2023/10/01 - 2023/10/14
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mirilinさん
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退職したら、貯めたANAマイルを使ってビジネスクラスでウィーンへ飛び、ウィーンとプラハのアール・ヌーボー建築を巡って歩き倒そうと楽しみにしていたのに、コロナ禍襲来で4年もお預け。
どうにか海外旅行は解禁されたものの、ANAのウィーン直行便はいまだ飛ばず、乗継便に変更してもビジネスクラスの特典航空券は全く取れず…。
でも、どんどん年は重なって行く(←老化が進む)し、マイルの有効期限も迫ってきてるし…ってことで、直行便もビジネスクラスも諦め、プレミアムエコノミーでロンドン経由で行くことにしました。
でも、いろいろ諦めはしましたが、4年ぶりの本場のアール・ヌーヴォー、美しい街並みを目の当たりにすれば、老化が進んでいることも忘れ、テンションMAXで町中を歩き倒したことは言うまでもありません。
この旅行記はその4日目、今回のプラハ訪問の本丸、建築巡りの歩き倒しの様子【中編】です。元々アール・ヌーヴォー建築が大好きな私の旅ですが、野外建築博物館と言われるここプラハには、アール・ヌーヴォー建築のみならず、ゴシック、ロマネスクはもちろんのこと、プラハでしか見ることのできないキュビズム建築や斬新な現代建築まで、いたるところに散りばめられていて、歩数も写真数もが嵩んでしまったのは必定。見どころ満載なのでなんと前中後編に分けることとあいなりました。
【21,462歩】
今回の旅のスケジュール
10/1(日) 羽田発 9:55 → ロンドン着 16:20
10/2(月) ロンドン発 10:10 → プラハ着 13:15
旧市街広場 ユダヤ人地区
10/3(火) AM プラハ城
PM フラチャニ地区・マラーストラナ地区
10/4(水) AM キュビズム建築 マサリク堤防、ダンシングハウス、
新市街アール・ヌーボー
PM プラハ中央駅 ミュシャ美術館 市民会館 旧市街広場
10/5(木) プラハ駅 12:45→ ウィーン中央駅 16:49
見落とし救済
10/6(金) シュテファン大寺院 ホーフブルク宮(シシイ博物館・国立図書館・アルベルティーな教会など) 建築巡り(リンク界隈)、ブルク劇場
10/7(土) AM ベルヴェデーレ宮殿
PM 建築巡り(アール・ヌーボー建築など)夜景見物
10/8 (日) フンデルト・ヴァッサー建築 美術史博物館
10/9(月)シェーンブルン宮殿 見落とし救済
10/10(火)ウィーン発 11:25 → ロンドン着 12:55
ビックベン
10/11(水)ウエストミンスター寺院 グリニッジ タワーブリッジ レドンホールマーケット ミュージカルWICKED(アポロシアター)
10/12(木)ホースガード 大英博物館 メイフェア地区
10/13(金)リージェントストリート ヴァッキンガム宮殿 セントジェームスパーク ウエストミンスター教会
ロンドン発 19:00 →
10/14(土)羽田着 14:50
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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「オズワルド・ポリーフカ」作の「ウ・ノバークの家」に行くために、「国民劇場」前の「Národní divadlo」停留所から9番のトラムで5分程の「Vodičkova」停留所で下車すると、目の前にこんな立派な建物がありました。
壁面全体がスグラッフィート装飾で飾られ、まるで宮殿のよう。
いったい何の建物なんだろうと、建物に取り付けられている看板を見てみると、どうやら小学校のようなのです。 w(°0°)w オォー
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小学校の向い側にあるマクドナルドの入っている建物も、スグラッフィート装飾のある美しい建物でした。いや~プラハの街はただものではありません。
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停留所からVodičkova(ヴォディチコヴァ)通りを2分程歩くと、お目当ての「ウ・ノバークの家」(1902-1903)が現れます。
ポリーフカは装飾に賭けた建築家と言われ、ファサードの装飾に人一倍お金をかけたそうですが、この建物を見れば納得できます。
アール・ヌーヴォー装飾大好きな私ですから、ディテールじっくり見ていきますよ~
【Vodičkova 699/30】 -
まず目を引くのは、建物中央に十字に描かれた「J・プレイスレル」作の壁画です。
花の女神フローラを中心にした「春」をテーマにした、のどかで美しい絵です。
この壁画、なんとポリーフカ自身が下絵を描いたそうです。 -
ペントハウスには2羽の金の鳩(?)が輝き、手すりは美しいアイアンワークで飾られています。手すり下中央には、蝶がいます。この軒下まで続く装飾、いいですね~
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三角形のバルコニーを飾るアイアンワーク。もう、たまりません。こういう飾りが大好きなんです。
この手すりから伸びている鉄の棒ですが、てっぺんにはこうもりがいます。バルコニーの左下には、金色に輝く「ウ・ノバーク」のイニシャル「JN」がついています。 -
そして、二つに分かれた棒の先には…カエルが突き刺さってます。
なんで突き刺すのかしら…これは好みではありません(笑)
天使に挟まれて、建築年「1903」が書かれていますね。 -
どなたのお顔でしょうか?お花に囲まれた肖像のレリーフも付いていますが、窓の下には、カエルがへばりついています。突き刺されていないだけいいですが…
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孔雀も発見!
