 旅猫さん からの返信 2018/02/20 22:11:51
- RE: 斎藤清はいいですよねぇ?
- 前日光さん、こんばんは。
いつもありがとうございます。
この日は、綺麗に山々が望めました。
福島県に入ったら、急に曇ってしまいましたが。
柳津の美術館は二度訪れましたが、あそこはゆっくり観られますよね。
今回は、会津の冬シリーズ全作品展示と言うことで、どうしても観たかったのです。
あの雪の描き方は素敵ですよね。
雪深い会津の冬が実感できます。
とは言え、今は街並みも大きく変わり、斎藤清が観た風景はほとんど無くなってしまいましたが。
古都を描いた作品も情緒があっていいですよね。
あと、あまり話題になりませんけど、会津の春を描いた作品群も好きです。
冬とは違い、緑がとても印象的で。
日帰りでしたが、思い出に残る旅となりました。
旅猫
-
- hot chocolateさん 2018/02/07 09:45:37
- 日帰りで福島まで美術鑑賞に♪
- 旅猫さま
おはようございます。
今日は雲1つないいいお天気ですが、日本海側は大雪で大変ですね。
福島県まで1時間10分! もう日帰り圏内ですね。
我が家から鎌倉に行くくらいの所要時間です。
前回の旅では、大好きな作家さんの作品展を逃し、今回リベンジの日帰り旅、すごい根性!です。(笑)
しかし、ローカル線の無人駅に、こんなに立派な美術館があるというのが不思議です。
上野の美術館の混雑ぶりと比べると、なんだかのどかでゆったりと美術鑑賞できそうですね。
hot choco
- 旅猫さん からの返信 2018/02/10 10:11:48
- RE: 日帰りで福島まで美術鑑賞に♪
- hot chocoさん、こんにちは。
いつもありがとうございます。
この週末も、日本海側は雪のようですね。
角館に雪景色を観に行く予定でしたが、暴風雪との予報で中止にしました。
なので、今日は自宅でまったりしています。
埼玉県の交通の要衝大宮駅は、東北、北陸、信州へ向かうには便利な場所です。
青森まで2時間40分ほど、仙台も1時間ちょっと、金沢も2時間ちょっとですからね。
鎌倉へ1時間ほどで行けるのは良いですね。
こちらからだと、1時間40分ぐらいです。
斎藤清さんの版画は大好きで、もう何度も観ています。
会津の冬シリーズはもちろんですが、奈良や鎌倉などの風景を描いたものも好きです。
美術館があるのは無人駅ですが、福島市街地のど真ん中です。
信夫山の麓にあるので、静かな雰囲気が漂っていますが。
旅猫
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