2008/02/23 - 2008/02/26
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瑞樹さん
「ひとりさるく日記1 出島篇」のつづきです。
後半は復元ゾーンと三番蔵、蘭学館を廻ります。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 徒歩
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隣は、拝礼筆者蘭人部屋(蘭学館)。
帳簿などの筆記を行うオランダ人の書記の長が住んでいた建物。出島から入ってきた蘭学を紹介しています。 -
エレキテルなども展示してあって、電気を起こす体験も出来ます。
でも、是非見て欲しいのが入って右側にあるPC。 -
ツュンベリーや、シーボルトなどの描いた日本の動植物などが閲覧できます。
これはシーボルト(1796〜1866)の細密画。
1823年、日本の動植物を研究する目的で来日したシーボルトは、長崎の郊外にある鳴滝に塾を開き、高野長英をはじめとした多くの門人たちに医学や動植物学を講義し、日本の蘭学の発展に大いに貢献しました。
シーボルトは現在のドイツ生まれであるにも関わらず、”山地オランダ人(なんだそりゃ)”と偽って入国していたんですね。
シーボルトと遊女・其扇(楠本たき)の間に生まれた楠本イネは、日本初の女性蘭方医として知られています。 -
ツュンベリー(1743〜1828)の細密画。
ツュンベリーは、喜望峰と日本の植物採集を目的にオランダ東インド会社の医師となり、1775年に長崎にやって来ました。
翌年の江戸参府に参加した彼は、途中で植物を採集する一方、各地の蘭学者と積極的に交流を深めたといわれています。約2年間の滞在を経て帰国した彼は、「日本植物誌」「日本動物誌」を書き、日本の動植物をヨーロッパに紹介したそうです。 -
そんなふたりの細密画を見た後にこのケンペルの絵を見ると…(笑)。
一生懸命漢字を書いている所とか、微笑ましいです。 -
このなんともビミョーな絵が良いです。
当時の日本には、こんな生き物が居たのでしょうか。 -
そんなことばかり書いていると申し訳ないので、これも載せておきます。
この地図はかなり、外国の人たちに役に立ったことと思います。 -
この建物の一階の使われ方は未だ判明していませんが、整備に先立つ発掘調査で水槽状の施設や排水溝と思われる遺構などが見付かりました。
これはアマカワ遺構。 -
蘭学館を出ると、向かいには用水地があります。
1798年、出島では西側半分を焼失する大火が起こりました。そんな火災に備えて設けられた間口1間半×4間(約2.7m×7.2m)の用水地です。
中央部に長方形の枡を持つ二重構造で、表面は水を通さないアマカワという粘土で塗り固められ、2個所に階段が設けられていました。現在は、池の周囲にめぐらせた縁石で用水池の大きさを表しています。 -
隣には、時鐘。「メイザン」の名で多くの資料に見られますが、その位置は建て替えの度に移動したようです。
紐を引いて鳴らす西洋式の鐘で、18世紀のオランダで実際に用いられたものが吊られています。
「この鐘は正午の昼食時に撞かれ、また、貿易時には、朝、積載品が降ろされる時に撞かれる。
鐘が三度撞かれれば、事務官は揃って荷倉役のところに出向く」と記録にあるそうです。 -
隣は、三番蔵。
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こうした砂糖のほか、様々な輸入品が収められていた蔵だそうです。
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その隣が二番蔵(貿易館)。
主に輸入品である蘇木(染料)が収められていた蔵だそうです。
1階は「貿易と文化の交流」をテーマに、出島に出入りしたさまざまな貿易品が紹介されています。 -
オランダ貿易で長崎に輸入されたのは、生糸や反物、薬種、荒物(雑貨)に大きく分けられます。
ほかに、香辛料ももたらされました。
輸入品の変遷を見ていると面白いです。
昔はダンボールやプチプチみたいな緩衝材がないから、こうやって割れ物を運んだんですね。 -
初期は生糸、江戸中期以降は砂糖が主力。反物は、ヨーロッパ産の毛織物や中国産の絹織物のほか、インド、東南アジアの綿織物などが輸入されました。
写真は、発掘調査で見つかった当時の建物の基礎石。 -
その隣は一番蔵。
こちらも輸入品である砂糖が収められていたそうです。
出島内の倉庫は耐火の為土蔵造り。
これは復元された土蔵の壁ができるまでの模型。
9つもの工程があるそうです!