色がついていないので、見落としそうですが、きれいなレリーフです。
以前私が見た写真では、きれいな色がついていたんですが、修復途中なんでしょうか? -
軒下のレリーフとアイアンワーク。
可愛いですね~
もう、惚れてまうやろ! (〃ω〃) ポッ
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エントランスの装飾も繊細ですねぇ。
ここにも「ウ・ノバーク」と書かれていますが、その上に鳥。
ペントハウスにいた鳥と似ていますが、ノバーク家の紋章とかでしょうか? -
「エクトール・ギマール」作のフランスのMetroの駅のような、エントランスの庇。これぞアール・ヌーヴォー装飾って感じですよね。
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下から庇を見上げると…手を抜いてませんね。しっかりお花もついてます。
誰です、つけまつげにも見えるとかいう人←私です。 -
扉は美しいステンドグラスで飾られています。
ガラスの下には、犬?のレリーフがありました。
この街一番の人気建築家だった「オズワルド・ポリーフカ」ですが、外観の美しさにこだわったというのが良くわかる家でした。 -
そしてこの建物。「ウ・ノバークの家」の向い側にあります。
色といい、デザインといい、ここ「ヴォティチコヴァ通り」で超絶目立ちます。
ただ、これがどんな由来の建物なのか、全くわかりません。今は文房具の店らしいですが。
建築様式も、アール・ヌーヴォーではないですし、もちろんゴシックなどではありません。キュビズムでもないし…といろいろ調べていたら、どうやら「ロンド・キュビズム」という類のようです。
キュビズム建築で有名な「ヨセフ・ゴチャール」が1921-22年に設計した「アルハ宮殿」(建設当時は『Banky československých legií(チェコスロバキア軍団銀行本店)に似ていますが…
朝見てきた所謂「キュビズム」は1911-14年に流行した「結晶形や鋭角的な幾何学系で、多角柱形、多角錐形のモチーフ」を多用したものですが、「ロンド・キュビズム」は、チェコスロヴァキア共和国建国後の1918-25年に建設された「明るい彩色の施された民族的モチーフである円柱や円弧」を多用した建築だそうです。
まさに、明るいピンク色ですし、ファサード全体に円柱やら円弧が配されています。図らずもまたひとつ、珍しい建築様式に接することができました。
【Vodičkova,710/31 】 -
「ウ・ノバークの家」から2~3分歩くと「ヴァーツラフ広場」に出ます。
「ヴァーツラフ広場」は新市街にあるプラハ随一の繁華街で、縦750m幅90mの縦長の広場です。広場というより大通りといった感じがしますが…。
かつては馬市場だったそうですが、今は地下鉄が交差していることもあり、多くの人が行き交ってとても賑やかです。そして、チェコ民主化の歴史を語る上で欠かせない場所でもあります。革命的な大きな事件の舞台であり続けた広場ですが、それを語ると長くなりすぎるので、今回は省略です。
m(・ω・m)ソーリィ
広場のまわりは古い建物や、レストラン、ショップなどがたくさんありますが、私の興味はもちろん建物です。
正面は「国立博物館」。今回は遠目で建物を拝んだだけでスルーしちゃいました。ヴァーツラフ広場 広場・公園
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「ヴァーツラフ広場」に面して建つこの堂々たる建物は、「ルツェルナ宮」です。
建物名の「ルツェルナ」とは、ランタンの意味で、1907-1921年にかけて、実業家の「ヴァーツラフ・ハヴェル (元チェコ大統領の祖父)」と建築家「ヨーゼフ・ チャムスキー」「ドブロスラフ・ベゼクトニー」、「スタニスラフ・ベヒニェ」によって建設されたものです。
このファサードの中央てっぺんの形がランタン=ルツェルナ(チェコ語)のようだったことから、「ルツェルナ宮」と呼ばれているそうです。「宮」といっても宮殿ではありません(笑)
