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サンクトペテルブルク滞在中の短い週末をベルリンで過ごした。昨年も同じ時期に同じルートで訪れているが、まずベルリン新空港の進捗について触れておこう。以下はドイツニュースダイジェストからの引用である。<br /><br />「ベルリン市郊外で建設中のベルリン・ブランデンブルク国際空港の運営会社は今年10月27日に予定されていた開港予定日の延期を発表した。<br />同空港の開港予定日は、これまでにも3度延期されており、今回で4度目。この事態を受け、ベルリンのヴォーヴェライト市長は運営会社の監査役会代表を辞任すると表明。ただし、監査役会には引き続きとどまるという。開港予定日の延期については、正式発表に先駆けてビルト紙が「空港関係者の間で2014年以前のオープンは不可能との見方が強まっている」と報道。これに続いて、運営会社を構成するベルリン市とブランデンブルク州、連邦政府が4度目の延期を正式に発表した。<br />中略<br />運営会社は2012年12月19日、工期が延びることに伴って生じる12億ユーロの追加費用の出資許可を欧州委員会から取り付けたばかりだったが、今回のさらなる延期により、新たな追加費用が発生するのは必至で、開港が2014年秋になった場合、最低でも5億ユーロが必要になるとみられている。また、開港延期によって運営会社の負担額は月々2000万ユーロに達している。<br />工期の遅れに関する報道によると、1000本の木が間違った場所に植えられていたことが発覚するなど、建設現場での数々の問題が露呈。さらに、2012年6月の開港が延期になった時点で報じられた防火装置の問題も解決しておらず、開港が2017年後半まで延びるとの見方も出ている。」<br /><br />何とも悲惨な状況だ。ドイツびいきの小生にとって、もはやブラックジョークを通り越して弁護したくなるほどだ。それにしても今回のベルリン旅行の間でも、ドイツの誇るICEは2時間も遅れるし、先回もミュンヘン空港行きのSバーンが故障してフライトに遅れそうになってもお詫びのアナウンスもない、その前にはICEの空調が故障して蒸し風呂のようになったこともある。ドイツ人のモラルは下がっているのではないか、と危惧せざるを得ない。<br /><br />さて、ベルリンと言えばベルリンフィル、しかし今回のベルリン滞在中はベルリンフィルは日本へのツアーに出ており、代わりにベルリン・ドイツ交響楽団をエッシェンバッハの指揮で聴いた。前半はミドリのソロでバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番、後半はブルックナーの交響曲第7番というものだ。直前で旅行をキャンセルするリスクも考慮して、チケットはオンラインでステージ裏の20ユーロの一番安い席を予約しておいた。<br /><br />このステージ裏の席は、奏者の顔はよく見えないが、指揮者の細かな合図がよく見える。岩城宏之はエッセイで、指揮者の正面にも観客がいるこのホールはゾッとする、と書いていたが、ハンス・シャロウンの設計で、1963年に竣工したこのホールの成功以後、世界の音楽ホールの主流となった。5角形のワインヤード型ともアリーナ型とも言われる斬新な設計で収容人数は2,440席、改めてこのホールをじっくり観察すると、天井の高さに圧倒される。これほど大きな空間を持つホールは珍しい。実際の音響はステージ上の吊り反響版で反射されて聞こえてくるので、若干ドライではあるが素晴らしく良く響く。<br /><br />ミドリはアメリカでもヨーロッパでも何度も聴いた。テクニックは完璧であり、バルトークの難曲をいとも安々と弾いているように見える。日本を代表するヴァイオリニストと言っても過言ではない。小柄な体からは想像もできないスケールの大きな演奏だ。一点だけ気になるのは、常に頭を下げて前かがみで弾く演奏姿だ。小柄な彼女だけに、堂々と胸を張って演奏して欲しいと願うのは小生だけだろうか。<br /><br />つい先月、ケント・ナガノがサンクトペテルブルクフィルのデビューにもブルックナー7番を取り上げたこともあり、どうしても比較をしてしまう。エッシェンバッハのこの日のテンポは極めて遅い。チェリビダッケを思い出させるほどの遅さで、全曲の演奏時間は1時間半を悠に超えていた。ピアニスト出身であるアシュケナージやバレンボイムと同じように、指揮法はあまり流麗とは言い難いが、オーケストラの性能が極めて高いため細部のニュアンスが透けて見えてくる。彼の指揮はフィラデルフィアやヒューストンで聴いてきたが、ブルックナーについて言えばやはりドイツのオケだ。くすんだ渋い響きが随所に聴こえてきた。現役の指揮者の中では、ティーレマン、ウェルザー・メスト、ケント・ナガノよりも円熟した、スクロヴァチェフスキーと並ぶブルックナー演奏かもしれない、と思うようになった。<br /><br />長くなるのでこれくらいにしておくが、クリスマスの雰囲気をフィルハーモニーに隣接するソニーセンターの大空間で堪能した。ヨーロッパの街は、古い旧市街も新しい近代的な街並みもクリスマス飾りがよく似合う。

