江南周遊之旅(8)終着地の上海で老上海と緑波楼と南翔饅頭店を訪ね、周荘の沈庁酒家までも食べ歩く。

2005/10/15 - 2005/10/25

杭州から上海へは路線バスで戻りました。思ったバスが満席で何本か見送ったので到着は夜になってしまいました。どこだか分らないバスターミナルだったので、タクシーで豫園商場の「老上海飯店」に向かいました。レストランで有名な所ですが上階はホテルになっています。各階に服務員のいる古いタイプのホテルです。場所が場所だけに朝や夜の豫園商場へ行くには便利で、豫園の夜景などを楽しみたい方や南翔饅頭店に朝早く行きたい方にはお薦めです。上海市内はこの年の春に旅していたので、郊外の「周荘」へ行きました。周荘が初めての妻は気に入ったようです。特に真綿（マーター）の蒲団が気に入って買ってきました。カバー無しの方が安いと考えたのですが、日本でダブルサイズのカバーを買ったらかえって高い物についてしまいました。２週間弱の旅も終りで疲れも出て来たので、２日連続でマッサージ屋に行きましたが、深夜にタクシーを飛ばしての往復だったのでかえって疲れてしまったかもしれません。

エリア 周庄 (周荘)(中国)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 3.5
• グルメ: 5.0
• ショッピング: 4.0
• 交通: 4.0

• 同行者: カップル・夫婦
• 一人あたり費用: 10万円 - 15万円
• 交通手段: 高速・路線バス 船 タクシー 徒歩
• 航空会社: ANA
• 旅行の手配内容: 個別手配

杭州から上海のどこかのバスターミナルに着いたのは午後７時くらいでした。考えるのも面倒なのでタクシーで豫園の老上海飯店に向かいました。「老上海飯店」のチェックインしながら夕食は「緑波楼」にしました。閉店時間が近かったので出来るメニューは限られますよと言われましたが、麺と炒飯と２品程の点心だったので大丈夫でした。

お腹がいっぱいになったのでタクシーを飛ばして「明按摩」へ行きました。ここまでタクシーで25元（350円）でした。帰りもマッサージ店の前で瓶ビール2本6元で買って、タクシーで帰ったので同じ25元でした。

「明按摩」ここへはもう５～６回通っています。いつもMing Spesialの２時間コースで、全身と足ほぐしてもらいます。日本では全くマッサージなんて行かないのですが、中国に来るとすぐ行きたくなります。料金は春に来た時と同じ2人で356元（5,000円）です。

翌朝までにメモ帳にタクシーの乗ってから周荘往復に必要な中国語のメモを造っておきます。これは非常に便利で日本で旅行する感覚で移動できます。

「富春山居」で買った帽子を被ってみます。

早朝で空いているからかもしれませんが、集票処のおばさんは帰りのバスの時間を紙に書いてくれました。以前では考えられない事です。このバスターミナルはとても奇麗でした。周荘まで片道一人22元（310円）でした。ここまで人がいないと前日の杭州のバスターミナルの喧騒が懐かしく思えます。

こじんまりした周荘のバスターミナルです。帰りの切符を買って、復路のバスの時間を確認して出発です。

バスターミナルから古鎮の入り口まではしばらく歩きます。大きな橋は「周荘大橋」です。屋根つきの歩道は陽射しの強い日には助かります。雲海度假村の敷地には大きな塔が建っています。

「周荘」の古鎮の入場料は1人100元でした。

以前来たのは2000年の正月の寒い日でしたが、今日は中秋の穏やかな日です。

「双橋」は明の万歴年間に建てられた「世徳橋」と「永安橋」が直角に繋がることから呼ばれます。この2つの橋はその姿が古代の鍵の形に似ていることから鍵橋とも呼ばれています。かつてこの橋を描いた陳逸飛の絵画が、?眷小平時代の国際交流舞台に登場したことで、周荘と双橋が世界的な名所になったといわれます。

橋の上から写真を撮り合いました。この当時は妻もデジカメを持って旅行していたのですが、いつのころからか止めてしまいました。

手漕ぎの舟が橋の下を通過すると絵になります。

明代の中山王徐達の弟である徐孟清の子孫によって建てられた屋敷は、周荘に現存する数少ない明代建築の1つとして貴重です。清代初期に一族が衰退し始めた頃に張という姓の者に売り渡したことから「張庁」と呼ばれるようになります。建物の中は広く約70もの部屋があります。

