2014/11/11 - 2014/11/11
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MILFLORESさん
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Museo Arqueológico Nacional (略して "MAN") 国立考古学博物館へ行ってきました。
長々と6年もかかった大々的な改装工事を経て、今年4月1日にやっとリニューアル オープンしました。内装がガラッと変わってしまい、近代的でオープンな博物館になりました。
考古学ってなかなか難しいですよね〜 でも、この博物館は石器時代から近年まで、様々なコレクションがあるので、興味のある部分のみ摘み食いするつもりで行ってみるのも良いと思います。
ここの宝は何と言っても、エルチェ婦人像。紀元前5〜4世紀のイベロ族の彫刻で、キリッとした美人です。何も知らなくても惹かれること間違いなし。
個人的には、ローマ時代のモザイクや、ロマネスク教会の柱頭が好きです。
逆に、石器時代の矢じりや古代のコインなどには、全く興味が持てません。
それと、スペイン中の遺跡で見つかった出土品があるので、「あぁ、あそこで出たものなのね〜」と行ったことのある場所を思い出しながら見るのも楽しかったです。そういう意味、昔もう少し若かった時に行った時よりも、あちこち旅行している今の方が、有意義な見学ができたと思います。
- 旅行の満足度
- 4.5
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国立考古学博物館 Museo Arqueológico Nacional (MAN)
http://www.man.es
Serrano 通り13 番地のこの門から入ります。
開館時間:
火〜土 9:30 〜 20:00 日祝 9:30 〜 15:00
閉館日:
毎月曜日、1月1日, 6日、5月1日、12月24日, 25日, 31日国立考古学博物館 博物館・美術館・ギャラリー
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この建物の名は Palacio de Biblioteca y Museos Nacionales、1866〜1892年に建設された新古典主義様式です。セラーノ通り側には考古学博物館が、この裏側のレコレトス通り側にはスペイン国立図書館が入っています。
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門を入ってすぐ左側のこの階段を降りていくと・・・
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かの有名なアルタミラ洞窟の壁画のレプリカがあります。
カンタブリア州のサンティジャナ デル マル近郊にあるアルタミラ洞窟の壁画は、旧石器時代末期(約1万8千年〜1万年前)に描かれたものです。洞窟自体は1868年に、洞窟奥の壁画は1879年に発見されます。(地主のアマチュア考古学者の侯爵の8歳の娘が牛の絵を見つけた)
本物の洞窟はここ15年ほどは、壁画保存のために非公開となっていましたが、2014年始めから試験的に週に1度だけ5人だけ見学できます。見学者は、公開日当日にアルタミラ博物館にいる人の中から任意に選ばれます。
私は1998年に洞窟に入り、実物を見たことがあります。色も鮮やかで姿が雄々しい動物が、洞窟の天井いっぱいに、岩の凸凹を上手く利用して描かれています。1万年以上前の絵とは思えない、素晴らしいものです。 -
現在サンティジャナ デル マルの洞窟の近くには、アルタミラに関する博物館と、壁画の全てを1ミリ間隔で精巧に模写したレプリカ Neo-cueva「新洞窟」があります。こちらも見学したことがありますが、なかなかのものです。本物の洞窟に入るのはまず無理ですので、この博物館のレプリカを見るのはサンティジャナに行った場合は必見です。
ここ、マドリードの考古学博物館にあるレプリカは1964年にドイツの研究者グループによって作成されたものです。アルタミラ洞窟の最も絵が密集している部分44平米のレプリカです。サンティジャナ デル マルに行く予定のない人は、ここのレプリカを見るのも良いかも知れません。でも、日本にもあるんですってね〜 (志摩スペイン村) -
博物館に入りましょう。
入場料: 一般 3ユーロ
無料: 土曜日 14時以降、日曜日、5月18日、10月12日、11月16日、12月6日
写真撮影可(フラッシュ不可) -
旧石器時代の石器。マドリード近郊、アタプエルカ(ブルゴス県)、プエンテ ビエスゴ(カンタブリア州)のエル カスティージョ洞窟などで発掘されたものです。
アタプエルカ遺跡とエル カスティージョ洞窟には過去に行ったことがあります。
アタプエルカ古代遺跡(世界遺産) → http://4travel.jp/travelogue/10168683
エル カスティージョ洞窟 → http://4travel.jp/travelogue/10126515 -
青銅器時代の陶器。ここにあるのはほとんどが、マドリードの南部で発見されたものです。
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色々な模様が刻まれていますね。4千年以上前の模様です、面白い!