プラハで最初の多目的複合施設で、なんと「ルツェルナ宮殿」の最初の飲食店は、日本風の喫茶店「ヨコハマ」だそうです。横浜在住の私は、なんとも嬉しい限りです。
【Václavské nám. 765/40】 -
この建物の細部を見てみると、ランタン部分の窓は三角形の連鎖=キュビズムを踏襲し、その上の円筒が並んでいる様は、ロンド・キュビズムのようでもあり、でも、人の顔の彫像がついている辺りはプラハのアール・ヌーヴォー装飾の特徴でもあり、なんかゴチャゴチャです。ま、色々いいとこ取りしたってことにしておきますか。ちなみに、プラハ最古の鉄筋コンクリート造りのビルともいわれています。
この「ルツェルナ宮」、特筆すべきは内部の装飾やアーケードにある逆さ馬に乗った「聖ヴァーツラフ像」なのですが、お馬鹿な私、この時それをすっかり忘れ、またまた内部に入らなかったのです。帰国してからそれに気づき、激しく落ち込んだことは言うまでもありません。 (_ _|||) -
「ヴァーツラフ広場」の「ヴォディチコヴァ通り」との角に立つのは「ヴィール館」です。
チェコのネオ・ルネッサンス建築の中でも、最も美しい建物の一つと言われているこの建物は、建築家「アントニン・ヴィール」が1895年から1896年にかけて、ネオ・ルネサンス様式で再築したものだそうです。
【792/34, Václavské nám】 -
「ヴィール館」のファサードの絵は、チェコの画家「ミコラーシュ・アレス 」の絵に基づくもので、ルドルフ2世の時代の頃からの裕福な商人の人生について、6つの絵のシリーズが描かれているそうです。
このゴブラン織りのタペストリーを掛けたようなファサードは、私の泊っている「ホテルロット」のファサードと似ています。 -
「ヴァーツラフ広場」には、レトロなトラムも展示されています。
若干撮り鉄気味な私、すかさずシャッター切りました。アングル悪いけど…。 -
「ヴァーツラフ広場」の東側に建つ「ホテル・エヴロパ」は、1872年、ネオ・ルネッサンス様式で建てられた後、1889年にアール・ヌーヴォー様式で改築された美しい佇まいのホテルです。が、なんと2014年に破産し、今は近づけませんでした。
【New Town】 -
このホテルは、「アロイス・ドリヤーク」と「ベドジフ・ベンデルマイエル」の二人の設計で作られ、後期アール・ヌーヴォー建築の傑作といわれています。
今は使用されていないホテルですが、ファサードの美しさは健在。
館のトップで金色に輝く3人の女性像と金色の文字、花のレリーフと花や木をモチーフにしたタイル絵などが美しいペディメント、このまま廃墟にだけはしてほしくないですよ。 -
目を少し横のずらせば、エメラルドグリーンの卵?に金の装飾、漆喰で作られたリースのような飾りや、眼福ともいえる美しい手すりのアイアンワーク…。
見逃してはならないのが、屋根上に咲くお花(?)の装飾。避雷針代わりなのでしょうか? ほおずきのようにも見えます。 -
そしてお隣にに建つのは1895 年から 1906 年にかけて建てられた「メランホテル」。こちらは営業中です。
お隣のホテルと比べると、部屋数20室の細くて小さいホテルですが、その装飾は負けていません。
屋上の五線譜に描かれているようなホテル名は、アメリカ郊外のモーテルみたいでいただけませんが、最上階中央窓周りの装飾はしっとりとした色合いで、絶品だと思います。化粧漆喰の装飾も見事ですし、モザイク画もどこか日本画を彷彿とさせませんか?
両サイドの窓下にある金色の飾りは、モザイク画のお花に飛んでいく蝶々のようにも見えます。
【Václavské nám. 825/27】 -
一人限定の小さなバルコニーが一つだけあるのも、なんかアクセントになってますし、その下の植物の化粧漆喰もすっきりした感じで素敵です。
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「ホテルエヴロパ」と「メランホテル」は内部でつながっていたらしいのですが、片方だけ廃業しちゃってる今は、どんな風になっているのでしょう?
