2015/09/16 - 2015/09/21
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mirilinさん
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アール・ヌーヴォーの聖地巡り第4弾はTHE CINQUANTENAIRE AREA(サントカーネル)地区。
この地区には、大きな大きな凱旋門のある広大なサントカーネル公園や、EU本部などがあります。
第4弾は、このサントカーネル公園からEU本部の北西に広がる地域を攻めたいと思います。
※第1弾 サン・ジル地区はこちらを
http://4travel.jp/travelogue/11183762
第2弾 サン・ジル地区東側~イクセル地区はこちらを
http://4travel.jp/travelogue/11185803
第3弾 イクセル池地区はこちらを
http://4travel.jp/travelogue/11187254
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アール・ヌーヴォーはフランス語で、「新しい芸術」を意味します。
1890年から1914年までにヨーロッパで流行した、草花や幾何学模様をあしらった曲線と直線を装飾として用いた造形様式で、鉄と大きなガラスが使用されています。
100年以上前の「新しい」は、今も十分魅力的。
斬新かつエレガント、大胆かつ緻密…見れば見るほど奥の深い芸術です。
ブリュッセルには500を超えるアール・ヌーヴォー建築があるということで、次々現れる美しい建築に、カメラのシャッターは止まりません。
文字通り、ブリュッセルはアール・ヌーヴォーの聖地です。
昨年、パリのアール・ヌーヴォーにすっかり嵌ってしまった私。
今年は勇んで聖地を訪問することにしたのでアール。
ブリュッセルのアール・ヌーヴォー巡りには、グランプラスの市庁舎1階にある観光局で、「アール・ヌーヴォー建築めぐり地図」(有料)を持参することをおお勧めします。市内を各地区に分けて、見所、モデルコースが載っています。とても役に立ちましたよ!ボロボロになっちゃいました(笑)
あ!パリのアール・ヌーヴォーも気になる方は、こちらも覗いてね (*^^*)
http://4travel.jp/travelogue/10964737
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このサントカーネル地区は、大きな公園があったり、美しい池があったりして、今まで巡ってきた地区にくらべ、空が広い感じがして、閑静な住宅街といった雰囲気が漂います。
そしてこの地区も、世界遺産になっているオルタの建築物や、美しいズグラッフィートを使ったファサードが有名なポール・コーシー邸など、有名な建築が目白押し。シャッター切る手が止まらなかったのは言うまでもありません(笑)
【行程】4.8km -
メトロの1号線または3号線のMerode(メロード)駅を降り、右手にサントカーネル公園を見ながら5分ほど歩くと、左手に美しい絵が描かれたファサードで有名なMaison Cauchie(コーシー邸)が現れます。
アンカール・タワーと呼ばれる両袖の柱に挟まれた壁面に設けられた幾何学的な開口部、残された壁面に描かれた女神。
ブリュッセルアール・ヌーヴォー建築で最も美しいとも言われています。
それにしても、またしても、建物正面に路駐の車…正面からの全体写真を阻む作戦としか思えません! (`m´#)ムカッ
【アドレス】Rue des Francs 5メゾン コーシー 建造物
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建築家であり画家であったPaul Cauchie(ポール・コーシー)とキャロライン・フート(愛称リナ)夫妻が新婚の自分たちの自宅として1905年に建てた邸宅だそうです。
これまで見てきたアール・ヌーヴォー建築とは、バルコニーのデザインをはじめとして、いろんな部分の雰囲気が違います。 -
ブリュッセルアールヌーヴォーの傑作と言われる壁画は、ペイントのように見えますが、「ズグラッフィート」と呼ばれる2層の対照的な色からなる漆喰を重ね塗りし、表面の湿った層を掻き落とす壁の装飾技法で絵を描いたもので、高く評価されているそうです。
私が訪れた朝は、丁度その絵が朝日に照らされて金色に輝き、正しく眩いまでの美しさでした。 -
3階の窓の鉄枠のデザインは、「間」という漢字を表しているといわれていますが、見えますか?
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新婚のコーシーが建てたこの自邸の外壁中央には、「Par Nous Pour Nous (私たちによる 私たちのための)」と書かれています。
LOVE LOVE~?
