文化の日、湯島天満宮から上野公園、旧岩崎邸庭園まで散策してきました。

2023/11/03 - 2023/11/03

秋にもかかわらず、暑さが残る一日、菊祭りが行われている湯島天天満宮から、この日に限って無料で入館できる国立博物館、科学博物館、西洋美術館まで、上野公園内を散策してきました。参拝客が少なかった湯島天満宮から上野公園に近づくにつれて、海外からの観光客を含め人数が多くなり、上野が東京の中心的な観光地であることを実感しました。3つの博物館と美術館はどこも子供連れで混雑、早々に退館してしまいました。そんな一日の散策記録です。

エリア 上野・御徒町(東京)

• 旅行の満足度: 4.0

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: JRローカル 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

本郷3丁目から湯島天満宮に向かう際、春日通り沿いに建つ春日局の像を見つけ立ち寄りました。1624年に徳川家光の乳母春日局が開基した臨済宗寺院です。木造瓦屋根の山門を左に進むと、苔と木々の庭の奥に木造本堂が建っています。

麟祥院 寺・神社・教会

墓地へ向かうと東洋大学発祥之地の石碑があり、1887年に東洋大学の前身である哲学館を井上円了が麟祥院の境内の一棟を借りて開校したことが説明板に記されていました。

麟祥院 寺・神社・教会

案内板に従って墓地を歩くと、稲葉家の墓所の奥に春日局の墓があります。四方に穴が貫通した無縫塔の墓石は珍しいです。死後も天下の政道を見通したいという強い意志を感じました。静かな庭園と歴史を伝える寺院です。

麟祥院 寺・神社・教会

11月から3週間に渡って菊まつりが開かれていました。NHKの大河ドラマ・どうする家康をイメージした3体の菊人形や、千輪咲き、懸崖作り、盆養などの菊が展示されていました。中には小学生が育てた菊も並んでいました。祭りが始まって3日目だったため、花はまだ十分に開いていませんでしたが、訪れる人も少なくゆっくり菊を観賞することができました。

湯島天満宮 寺・神社・教会

展示物１，どうする家康をイメージした菊人形

湯島天満宮 寺・神社・教会

展示物２，懸崖作りの菊

湯島天満宮 寺・神社・教会

展示物３，千輪咲きの菊

湯島天満宮 寺・神社・教会

上野高校の隣に建つ天台宗寺院です。1625年に天海僧正により東叡山寛永寺が開かれたのと同時に子院として建立されました。徳川家光から贈られたと言われている大黒天画像は谷中七福神の一つとして篤く信仰されています。境内に桜やズダジイの大木があり、静かな境内でした。

護国院 寺・神社・教会

日本を代表する多くの音楽家や美術家を輩出している大学です。キャンパスには芸術大学らしいおしゃれな校舎が建ち、ギャラリーや学生たちの作品を販売しているアートプラザに向かいの門は、重厚で落ち着きが感じられました。道路を挟んだ向かいには無料で入れる美術館があり、100mほど離れた上野公園内には、学生のコンサートが開かれる奏楽堂が建っています。

東京芸術大学 名所・史跡

上野公園に建つ黒田記念館の向かいに、京成電鉄の日暮里駅と上野公園駅の間に設置されていた駅の出入口が建っています。利用客の減少と4両編成の列車しか停車できないなどの理由から、1997年に駅の営業を停止しました。地下にある駅のホームや階段は残っているとのことですが、駅に立ち入ることはできません。地上に建つ出入口はコンクリート製のがっちりした建物で歴史が感じられました。

博物館動物園駅跡 名所・史跡

1890年に東京音楽学校本館として建設された、日本初の本格的音楽ホールです。壁面や床下に藁やおがくずが詰められ遮音効果を上げる工夫がされています。1987年に保存のために現在地に移築されました。100年余りのパイプオルガンがあるのも特徴です。クラッシック専門ホールとして活用され、音楽資料館として公開されていますが、公演のある日など公開されない日も多く、訪れる際は事前に調べておくことが望まれます。

台東区立旧東京音楽学校奏楽堂 名所・史跡

東京国立博物館に残る、鳥取藩池田家江戸上屋敷の正門。
両側に唐破風の番所があり、風格が感じられました。

東京国立博物館 美術館・博物館

本館は1938年に、東洋館は1968年に、平成館と法隆寺宝物館は1999年に開館しました。文化の日は常設展を無料で観覧できました。海外からの観光客も多く訪れ、特に彫刻や刀剣を熱心に見ていました。

東京国立博物館 美術館・博物館

展示物４，重要文化財に指定されている遮光器土偶

東京国立博物館 美術館・博物館

展示物５，アイヌの民族衣装

東京国立博物館 美術館・博物館

本館と平成館の裏に木々が多い庭園があり、館内の混雑から解放され癒されました。平成館の特別展やまと絵は時間ごとに入場者が制限されていて行列ができていました。

東京国立博物館 美術館・博物館

東京国立博物館隣に建っています。1644年に前年に亡くなられた慈眼大師を祀るために創建されましたが、寛永寺本坊内にあった慈恵大師像を移して慈眼大師と慈恵大師を祀ったことから両大師と言われています。