例の通り、中に入らなかったのでわかりません。 -
「ヴァーツラフ広場」を出て、「インドジシュスカー通り」を進み、ムハ(ミュシャ)美術館を目指します。正面に見える立派な塔の方を目指し直進です。
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3分もあるけば「ムハ(ミュシャ)美術館」に到着です。最初の角で左を見ると緑の看板が見えるので、すぐにわかります。
【Panská 7】ミュシャ美術館(ムハ美術館) 博物館・美術館・ギャラリー
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入場料は350 CZK(≒2275円)。相方は280 CZKでした。なぜ相方が安いのか…例の割引です。前の旅行記でも度々登場のシ〇ア割引です。
相方が大のミュシャファンということで行ったのですが、有名な作品から珍しい作品や下絵など、ここでしか見られないものもあり、写真も撮り放題でしたから、大満足だったようです。こじんまりした美術館なので、30分もあれば十分ゆっくり見ることができますよ。 -
次は「プラハ本駅」へ向かいます。
明日、列車でウィーンに行く予定なので、動線の下見です。
私は大きな荷物を持って駅でキョロキョロしたくないので、外国の列車旅は必ず前日に動線確認に行きます。
が、今回はその動線確認の駅が、なんと超有名なアール・ヌーヴォー建築なんです。一粒で二度おいしいって感じかな?
途中には、先ほど見えていた「インドジシ塔」があります。
これは、後期ゴシック期(1472-1476)からあり、イタリアのカンパニラスタイルを模して、独立した鐘楼として建てられたもので、独立したプラハの鐘楼の中では一番高く、66mあるそうです。上に登って市内を見渡すこともできるようです。
【Jindřišská věž, Jindřišská 2122/33】インドジシュスカー塔 (Jindrisska vez) 建造物
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駅に向かう途中には、ムハ(ミュシャ)美術館から歩いて5分ほどのところには、とても色鮮やかな「ジュビリーシナゴーグ」があります。
このシナゴーグは、イスラムのアーチをふんだんに使った、マウルオリエンタル様式(←どんな様式?)を取り入れたアール・ヌーヴォー様式で、ウィーンの建築家「ウィルヘルム ・スティアスニー」の設計で建設された(1905-1906)そうです。
ガイドブックやGoogle mapでは「ジュビリーシナゴーグ」と書かれていますが、公式HPではシナゴーグがある通りの名前から「エルサレムシナゴーグ」との名が定着していると書かれています。
【Jeruzalémská 1310/7】ジュビリー シナゴーク 寺院・教会
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イチオシ
例の通り、シナゴーグにあまり興味がないこと、先を急ぐこと、入場料が高いこと(150CZK)から、外観見学だけで失礼しました。
プラハ市公式観光ポータルによれば、内部はウィーン分離派様式の壁画でふんだんに装飾され、世界でも珍しい内装であるとのことなので、私はちょっと入って見たかったのですが、相方と意見が合いませんでした…。確かに時間が押していたのでやむを得ない判断です。
外観だけでもじっくり見ていたら時間が無くなる美しさでした。 -
「ジュビリーシナゴーグ」から5分程で「プラハ本駅」です。
とても国鉄駅とは思えない外観ですよね~
駅自体は1871年12月に開業しましたが、この建物は1901年から約8年をかけて再建したもので、建築家「ヨゼフ・ファンタ」設計によるプラハで一番大きなアール・ヌーヴォー建築です。世界の鉄道駅でもトップクラスの美しさを持つと言われています。
ちなみに、この正面入り口の前は高架の自動車専用道路になっているので、この全景を見るためには、道路を挟んだ駐車場エリアあたりに行く必要があります。
売店やレストラン、切符売り場などからなる3階建てのビルの上に、アール・ヌーボー様式の駅舎が載っているような構造になっているのです。
なので、今見えている入口は3階にあたり、徒歩で駅に行く場合はこの道路の下にある駅ビルの1階から入るので、この外観は見えません。
【Wilsonova 300/8】プラハ本駅 (プラハ中央駅) 駅
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アール・ヌーヴォー建築の特徴である植物の装飾や彫像が、左右の塔に散りばめられています。
左側の塔の時計は美しい女性と子供、右側の塔の時計は裸体の男女のレリーフで飾られ、その下では、とてもリアルで躍動的な男女の彫像が飾られています。
そして、さらにその上を見ると…鳥の彫像に植物のレリーフとガラスのドーム、そして立派な男性のバンザイ彫像。
「安心してください。履いてますよ」「パ~ンツ!」…失礼しました。 -
おふざけはこの程度にして…駅構内に入ってみます。
一歩足を踏み入れると、そこには思わず歓声を上げてしまう、広くて美しいホールが広がっています。 -
イチオシ
このホールの天井はドーム状になっており、丸い天井の周囲を色とりどりの紋章と女性の彫像がぐるりと囲んでいます。この女性たち、みんなスレンダーな美人で、ポーズが違うんです。手が込んでますね~
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丸天井中央も美しく飾られています。クリーム色の天井に白の漆喰による葉っぱのレリーフが映えています。そして通風孔?の金網にも金色の花が付いていて、抜かりありません。
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入口から入った正面はこんな感じ。ここにもリアルな二人の裸の女性がいますね。緑の葉っぱに絡まってます(笑)
金色に輝くプレートの上には建築(竣工)年「1918」も書かれています。
このガラスの向こうは列車のホームです。 -
後ろを振り向いて、今入ってきた扉方向を見ると、半円形の窓に美しいステンドグラスがありました。
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このドームのホールの柱部分にあるこの装飾、いったいどなたなんでしょうか?
