冬の新疆鉄道の旅⑤-クチャ(郊外)編

2024/02/01 - 2024/02/21

大学の春節休み中に、鉄道だけ用いて新疆ウイグル自治区を旅行してきました。

今回は2月7日の、キジル千仏洞、クズルガハ烽火台観光について書きます。
残念ながらキジル千仏洞の石窟内の写真撮影は禁止されているため、石窟内部の写真はありません。ご容赦ください。

旅程
2/1 瀋陽発・移動(瀋陽→ウルムチ)
2/2 移動(瀋陽→ウルムチ)
2/3 移動(瀋陽→ウルムチ)
2/4 ウルムチ観光(街歩き)
2/5 ウルムチ観光(天山天池など)
2/6 ウルムチ観光(博物館)・移動(ウルムチ→クチャ)

2/7 クチャ観光(キジル千仏洞など)

2/8 クチャ観光(街歩き)・移動(クチャ→カシュガル)
2/9 移動(クチャ→カシュガル)・カシュガル観光(街歩き)
2/10 カシュガル観光(カラクリ湖など)
2/11 カシュガル観光(動物市場など)
2/12 移動(カシュガル→ホータン)
2/13 ホータン観光(ラワク寺院などホータン近郊)
2/14 ホータン観光(街歩き)・移動(ホータン→トルファン)
2/15 移動(ホータン→トルファン)・トルファン観光(交河故城)
2/16 トルファン観光(火焔山などトルファン近郊)・移動(トルファン→ウルムチ→アルタイ)
2/17 移動(トルファン→ウルムチ→アルタイ)・アルタイ観光(アルタイ市街)
2/18 アルタイ観光(街歩き・博物館)・移動(アルタイ→ウルムチ→瀋陽)
2/19 移動(アルタイ→ウルムチ→瀋陽)
2/20 移動(アルタイ→ウルムチ→瀋陽)
2/21 移動(アルタイ→ウルムチ→瀋陽)・瀋陽着

※旅行した当時は私は留学中の身でしたので、旅行の開始地点は遼寧省の瀋陽となっております。ご了承ください。
※列車のみで旅行するという趣旨のため、移動の場面がかなり多くなると思われます。
※当時の元/円レートは、1元=20．7円くらいです。

それではここからが本編です。

エリア 中国

おはようございます。2月7日の朝です。
今日はタクシーをチャーターして、キジル千仏洞とクズルガハ烽火台を観光しに行きます。

10時50分、ホテルの前でタクシーを呼び止めて値段交渉です。
値段交渉の末360元でチャーターすることができました。
先にキジル千仏洞に向かうことにします。

キジル千仏洞はクチャの市街から西に40キロ離れた、ムザルト川の北岸に位置しています。
クチャ市街を出ると、車は砂漠地帯を走り始めます。

砂漠地帯を抜けると、ケレタゲ山脈を突っ切ります。
この山脈の北側にキジル千仏洞が位置しているわけです。

ケレタゲ山脈の北側まで来たら、今度は西に向かって走ります。
雪のせいか非常に視界が悪いです。

乗り続けることおよそ2時間、ムザルト川の北岸の岩山を降り始めるともうすぐ到着です。
雪の影響で随分と時間が掛かってしまいました。

12時45分、キジル千仏洞(克孜爾石窟)に到着です。
オフシーズンかつ雪のせいか全く人の姿はありません。

キジル千仏洞は、ムザルト川北岸の岩壁に築かれた石窟寺院で、新疆ウイグル自治区では最も大きい規模の石窟寺院です。
3-8世紀の間に築かれたそうで、当時この地を治めていた亀茲国では非常に仏教が栄えていました。

キジル千仏洞 史跡・遺跡

入り口でチケットを買います。
オフシーズンだったか学生料金だかで35元で入れましたが、口コミを見ていると普通は70元かかるみたいです。

入り口から10分程歩くとキジル千仏洞に着きました。
手前の広場には鳩摩羅什像が設置されていす。

石窟は岩壁に約3キロに渡って掘られています。
現在番号が振られている石窟の数は236個あり、今まで発見された石窟の数は349個に及びます。
しかし、観光客が通常見学できる石窟は僅か6つ程です。

スマホや財布などを除いて手荷物は持ち込めないので、ロッカーに預けます。

では登っていきます。
頼んでいませんがガイドの方が同伴してくださることになりました。
(冒頭に申し上げた通り外見だけの写真になります。)

岩崖に築かれたと言っても結構整備されているので、登るのに苦労するということはありません。

立ち入ることはできないようですが、向こうの方まで石窟が築かれています。

石窟のほとんどは、こんなふうに鍵が閉められて厳重に管理されています。
見学の際はガイドの方が開けてくれるのですが、一緒に行動するせいで隠し撮りもできそうにありません。