ベルリン滞在記No.3 : クリスマス間近のフィルハーモニーとソニーセンター周辺(改訂版)

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2013/11/22 - 2013/11/23

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18

ハンク

ハンクさん

サンクトペテルブルク滞在中の短い週末をベルリンで過ごした。昨年も同じ時期に同じルートで訪れているが、まずベルリン新空港の進捗について触れておこう。以下はドイツニュースダイジェストからの引用である。

「ベルリン市郊外で建設中のベルリン・ブランデンブルク国際空港の運営会社は今年10月27日に予定されていた開港予定日の延期を発表した。
同空港の開港予定日は、これまでにも3度延期されており、今回で4度目。この事態を受け、ベルリンのヴォーヴェライト市長は運営会社の監査役会代表を辞任すると表明。ただし、監査役会には引き続きとどまるという。開港予定日の延期については、正式発表に先駆けてビルト紙が「空港関係者の間で2014年以前のオープンは不可能との見方が強まっている」と報道。これに続いて、運営会社を構成するベルリン市とブランデンブルク州、連邦政府が4度目の延期を正式に発表した。
中略
運営会社は2012年12月19日、工期が延びることに伴って生じる12億ユーロの追加費用の出資許可を欧州委員会から取り付けたばかりだったが、今回のさらなる延期により、新たな追加費用が発生するのは必至で、開港が2014年秋になった場合、最低でも5億ユーロが必要になるとみられている。また、開港延期によって運営会社の負担額は月々2000万ユーロに達している。
工期の遅れに関する報道によると、1000本の木が間違った場所に植えられていたことが発覚するなど、建設現場での数々の問題が露呈。さらに、2012年6月の開港が延期になった時点で報じられた防火装置の問題も解決しておらず、開港が2017年後半まで延びるとの見方も出ている。」

何とも悲惨な状況だ。ドイツびいきの小生にとって、もはやブラックジョークを通り越して弁護したくなるほどだ。それにしても今回のベルリン旅行の間でも、ドイツの誇るICEは2時間も遅れるし、先回もミュンヘン空港行きのSバーンが故障してフライトに遅れそうになってもお詫びのアナウンスもない、その前にはICEの空調が故障して蒸し風呂のようになったこともある。ドイツ人のモラルは下がっているのではないか、と危惧せざるを得ない。

さて、ベルリンと言えばベルリンフィル、しかし今回のベルリン滞在中はベルリンフィルは日本へのツアーに出ており、代わりにベルリン・ドイツ交響楽団をエッシェンバッハの指揮で聴いた。前半はミドリのソロでバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番、後半はブルックナーの交響曲第7番というものだ。直前で旅行をキャンセルするリスクも考慮して、チケットはオンラインでステージ裏の20ユーロの一番安い席を予約しておいた。

