2015/09/16 - 2015/09/21
1235位(同エリア2953件中)
mirilinさん
- mirilinさんTOP
- 旅行記177冊
- クチコミ41件
- Q&A回答28件
- 413,660アクセス
- フォロワー33人
アール・ヌーヴォー聖地巡り第2弾は、ブリュッセル「サン・ジル地区」東側から「イクセル地区」へ。
さてさて、どんな建築物が待っているのでしょうか…
※第1弾 サン・ジル地区はこちらをご覧下さいませ
http://4travel.jp/travelogue/11183762
++++++++++++++++++++++++++++++
アール・ヌーヴォーはフランス語で、「新しい芸術」を意味します。
1890年から1914年までにヨーロッパで流行した、草花や幾何学模様をあしらった曲線と直線を装飾として用いた造形様式で、鉄と大きなガラスが使用されています。
100年以上前の「新しい」は、今も十分魅力的。
斬新かつエレガント、大胆かつ緻密…見れば見るほど奥の深い芸術です。
ブリュッセルには500を超えるアール・ヌーヴォー建築があるということで、次々現れる美しい建築に、カメラのシャッターは止まりません。
文字通り、ブリュッセルはアール・ヌーヴォーの聖地です。
昨年、パリのアール・ヌーヴォーにすっかり嵌ってしまった私。
今年は勇んで聖地を訪問することにしたのでアール。
ブリュッセルのアール・ヌーヴォー巡りには、グランプラスの市庁舎1階にある観光局で、「アール・ヌーヴォー建築めぐり地図」(有料)を持参することをおお勧めします。市内を各地区に分けて、見所、モデルコースが載っています。とても役に立ちましたよ!ボロボロになっちゃいました(笑)
あ!パリのアール・ヌーヴォーも気になる方は、こちらも覗いてね (*^^*)
http://4travel.jp/travelogue/10964737
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行なし)
-
次は、SAINT-GILLES地区東側からIXELLES地区を攻めてみます。
この地区は「建築家ヴィクトル・オルタの主な都市邸宅群」として世界遺産に認定されたアール・ヌーヴォー建築の館4軒のうち2軒があるブリュッセルのアール・ヌーヴォー建築の宝庫。聖地の中の聖地ってとこでしょうか。
アール・ヌーヴォーの父と言われるヴィクトール・オルタの自邸はもちろんのこと、もうひとりの巨匠であるポール・アンカールの自邸などが立ち並び、次々現れる巨匠たちの建築に、ただただ圧倒させられました。
【行程】1.3km -
サン・ジル地区東側のトップバッターは Private House and Studio of Horuta(オルタ自邸&アトリエ)です。
40才で巨匠となった、ヴィクトル・オルタの自邸とアトリエは、もちろん世界遺産。1898年作です。
左側が、1898年から1919年まで家族と住んだ家で、右側がアトリエ。入口はそれぞれありますが、内部はつながっています。
アール・ヌーヴォー建築は、現在も現役で使われているものが多く、内部を見られる建物がほとんどないのですが、ここは「オルタ博物館」として一般公開されており、14時~17時30分の間だけ、内部を見学することができます。入場料8ユーロ。大きな荷物やカメラはロッカーに預けるように言われます。
内部は、外観からは想像できない目を見張る美しい世界が広がっており、モザイク、ステンドグラス、壁画をはじめとする室内装飾の大部分が保存されており、細部まで調和した洗練された空間を見ることができます。
ま、4トラ族には甚だ残念ながら、内部は撮影禁止なので、しっかり目に焼き付けましょう。
私は、おみやげコーナーで売っている絵葉書とガイドブックを買い込みました~
オルタ博物館の公式HPでも、内部を見ることができます。
公式HP⇒http://www.hortamuseum.be/uploads/web-japon-2016.pdf
必見です!!
☆ミ凸ヽ(^-^) タイコバン!
【アドレス A】
25, RUE AMERICAINE
トラム:81、92、97番(ジャンソンJANSON駅)オルタ美術館 (オルタ邸) 博物館・美術館・ギャラリー
-
こちらは自邸の入口です。博物館の入口になっていて、控えめに「オルタ博物館 HORTA MUSEUM」と書かれたプレートがあります。
ガラスを覆うアイアンワーク、取っ手のデザインなど、入口だけでもいい仕事してますね~ -
こちらの小ぶりの入口はアトリエ側の入口。あまり装飾性も感じられず、素朴な感じを受けますが、よ~く見るとオルタの心がこの扉にも込められています。
上部の木枠はオルタ(HORTA)の頭文字「H」になっているし、中央の取っ手は、よく見ると郵便受けにもなっていて…そしてその取っ手にも、憎い趣向が…
その趣向とは、さて何でしょうか? -
ジャーン!
