2023/11/05 - 2023/11/05
170位(同エリア280件中)
ちゃんさん
2017年の九州北部豪雨で大きな被害を受けた日田彦山線の添田~夜明間は、JRと地元の攻防の末、バス高速輸送システム「BRT」としてこの夏、復旧しました。
バスはいよいよ、BRTのBRTたるゆえんの専用道へ。最後まで鉄道復旧を求めた東峰村が得たもの、失ったものを見ていると、何が正解だったのか分からなくなってしまいました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 友人
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 高速・路線バス JRローカル
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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道の駅・観遊舎ひこさんから、日田彦山線BRT「ひこぼしライン」の旅を再開します。今度は黄色の電気バスがやって来ました。
1本前のバスは、続行便がなければ満席超になるほどの混雑で心配していましたが、全員座れてほっとしました。歓遊舎ひこさん駅 駅
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歓遊舎ひこさんから先も、彦山駅まで一般道を走ります。車両が最新鋭の電気バスというだけで、普通の路線バスと変わりません。
BRTひこぼしライン 乗り物
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2017年の九州北部豪雨以降も、大小の水害が続く地域。防災対策の工事は、今も続きます。
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急な坂を上り、彦山駅の駅前広場へ。日田彦山線の線路跡を利用した、専用道に入ります。
バスが1台通れるだけの幅しかないため、バスのすれ違いは所定の待避所で行う決まり。待避所間でバスが2台入らないよう、タブレットの画面で指示が入ります。彦山駅 駅
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彦山駅は豪雨に伴う部分運休後も、歴史ある古めかしい駅舎が健在でした。
BRT化を前に取り壊されたと聞いた時には残念でしたが、こざっぱりした新駅舎ができていて安心。英彦山神宮へは、町営バスとスロープカーが結びます。 -
専用道を快調に走るバス。渋滞に邪魔されず、鉄道並みの速達性が確保できるというのが専用道のメリットです。
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ところが一般道との交差部分では、専用道側に遮断機があり、一旦停止します。遮断機がない交差点でも徐行を行うので、実のところ平均速度は列車と比べ物にならないほど遅いのです。
東北のBRTも似たようなもので、どげんかならんとでしょうか。 -
道路より1段高い位置を走り、鉄道時代のような車窓になりました。
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山間の風景が流れたのも束の間、バスは彦山トンネルに入ります。このトンネルこそが単なるバス転換ではなくBRT化の原動力となったもので、峠を突っ切るバイパス効果があります。
また峠道は雪害にも弱く、雪のシーズンに連日、代行バスの運休の情報が地元朝ワイドで流れていました。 -
長い闇を抜け、筑前岩屋駅へ。彦山トンネルから沸く水を汲めることから、車で訪れる人も多い駅です。
個人的には被災前、友人とキャンプに来たり、ヨメさんと蛍を見に来たりといった、思い出のいっぱいある駅でもあります。筑前岩屋駅 駅
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2008年、キャンプ帰りに撮影した筑前岩屋駅。
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2018年、ダイヤ改正で代行バスの乗り入れが始まった翌日の筑前岩屋駅。
「代行バスで来たんだね!」と喜んでくれた駅前の家のおじさん、元気にされているかな? -
この駅で、日田方面からのバスと行き違います。2台あるハイブリッド式の大型バスで、ラッシュ輸送対応用です。
最新式と言っていいバスなのに、電気バスに比べると(エネルギーの優位性は置いておいて)前時代感が出るのが逆にすごい。 -
もともと専用道は、彦山トンネルを抜けた筑前岩屋までの予定でした。しかし鉄道での復旧を最後まで求めた東峰村への配慮から、村内南端の宝珠山駅まで専用道に。
歴史的な鉄道遺産でもある めがね橋を渡るバスから、棚田百選にも選ばれた里山の風景が広がります。めがね橋ライトアップ イルミネーション
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この車窓をまた見られて、旅人としては嬉しい限りです。
しかし一般道沿いの集落の住民は、BRT利用できません。当初の構想にあった蛍の名所・棚田親水公園への駅設置も見送られ、観光客の呼び込みにも影を落とします。 -
30度に迫り半袖で過ごしている中で、色づいた銀杏を眺める不思議体験。鉄道のような車窓なのにバスから眺めていることで、不思議さが倍加します。
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大行司駅では、駅時代のホームが残されていました。
大行司駅 駅
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バス停部分はもちろん低床。デザインされた上屋が設けられています。