塔にもついていたお顔の方だと思うのですが…。 -
このホールには、カフェがあります。
昼食がまだだったので、ここでランチをとることにしました。 -
あの美しいドームの下にもテーブルがあり、そこでも食べられるのですが、お店の中も素敵だったので、店内を利用することにしました。
席に座って、店内を見回すと、なんと入り口横に、この駅の建築家である「ヨセフ・ファンタ」の大きな写真があるではないですか!そういえば、この店の名前は「Fantova kavárna(ファンタズカフェ)」。「ヨセフ・ファンタ」から取った名前だったんですね。
店内に飾られている絵は、竹や蓮、月にトンボ…日本画のような雰囲気があり、ジャポニズムな感じでした。 -
素敵な店内ではありますが、メニューはいわゆる駅のカフェ。
サンドイッチ類やスイーツ、各種ドリンクが揃っています。
私は七面鳥のローストのバケットサンドとマンゴスムージー、相方はポークのバケットサンドとコカコーラゼロをチョイスしました。二人で475CZK(≒3087円)でした。
サンドイッチの味はまずくもおいしくもない感じ(あくまでも個人的感想ですよ)ですが、スムージーはお勧めしません(笑) -
明日の駅での動線確認も済ませ、腹ごしらえもできたので、次の目的地「市民会館」に向かいます。
この写真は、その途中にある、アール・ヌーヴォー建築のホテル「ホテルツェントラル」です。駅から歩いて10分ちょっとです。プラハのホテルにおけるアール・ヌーヴォー装飾の先駆けとなったホテルです。
【Hybernská 10】K+K ホテル セントラル ホテル
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「フリードリッヒ・オーマン」とその弟子「ドリヤーク&ベンデルマイエル」により1901年に建てられたこのホテルのファサードは、アール・ヌーヴォー建築の教科書に載りそうな美しさです。とても可憐で洗練されているように感じました。
ペディメント部分の装飾、素敵ですよね~
さりげなくオーマン達の名前も書かれています。 -
イチオシ
特筆すべきは出窓の周りを囲む化粧漆喰の装飾です。
これは「フリードリッヒ・オーマン」が考案した手法で、これにより工芸品のような可憐で繊細な美しいファサードを作ることができるようになったそうです。あちらこちらで化粧漆喰が使われている家をすでに見てきましたが、彼のおかげだったんですね。
ただし、このホテルの建築中に、ウィーンの宮廷建築家に任命されたため、装飾のほとんどは彼の弟子「ドリヤーク&ベンデルマイエル」が技術を引き継ぎ完成させたそうです。 -
エントランスの飾りもとても可憐ですし、照明器具とその周りもおしゃれです。
エントランスの両脇の植木鉢の植木のような装飾漆喰は、感嘆ものですよ~ -
このアイアンワーク、大好きです。
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「ホテルツェントラル」から3分ほどで、「市民会館」です。
このプラハの「市民会館」は1905年から1911年に建築家「アントニーン・バルシャーネク」と「オスヴァルド・ポリーフカ」の設計により建設されたました。
チェコ・アール・ヌーヴォーの結晶と言われる「市民会館」は、威風堂々として荘厳華麗な佇まいです。
内装はあの「アルフォンソ・ミュシャ(ムハ)」が手掛けたことでも有名で、内部見学は人数限定時間制。予約しないと満員御礼で入れないことがあるというので、日本を発つ前から10/4 15:00の英語ツアーを公式HPからネット購入(一人250CZK≒1565円)しておきました。
【公式HP チケット予約 https://www.obecnidum.cz/cs/prohlidky/ 】
予約時間まで1時間ほどあったので、建物外観をじっくり見学しながら時間をつぶすことにしました。
【Náměstí Republiky 5】市民会館 建造物
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イチオシ
まずはゴージャスこの上ない正面エントランスです。
