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JR両毛線前橋駅から欅(けやき)並木の大通りを徒歩約30分、高層建物の群馬県庁や隣接する県警察本部となっている敷地前橋城本丸跡で戦国時代は厩橋(うまやばし)城と呼ばれていました。<br /><br />築城時期は1490年(延徳2年)頃でこの地を治める箕輪城主長野氏の支城として長野方業(ながの・まさなり、生没不詳)が築城して石倉城と称し前橋城の前身となります。<br /><br />天文20年(1560)上野国に進攻した小田原北条氏の攻略を受け同氏の持城となり、方業は耐え切れず越後に逃れ越後の長尾景虎を頼ります。<br /><br />永禄3年(1560)に越山した謙信は前橋城を取り返し方業を城代とし、以降この城は謙信の関東進出の拠点となります。<br /><br />謙信の死後の天正7年(1579)当時の城代北条高広(きたじょう・たかひろ、1517?~1587?)が武田勝勝頼(たけだ・かつより、1546~1582)に攻められ高広は降伏し武田氏の持城となりますが、天正10年(1582)の武田氏没落後は織田信長の命を受けた滝川一益(たきがわ・かずます、1525~1586)が関東統治の取次役を兼ねて入城します。<br /><br />然しながら同年6月本能寺の変にて信長が死去、後ろ盾を失った一益は神流川で小田原北条氏に敗れ上野国から撤退、その後は小田原北条氏の支配となりますが天正18年(1590)小田原城を巡る戦いで豊臣秀吉の命を受けた浅野長政(あさの・ながまさ)の攻撃を受けます。<br /><br />滅亡した小田原北条氏の旧領を受けた徳川家康は関東の要衛に重臣を配置、平岩新吉(ひらいわ・ちかよし、1542~1612)を3万3千石を封じて前橋藩を新設、関ヶ原合戦後に甲府に転封された平岩の後を家康は譜代重臣である酒井重忠(さかい・しげただ,1549~1617)を入封させ以降藩主は9代続きます。<br /><br />更に藩主は目まぐるしく替わり、寛保元年(1741)酒井氏は播磨国姫路に国替えとなり松平朝矩(まつだいら・とものり、1738~1768)が藩主となり、以降明治に至るまで松平氏が藩主を勤めることとなります。<br /><br />上記松平氏治世下では前橋城は荒れ狂う利根川の浸食を被りますが松平氏はこれを修復する財力がなく、城を放棄し武蔵国河越城に移り、前橋は川越藩の飛地となり陣屋を置いたので前橋城は破却されます。<br /><br />一方前橋領の再建と領主の帰城を求める声が大きくなり、松平氏の財力も生糸生産で回復したので、幕府の決裁のもと前橋城再築することとなり、慶応3年(1867)に松平直克(まつだいら・なおかつ,1840~1897)が入城するに至ります。<br /><br />4年後の明治4年(1871)維新政府の廃藩置県政策で再築されたばかりの前橋城に前橋県の県庁が置かれ群馬県成立後も県都が前橋に移され老朽化して解体されるまで本丸御殿が群馬県庁舎として使用された経緯があります。<br /><br />尚現在では二の丸跡には前橋市役所、三の丸跡地には前橋地方裁判所などの官公庁の公舎が集中して建てられ、現在ではすっかり市街化されてしまい土塁、石垣、堀などの一部が残っているだけの状態です。<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />

上野前橋 小田原北条氏の没落の後入府した家康に「関東の華」と評される地に譜代重臣を配した戦略的要衛地『前橋城』訪問

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2014/08/13 - 2014/08/13

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滝山氏照

滝山氏照さん

JR両毛線前橋駅から欅(けやき)並木の大通りを徒歩約30分、高層建物の群馬県庁や隣接する県警察本部となっている敷地前橋城本丸跡で戦国時代は厩橋(うまやばし)城と呼ばれていました。

築城時期は1490年(延徳2年)頃でこの地を治める箕輪城主長野氏の支城として長野方業(ながの・まさなり、生没不詳)が築城して石倉城と称し前橋城の前身となります。

天文20年(1560)上野国に進攻した小田原北条氏の攻略を受け同氏の持城となり、方業は耐え切れず越後に逃れ越後の長尾景虎を頼ります。

永禄3年(1560)に越山した謙信は前橋城を取り返し方業を城代とし、以降この城は謙信の関東進出の拠点となります。

謙信の死後の天正7年(1579)当時の城代北条高広(きたじょう・たかひろ、1517?~1587?)が武田勝勝頼(たけだ・かつより、1546~1582)に攻められ高広は降伏し武田氏の持城となりますが、天正10年(1582)の武田氏没落後は織田信長の命を受けた滝川一益(たきがわ・かずます、1525~1586)が関東統治の取次役を兼ねて入城します。

