2023/09/17 - 2023/09/17
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観光地として有名な、立山黒部アルペンルート。
そのすぐ南隣に殆ど知られざる別世界があります。
それは、、 【 立 山 カ ル デ ラ 】
立山カルデラは富山県の常願寺川上流にあり、ちょうど立山黒部アルペンルート室堂平の南側にある、すり鉢状の地形で日本有数の土砂崩壊地です。
立山では約10万年前に噴火し、活発な火山活動から浸食されて、東西6.5キロ、南北4.5キロのすり鉢状の巨大な窪地が出来ました。
これが「立山カルデラ」です。
1858年(安政5年)にM7.1の巨大な直下型地震がおこり鳶山が大崩壊、土石流となり富山平野が大被害を被りました。
現在もまだ、いつ崩れるかわからない2億m3(立米=立方メートル)もの不安定な土砂が残っており、大雨が降ると大被害となる危険があります。
ここでは国土交通省による終わりのない砂防工事が行われており、工事資材や作業員の運搬にトロッコ(砂防工事専用軌道)が設置されています。
このあたりは危険地帯なので工事関係者以外立ち入り禁止で、一般観光客はトロッコに乗ることは出来ません。
「時刻表に載らない鉄道」では日本最長距離18kmの軌道です。
写真:立山砂防トロッコと水谷の滝(通称:天涯の滝)
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★2014年の体験学習会は5月上旬から募集が始まります。
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このブログは旧Nifty- Serveのフォーラムからの移植で、書き下ろしではありません。写真は当時出始めのデジカメによるものであまり鮮明でないことをご承知おきください。
カルデラ内部の写真は、後日健脚コースで撮影したものも追加しています。
*写真を一部、後日撮った同等の鮮明なものに差替え、追加しました。
トロッコの線路図(74枚目)を最新の状態に修正しました。 2023-12-4
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 3.5
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- JR特急 JRローカル 私鉄
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
PR
-
【プロローグ】
思い起こすと2004年の正月、雑誌で「立山砂防工事専用軌道」の記事を目にした。
富山県の立山は国内有数の土砂崩壊多発地域があり、そこでは国家プロジェクトの砂防工事が行われており、その資材や工事要員の運搬のために施設された大規模なトロッコ軌道があって、一般人は立入禁止で乗れないことなどが描かれていた。
工事用トロッコとしては世界2位の規模を誇り全長18キロ、標高差は641m、途中スイッチバックは世界最多の42段もあるそうだ。120両もの車両を保有している。
検索エンジンで調べると「乗った」という記事が3件見つかり、うち1つは工事業者とのコネで乗ったというもの、2つは「体験学習会」に参加したというものだった。コネなんか無いから体験学習会に参加するっきゃない。
しかしよく読んでみると、この学習会への参加は相当敷居が高そうである。
砂防とは:土砂災害などを未然に防ぐための工事、事業のこと
「砂防」に対する外国語はなく「SABO」が世界共通語になっている。 -
トロッコって一体どこにあるんだろう??
早速本屋に行き、地図を買ってくる。
国土地理院の地形図「立山」。
眺めていると、立山駅からケーブルの南東方向をくねくねと山中に入ってゆく線路図を発見、「砂防工事専用軌道」と書かれている。おっこれだ! -
更に右を見てゆくと、ついにアルペンルート「称名坂」の南方約2キロに激しくジグザグに曲がる線路を発見!!
これこそ、立山砂防軌道の名物、18段連続スイッチバックである。
うん、こりゃどうしても行かなきゃ。 -
「立山砂防体験学習会」のトロッココースは7月~10月の水曜日のみ開催で、毎回20+20人の定員。専用ハガキで応募して当選しないと参加できない。
倍率は3倍から20倍程度で、夏休み期間と10月が特に高く、どうやら9月の倍率が低めらしい。
一番倍率の低かった9月17日に賭けてハガキを送った。
8月中旬、分厚い封筒が届く。当たった、、「 21T」コース!!