取っ手兼郵便受けをアップにしてみました。
オルタの遊び心…わかりますか? -
正解は。。。
差し出し口の上部にありました。
さりげなく「HORTA」と書かれています。
O(≧∇≦)O イエイ!! -
自邸の扉の取っ手をアップにしてみました。
植物の蔓ような、トカゲのような、不思議なフォルムです。 -
自邸の3階出窓は、手摺がトンボの羽のようで、大きなトンボが止まっているようにも見え、オルタの建築にしては珍しく外観に遊び心が出ています。
-
2階ベランダの床は、なんとガラス製。
これは、光を遮ることなく入口を明るくするための、オルタの工夫だとか。
内部も、外光を上手に取り入れて、室内を明るくするために天井がガラス張りだったりと、随所に工夫が凝らされていました。 -
窓を覆う鉄柵も、こんな色とデザインだと、素敵ですよね~
-
オルタ邸を後にし、Rue Defacqz (ドゥ・ファック通り)を数分行くと、オルタのライバルでもある、もうひとりの巨匠Paul Hankar(ポ-ル・アンカール)の自邸があります。
アンカールは、「街路の芸術」を提唱し、ファサードを大切にしていたとのことで、この自邸も、大胆な縦長の連窓、最上階の円窓風壁画など、一際目を引く美しさです。
【アドレス】Rue Defacqz 71 -
円窓の絵画は、鳩が朝、つばめが昼、こうもりが夜を象徴しているとか。
これは、朝陽に輝く鳩ですね。 -
確かに、つばめの絵の下にフランス語で「ソワレ=昼」って書いてありますね!
-
コウモリは「夜」って書いてあります。星も出てますね。
-
最上階のベランダの手すりの真ん中のお花が可愛らしい。
-
「街路の芸術」を提唱するだけあって、出窓の壁もアイアンワークだけではなく、絵が描かれています。
-
そして、オルタの自邸のベランダの床はガラス張りでしたが、アンカールは美しくペイントされています。
こんなところもこだわっているんですね。 -
1階開口部のアイアンワークは、あまり繊細さは感じられませんが…
どちらかというと単純?
かかし柄に見えちゃう私って… -
こちらも、オルタの曲線に対抗するかのような、直線のアイアンワーク
-
1893年の作のようです。築年表示は綺麗ですねぇ~
-
壁には、アンカールの設計であることが刻まれたプレートがありました。
-
ドゥ・ファック通りを少し進むとRue.Faider(フェルデ通り)と交差します。
このフェルデ通りにも、一般の人が住む素敵なアール・ヌーヴォー建築が溢れています。
この交差点を右にフェルデ通りを数分行くと、ひときわ目を引く家があります。
これは、Albert Roosenboom(アルベルト・ローセンブーム) の1900年の作。
今も、アパートメントとして現役活躍中の家です。
オルタの事務所に在籍したローセンブームは、オルタの立体的なファサードに、アンカールのグラフィカルなデザイン傾向をも取り入れ、2大巨匠を意識した作品を作っていたようです。
【アドレス】Rue Faider 83 -
最上階の壁に書かれたズグラッフィート技法(= 2層の対照的な色からなる漆喰の、表面の湿った層を掻き落として線画を描く壁の装飾技法)は、この後出てくるアンカール作のチャンベルラーニ邸と似ています。めちゃめちゃアンカールを意識してますよね。
-
2階部分のアーチ型の出窓とベランダ部分の手すりが、あまり見かけないデザインで、とても印象的です。
-
この扉のデザインは、なんとなくオルタ的かな…
-
いわゆる雨樋?のデザインも凝ってます。
ちゃんと写真を撮らなかったのが悔やまれますが、左側の窓の下の石積みも、アール・ヌーヴォー建築としては珍しいかも。
1階部分のデザイン、いい仕事してると思います。←何様(笑) -
左隣の家はArmand Van Waesberghe(アルマンド・ファン・ワースベルへ)の 1900年作の家です。
【アドレス】Rue Faider 85 -
この上下の窓のデザイン、スッキリとまとまっていて、気に入りました!