「目潰し」という工程では、市民から寄付して頂いた古い蚊帳が使われています。こうした復元工事の過程を紹介。 -
こちらは一番船船頭部屋。
オランダ船(一番船)船長や、商館員の居宅として使用されていた建物です。 -
こちらも江戸時代の建物の基礎石。
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2階はテーブルやベットなどを展示し、当時の居室が再現されています。
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居間の戸棚の中に、カップや時計などと一緒に収められてある本。
…スウィフト作「ガリバー旅行記」、フェヌロン作「テレマクスの冒険」、オランダ版漂流綺談の「ロビンソン親子の冒険」…という、冒険ものが多いそうです。
当時人気があったのでしょうか。 -
ここの一階は土間になっており、倉庫として秤と分銅、木炭、砂糖などの不良品が置かれていました。
この秤はオランダの伝統的な天秤です。 -
そして向かいにはオランダ商館の商館長次席・ヘトルの住居があります。
屋根のエメラルドグリーンの部分は物見台で、出島の中で特別眺めの良い場所だったそうです。
窓には当時の出島で使われていた「ビードロ」と呼ばれたガラスを障子枠にはめ込んであります。
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こちらは料理部屋。
商館員たちは1日2回、カピタン部屋の2階で食事をしていました。その食事を作っていたところです。
出島へ出入りしていた通詞や役人は珍しい西洋料理をお土産として持ち帰り、大変喜んだとか。 -
様々な調理器具が壁にかけられたりテーブルに置かれたりしています。
ディスプレイでは、字幕つきのアニメが流れていて結構楽しめます。
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乙名部屋。
出島に於いて日本側の貿易事務や管理を担当していた出島乙名が拠点とした建物です。
出島乙名は、出島を築いた出島町人から選ばれました。 -
出島乙名の詰所。
乙名を中心に組頭、乙名附筆者、日行使らが様々な仕事をしていた部屋です。特に貿易の期間中に日中の業務を執り行っている情景が再現されています。
大福帳などがあるのを見て、「おおっ、歌舞伎で見る商人の部屋と一緒だ!」と興奮してしまいました(笑)。 -
その隣は、真新しいカピタン部屋。
オランダ商館長(カピタン)の事務所や住居として使用されていた、出島で最も大きな建物だそうです。
日本の役人や大名などが出島を訪れたときに、接待の場所としても使われていました。1階は出島の歴史や生活に関する展示、2階は商館長の生活の様子を再現展示しています。 -
これは埋め樽。何に使われたのか、未だ分かっていないそうです。
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カピタン部屋一階にある新聞、面白いです。是非めくって見て下さい。
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こんなものもありました。
ブロンズ製12ポンド砲。 -
二階に上がってみました。
ここには商館長の私室と事務所、それに迎賓館として使われた部屋がありました。
畳に唐紙というのが、いかにも当時の出島です。 -
35畳の大広間です。
迎賓館としての機能を持った公的な部屋。
ここでは、キリスト教徒のオランダ人が表向きはクリスマスを祝えない為、「阿蘭陀冬至」という名目での祝宴を開いていたそうです。
ここのテーブルで見逃せないのが、この -
『ボアーズヘッド』。
祝宴の料理の一つで、豚の頭を下からの火で焼き上げた料理で、耳と目のあたりにある白い固まりは、中から出てくる脂が固まったものだそうです。
しかし何故…口にリンゴを…?シュールだなー。 -
天井から下がるランプ。
壁や天井に使われているのは唐紙です。 -
ここは涼所。
ここはカピタン部屋の中でも間近に海を臨むことが出来、また最も傷みやすい場所でもあったそうです。
長崎の夏はきっと蒸し暑いでしょうから、オランダ人たちもここで涼んだことでしょう。 -
二階からは、出島の街並み?と今の長崎の街並みが見えます。
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当時の出島は、こんな感じだったのでしょうね〜。
焦げ茶の建物に、エメラルドグリーンの塗料が塗られた街を、日本の他の地域では殆ど見られなかったであろう紅毛人たちが歩いていたんですね。 -
水溜。
料理部屋で使う水を蓄えていたそうです。生活用水は竹樋を使って外から引かれ、飲み水は水売りから買っていたようです。 -
ここは通詞部屋跡。
夜間もここへ泊り込んでいたそうですが、重要な役割を担った彼らにしては、狭い場所のような気がしました。 -
全ての見学を終えて、外に出ました。水門です。
西洋と日本の文化・学術・貿易品が最初に出入りした象徴的な建物。
2つの通り口のうち南側は輸入用、北側は輸出用に使われていました。 -
西側護岸石垣。荷揚げ場として使われた場所です。
出島の西側にある少し突き出た部分で、船の積み荷の揚げ降ろしに便利なようにと、後で継ぎ足されました。復元されたものをよく見ると、石垣の形が異なり、3回にわたって継ぎ足されたことがわかります。 -
外には”さるくちゃん”が待っていました。
「さ」「る」「く」という文字をモチーフにした顔です。ちなみに「さるく」とは、街をぶらぶら歩くという意味の長崎弁でした。
いやー出島に来て良かった!学校で習っただけの出島が、もっとイメージしやすくなりました。
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