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青銅器時代の石碑。髪飾りや首飾りを付けた女性と思われる。なんか可愛らしい。
共に、エクストゥレマドゥーラ州で発見。 -
こちらも、エクストゥレマドゥーラ州カセレス県で発見された、青銅器時代後期(紀元前1千年頃)の石碑。人物の周辺には、槍、手鏡、フィブラ(衣服を止めるブローチ)、台車が描かれている。
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吹き抜けになっていて、明るい中央部分。昔のゴチャゴチャとした博物館の面影がまったくありません。モダンに、整理されて見やすくなりました。
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ケルティベリア人(古代イベリア半島に居住していたケルト人一派、紀元前8世紀頃からローマ支配以前)のウェトネス族 Vettones は、スペインの西部に住んでいました。現在のアビラやサラマンカ辺りに、今でもこのような石像が残っています。ベラッコ verraco と呼ばれ、牛や豚を模っています。家畜の放牧地にこのような石像を置いたと考えられています。この2体は紀元前3〜1世紀のもので、手前のが豚、後ろのが牛です。
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同じくケルティベリア族の壺 (紀元前2世紀) テルエル県にて発掘。
「命の木」 動物や鳥類が集まる木。 -
地中海沿岸(カタルーニャからアンダルシアにかけて)の民族は、内陸部の原始的な民族よりも芸術性に長けていました。
これらのテラコタ像は、イビーサ島のカルタゴ人のネクロポリス(共同墓地)で発掘されたものです。(紀元前4〜3世紀) -
イベロ族の羊型の持ち送り(コーベル) 紀元前2〜1世紀、セビージャ県で発掘。
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この部屋の奥に、博物館の必見の宝があります。
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La Dama de Elche 「エルチェ婦人像」
紀元前5〜4世紀のイベロ族の傑作です。
当初はこんな風に色が付いていたと考えられています。
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Dama_de_Elche_colores2007.jpg -
イチオシ
豪華な衣装とアクセサリーを着けていることより、イベロ族の富豪の婦人をモデルにしたと考えられています。彫刻を請け負ったのは、ギリシャ人彫刻家かギリシャの工房とされています。
女神化された端正な顔の美人です。
何も知らずにこの胸像を見ても、絶対に虜になると思います。 -
現在のバレンシアの民族衣装ファジェーラの髪型は、この髪飾りが元になっているんじゃないかな〜
ファジェーラの写真 → http://4travel.jp/photo?trvlgphoto=31271330 -
エルチェ婦人像は1897年、農作業のための土地開拓を手伝っていた14歳の少年が発見しました。発見された場所は、アリカンテ県エルチェの街から2km離れた所、現在はラ アルクディア遺跡公園となっています。
過去に行ったことあります → http://4travel.jp/travelogue/10804287
発見後、胸像はルーブル美術館に売られましたが、1941年にスペインに戻り、当初はプラド美術館に保管されていましたが、1971年から考古学博物館に展示されています。 -
胸像の後ろ側には、供物を入れたと思われる穴が空いています。
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まだ謎の多いエルチェ婦人像。イベロ族の同時期の他の彫刻と同じように、立像か座像だった可能性を説いている学者もいるそうです。
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イベロ族の立像婦人像の例 Gran Dama Oferente オフェレンテ婦人像
紀元前3世紀 (アルバセテ県で発掘) -
エルチェ婦人像と並んで、この博物館で必見の宝がこれ。
La Dama de Baza バサ婦人像
紀元前4世紀 1971年にグラナダ県のバサで発見されました。
エルチェ婦人像と同じくイベロ族の彫刻。こちらは色が残っています。 -
バサ(旧名 Basti)の特権階級の婦人の墓像で、供物の刀剣や陶器と共に発見されました。以前は別々に展示されていたのですが、リニューアルと共にこのように展示方が変わっていて、昔の姿が想像しやすくなりました。
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こちら側に空いている穴に遺骨が入れられていました。
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発掘された時の姿。
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紀元前2世紀までに、イベリア半島はローマ支配下に置かれます。
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Augusta Emerita アウグスタ エメリタ(メリダ)で発掘された碑。
メリダは、紀元前25年にアウグストゥス帝の命により植民都市として築かれました。
古代ローマ帝国の属州ルシタニアの州都として、帝国の重要な都市となります。
2000年の歴史ある遺跡群は、1993年にユネスコの世界遺産に登録されました。
劇場、円形闘技場、競技場、橋、水道橋、凱旋門、寺院など、街中に遺跡が残っています。
メリダ旅行記 → http://4travel.jp/travelogue/10943182 -
ローマ時代の楽しいのはカラフルで様々なテーマのモザイク。
レオン県で発掘されたタコのモザイク! (2〜3世紀) -
Llegada Triunfal de Baco バッカスの凱旋 (2世紀)