開山堂 両大師 寺・神社・教会

木造瓦屋根の本堂の前に、銅製燈籠が４基あり、毎月３日に護摩供祈祷が行われています。隣の輪王殿駐車場との間に幸田露伴旧宅の門があるのも見どころの一つです。にぎやかな上野公園の向かいにありますが、静かな境内です。

開山堂 両大師 寺・神社・教会

JR上野駅北側の線路の上に架かる橋です。車の交通量は多くなく、100ｍを越える長さです。歩道が両側にありますが、歩く人は少ないです。両大師橋の西側に上野公園を訪れる大型観光バスの広い駐車場があります。上野公園内は平日休日共に、海外からの観光客や博物館や美術館を訪れる人々、修学旅行生たちが多く大変にぎやかですが、両大師橋付近は静かです。上野駅を発着する電車を見るのによい場所です。

両大師橋 名所・史跡

地球の変動や、人類の誕生と進化、科学技術の歩みなどを日本列島の視点だけでなく、地球レベルで学ぶことができる博物館です。恐竜の化石や動物のはく製、衛星からの地殻変動観測の仕組みなど多くの展示物が並んでいます。じっくり見ると1日では到底見学できない展示物の多さです。事前に見学エリアを考えておくことが望まれます。見学に疲れた場合は屋上にあるハーブガーデンと広々としたスカイデッキで休憩することもできます。文化の日は入館無料のため、子供連れを含め多くの人で賑わっていました。

国立科学博物館 美術館・博物館

展示物６，日本人と自然

国立科学博物館 美術館・博物館

展示物７，日本列島の生い立ち

国立科学博物館 美術館・博物館

国立科学博物館の入口に展示されています。1939年に日本国有鉄道長野工場で製造され、東海道本線、山陰本線などで活躍し、1975年に北海道追分機関区で休車するまで、約216万ｋｍを走行したと説明板に記されています。

蒸気機関車D51231 名所・史跡

第二次世界大戦後、フランス政府に差し押さえられていた松方コレクションの寄贈返還を受けるために設立されました。ル・コルビュジエが設計した建物も観賞できる美術館です。1959年に完成しました。

国立西洋美術館 美術館・博物館

常設展に聖書の場面を描いた作品が多く、ギリシャ神話を題材にした作品もありました。モネなどの松方コレクションやミロ、ピカソなど自分でも知っている芸術家の作品が展示されていました。一部の作品以外は写真撮影ができました。

国立西洋美術館 美術館・博物館

上野駅公園口改札近くに造られている小さなギャラリーです。グループや集団で活動している人たちの展示施設として利用されているようです。

東京パークスギャラリー上野 美術館・博物館

訪れた時はボタニカルアート展が開かれ、花を題材にした絵画が展示されていました。ギャラリー隣にはテラス席もある広々とした食事処があり、低価格で簡単な食事をとることもできます。

東京パークスギャラリー上野 美術館・博物館

公園内の桜並木。
うえの華燈路浮世絵行燈のイベント中で、上野東照宮の参道から京成上野駅近くまで小さな浮世絵行燈が設置されていました。夜は噴水がライトアップされ行燈が灯り、幻想的になるようです。

上野恩賜公園 公園・植物園

上野公園内にある、きれいに整備された野球場です。球場前の植え込みにはボールが描かれた碑と説明板が立っています。それによると、日本に紹介されて間もない野球を上野公園で楽しんでいたことや、英語を打者や走者、直球などに訳したことなどから野球殿堂入りをしたと記されています。日本がWBCで優勝したり、最も人気のスポーツの一つになったりしていることに、子規は喜んでいるに違いありません。

正岡子規記念球場 名所・史跡

1627年に藤堂高虎の屋敷内に創建された、徳川家康、吉宗、慶喜を祭神とする神社です。1651年に徳川家光によって造営され、社殿は金色に輝き、四脚の唐門は透塀で昇り龍と降り龍の彫刻が施されています。

上野東照宮 寺・神社・教会

唐門近くには諸国の大名が家康の霊前に奉納した、大名の氏名と役職、奉納年月日が刻字された50基ほどの銅燈籠が並んでいます。

上野東照宮 寺・神社・教会

参道脇にも銅燈籠と同じような220基ほどの石燈籠が並んでいて、いつ訪れても落ち着きが感じられます。テレビの撮影ではいつも社殿の中に入っている様子が映し出されますが、一般の参拝客は入ることができず残念に思っています。

上野東照宮 寺・神社・教会

上野公園の桜並木沿いの小高い丘に、薬師如来を祀るパゴタ薬師堂と併設され、大仏の顔の部分のみが残っています。釈迦如来として江戸時代に建立されたものの、関東大震災で頭の部分が落下してしまい、胴体部分は太平洋戦争で金属を供出したため、顔のみが残った大仏です。これ以上落ちないということから、合格祈願の大仏として多くの人が参拝に訪れています。顔が祀られている手前には、砂金石や水晶が飾られています。参拝に訪れている人はわずかでしたが、受験シーズンには多くの人が参拝に訪れることと思います。