「ラディスラフ・シャロン」、「ヨゼフ・マラトヤ」が装飾を手掛けたそうですが、ネオ・バロック風のクーポラ周りの装飾は、ポリーフカ自身ではないかとも言われているようです。
建設当時は「古い街並みには似合わない!」と保守的な懐古主義者からは酷評を浴びたそうですが、いつの時代も新たな試みは否定されるわけです。
ゴシック建築の煤けた街並みをパーッと華やかにしてくれて、いいと思いますけどね~ -
正面のペディメント部分の壁画は、「カレル・シュピラル」のモザイク画「プラハの経緯」で、ボヘミアの民話の一場面が描かれています。
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エントランスの庇部分の装飾は、繊細華麗。もちろん彫刻もあります。
中央にプラハの紋章に似たようなものもありますね。 -
エントランス庇部分の横顔です。
え?しつこい?
だって、私はこの曲線具合のアイアンワーク大好物なんですもの。 -
ガラス部分の装飾。素敵なステンドグラスがアクセントになっています。
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上を見上げると…単純に放射線状に桟を張らないあたりが、憎い。
「P」のマークはプラハの「P」でしょうか? -
内側から見たらこんな感じ。はめ込まれたガラスはパステルカラーのグラデーションで、主張しすぎていないですし、アクセントとなる両サイドのステンドグラスもすっきりしてます。
「繊細な手の込んだガラス細工はまさに工芸品」という方がいましたが、うなずけます。 -
「A.バルシャーネク」のデザインだろうと言われる、建物の2階窓辺周りのアイアンワーク。派手さはありませんが、金色の飾りを用いて華やかな雰囲気を出していますね。ここにも金色の「P」があります。
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外観は堪能しましたので、いよいよ中に入ってみます。入口のフロアマットも可愛いですね。そして中への扉前にはモザイクタイルが敷き詰められています。
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こんなモザイクですが、何を表す図なんでしょうか?
鳩?鷲?が何かに留まっているのかな? -
入口を入るとすぐ左手に「Municipal House restaurant」というレストランがあります。
アール・ヌーヴォー装飾が美しく、メニューにはミュシャの絵がついているとのことでしたが、高級そうで、臆病者の私は入口からこっそり写真を撮ってすぐさま出ちゃいました。 ダッシュ!≡≡≡ヘ(*--)ノ
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ここのトレードマークのご婦人とレッドカーペットに誘われ、いざ内部へ!
内部見学ツアーは、定刻通りにスタート。20人ぐらいの参加でした。
英語ツアーでしたので、様々な国の人が参加されていました。
ありがたいことに、出発前にその他の言語の解説ペーパーをもらえます。ちゃんと日本語もありました。ただ、最後に返却しなければならないので、汚さないように気を付けましょう!
東洋人の女の子二人組が、ドイツ語の解説書をもらっていてビックリしました(笑) -
壁にあったレリーフです。
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こちらはエレベーター。ここにも葉っぱの装飾。輝いてますね~
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階段の手すりや床のモザイクなど、どこも手を抜かない作業がわかります。
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こちらは階段を上がった正面にあるクロークルームの入口。
トイレもこの奥左右にありました。 -
そしてこちらがメインのコンサートホール「スメタナホール」入口です。
「プラハ交響楽団」の本拠地であるこのホールは、チェコの誇る作曲家「ペジトフ・スメタナ」にちなんで名づけられた1200名を収容する大ホールです。 -
どうですか、この美しいホール!