♪~~((*^o^*)(o^_^o))~~♪ -
1階部分のデザインも斬新です。
が、檻のようにも見えちゃうのですが… -
檻(笑)の奥の1階の壁面両サイドにもズグラッフィートがあります。
なんとなく、アルフォンソ・ミュシャの絵を思い出してしまいました。 -
1階両サイドの柱にはめ込まれていたプレートです。
なんて書いてあるのかなぁ~
プレートの文字も、なんだか可愛らしいです。 -
コーシー邸を後にし、大きな大きなサントカーネル公園を横切って、次のお目当てAmbiorixsquare(アンビリオクス広場)周辺へ向かいます。
その道のりもとてもゴージャス。
まずは、サントカーネル公園にあるこの地区のランドマーク的存在だと思われる凱旋門の下をくぐっていきます。 -
そして、サントカーネル公園を抜けて3分ぐらいすると、ニュース映像などでよく見かける建物が登場します。
こちらも違う意味でゴージャスなこの地区のランドマーク、EU本部です。
メルケルさんと遭遇したりして…なんて冗談言いながら、EU本部の横をすり抜けて、アルシメード通り→ストヴァン通り→サン・クエンタン通りと進んでいきます。EU本部 建造物
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途中、Rue Saint-Quentinstraat (サン・クエンタン通り)には、Gustave Strauven(ギュスターヴ・ストローヴェン)の1899年作の家もあります。
ストローヴェン作の家としては、あまり有名ではないようですが…
【アドレス】Rue Saint-Quentinstraat 30,32 -
定番…路駐の車が正面全景を邪魔してます(笑)。
ストローヴェンのけばけばしさはあまりないなと思ったら…
【アドレス】Saint-Quentinstraat 30 -
バルコニーの軒持ち送りは、やっぱりストローヴェンって感じでした。
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この窓の裏側には、見事なステンドグラスが…
興味のある方、こちらのブリュッセルのHPで確認してください。
http://www.irismonument.be/nl.Brussel_Uitbreiding_Oost.Saint-Quentinstraat.30.html
ところで、せっかくのアール・ヌーヴォー様式の窓まわりに、「貸家」の看板はいただけません(泣) -
扉の取っ手も凝ってます。( ^ー゜)b
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右側の家も、ストローヴェン作の家にしてはおとなしい感じです。
【アドレス】Saint-Quentinstraat 32 -
でも、やっぱり軒持ち送りは、凝ったデザインです。
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そして屋根の上には、小人さんの帽子のような飾りが付いてます。
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こちらの家も、素敵なステンドグラスが散りばめられていそうな様子が伺えます。
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サンクェンティン通りには、他にも美しいファサードの建物がいっぱい!
この建物は作者はわからないのですが、赤いレンガに黒いレンガのラインが入った美しいファサードが目を引きます。
【アドレス】Rue Saint-Quentinstraat 49 -
特に気に入ったのが、この窓辺のデザイン。
ハートのモチーフと真紅のゼラニウムが可愛いですよね!
d(^0^)b グッ! -
扉の装飾はシンプルですが、その上のステンドグラスはさぞ美しいだろうと想像できますし、その周りのレンガをアーチ型に組んだデザインが素敵です。
なんとなくエジプトのファラオの頭のようにも見えますが…。 -
その2軒となりのおウチは、窓辺の手すりのお花のモチーフのお花の部分だけを赤くしています。
ポイントだけ色を変えている装飾は、あまり見かけません。
【アドレス】Rue Saint-Quentinstraat 53 -
サンクェンティン通りから4~5分で緑豊かなAmbiorixsquare(アンビリオクス広場)にぶつかるので、その広場に沿って左に少し行くと、すぐにパァ~と視界が広がり、細長い公園が現れます。
その細長い公園の左右にも公園があり、緑溢れるとても美しい街角です。
公園に沿って走るAvenue Palmerston(パルメルストン通り)を数分歩くと、オルタの1896~1899年作のHotel Des prez-Van de Velde(ドゥプレ・デプレ邸)が現れます。
この建物はオルタの建築当初は左側のコーナーに建つ3区画ほどの小さな建物でしたが、その後1910年にHenri Renkin(アンリ・レンキン)によって増築されたそうです。
【アドレス】Avenue Palmerston 3 -
パルメルストン通り側の入口は、大きいけれどあまりパッとしないなぁとブツブツ言いながら角を曲がってBoduognatusstraat(ボドーニャ通り)側に曲がってみると、ジャーン!これぞオルタ!といった入口が現れます。
これじゃなくっちゃ!!
