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今回、ロンドン滞在中に、ベルリンに行った。音楽会を楽しむためで、3回聞いた。これはどれも、流石の水準だ。まづ、ベルリン・フィルとメータの指揮でブルックナーの交響曲8番。これは、この1月15日だったか、インターネットで一斉に販売開始となり、私も間髪いれず注文を入れたが、それでも後ろのほうしかとれなかった。一番前から中央でも1万5千以下であるのに、後ろのほうで1万円以上取られた。これは、もっとも日本で聞くことを思えば格安だろうが、肝心の演奏の出来は、音がにぎやかに鳴り響くだけの印象が強かった。メータの問題だ。オケの実力はわかるのだが、、。<br /><br />昨年聞いたスクロバチェフスキーとドイツの地方オケの組み合わせのブルックナー9番のほうがはるかに心に響いた。どうも、ブルックナーはウィーン・フィル・サウンドのほうが私にはなじむ。<br /><br />翌日みたベルリン・ドイツ・オペラでのヤナーチェク「イェヌーファ」は遥かに感激した。スコットランド出身のラニクルズの指揮で、主役は68歳になったハンナ・シュバルツ、心配が現実になった。1,2幕を歌った後で、若手に交代。2幕では素晴らしかっただけに残念。昔フランクフルト歌劇場で見たミハエル・ギーレン指揮の演奏のほうが演出ともども、はるかに素晴らしかったが、それでも、この翌日のライプチヒでのオペラよりは、このほうが水準がずっと上。「イェヌーファ」自体は名作で、私もフルスコアを持っているほど好きな作品だが、演出は今回はモラヴィアの伝統、雰囲気などを無視したもの。演出家の独断がまかり通り過ぎる。<br /><br />結局、最終日のベルリン国立オペラ一座とダニエル・バレンボイムの登場を待って、やっと、今回、わざわざロンドンから音楽を聴きに来た甲斐があったと言えるものとなった。ワグナーの「トリスタンとイゾルデ」は既にバレンボイムの指揮は1981年のバイロイトの上演をビデオで知っており、その素晴らしさはますます磨かれていた。<br /><br />近年のバレンボイムの進展は著しい。思想家サイードとの共同作業でイスラエル、パレスチナ問題に音楽で取り組んだ活動以来、彼の行動は一音楽家のレベルを越えており、私も既にその活動を伝える著作を読んでおり、当然、尊敬している。もし、サイードが早死にせずに、共同作業が継続されていたらノーベル平和賞候補だろうと考えていた。勿論、音楽家では初めてになるだろうと思っていた。<br /><br />ユダヤ人のバレンボイムがベルリン国立歌劇場の総監督になり、ワグナーの楽劇を上演するということ自体、以前のドイツなら考えられないことだからだ。ともかくも、この「トリスタンとイゾルデ」は、私の人生では思い出に残る上演となった。<br /><br />ベルリン国立歌劇場は実は大改修中で、今回は小さなシラー劇場で上演された。これは、親密な空間となり、後ろでも、すぐそこにメンバーが見える距離での演奏であった。あの長い楽劇があっというまに終わった!磨き抜かれた音楽づくりであった。何度も感動が襲ってきた。このレベルの経験は、もしかしたら、カルロス・クライバーの「薔薇の騎士」以来だろうか。<br /><br />ただ、今回の上演で唯一残念だったのは、期待していた憧れの歌手ワルトラウト・マイヤーの代役がアメリカ英語訛りのドイツ語で歌ったことだ。ドイツ語発音がひどく、語尾の子音が不明朗。声量は充分だったが。。ただ、字幕がドイツ語で出たのは助けになった。<br /><br />今回のヨーロッパ滞在の最高の時間となった一晩であった。(写真は終了後、舞台に歌手だけでなく、楽団員も並んだのは、今のバレンボイムとベルリン国立オペラのオーケストラ・メンバーとの名コンビを象徴するものと思う。)

ベルリンで音楽を聞く旅(再編集版)

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2012/03/15 - 2012/03/19

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tad

tadさん

今回、ロンドン滞在中に、ベルリンに行った。音楽会を楽しむためで、3回聞いた。これはどれも、流石の水準だ。まづ、ベルリン・フィルとメータの指揮でブルックナーの交響曲8番。これは、この1月15日だったか、インターネットで一斉に販売開始となり、私も間髪いれず注文を入れたが、それでも後ろのほうしかとれなかった。一番前から中央でも1万5千以下であるのに、後ろのほうで1万円以上取られた。これは、もっとも日本で聞くことを思えば格安だろうが、肝心の演奏の出来は、音がにぎやかに鳴り響くだけの印象が強かった。メータの問題だ。オケの実力はわかるのだが、、。