-
扉のデザインもスッキリしてます。
郵便受けが6つも・・・6軒の家が入るアパートメントだということが分かりますね。 -
こ2軒のちょっと先に、作者はわからないのですが、レンガ造りのファサードに描かれたズグラッフィート技法の壁画が美しい家がありました。
【アドレス】Rue Faider 71 -
レンガの色と壁画の色彩も調和がとれていて、とてもシックな雰囲気です。
ちなみに、当時はレンガ素材は安価で、オルタの家のような石造りが高価だったそうです。見た目は、レンガの方が温かみがあって、いい気がするんですが…
凡人には価値がわかりません。(*_*) シュン -
窓も、ステンドグラスになっているようです。
中から見たい!! -
1899年の作だということだけはわかります。
誰の設計なのか、お分かりになる方教えてくださ~い -
ちなみに、ローセンブームとワースベルヘの家の前からまっすぐ延びるRue Paul Emile Janson (ポール・エミール・ジョンソン通り)をまっすぐ歩いて行くと、最初のアール・ヌーヴォー建築と言われている世界遺産のタッセル邸が右手にが現れます。
ま、タッセル邸は後のお楽しみにして、またドゥ・ファック通りに戻ることにします。 -
ドゥ・ファック通りには、アンカールの作品が次々と現れます。
48番地のHotel Ciamberlani(画家 チャンベルラーニ邸)(左)と
50番地のHouse of the painter Rene Janssens(画家 ルネ・ジャンセン邸)も
彼の手によるもの。
71番地の彼の自邸も合わせ、まさに「街路の芸術」です。
【アドレス】Rue Defacqz 48-50 -
アンカールの作品の中で最も美しいと言われるのが、イタリア画家チャンベルラリーニ邸。
2階の巨大な円窓、3階の連続窓、繊細な手摺、画家クレバンによる優美なズグラッフィート技法の壁画。
彼の表現する2次元の中の幾何学的アール・ヌーヴォーが、とても美しく表現されています。
アンカールの1987年作です。 -
画家クレバンの壁画の美しさは、ひときわ目を引きます。
-
基本的に直線的な装飾を用いるアンカールの建築なので、建物中央に並ぶこの丸窓が、いいアクセントになっています。
-
窓枠の格子は、日本の影響だそうです。そういえば、障子戸の様な…。
ジャポニズムですね! -
扉の装飾も直線的ですが、洗練された雰囲気がありますよね。
-
壁にはアンカールの名前と建築年が刻まれています。
-
お隣のルネ・ジャンセン邸は、チャンベルラーニ邸に比べると若干地味目ですが、幾何学的な彼の作風は十分表れています。
-
こちらの扉も直線的で、珍しく骨太な感じを受けます。
-
ドゥファック通りをさらに進み、リヴルヌ通りとの交差点に来たら、右側を覗くと、明らかに周りの家と雰囲気の違う白い館が見えます。
これは、建築家レイセベルヘの自邸 House of Octave Van Rysselbergheです。兄弟にはテオ・ファン・レイセルベルヘという、有名なネオ印象派の画家もいます。
1912年作ですが、オルタやアンカールなどのアール・ヌーヴォーとは、ちょっと雰囲気が違う気がします。
【アドレス】Rue de Livourne 83 -
ドゥファック通りとリヴルヌ通りの交差点を左に曲がり、レイセベルヘの自邸を背にリヴルヌ通りを進み、最初のコーナーに、立派な館が現れます。
これは、銀行家オトレの家 Hotel Otlet(オトレ邸)です。
この館もレイセルベルヘの設計で、インテリアはHenri Van de Velde(アンリ・ファン・ド・ヴェルド)によるものだとか。残念ながら、中に入れないので、どんなインテリアなのかわかりませんが、1894年-98年と4年もかけての作なので、きっと凝ったものだったんじゃないでしょうか。←全くの想像です。
レイセベルへはイタリアの影響を受けていたそうで、言われてみれば、先ほどの家もこの家もイタリアのお城のような雰囲気があります。
【アドレス】Rue de Florence 13 Rue de Livourne 48 -
軒下のワンポイント的な帯状装飾の色合いが、とても素敵です。
-
再びリヴルヌ通りをドゥファック通りに向かって戻り、ドゥファック通りを超えてRue Paul Emile Janson (ポール・エミール・ジャンソン通り)との交差点まで歩くと、左斜め前にドーンと現れるのが世界遺産Hotel Tassel(タッセル邸)が現れます。オトレ邸から5分ぐらいです。
1893年、オルタ32歳のデビュー作タッセル邸は、建築にアール・ヌーヴォーを融合させた世界最初の例と言われています。
地味な外観を裏切る華麗なインテリアに誰もが圧倒されるそうですが、内部は見ることができません。2年に1度のビエンナーレの時以外は、一般公開されていないのです。
ε~(;@_@) ガクンタッセル邸 建造物
-
扉は比較的あっさりした感じです。
-
扉のアイアンワーク…何を表しているのでしょうか?
-
光を取り入れることを大切にしていたオルタ。建物中央にデーンと大きな窓が設けられています。
光がいっぱい入りそうですよね。 -
ステンドグラスになっている窓。内部から見ると、シガーの煙を表しているようにも見えるそうです。
-
ここは、世界遺産なので、建物の前に、看板が立ってました。
見られない内部の写真も付いてますね。
さて、イクセル地区はこの世界遺産でとりあえず一区切り。
トラムも走る大きな通りAve.Louiz(ルイーズ通り)は目と鼻の先です。
次は、ルイーズ通りの東側を中心に攻めることにします。建築家ヴィクトール・オルタによる主な邸宅群(ブリュッセル) 現代・近代建築
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
mirilinさんの関連旅行記
この旅行で行ったスポット
ブリュッセル(ベルギー) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
52