バッカスはローマ神話のワインの神です。
このモザイクは、現在のサラゴサ Caesaraugusta カエサル アウグスタで発見されました。
サラゴサ美術館でもローマ時代のモザイクを多く見ましたが、ここにもたくさんの素晴らしいモザイクがあります。
サラゴサ美術館 → http://4travel.jp/travelogue/10835362 -
博物館内で個人的に一番気に入ったホール♪
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アラフエス(マドリード)で発見。豊作の神。(2世紀後期)
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バレンシア県にて発見された3世紀のモザイク。
ギリシャ神話の最強の英雄ヘラクレスの逸話を描いています。 -
上のモザイクの一部をアップで。
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ソリアで見つかった幾何学模様のモザイク(4世紀)は、村の貴族の部屋数が20もあった館のダイニングルーム(トリクリニウム)の床を飾っていたものです。家紋をモザイクの中央に残しています。
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イチオシ
この美しいモザイクも4世紀のもの。ナバーラ州のトゥデラで発見されました。
草花模様にイルカも描かれています。共に自然の恵みを表しています。 -
310年頃ローマで作成された石棺。アストルガ(レオン)の大聖堂にあったもの。
聖書の様々な場面が彫られています。 -
コルドバで発見された、6-7世紀の大理石製の洗礼桶。
底に魚が4匹彫られているのが面白い! -
ロマネスク様式の彫刻も多く展示されています。
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ロマネスクの柱頭はとても面白いのです。
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アギラール デ カンポオのサンタ マリア ラレアル修道院(11世紀)の廃墟から救出した柱頭が多くここに収容されています。19世紀初頭には完全な廃墟になっていた修道院は、1980年代に修復されて、今では一部は高校、裏側の別棟はホテルになっています。
アギラール デ カンポオ → http://4travel.jp/travelogue/10256009 -
アギラール デ カンポオのサンタ マリア ラレアル修道院で発掘
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アギラール デ カンポオのサンタ マリア ラレアル修道院で発掘。
これによく似た柱頭を、やはりアギラール デ カンポオにある聖セシリア礼拝堂で見ました。
http://4travel.jp/travelogue/10258110 -
博物館には、宗教関連の美術品も多く展示されています。
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イスラムの時代が終わっても、イスラムの影響はムデハル芸術としてスペインに伝わりました。「ムデハル」とはアラブ語で在留者を意味します。レコンキスタされた地に残ったイスラム教徒の建築様式とキリスト教建築様式が融合したスタイルがムデハル様式で、11〜16世紀のスペイン独特の建築様式です。
これは、サラゴサのアルハフェリア宮殿にあったフリーズです。
アルハフェリア宮殿 → http://4travel.jp/travelogue/10836421 -
14世紀 レオンにあった宮殿のアーチ(建物は現存しない)
奥に見えるのは16世紀のムデハル様式の天井(セビージャ) -
トレド県トリホスにある貴族の館(15世紀)の天井。これもムデハル様式。
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上階から
オープンな造りでなかなか良いです、この改装。 -
古いコインのコレクションには興味が全然持てず。唯一、イサベル1世の時代のを探して写真を撮りました。1506-1566年に出回っていた銀貨。カトリック両王フェルナンドとイサベルのシンボル、flechas 矢と yugo くびきが刻印されています。
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1515年以前、ゴシックのタピストリーは、サラゴサのラ セオ(カテドラル)にあったもの。
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この興味深い地図は、1769年のマドリードです。左、マンサナーレス川と王宮から右のレティーロ宮(現レティーロ公園)、マヨール広場やソル広場も分かります。グランビアができるのはもっと先です。
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セゴビア県ラ グランハのクリスタル工場で作られたもの。
ラ グランハのクリスタル工場 → http://4travel.jp/travelogue/10344854 -
考古学博物館の創立者、イサベル2世(1830-1904、在位1833-1868)。
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古代エジプトのコレクションもかなりあります。
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紀元前7世紀の像。古代エジプトの神官。
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ミュージアムショップ
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出た時にはもう暗くなっていました。
国立考古学博物館 MAN 行く価値あります。
マドリード リピーターの方、是非!
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