その代わりと言ってはなんですが、前回行った新疆ウイグル自治区博物館の、第171窟を再現した展示室を載せておきます。

実際に石窟を見ていると、仏像が破壊された後や、一部の壁画が無くなっていることに気が付きます。
実は、14世を過ぎるとクチャでは仏教に取って代わってイスラム教が信仰されるようになり、その影響で仏教は迫害され、キジル千仏洞にあった仏像や壁画も多くが破壊されました。
また20世紀になると各国の探検隊によって多くの壁画が壁ごと切り取られ持ち帰られ、その他にも地震、文革、盗掘などの要因によって破壊されたので、現在保存状態が良好な石窟はわずかであり、壁画を見ることができるのは80ヶ所前後だと言います。

かなり高いところまで登ります。
崖の高さは5.60mぐらいあるそうです。

向こうのほうにケレタゲ山脈が見えます。
昔の修行僧もこの景色を見ながら生活していたのでしょうか。

タクシーの運ちゃんを待たせてるので、そろそろ入り口まで戻ります。

キジル千仏洞を出ました。
次はクズルガハ烽火台へと向かいます。

1時間30分ほどかけてまた砂漠地帯へ戻ってきました。
いつの間にか雲も晴れてきました。

15時50分、クズルガハ烽火台に着きました。

クズルガハ烽火台(のろしだい)は前漢の時代に築かれた軍事施設で、敵の襲来をいち早く知らせるために使われていました。
当時は4.5キロおきに等間隔で置かれていたらしいですが、現在残っているのはこの烽火台だけです。

入場料は15元です。
入場料にプラス15元払うと車に乗って入ることができます。
ちょっと歩くようなので、タクシーに乗って入ることにします。

荒涼とした大地が広がります。
車だと入り口から3分くらいで着きます。

クズルガハ烽火台に着きました。
盐水沟という枯れた川の渓谷の上にあるようです。

これがクズルガハ烽火台です。
高さは約13.5mで、土や木材で作られています。
砂漠の中にポツンとあるのがなんとなく物寂しくて、時間の流れを感じさせます。

この烽火台には悲しい伝説が残されています。

その昔、クチャの国王には愛する娘がいたが、ある占い師によれば「娘はあと100日で死んでしまう」と言います。
それから国王は娘をこの烽火台の近くに匿い、毎日女王のもとへ食事を運ばせました。
そしてそのまま何ごともなく99日が過ぎたのですが、最後の100日目に国王が贈ったリンゴにはサソリが潜んでおり、それを食べた娘は亡くなってしまった、と言います。

横にある盐水沟という名前の枯れ川です。
全く水が流れておらず、砂だけが堆積しています。

少し先に行くとクズルガハ千仏洞という仏教寺院があるらしいので行ってみます。

クズルガハ千仏洞の入り口に着いたのですが、門が閉まっています。
人もいませんし、ちょっとどういう条件で入れるのかは分かりませんでした…
またいつか来た時に入れる事を願います。

ではタクシーに乗ってホテルに戻ります。
本当はスバシ古城という仏教遺跡にも行ってみたかったのですが、ちょっと少し頭痛があったので今回は断念しました。

ホテルに戻ってきました。
この後は夜まで休憩してから、夕食を食べに行こうと思います。

飯時になったので、付近で評判が良かった亚克西姆新疆菜という新疆料理の店に来ました。

厨房が窓で囲まれて見れるようになっています。

注文時に您是哪国人？（どの国の方ですか？)と聞かれ、日本人だと答えると、よほど珍しかったのか写真をせがまれました。(笑)
クチャに来る日本人は少なくなくても、お店単位だと日本人が来たことがある店なんてほとんどないんでしょうね。

さて私が注文したのは皆さんお待ちかね、ラグ麺です。

ラグ麺は新疆で一番有名と言っても過言ではない名物料理で、うどんより少し細いコシがある麺に、野菜や羊肉などの具が入ったトマトベースのスープが掛けられています。
トマトパスタと中華料理の炒め物が融合したような食べ物で、トマトの酸味と中華料理の油っこさ、肉の旨みが一つに合わさった、非常に美味な民族料理です。

新疆に来てラグ麺を食べましたが、予想以上の味で大満足でした。

羊串も頼みました。
羊串と言えば唐辛子メインの香辛料をドバドバかけて食べるのがメジャーなんですが、南疆(天山山脈以南の地域)では、塩とほんの少しの香辛料だけをかけて食べるのが普通です。
いつものスパイシーな羊串もいいですが、これはこれでより本来の羊肉に近い味わいがして美味しいです。

食べ終えると店を出ました。
味は勿論、お店の雰囲気も明るい感じでよかったです。

といったところで少し短いですが今回はここまでです。
今日は郊外の観光地に行ってきましたが、明日は街の中で観光しようと思います。

次回はクチャ(市街)編です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。