2023/09/26 - 2023/09/26
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キャンサー50さん
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「歴史と文化の散歩道」は、都内に残されている歴史的・文化的資源を系統的に結ぶ散歩道として、昭和58年から平成7年にかけて東京都が整備しました。
神田本屋街散歩コースは、「歴史と文化の散歩道」の中のお堀端コースの一部です。
東京メトロ東西線九段下駅から都営地下鉄新宿線小川町駅まで約1.7㎞の散歩道です。
今回はそのルートの中でも学問と読書に特化した史跡、スポット等を巡ってみました。
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 3.5
- グルメ
- 3.5
- ショッピング
- 3.5
- 交通
- 3.5
- 同行者
- その他
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
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最初に訪れたのは、九段下、靖国神社参道入口近くにある「硯友社跡」。
硯友社は明治18年(1885)2月、東京大学予備門で学ぶ尾崎紅葉・山田美妙と、石橋思案らによって結成された日本初の大学結社です。
機関紙「我楽多文庫」には多くの文学作品が掲載され、同人は200名を越えました。硯友社跡 名所・史跡
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九段下駅近くの目白通り沿いに「硯の井戸」と書かれた標識があります。
そこから脇道に入った、とあるマンションの敷地に石碑と井戸と説明板があります。滝沢馬琴の硯の井戸跡 名所・史跡
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石碑には「都指定旧跡 滝沢馬琴宅跡の井戸」と刻まれています。
滝沢馬琴は江戸時代の小説家。
「南総里見八犬伝」で有名です。
彼は27歳から58歳までここに住んでいました。
井戸は、馬琴が硯に水を汲み筆を洗っていたことから、「硯の井戸」と呼ばれています。滝沢馬琴の硯の井戸跡 名所・史跡
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都営地下鉄神保町駅近くの専大通り沿いに「私立専修學校」と書かれた黒門があります。
私立専修大学 黒門 名所・史跡
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門の脇の説明板によると、専修大学の前身である「専修學校」は、明治13年銀座に誕生し、明治18年この地に移転しました。
この当時の正門が黒渋で塗られた冠木門であったことから、「専修學校」の愛称として黒門と呼ばれたそうです。
現在の門は復元されたもので、通り抜けできませんが、門の裏手には現在の専修大学があります。私立専修大学 黒門 名所・史跡
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専大通りと交差するあたりから靖国通りの南側には本屋が多くなってきます。
明治初期からこの辺りに学校が相次いで創立され、年度替わりに学生が教科書を売り買いしたことで、神保町は本屋街として発展していきました。
もっとも4半世紀前に比べると、本屋の数もかなり減ったような気がします。
ちなみに本屋が南側だけにあるのは、本が日焼けしないためです。神田神保町古書店街 名所・史跡
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本屋街の中でも建物の古さがひと際目立つ矢口書店。
映画・演劇・演芸の専門古書店です。
大正7年(1918)創業。矢口書店 名所・史跡
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比較的新しい本屋もあります。
こちらは2018年オープンの神保町ブックセンター。
岩波書店から刊行された本のみで構成されています。
本を読みながら、カフェで一休みできます。
そういえばこのビルのすぐ近くのビルの中に「岩波ホール」という単館の映画館がありました。
小品ながら秀逸な映画を多く上映していてファンだったのですが。2022年7月をもって閉館してしまいました。神田神保町古書店街 名所・史跡
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本屋街の中でも象徴的な大きな本屋といえば、三省堂と書泉。
写真は書泉グランテ。
書泉は近隣に書泉ブックマートという、書泉グランテ同様にビルまるごとの本屋があったのですが、こちらも出版業界不況のあおりか、2015年に閉店してしまいました。神田神保町古書店街 名所・史跡
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「駿河台下」交差点です。
写真のフェンスに囲まれた部分には、三省堂書店がありました。
リニューアルするということで、三省堂書店は2022年9月現在、小川町の仮店舗で営業しています。
リニューアルには少なくとも3年はかかるということですが、新装開店が楽しみです。神田神保町古書店街 名所・史跡
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「駿河台下」交差点から西へ、靖国通りの南を平行して走る狭い通りがすずらん通りです。
こちらにも本屋が沢山あります。神田すずらん通り商店街 市場・商店街
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すずらん通りを「駿河台下」交差点から入ってすぐにある文房堂。
明治20年(1887)創業の画材店です。
いかにも古そうな建物は、大正11年(1922)の竣工。
平成2年(1990)に建替えられ、ファザードの一面だけが保存されています。文房堂ビル 名所・史跡
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こちらもすずらん通りにある、本と街の案内所。
神保町に関する情報を総合的に提供する拠点として、2007年10月にオープンしました。
液晶タッチパネルやパソコンを利用して、神保町散策に便利なWebサイトを自由に閲覧できます。本と街の案内所 名所・史跡
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神保町には、作家たちゆかりの飲食店が多くあります。
いくつかを紹介します。
こちらは靖国通り沿いにあるビアレストラン、ランチョン。
作家で英文学者の吉田健一(吉田茂首相の息子でもあります)が好んで昼食を食べたり、編集者との打ち合わせや原稿の受け渡しに利用していました。ランチョン グルメ・レストラン
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神保町駅A7出口近くにある、神保町で一番有名な老舗喫茶店、さぼうる。
多くの作家や編集者が好んで利用してきた喫茶店です。
映画「失楽園」ノロケ地にもなりました。さぼうる グルメ・レストラン