然しながら同年6月本能寺の変にて信長が死去、後ろ盾を失った一益は神流川で小田原北条氏に敗れ上野国から撤退、その後は小田原北条氏の支配となりますが天正18年(1590)小田原城を巡る戦いで豊臣秀吉の命を受けた浅野長政(あさの・ながまさ)の攻撃を受けます。

滅亡した小田原北条氏の旧領を受けた徳川家康は関東の要衛に重臣を配置、平岩新吉(ひらいわ・ちかよし、1542~1612)を3万3千石を封じて前橋藩を新設、関ヶ原合戦後に甲府に転封された平岩の後を家康は譜代重臣である酒井重忠(さかい・しげただ,1549~1617)を入封させ以降藩主は9代続きます。

更に藩主は目まぐるしく替わり、寛保元年(1741)酒井氏は播磨国姫路に国替えとなり松平朝矩(まつだいら・とものり、1738~1768)が藩主となり、以降明治に至るまで松平氏が藩主を勤めることとなります。

上記松平氏治世下では前橋城は荒れ狂う利根川の浸食を被りますが松平氏はこれを修復する財力がなく、城を放棄し武蔵国河越城に移り、前橋は川越藩の飛地となり陣屋を置いたので前橋城は破却されます。

一方前橋領の再建と領主の帰城を求める声が大きくなり、松平氏の財力も生糸生産で回復したので、幕府の決裁のもと前橋城再築することとなり、慶応3年(1867)に松平直克(まつだいら・なおかつ,1840~1897)が入城するに至ります。

4年後の明治4年(1871)維新政府の廃藩置県政策で再築されたばかりの前橋城に前橋県の県庁が置かれ群馬県成立後も県都が前橋に移され老朽化して解体されるまで本丸御殿が群馬県庁舎として使用された経緯があります。

尚現在では二の丸跡には前橋市役所、三の丸跡地には前橋地方裁判所などの官公庁の公舎が集中して建てられ、現在ではすっかり市街化されてしまい土塁、石垣、堀などの一部が残っているだけの状態です。









旅行の満足度
4.0
交通手段
JRローカル 徒歩

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  • JR両毛線前橋駅

    JR両毛線前橋駅

  • 欅(けやき)街路<br /><br />駅前広場から欅の樹木を左右に従えた大通りを北進します。

    欅(けやき)街路

    駅前広場から欅の樹木を左右に従えた大通りを北進します。

  • 駅前周辺地図<br /><br />

    駅前周辺地図

  • 群馬県庁舎<br /><br />厩橋城の本丸跡に高層33階建ての県庁舎が建っています。

    群馬県庁舎

    厩橋城の本丸跡に高層33階建ての県庁舎が建っています。

  • 群馬県庁舎<br /><br />渡り廊下の左側は県議会建物のようです。

    群馬県庁舎

    渡り廊下の左側は県議会建物のようです。

  • 県検察本部<br /><br />

    県検察本部

  • 群馬会館建物

    群馬会館建物

  • 三の丸跡

    三の丸跡

  • 再築前前橋城復元図

    再築前前橋城復元図

  • 再築前前橋城復元図(図面拡大)

    再築前前橋城復元図(図面拡大)

  • 三の丸跡<br /><br />石碑には「三の丸緑地」と記載されています。

    三の丸跡

    石碑には「三の丸緑地」と記載されています。

  • 三の丸跡

    三の丸跡

  • 三の丸跡

    三の丸跡

  • 三の丸跡

    三の丸跡

  • 三の丸周辺道路<br /><br />城郭中央部を道路が貫通しています。

    三の丸周辺道路

    城郭中央部を道路が貫通しています。

  • 城郭風景<br /><br />交差点の陸橋から道路と樹木に遮られながらも三の丸土塁が見えます。<br /><br />

    城郭風景

    交差点の陸橋から道路と樹木に遮られながらも三の丸土塁が見えます。

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