天井中央には、色ガラスと装飾格子で形作られた曲線を描く大きなステンドグラスの装飾窓があり、ホール全体に柔らかな光を注いでいます。
この巨大なアーチ型の天井を支える鋼鉄のリベットによる建設法は、当時としては斬新な建設方法の試みだったそうで、非常に価値あるものだそうです。 -
バルコニー席の上を飾る壁の絵画は、ファサード正面のペディメントを飾っていたモザイク画の作者と同じ「カレル・シュピラル」のもので、それぞれの芸術の形…音楽、舞踊、詩、演劇を表しているそうです。
写真の最下部ですが、バルコニー席の欄干についている肖像は、チェコの作曲家だそうです。 -
ステージ上のパイプオルガンはロマン派のもので、4814本ものパイプからなり、その本数からいっても世界最大のオルガンの一つに挙げられるそうです。
そのオルガンには、スメタナのブロンズ製レリーフの肖像が掲げられています。 -
そして私が一番気に入ったのが、天井近くのこのアイアン装飾。めちゃ好みです。
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「スメタナホール」の次に案内されたのが、ホール横のカフェ。
直線的な椅子など、一部にバロック(またはネオ・バロック)様式が取り入れられているものの、各所にアール・ヌーヴォー装飾を見つけることができます。
主な装飾の特徴は、天井や壁・柱に見られる漆喰の装飾加工とその表面に施された金メッキで、大きな窓と白い壁・天井のせいか、上品で明るい雰囲気です。 -
カフェの椅子や棚などは明るい色の楓の木でできており、そのいくつかは当時のもののままだそうです。
エアコンの吹き出し口の格子部分もアール・ヌーヴォーな、しゃれたデザインです。 -
カフェのドアを抜けると、こじんまりとした部屋があります。
ここは「スロヴァーツコ・サロン」と呼ばれる小さなサロンで、部屋の名前はモラヴィア地方の「スロヴァーツコ」地域の民族模様が装飾のモチーフとなっていることから名づけられています。そのモチーフは壁の模様やカーテンの刺繍などに見ることができます。 -
このサロンの一番の見所が、1909年にアール・ヌーヴォー様式で作られた金属製のカタツムリがついたミニ噴水です。残念ながら今は水は出ていません。
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「スロヴァーツコ・サロン」の隣にはさらに小さなスペースがあります。
ここは、チェコの重要な女流作家である「ボジュナ・ニュムツォヴァー」の名を付けた「ボジュナ・ニュムツォヴァーの小サロン」と呼ばれています。
このサロンには、現在も使用可能な「オズワルド・ポリーフカ」の提案で作られた噴水があります。
カラフルなガラスをはめ込んだモザイクで覆われ、受け皿部分は大理石製で、噴水の上部には光沢加工を施した「ボジュナ・ニュムツォヴァー」の小さな像が飾られています。
とても綺麗だったのに、日差しが強すぎて、うまく写真が撮れませんでした。
ショボーン..._φ(・ω・` )
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「ボジュナ・ニュムツォヴァーの小サロン」を抜けると、比較的大きめな部屋が現れます。
この部屋は「オリエンタル・サロン」と呼ばれる部屋で、アール・ヌーヴォーとオリエンタルな装飾が見事に調和しているところで、主にチェスやカードなどのゲームのためのサロンだそうです。
市民会館が建設された当時は、東洋への関心が高まっている頃だったこともあり、イスラム・アナトリア美術にインスピレーションを受けてデザインされた部屋だそうです。
天井の装飾が独特で綺麗ですよね。 -
このサロンにある調度品には贅沢に彫刻が入っていたりして、なかなか見ごたえがありますが、元来の姿を完全に保っており、その配置は1912年のままだそうです。
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逆光でキレイに写せませんでしたが、窓辺に置かれたこの引き出し式のテーブルは、チェスやカード遊びのためのものだそうです。
暖房器具を覆っているカバー?の装飾も手が込んでいます。 -
「オリエンタル・サロン」の次に案内されたのが「グレーグル・ホール」です。
この部屋の名前は、19世紀の重要な政治家で「国民新聞」の創始者であった「ユーリ・グレーグル博士」にちなんだものだそうです。
このホールはもともとパーティーや社交のための娯楽施設として作られたそうです。大きなシャンデリアは「フランチシェク・クシジーク」の作品だそうです。 -
壁には大きな絵が3つ据え付けれています。左から「悲恋の歌、戦争の歌、弔いの歌」という生命の誕生から死に至るまでの過程を表しているそうです。この絵は中央の一番大きな絵「戦争の歌」です。
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その次の部屋は「パラッキー・ホール」。
19世紀の国民の文化生活のための重要な活動家で、歴史家、政治家でもあった「フランチシェク・バラツキ―」にちなんで命名されたホールです。