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靖国通りとすずらん通りを繋ぐ小路にある喫茶店、ミロンガ・ヌオーバ。
「ランボオ」という店名だった当時、『海と毒薬』『沈黙』を代表作とする作家・遠藤周作が足しげく通ったと言われています。
当時とはちょっとだけ場所が変わっています。ミロンガ ヌオーバ グルメ・レストラン
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ミロンガ・ヌオーバのすぐ裏手にある、昭和24年創業の喫茶店、ラドリオ。
生クリームがたっぷり乗った「ウインナーコーヒー」を日本で初めて提供したお店としても知られています。
神保町には本を読みふけったり熱く語り合ったりする人が多く、コーヒーが冷めてしまうので、留学生が教えてくれたウィーン風の飲み方をヒントに生クリームをのせたのが始まりだそうです。
名前のウインナーとは「ウィーン風」と「包む」という2つの意味があり、ソーセージとは関係ありません。
ラドリオは、作家の逢坂剛が直木賞の受賞を待った場所としても有名です。ラドリオ グルメ・レストラン
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飲食店を離れてやってきたには「駿河台下」交差点近くにある東京古書会館。
全然知られていませんが、全国から集まってきた「古書籍」を売買する市場(交換会)が、平日毎日開催されている場所です。
交換会は古書組合会員しか入れませんが、一般の人も入れる古書即売展を毎週金・土に開催さています。東京古書会館 名所・史跡
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前述の通り、神保町界隈には明治時代に多くの学校が創立されたため、発祥の地碑が多く存在します。
散歩途中から、それらを追ってみました。
まず、JR御茶ノ水駅近く、杏雲堂病院前にあったのは「法政大学発祥の地」碑。
法政大学の前身である「東京法学社」は、明治13年(1880)4月に設立されました。
高度な法律専門家を養成する目的で創立され、法律を講義する「講法局」と弁護士事務所の機能をもつ「代言局」が置かれるという ユニークな組織でした。法政大学発祥の地碑 名所・史跡
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猿楽通り沿いにあった「東京音楽大学発祥の地」碑。
東京音楽大学は、東洋音楽学校 として明治40年この地に設立されました。
音楽教育の先駆者で、恩師でもある伊沢修一, 高楠順次郎, 島崎赤太郎らを評議員に迎え、わが国音楽文化の近代化を目指して創立しました。東京音楽大学発祥の地 名所・史跡
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神田警察通りに「電機学校発祥の地」碑。
明治40年(1907)「電機学校」として創立 、いくつかの移動の後、東京都千代田区神田錦町2丁目2番地に初めて自己所有の校舎をもちました。
碑の隣に「東京電機大学」碑があります。
こちらには「1949年4月開学」とあります。電機学校発祥の地(東京電機大学) 名所・史跡
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神田警察通りから少し南へ下ったところにある「学習院(華族学校)開校の地」碑。
弘化4年(1847)京都御所の日御門前に公家の学習所として設立された「学習院」は、明治10年(1877)華族学校「学習院」としてこの地に創立されました。学習院(華族学校)開校の地 名所・史跡
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神保町から白山通りを南下、学士会館前にある「東京大学発祥の地」碑。
隣に「我が国の大学発祥地」碑もあります。
護持院ケ原と呼ばれていた将軍の猟場に、文久2年(1862)蕃書調所が洋学調所と改称して当地に移り、翌3年開成所と改め、明治2年(1869)大学南校となりました。
さらに6年開成学校、7年東京開成学校と改め、明治10年神田和泉町から本郷元富士町に移転していた東京医学校が合併し, 東京大学が創立されました。我が国の大学発祥地(東京大学発祥の地) 名所・史跡
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学校発祥の地碑ではありませんが、「東京大学発祥の地」碑の隣にあるのが「新嶋襄先生生誕の地」碑。
同志社大学の創立者として知られる新島襄は、上野安中藩三万石板倉伊予守の家臣の子として、天保14年(1843)、この地にあった藩上屋敷で生まれました。新島襄誕生地跡 名所・史跡
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「東京大学発祥の地」碑から白山通りを挟んで対岸にある「東京外国語学校発祥の地」碑。
東京外国語大学の起源は安政元年(1857)に創設された蕃書調所まで遡りますが、 直接の前身である東京外国語学校が開設されたのは明治6年(1873)でした。東京外国語学校発祥の地 名所・史跡
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発祥の地碑が多くある、白山通りと神田警察通りあたりは碑の他にもいくつかの見どころが集まっています。
まず見つけたのは博報堂旧本館。
2015年にオープンした複合ビル「テラススクエア」の南東側には、神田地区において「学士会館、共立講堂」と並ぶ歴史的景観のひとつとなっていた「博報堂旧本館」のファサードが復元されています。博報堂旧本館 名所・史跡
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首都高沿いにある如水会館。
一橋大学の後援等を目的とする団体、如水会の所有する高層ビルです。
一橋OB・OGでなくても内部の結婚披露宴会場やレストランは利用できます。如水会館 名所・史跡
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「一ツ橋」交差点にある共立講堂。
共立女子学園の講堂、1938年落成の歴史的建造物です。
1956年の火災時の再建、2000年の耐震補強工事と内部機能改修工事、2007年の外壁タイルの張替浩二と何度も手が入っていますが、1938年当時の様子にできるだけ近い状態になるように配慮されています。共立講堂 名所・史跡
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共立講堂の対岸にある学士会館。
旧帝国大学出身者の親睦の場として昭和3年(1928)に創建されました。
国の登録有形文化財で昭和モダンの玄関の半円大アーチやスクラッチタイルの外観が特徴です。
現在はホール、サロン、宿泊施設としても利用されています。
今回の街歩きはここまで。
4半世紀前に比べて、書店も数も、街を歩く学生の数も少なくなっているのは如実に感じました。
いろいろな街が画一化されていく中で、神保町のように唯一無二の風景を持つ街は珍しくなりつつあります。
未来まで永く頑張ってほしいものです。学士会館 名所・史跡
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