この扉周りのデザイン、お気に入りです。 -
正面からの姿も素敵ですが、この斜めからな角度が、庇の美しいデザインが際立つ気がするので、しつこく載せちゃいます。
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扉のアイアンワークも洗練されてます。
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建物のコーナーのデザインも凝ってます。
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もちろん、雨樋だって手を抜きません。こんな素敵な樋を通ってくる雨は、ショパンの♪雨だれ前奏曲♪にのって落ちてきそうです。
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1階開口部のアイアンワーク
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増築部分のバルコニーも美しいです。
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そして、細長い公園をはさんで向かい側にもオルタ作の家が建っています。
そしてこちらは、燦然と輝く世界遺産、Hotel van Eetvelde(ヴァン・エドヴェルド邸)です。
この2棟続きの豪邸は、コンゴ自由領書記官を務め、宮廷、政界の大立者であったヴァン・エートヴェルト男爵の自邸。
石造りにこだわり、外観に対しては極めて保守的だったオルタの、革新的作品が4番地の家(右) 1895年の作です。
鉄骨の構造体で作られた柱と、その間を埋めるモザイクタイル張りのパネル。
オルタとしては珍しい革新的な作りです。
ただし、その2年後 1897年作に増築された部分(2番地)は、オルタらしい石造りで、オルタの自邸でも見かけたトンボ風の手摺なども見られます。
【アドレス】Avenue Palmerston 2,4ヴァン・エトヴェルド邸 建造物
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こちらの4番地(右側)の建物は、構造の鉄骨を露出させているため、
完成当時は、施主の妻エートヴェルト婦人から「下品」と酷評を受けたそうですが、今では、リベット留めの鉄骨とタイルモザイクの組み合わせが絶妙と高評価を得ているようです。 -
下品と言われたのに高評価をいただいているという、リベット留めの鉄骨とタイルモザイクの組み合わせをアップにしてみました。
石造りが主流だった時代に、鉄骨やそれを留める金具が丸見えの建物は、下地のままのように思えたのかも…
確かに「オルタどうしたん?」って感じです。
(◎0◎) -
それでも最上階には、オルタらしさも見えます。木を使った窓枠や、壁面の石の装飾は健在です。
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扉はちゃんと木製です。ホッと一安心(笑)
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門塀のデザインも素敵です。
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扉の横にあったこれはなんでしょうか?
馬止め?
旗竿たて? -
世界遺産なんで、看板立ってます。
ギブミー日本語! -
4番地の建物に2年遅れで建てられた2番地の家は、住居番地表示も石で彫られてます。
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これぞオルタといった石造りの2番地の建物は、エドヴェルトの私邸部分。
隣の4番地の家との造りの違いにはびっくりしますが、オルタの多才さを証明しているとも言えます。 -
オルタらしいデザインの最上階の窓
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オルタ自邸でも見かけた、トンボの羽のようなアイアンワークで飾られた、2階の窓。
手すりのデザインは波のようです。 -
扉の上の窓
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扉は安定の木製。ひさしの雰囲気もオルタって感じです。
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ヴァン・エドヴェルド邸を後に、綺麗な噴水の上がる美しい池のあるSquare Marie-Louise(マリー・ルイーズ広場)方向に進んでいきます。
この辺りにも、素敵な館がたくさん並んでいます。
この家はArmand Van Waesberghe(アルマンド・ファン・ワースベルヘ)の代表的な家で、1898年の作です。
オルタやアンカールほどの知名度はありませんが、なかなか凝ったデザインです。
【アドレス】Square Gutenberg 5 -
ドアのデザインも、他の建築家のデザインとは趣きが違っていますし、ドアの上の馬蹄系のガラスとのコンビネーションが、良い雰囲気です。
ステンドグラス…綺麗なんだろうなぁ~ -
こちらの窓まわりのデザインもエジプトのファラオのシルエットのようにも見えますが、個性的です。
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窓や扉にばかり目を奪われていましたが、最上階の方に目をやれば、素敵な壁画が描かれていました。
レンガの色と統一された、繊細なズグラッフィートです。 -
Rue Philippe Le Bon(フィリップ・ル・ボン通り)を挟んだ向かい側にはVictor Taelemans(ヴィクトール・テレマンス)が 1899-1901年に建てた家があります。