屋敷の中には水路が続き、美しい池が設えてあります。

屋敷の表は門で閉じられても有事の際は舟で水路を逃げる事が出来たのでしょう。また重たい荷物も舟であれば運搬も安易だったのでしょう。

「張庁」の中の通路はこんな風に狭いです。妻が太っているのではないと思います。

磚（せん）と呼ばれる黒い煉瓦壁が美しいです。床も瓦が盾に敷き詰められています。

運河沿いに干された小魚も気持ち良さそうです。数を数えたら寝てしまいそうな天気です。

表通りは観光客に占拠されていますが、裏側の水路からは済んでいる人々の生活が垣間見られます。

朱家角でも見ましたが、この真綿（マーター）の実演は見ていて飽きません。シルク布団の製作の実演です。小さい塊を４人で広げて四角くするのですが不思議な技術です。妻が欲しがったので買い求めましたが、カバー付きにすればよかったと後悔しました。日本でダブルサイズのカバーを買ったら布団より高くつきました。

周荘名物の万三蹄(豚の骨付き肉の煮込み）はあちこちの店で売っています。真空パックになったものもありますが日本には持ち込み禁止です。

どの水路も絵になります。

この折り畳み式の帽子も周荘の土産物屋で売られていました。

「全福寺」から湖のほとりを8分程あるくと「全福長橋」が見えてきます。この辺りが古鎮の終点で、その先には広大な湖が広がっています。

そろそろお昼になるので、中心街へ戻ることにします。

この当時はまだ昔の風情が残っていました。

少し早いけど混む前に昼食にしましょう。「沈庁」から徒歩1分程度の「沈庁酒家」がおすすめです。周荘の名物料理「万三蹄（ワンサンティ）」が食べられます。沈万三が明の初代皇帝、洪武帝をもてなした時の逸話残る豚足料理の万三蹄や名物スープの三味圓や新鮮な川エビ料理など、周荘独特のお料理が楽しめます。

2000年の正月に来た時もここで食事しました。

その時と同じ席での食事です。こんなに食べられないって顔ですが、この後二人でほぼ完食しました。以前は毛根が残っていたりしましたが、だいぶ良くなっていました。

美味しそうです。でも５年前は毛が生えていて引いてしまいましたが、今はただただ美味しそうです。

お肉がこってりしているので、さっぱりした野菜炒めも必要です。

前は小さい鯰が丸のまま何匹も入っているスープを注文してしまい小骨が多くて閉口しましたので、今回は魚すり身団子スープ「三味圓」にしました。

白ご飯が進みます。

全部で225元（3,150円）とあまり安くはないですね。

帰りのバスの切符はレトロな雰囲気です。子供は半額で、軍人さんも半額になるようです。

お腹もいっぱいになったところで舟に乗ることにします。

レストランの隣が船着き場で、元々は沈庁の来客を送り迎えしていたところです。

船頭さんは一日何回くらい仕事にありつけて、いくらくらいの収入になるのでしょうか。

しばし船旅を楽しみました。今回の旅では蘇州の盤門で手漕ぎ舟に乗り、蘇州から杭州への運河を一晩かけてクルーズし、西湖でも船で遊びました。富春山居でもホテルの手漕ぎ舟に乗り、紹興でも足漕ぎの「烏篷船（うほうせん）」に乗りました。江南の水郷を巡る旅なので乗る機会は多かったですが、楽しかったです。

水面い影を落とす柳と手漕ぎ舟なんて、絵に描いたような風景です。

夜になると提灯に灯が燈ってきれいなのでしょう。

本当はこの「貞固堂」という民宿に１泊して、夜と朝の周荘を楽しみたかったのですが妻に却下されました。

昼過ぎてからだんだんと観光客が増えて来ました。

高粱の実をとった後は箒になるのですね。江南では黄酒と呼ばれる紹興酒のようなお酒が好まれますが、北の方へ行くと高粱酒と呼ばれる白酒が飲まれます。アルコール度数が高いのですぐに酔っぱらえるし安いです。

妻はどうしてもコーヒーが飲みたいと言い、一人でカフェに入ってしまいました。

しばらく周辺を一人歩きます。

そろそろ上海へ戻ることにします。

こういった個人の店もどんどん減っていくのでしょうね。行くたびに発展していく中国に寂しさも感じます。

蘇州から杭州への京杭運河のクルーズがもう遠い昔のように感じます。

美しい秋の空です。

来た時と同じ屋根付きの橋を渡ってバスターミナルに向かいます。

運河に始まり運河に終わった旅でした。まだまだ訪れていない江南の古鎮はいくらでもあります。また機会があったら訪問したいと思いました。

周荘と上海はバスで2時間以上かかるので、上海に戻ってくると辺りは真っ暗でした。バスターミナルからは一度ホテルまでタクシーで戻りました。朝と同じ20元でした。

こちらが宿泊した「上海老飯店」です。ホテルというよりも創業1875年の140年以上の歴史を持つ上海料理の老舗店です。上海料理を世界に知らしめた立役者的存在の伝統ある名店で、国が定める国家特級レベルの調理人たちが調理する超一流の料理と言われるだけあって美味しかったです。