上野大仏 名所・史跡

五條天神社と並んで建っています。かつて神社付近にお花畑があったことから名付けられた神社で、旧社殿の跡にはお穴様と呼ばれる、小さな穴が掘られた神社が残っています。寛永寺創建の際に住みかを失った狐たちのために洞窟を造り、その上に祠を建て祀ったと伝わる洞穴に残る神社です。神社に向かう通路に赤い鳥居が並んでいることから、海外からの観光客が多く訪れ鳥居の前で写真を撮っていました。訪れる人の70％ほどが外国人だったように感じました。

花園稲荷神社 寺・神社・教会

天の神を祀ることから五條天神と呼ばれ、薬祖神として篤く信仰されています。花園稲荷神社に比べ、五條天神社を訪れる人は少なかったですが、参拝している人たちは心を込めて参拝していたのが印象的でした。

五條天神社 寺・神社・教会

上野公園の一画、不忍池に建つ弁天堂の隣に建つお堂です。福を招く大黒様が祀られていて、祀られている大黒様は豊臣秀吉が大切にしていたという伝説があるそうです。徳川家康の側近だった天海大僧正が建てた弁天堂の隣に、豊臣秀吉が大切にした大黒様が祀られていることに違和感を覚えました。弁天堂には多くの人が参拝に訪れていましたが、大黒堂はだれも参拝していなかったのが不思議に感じました。

不忍池大黒天堂 名所・史跡

江戸時代初めに天海大僧正によって建てられたお堂で、不忍池を琵琶湖に、突き出た場所を竹生島に、弁天堂を宝厳寺に見立てて造られました。かつて弁天堂への参拝は船で行っていたそうですが、現在は橋が架けられています。琵琶で知られる弁財天で、蓮の花で知られる不忍池に建っていることから、絵馬は琵琶や蓮の形をしていました。地元の人や仕事に向かうビジネスマンが多く参拝に訪れていて、多くの人に信仰されている様子が伝わっていました。

不忍池弁天堂 寺・神社・教会

上野公園内で最も古い建造物です。徳川家康の側近だった天海大僧正が、京都の清水寺に見立て、舞台造りで建てた重要文化財指定されている建物です。お堂の右側には、子授けや安産にご利益があるとされる子育て観音が祀られていて、可愛がってきた人形に感謝する人形供養も行われています。観音堂近くからは、琵琶湖に浮かぶ竹生島に建つ宝厳寺に見立てた、不忍池や弁天堂を眺められます。

寛永寺清水観音堂 寺・神社・教会

JR上野駅広小路口前に建つ大きな碑です。碑には蒸気機関車から降りて、荷物片手に東京にやっていた人たちが描かれています。碑には親元を離れ就職のためにやってきた、少年少女の心を表した“あゝ 上野駅”の歌詞も刻まれています。昭和30年代の上野駅の様子を表した碑で、シニア世代には懐かしく感慨深く感じる人も多いのではないかと思います。

「あゝ上野駅」歌碑 名所・史跡

上野駅側のアメ横入口に建つヨドバシカメラの建物横に、1本の木と石柱が建つ狭いエリアにひっそりと残っています。門に置かれた説明板によると、室町時代中期から上野山に鎮座していた古社で、薬祖神として信仰されていたそうです。江戸時代には五條天神門前という町屋が形成され賑わったとのことです。当時の賑わいがどの程度だったかはわかりませんが、上野公園内に移転した現在も参拝客が訪れています。

五條天神社旧社地跡 名所・史跡

京浜東北線・御徒町駅から15分ほどのところに建つ、三菱三代目社長の本邸として建てられた庭園です。園内には素晴らしい装飾と金唐革紙が施され、主に岩崎家の迎賓館として使用された洋館と、書院造りを基調とした、岩崎家の日常生活の場として使用された和館、ビリヤード場が保存されています。

旧岩崎邸庭園 公園・植物園

和館の様子です。
館内には書院造の部屋が残っています。

旧岩崎邸庭園 公園・植物園

洋館内の様子です。
豪華な装飾が施された柱と壁、天井、マントルピースに目を奪われてしまいました。

旧岩崎邸洋館 名所・史跡

洋館の2階に造られたベランダの様子です。
ベランダからは芝庭を見下ろすことができます。

旧岩崎邸洋館 名所・史跡

旧岩崎邸撞球室の内部の様子です。
広々とした庭園と邸宅ですが、現在残る敷地は建設当時の3分の1ほどになってしまっているとのことで、明治時代の敷地がどれほど広かったかが想像できます。午前11時と午後2時に45分ほどの無料庭園ガイドが行われているので、参加するとより詳しく庭園と邸宅のことが理解できます。

旧岩崎邸撞球室 名所・史跡