【アドレス】Rue Philippe Le Bon 70 -
こちらは、フィリップ・ル・ボン通りにあるワースベルへ1898年作の家。
さっき見たグーテンベルグ広場の家と趣が似てますよね。
【アドレス】Rue Philippe Le Bon 55 -
この家のファサードにも、美しい女性と鳥のズグラッフィートがあります。
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ドア周りのデザインも目を引きますが、一際大きなドア上のガラスには、さぞ美しいだろうと思われるステンドグラスが見えます。
一度勇気を出して、写真撮らせてって頼んでみても良かったかなぁ…
あ!フランス語できなかったわ…
o( _ _ )o ショボーン -
フィリップ・ル・ボン通りには、ワースベルへ作の家を始め、綺麗な壁画で飾られた家が並んでいます。
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となりの2軒も帯状のズグラッフィートや軒下のズグラッフィートなどが美しく、2軒の対になったデザインが素敵です。
Edouard Elle(エドゥアール・エル)の1902年作とのことです。
私は左側51番地の家の色合いの方が好きです。
【アドレス】Rue Philippe Le Bon 53,51 -
お気に入りの53番地の方をアップにしてみました。
軒下のズグラッフィートは、よく見かける帯状のものとは違い、額縁に入った花の絵が並んだようになっています。
そして、2階の直線的な大きな出窓の上に、ちょこんとのったような柔らかなフォルムの3階の窓のコントラストも素敵です。
【アドレス】Rue Philippe Le Bon 53 -
フィリップ・ル・ボン通りを戻り道を渡ると、通り名がSquare Gutenberg(スクワール・グーテンブルク)に変わります。
その通り名が変わってすぐ(2軒目)にも、ワースベルヘ作の家があります。
この家も、ワースベルへ作の代表的な家で、1898年作のものです。
【アドレス】Square Gutenberg 8 -
ワースベルへの名前もしっかり刻まれています。
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扉のデザインが可愛いらしいでうよね。
真ん中の小さなアイアンワークが並ぶあたりがお気に入り。 -
この家で特に目を引くのは、この出窓。
ワースベルヘの他の家の出窓は、直線的な窓枠でしたが、この家の曲線を使った窓枠はとても印象的。
じーっと見ていたら、お尻のように見えてきました。…変態かしら?
f(^^;) ポリポリ -
スクワール・グーテンブルクには、もう1軒ワースベルへの作の家があります。
こちらの家、扉が瓶の中にあるような感じで、その瓶の上に出窓がのっているみたいなデザインが面白いと思いませんか? -
扉自体のデザインも洒落てます。
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この地区のトリを飾るのは、スクワール・グーテンブルク界隈から徒歩約10分のところにあるこの館。
Saint-Cyr House(画家サン・シール邸)です。
この過激すぎるファサードのこの建物は、「癇癪持ちのマカロニ」とよばれ、ストローヴェンの代表作。1900年、ストローヴェン24歳の時の作品というから驚きです。
【アドレス】Square Ambiorix 11 -
洗練、調和、秩序などとは無縁のこの建物は、師匠オルタの作品からはかけ離れ、
アール・ヌーヴォー様式を極端に誇張したファサードは、当時「下品」との声もあったとか
最上階のこの形は個性的この上なく…奥に見えるウッディーな窓枠にはオルタの弟子だったことが伺えますが… -
青空に映えるアイアンワーク…彼は何を表現したかったのでしょうか?
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3階部分は控えめですが…
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2階部分は大きな窓とをの周りのアイアンワークで、ゴージャス感が出ています。
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出窓を支える柱のデザインも凝ってますし、床の裏もデザインされています。
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入口へ誘う階段部分
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アルコーブ部分のアイアンワーク
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これはいわゆる「勝手口」かと思われますが、しっかり装飾されています。
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フツーにゴミ袋が置かれているのが、今も現役の建物であることの証明ってとこでしょうか(笑)
ゴミ袋の後ろの(笑)門のアイアンワークも手の込んだデザインで、ため息ものです。
この家は、賛否両論、評価が分かれているようですが、物見遊山でアール・ヌーヴォー建築を巡るミーハーには、とても見甲斐のある、フォトジェニックな館なのです。
これにてこの地区の探索は終了。
最後は、中心部に点在するアール・ヌーヴォーを巡る予定です。
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