昨年聞いたスクロバチェフスキーとドイツの地方オケの組み合わせのブルックナー9番のほうがはるかに心に響いた。どうも、ブルックナーはウィーン・フィル・サウンドのほうが私にはなじむ。

翌日みたベルリン・ドイツ・オペラでのヤナーチェク「イェヌーファ」は遥かに感激した。スコットランド出身のラニクルズの指揮で、主役は68歳になったハンナ・シュバルツ、心配が現実になった。1,2幕を歌った後で、若手に交代。2幕では素晴らしかっただけに残念。昔フランクフルト歌劇場で見たミハエル・ギーレン指揮の演奏のほうが演出ともども、はるかに素晴らしかったが、それでも、この翌日のライプチヒでのオペラよりは、このほうが水準がずっと上。「イェヌーファ」自体は名作で、私もフルスコアを持っているほど好きな作品だが、演出は今回はモラヴィアの伝統、雰囲気などを無視したもの。演出家の独断がまかり通り過ぎる。

結局、最終日のベルリン国立オペラ一座とダニエル・バレンボイムの登場を待って、やっと、今回、わざわざロンドンから音楽を聴きに来た甲斐があったと言えるものとなった。ワグナーの「トリスタンとイゾルデ」は既にバレンボイムの指揮は1981年のバイロイトの上演をビデオで知っており、その素晴らしさはますます磨かれていた。

近年のバレンボイムの進展は著しい。思想家サイードとの共同作業でイスラエル、パレスチナ問題に音楽で取り組んだ活動以来、彼の行動は一音楽家のレベルを越えており、私も既にその活動を伝える著作を読んでおり、当然、尊敬している。もし、サイードが早死にせずに、共同作業が継続されていたらノーベル平和賞候補だろうと考えていた。勿論、音楽家では初めてになるだろうと思っていた。

ユダヤ人のバレンボイムがベルリン国立歌劇場の総監督になり、ワグナーの楽劇を上演するということ自体、以前のドイツなら考えられないことだからだ。ともかくも、この「トリスタンとイゾルデ」は、私の人生では思い出に残る上演となった。

ベルリン国立歌劇場は実は大改修中で、今回は小さなシラー劇場で上演された。これは、親密な空間となり、後ろでも、すぐそこにメンバーが見える距離での演奏であった。あの長い楽劇があっというまに終わった!磨き抜かれた音楽づくりであった。何度も感動が襲ってきた。このレベルの経験は、もしかしたら、カルロス・クライバーの「薔薇の騎士」以来だろうか。

ただ、今回の上演で唯一残念だったのは、期待していた憧れの歌手ワルトラウト・マイヤーの代役がアメリカ英語訛りのドイツ語で歌ったことだ。ドイツ語発音がひどく、語尾の子音が不明朗。声量は充分だったが。。ただ、字幕がドイツ語で出たのは助けになった。

今回のヨーロッパ滞在の最高の時間となった一晩であった。(写真は終了後、舞台に歌手だけでなく、楽団員も並んだのは、今のバレンボイムとベルリン国立オペラのオーケストラ・メンバーとの名コンビを象徴するものと思う。)

旅行の満足度
5.0
同行者
一人旅
交通手段
飛行機
  • バレンボイムとベルリン国立歌劇場のオーケストラ・メンバーが、トリスタンとイゾルデの演奏終了後一緒にステージに並んだ!こういう光景は見たことがない!

    バレンボイムとベルリン国立歌劇場のオーケストラ・メンバーが、トリスタンとイゾルデの演奏終了後一緒にステージに並んだ!こういう光景は見たことがない!

  • ベルリン国立オペラとバレンボイムの「トリスタンとイゾルデ」上演後。

    ベルリン国立オペラとバレンボイムの「トリスタンとイゾルデ」上演後。

  • ベルリン・フィルの本拠地。

    ベルリン・フィルの本拠地。

  • ベルリン・フィルの演奏会場

    ベルリン・フィルの演奏会場

  • 指揮者メータ

    指揮者メータ

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