このステージ裏の席は、奏者の顔はよく見えないが、指揮者の細かな合図がよく見える。岩城宏之はエッセイで、指揮者の正面にも観客がいるこのホールはゾッとする、と書いていたが、ハンス・シャロウンの設計で、1963年に竣工したこのホールの成功以後、世界の音楽ホールの主流となった。5角形のワインヤード型ともアリーナ型とも言われる斬新な設計で収容人数は2,440席、改めてこのホールをじっくり観察すると、天井の高さに圧倒される。これほど大きな空間を持つホールは珍しい。実際の音響はステージ上の吊り反響版で反射されて聞こえてくるので、若干ドライではあるが素晴らしく良く響く。

ミドリはアメリカでもヨーロッパでも何度も聴いた。テクニックは完璧であり、バルトークの難曲をいとも安々と弾いているように見える。日本を代表するヴァイオリニストと言っても過言ではない。小柄な体からは想像もできないスケールの大きな演奏だ。一点だけ気になるのは、常に頭を下げて前かがみで弾く演奏姿だ。小柄な彼女だけに、堂々と胸を張って演奏して欲しいと願うのは小生だけだろうか。

つい先月、ケント・ナガノがサンクトペテルブルクフィルのデビューにもブルックナー7番を取り上げたこともあり、どうしても比較をしてしまう。エッシェンバッハのこの日のテンポは極めて遅い。チェリビダッケを思い出させるほどの遅さで、全曲の演奏時間は1時間半を悠に超えていた。ピアニスト出身であるアシュケナージやバレンボイムと同じように、指揮法はあまり流麗とは言い難いが、オーケストラの性能が極めて高いため細部のニュアンスが透けて見えてくる。彼の指揮はフィラデルフィアやヒューストンで聴いてきたが、ブルックナーについて言えばやはりドイツのオケだ。くすんだ渋い響きが随所に聴こえてきた。現役の指揮者の中では、ティーレマン、ウェルザー・メスト、ケント・ナガノよりも円熟した、スクロヴァチェフスキーと並ぶブルックナー演奏かもしれない、と思うようになった。

長くなるのでこれくらいにしておくが、クリスマスの雰囲気をフィルハーモニーに隣接するソニーセンターの大空間で堪能した。ヨーロッパの街は、古い旧市街も新しい近代的な街並みもクリスマス飾りがよく似合う。

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
ホテル
4.0
交通
5.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
5万円 - 10万円
交通手段
鉄道 高速・路線バス 徒歩 飛行機
旅行の手配内容
個別手配
  • ベルリンフィルハーモニーホールの夜景