上海老飯店の食事です。春の旅行でも食べた「蟹粉豆腐」 豆腐の上海蟹煮込みはここが一番美味しかったです。

「腰果鶏丁」は鶏肉とカシューナッツ炒めですが、これにはさらに川海老がはいったもの。

10月でも夜は冷えるので野菜と茸のスープは体に沁みます。白飯とビールで満腹です。普通の料理しか頼まなかったからかもしれませんが、2人でビールを飲んで4品くらい注文して260元（3,600円）でした。

釘を一本も使っていない建物としても有名なこの「湖心亭」は豫園の建築物として建てられたのですが、1784年に豪商の集会所として使われたのを経て、1855年に上海最古の茶楼としてオープンしています。ここには何度も来ていますが、いつも混んでいて中に入れたことはありません。

「豫園商場」の夜のライトアップは見事でした。これが見たくて今回は「上海老飯店」に泊まったと言っても過言ではありません。

前の晩に食事した「緑波楼」は民国時代に茶楼として建てられた建物を使い、1970年代にオープンした上海料理の老舗です。エリザベス女王やクリントン元大統領などの世界各国の要人が上海を訪れたときに利用している店です。

この辺りの店は夜8時には閉まってしまいますが、その後もっずっとライトアップしているので散歩するだけでも楽しめます。

この時布靴専門店の「老北京布靴」で表がスウェードで内側が防寒使用になった靴を買いましたが、安くて軽くて重宝しています。

以前来たときは骨董品と宝飾品を扱う「華宝楼」の地下に入り浸っていましたが、今回は立ち寄りませんでした。

Ｔ字路になった辺りが一番明るくて美しいです。町全体が輝いています。

前の晩に続いてタクシーに乗って明按摩に行きました。2週間の旅で体も疲れていたと思います。片道25元の贅沢です。そして2人で356元の2時間コースでリラックス。大好きだった子にマッサージ店もこの後閉店してしまいもうありません。

高速道路も近未来的に光っています。ミッションインポッシブル３の映画を観ていて、同じような上海の高速道路の場面を見ると明按摩を思い出します。トム・クルーズが水郷の古鎮の屋根を走る「西糖」にはこの旅の3年後に行くことになります。

朝の散歩がてらに「南翔饅頭店」に行きました。開店前なのにかなり並んでいます。

「南翔饅頭店」は1871年に清の光緒年間に嘉定県の南翔の点心専門店として創業します。現在の場所に店を出したのは1900年になってからで、職人さんがていねいに作る小籠包は、その品質が認められて1989年には中国政府より｢優秀品質製品金鼎賞｣を受賞します。わずかに厚めのもちっとした皮と豚肉や蟹味噌のシンプルな風味を味わえます。

開店と同時に2階のテーブル席に座れました。表の売店のものは食べたことはありますが、店で食べるのは初めてです。

店の女の子が一生懸命蟹の身を掻き出しています。一体1日に何匹掻き出すのでしょう。

でも手作業で作られたここの点心は最高においしいです。

蒸籠の乗ったワゴンが来るのを待つ2人。

小籠包は全部で9種類用意されていますが、いちばんシンプルな豚ひき肉入りを選びました。肉汁がたっぷりで皮はもちもちで安定のおいしさです。蟹味噌入りの「蟹黄鮮肉小籠」も美味しかったです。

他のテーブルにもすごい勢いで蒸籠が配られていきます。帰国前に念願が叶いました。

上海市内は名所旧跡にも行かず、老舗のレストランを食べ歩きばかりですが、たまにはこんなのも良いねと２人とも大満足の旅でした。

「老上海飯店」でタクシーを呼んでもらって空港に向かいます。前から何だろうと思っていた「外灘天文台」は外灘信号塔とも呼ばれ、徐家匯天文台からの気象情報を受け取って、この塔に旗を掲げて気象情報を伝える役割を担っていたそうです。徐家匯天文台にはこの後9年後に行ったので由来と意味が分かりました。

「東方明珠電視塔」とも3年ほどお別れです。次に来るのは3年後に大阪港からフェリーに乗ってきたときで、このタワーを見たら感動しました。

リニアモーターカーにもすでに乗っていたので空港までタクシーで移動しました。168元（2,350円)の贅沢です。

チェックインして身軽になった後は日本食レストランに直行しました。

鍋焼きうどんのランチです。

この年の春の上海と朱家角の旅と秋の江南の旅以降しばらく中国旅行がマイブームになりました。