高台に位置する駅で、駅間広場から乗り場までの階段はなんと80段! 一般道路を経由すれば存在しないバリアで、これでいいのかという思いが増してきます。 -
大行司~宝珠山間には西鉄の路線バスも走っているので、地域内の輸送は分担しているともいえるかも。
でも本数は少なく、せめて朝夕くらいはBRTを一般道経由にして、西鉄バスと相互補完できないものかと思います。 -
なお東峰村ではBRTを補完するため、予約制の無料乗り合いタクシーを運行中とのこと。土休日も運行していますが、予約受付は平日のみなので、予定が決まったらお早目に予約を。https://vill.toho-info.com/10000/10100/post-492.html
宝珠山駅で専用道は終わり。鉄道時代そのままの駅舎が懐かしいです。宝珠山駅 駅
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大肥川を渡って、一般道へ復帰しました。
2017年には何度か災害ボランティアに行き、東峰村でも大肥川沿いの家の泥出しを頑張ったのですが、護岸工事のため立ち退きになったようで、ちょっと複雑な気分。 -
代行バスの頃から積極的に停留所の増設に取組まれていて、BRTになっても多くが「駅」に昇格しました。もちろん専用道区間では、廃止になった停留所が多いです。
「駅」とはいってもポールが立つだけで、バス停以外のなにものでもありません。 -
大鶴駅は道路から離れており、鉄道時代の駅は廃止に。一方で、同じく離れている今山駅は、わざわざ国道から離れて旧駅に立ち寄ります。
今山駅 駅
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駅周辺には民家があり、引き続き需要に応えねばならないということでしょう。タイムロスもやむを得ないことです。
旧駅同士を効率よく結ぶという点では、専用道に分があります。 -
またも銀杏の洗礼。
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BRT専用道か一般道かという悩みを意味なきものに帰すような、立派な高速道路が見えてきました。久大本線との接続駅、夜明は間もなくです。
日田彦山線時代の列車は久大本線を日田駅まで乗り入れており、BRTに変わっても久大本線に平行して、日田市内まで走ります。 -
日田までお付き合いしていると帰りが遅くなるので、僕らは夜明で下車。駅が道路より高い位置にあることから、添田のように対面乗り換えはできず、道路沿いに停留所が設けられています。
夜明から乗るファミリーがいたのはびっくり。夜明駅 駅
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夜明駅でBRTから列車に乗り換えようとすると、駅舎に至る急な階段が避けられません。これ、無理してでも解消すべきだったのでは?
列車時代の同じ方向の乗り換えも、跨線橋の上り下りがあったことを考えると、同じと言えば同じですが。 -
夜明駅名物、夜明の鐘をカーン!
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と慣らしていたら、博多方面への ゆふいんの森が駆けて行きました。
「見られてよかったね!」とは、素直な子ども目線の気持ち。
「夜明に止めてくれれば乗れたのに」とは、ひねくれた大人目線の気持ち。ゆふいんの森 乗り物
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駅舎内にはBRTの案内表示板が設置され、バスの運行状況がよく分かります。
列車の案内は、遠隔による自動放送のみ。列車の位置情報くらい、同じ端末に合わせて流せそうなものですが。 -
駅舎前のマンホールは、BRTのデザインになっていました。
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夜明駅の跨線橋から、久留米方向を眺めます。一番右側が日田彦山線ホームだった3番乗り場の跡で、線路はすでに撤去済み。さみしいものです。
ただ列車が来なくなったことで、ホームから直接外に出られる裏口を設けることが可能になりました。集落の人にとっては、歩く距離が半減したはずで、大きな改善です。 -
17時15分発の添田方面のバスが発車して行きました。上から見ても、かわいいデザイン。輝く地域の星となれ!
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僕らは17時22分の列車で、久留米に戻ります。元「赤い快速」の、オールクロスシートの車両でした。
JR久大本線 乗り物
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おかげで、余裕で着席。4席だけは車いすへの対応もあって撤去されてたけど、鹿児島本線の列車に比べれば、ずっと優しい車両です。
のんびりローカル線のイメージがある久大本線も、平野部の直線区間では飛ばすので、かなり早いです。夜明から久留米まで54分は、車じゃ無理。 -
夜明駅でもきっぷは買えなかったので、BRTのバスで貰った乗継券を出して、改札で精算しました。省力化を進めている中で、人頼みのシステムを新たに作る矛盾…。
いろいろ考えごとに至ってしまう道中ではありましたが、純粋に楽しい旅になりました。ひこぼしライン沿線は他にも見どころいっぱいで、また訪ねたいです。
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日田彦山線BRTひこぼしラインの旅
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