    ベルリンフィルハーモニーホールの夜景

  • ベルリンフィルハーモニーホールの入り口

    ベルリンフィルハーモニーホールの入り口

  • ステージ裏から見たベルリンフィルハーモニーホール

    ステージ裏から見たベルリンフィルハーモニーホール

  • ステージ裏から見たベルリンフィルハーモニーホール、恐ろしく天井が高い

    ステージ裏から見たベルリンフィルハーモニーホール、恐ろしく天井が高い

  • エッシェンバッハとベルリン・ドイツ交響楽団を讃える拍手

    エッシェンバッハとベルリン・ドイツ交響楽団を讃える拍手

  • エッシェンバッハとベルリン・ドイツ交響楽団を讃える拍手

    エッシェンバッハとベルリン・ドイツ交響楽団を讃える拍手

  • エッシェンバッハとベルリン・ドイツ交響楽団を讃える拍手

    エッシェンバッハとベルリン・ドイツ交響楽団を讃える拍手

  • 歓呼に応えるエッシェンバッハとベルリン・ドイツ交響楽団

    歓呼に応えるエッシェンバッハとベルリン・ドイツ交響楽団

  • ベルリン・ドイツ交響楽団の奏者を讃えるエッシェンバッハ

    ベルリン・ドイツ交響楽団の奏者を讃えるエッシェンバッハ

  • ベルリンフィルハーモニーの指揮台、ここにカラヤンもベームもジュリーニも立っていた

    ベルリンフィルハーモニーの指揮台、ここにカラヤンもベームもジュリーニも立っていた

  • 終演後のステージ

    終演後のステージ

  • ベルリンフィルハーモニーホールの夜景

    ベルリンフィルハーモニーホールの夜景

  • ソニーセンターの横のレゴで作られたサンタクロース

    ソニーセンターの横のレゴで作られたサンタクロース

  • ソニーセンターの巨大な天井とクリスマスツリー

    ソニーセンターの巨大な天井とクリスマスツリー

  • ソニーセンターの巨大な天井

    ソニーセンターの巨大な天井

  • ソニーセンターのクリスマス飾り

    ソニーセンターのクリスマス飾り

  • ポツダマープラッツのDBビルとクリスマスツリー

    イチオシ

    ポツダマープラッツのDBビルとクリスマスツリー

  • ポツダマープラッツの街角のクリスマス飾り

    ポツダマープラッツの街角のクリスマス飾り

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この旅行記へのコメント (3)

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  • tadさん 2013/11/30 00:23:59
    こんにちは!
    ベルリンでの週末、よかったですね。あのホールは、私は昨年3月初めて入ったのですが、低音がかなり痩せて聞こえるのが気になりましたし、少し広すぎるのかなと思います。編成を大きくしたくなるでしょうね。ブルックナーの8番をBPOとメータで聞いたのですが、中域、高域はよく通りますが、低域がかなり不足気味でした。後ろに衝立があるともっと前に放射されると思うのですが。。もっとも、2千人を越えるホールはどうしてもそういう傾向があるように思いますが、、、。

    今の空港はローカルサイズですが、新空港はまだなのですね。先日、ケルンとフランクフルトによりましたが、確かに、ドイツは1970年代や80年代とは違う感じがしますね。もっとも、彼らも日本が変わったと思っているかもしれませんが。。

    ハンク

    ハンクさん からの返信 2013/12/02 22:26:30
    RE: こんにちは!
    tadさん、メッセージをありがとうございました。

    このホールで低音を不満に思ったことはなかったですが、場所による違いがあるのでしょうね。小生もコントラバスを弾いているので、BPOの強力な重低音には憧れています。

    小生は先週末に帰国しましたが、もうヨーロッパからお帰りですか?ケルン、アントワープやゲント(ヘント)などの旅行記を興味深く読ませていただきました。いつかヨーロッパの歴史の中心地を、ゆっくりと探索して見たいと思っています。tadさんの旅行記は色々と参考にさせていただいています。

    それでは失礼いたします。ハンク

    tad

    tadさん からの返信 2013/12/03 00:57:05
    RE: RE: こんにちは!

    > このホールで低音を不満に思ったことはなかったですが、場所による違いがあるのでしょうね。小生もコントラバスを弾いているので、BPOの強力な重低音には憧れています。
    >

    コントラバスをやっておられたですか!それなら、事情はお詳しいでしょうから、私のきいた場所があまりよくなかった可能性が高いですね。また、機会があったらもっと近い位置で聞いたみたいです。悪い場所ではなかったのですが。。高音は十分すぎるほど、聞こえたのですが。。ロンドンのバービカンがやはり、低音不足をいつも感じるところですが。。。

    ただ、私はトラベルソをやりますし、楽器を握る時は、バロック音楽ファンなので、どうしても、繊細な音になれているせいもあり、大ホールが苦手です。息子のチェロもガット弦をつけてくれますので、そういう柔らかに音になれています。そういう意味では、ウィーン国立オペラの音響は木質で、あの柔らかさが好きです。収容人数もあれくらいが好きですね。巨大オペラハウスは苦手です。

ハンクさんのトラベラーページ

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