このホールは、壁や天井を「ヤン・プレイスレル」の絵画で飾っています。
天井画は「少女と飛翔する鳥たち」と題されています。壁にある絵画は、彼の想像上の風景画だそうです。どの絵画も淡い色合いで、落ち着きます。
シャンデリアもすっきりとしていて素敵でした。 -
イチオシ
そして、内部見学のメインエメント「市長ホール」です。
なぜメインエメントなのかというと、このホールの装飾は全てあの「アルフォンソ・ミュシャ(ムハ)」によるものだからなのです。愛国心の強かったミュシャは当時チェコを離れていたにも関わらず、これらの作品やデザインをすべて無償で引き受けたそうです。 (チェコ語では「ムハ」ですが、ここではなじみのある「ミュシャ」を使用したいと思います)
「スラヴの団結」という名を持つ天井画は、スラヴ民族の人々の営みが遠景に描かれており、その空の中央には翼を盾にしてその人々を守っている大きな鷲の姿が描かれています。そして、その天井に向かって描かれている8人の人物は、チェコの歴史上の重要人物で、絵の下にはそれぞれの人物の性格を象徴する言葉が、ミュシャ独特の飾り文字で書かれています。 -
たとえば写真左側は、南西ボヘミアの国境を守っていたホツコ人。「Ostražitost(番人)」と書かれています。右側は、ドゥバーの「ヤン・ロハーチ」を描いていて「Nepoddajnost(厳格さ)」と書かれています。
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壁にも大きな絵が3つ描かれています。
これはミュシャの国を愛する心から、チェコ民族が歩んだ暗い歴史と、これから訪れるであろう明るい未来を夢見て描かれた「犠牲(過去)、自信の力(未来)、男らしさ(現在)」という題の絵です。ちなみに写真の絵は、「犠牲(過去)」です。
ところで、8人の人物画の下にそれぞれ飾られている女性の顔、どこかで見たような…建物入口のカーペットに書かれていた顔とよく似てませんか? -
この部屋のステンドグラスは、いかにもミュシャデザインといった感じですよね。
このステングラスの効果によって、ホール全体に魅惑的な雰囲気が醸し出されていました。 -
クジャクをモチーフにした見事な刺繍が施されているこのカーテンも、もちろんミュシャのデザインです。
この部屋のソファーにもミュシャの絵が描かれていたのに、写真撮り忘れました。。。
ガ━━(´・д・`|||●)━━ン
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次の間へと続く扉上のガラス装飾も花がリボンのようになっていて、乙女心をくすぐられます。←誰が乙女?と突っ込むところです。 (≧∇≦)
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「市長の間」の感動冷めやらずではありますが、次の部屋へ。
この部屋は、重要な政治家で新聞記者でもあった「フランチシェク・ラヂスラフ・リーグル」の名にちなみ、「リーグル・ホール」と呼ばれています。彼は、熱烈な愛国心の持ち主としても有名です。
主な装飾は、壁にある「マックス・シュヴァビンスキー」により描かれた「チェコの春」というタイトルの二つの絵画で、左の絵には5人の作家が、右の絵には彫刻家と2人の画家、そしてなんと、スメタナ(右から二人目)とドボルザーク(一番右端)が描かれています!
この10人が活躍した時代も地域もバラバラなので、実際に一つの絵画の中に並んで描かれることはありえないそうで、スメタナとドボルザークが並んで一枚の絵に収まっているのは、世界中でもかな~りレアだそうです。 -
見学ツアー最後の部屋は、「スラトコフスキー・ホール」です。
19世紀のチェコで活躍した新聞記者で、政治家でもあった「カレル・ストラコフスキー」の名がついたホールだそうです。
これまで見てきた部屋やホールが美しい装飾の渋滞気味だったので、シンプルな造りのこの部屋は、最後の部屋なのにちょっと物足りなさを感じてしまいました。 -
もちろん、手の込んだ細工のある時計などもあり、天井近くにある菩提樹の葉で飾った女性の顔とその下の幕の装飾は、典型的なアール・ヌーヴォー様式なんですけどね。
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真鍮製のシャンデリアは、当時のままの姿を保っているそうですが、この部屋で私の目を一番引いたのは、空調の換気口の格子の装飾でした。
見学ツアー締めくくりには十分の美しさ。しつこいようですが、こういう装飾大好きです。
約1時間の内部見学ツアーはこの部屋で終了です。
「市民会館」には、外観見学を含め2時間滞在。いつもせわしない私の旅においては珍しく長時間かけてじっくり見学し、堪能しました。
この日のスケジュールもいよいよ終盤。
夕方から夜の様子は【後編】で~。
comming soon ←できるのか?
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