しかも幸運にも2班(往路トロッコ組)に割当~\(^o^)/
やはりトロッコは山下りより登りでしょ。
【参考】 令和5年富山県の募集ページ
https://www.pref.toyama.jp/1505/hakubutsukan/2022taiken1.html
令和2年 砂防博物館の募集ページ
https://www.tatecal.or.jp/tatecal/taigaku2019/db_taigaku.html
*上記は年度が変わるとアドレスが変わります。 -
さて、抽選に当たったは良いがこの学習会、天候や工事の都合でよく中止になり代替え日はない。中止になったらそれで終わり。
年間の実施率は60~70%くらいとのこと。
前日正午の予報で降水確率が50%以上だと中止になり参加者に連絡が来る。
もう実施日の10日くらい前から毎日天気予報を見るのが日課となり、部屋には多数の「てるてるぼうず」が。。
もうこりゃ神頼みしかないわい。(-∧-;)ナムナム神様仏様・・・
自己都合でキャンセルするとその年は参加資格を失い、翌年以降の再抽選となるので親が死んでも行かなきゃ・・・。 -
天気予報が運よく”晴れ一時曇り”となり、前日までに中止の連絡はなかった。
実施確定!!! よしよし(= ̄▽ ̄=)V 一番の難関を突破です。
夜行列車「急行能登」で富山に向かう。上野23:33⇒富山5:41
JR西日本のボンネット型電車489系でした。
「特急白山」にも使う車両で、座席が思いのほかボロく背中が痛かった・・・ ヾ( ゚д゚)ノ゛上野駅 駅
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富山から富山地方鉄道に乗り継ぎ、早朝立山駅へ。
電鉄富山6:33⇒立山7:35
集合場所の「立山カルデラ砂防博物館」はすぐ駅前のロータリーに面している。
本人確認ののち当選ハガキと参加費1700円(保険料など)と「危険は承知」の誓約書を提出し、パンフレット、ヘルメット、行程表、見学者バッジを受け取る。
保険に入っていても落石は起こる時には起こるらしい。
写真:岩峅寺駅にて岩峅寺駅 駅
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さすがに欠席者は誰もいなく、40名ちょうどが集合。
1班の20名は往路バス、復路トロッコなので小型のバスに乗りこみ、先に出発してゆく。
博物館のお姉さんたちがお見送り。 -
本日の行程表です。我々2班は右側。
10:20にトロッコが出発して12:05に水谷着。
そこから天蓋の湯、白岩ダム、六九谷、多枝原平(だしはらだいいら)、天蓋の水、跡津川断層などを徒歩orバス移動で見学して16:55に博物館に戻る行程。
折立の検問所から内側は関係者以外立入禁止区域です。 -
写真は当日頂いたパンフレットに綴じ込んであったMAPで、地理院の2万5千分の一地形図にカルデラ施設が加刷されたもので、まさに目からウロコの逸品。
これまでナゾだった位置関係がよくわかる。 -
受付が済むと、30分弱の時間があったので博物館の裏側からトロッコの基地に回って見物。
機関車にはそれぞれ、薬師、剣岳、白岩などの名前が付けられヘッドマークがついていた。資材運搬や、作業員を乗せた工事列車が次々と出発してゆく。 -
9:50再集合
我々2班20名は往路がトロッコなので、隣の立山砂防工事事務所を通り抜け、裏手のトロッコ基地へ。簡単なホームのようなところから先着順に乗り込んでゆく。
先頭の席が奪い合いだったが、機関車の次位で見晴らしが悪そうなので最後部に座った。
3人連れが1組だけであとは2人か、お一人様。
大勢で申し込むと5年申し込んでも一向に当選せず、1人のほうが当たりやすいのだとか会話が聞こえた。
定員が少ないので、1人だと人員調整用にすき間に押し込めるんでしょうね。
遠来者が多いかと思ったら、意外にも地元富山の方が約半数いた。立山カルデラ砂防博物館 美術館・博物館
-
こちらが、これから乗る人員輸送車(人車で客車とは言わない)で三越製。
3名x3列で定員9名。
1編成3両連結なので、最大27名を輸送できる。
ここから帰路の折立検問所を出るまではヘルメット必須なので全員ゲストの黄色ヘルをかぶる。説明員は緑、砂防の職員は青、工事作業者は白と決まっている。
トロッコは速度が15キロ以下なので、そんなに乗り心地は悪くない。 -
トロッコ人車の天井はガラス貼り。
これは観光のためでなく、上部からの崩壊や落下物がないか見張るためだという。 -
正面奥が千寿連絡所。ここの標高は476m。
10:20出発。
いきなりバックで発車し構内で続けざまに3回スイッチバックを行ったのでもうビックリ。
その迅速なこと、停まったと思ったら1、2秒で逆向きに反転発車。。。 -
本線に入ると、立山ケーブルカーのすぐ脇を通り抜けます。
一瞬の差でケーブルとの並びは撮れなかった。
千寿4スイッチバックより。
軌道のゲージ(軌間)は610mmと日本で一番狭い。
一方、左に見える立山黒部貫光立山ケーブルカーは、1067mmゲージでJRの在来線と同じ線路幅。 -
千寿の4段スイッチバックを過ぎると20mほど高度をかせぎ、立山駅前の様子が一望できる。
左奥の建物が立山砂防工事事務所。右手前の赤い屋根が立山バスセンター。 -
砂防工事事務所の裏側に先ほど出発してきたトロッコの基地が見えて来る。
この後、左に回り込み街並みをはなれて常願寺川に添って登って行く。 -
トロッコは常願寺川に添ってぐんぐん高度を上げてゆく。
眼下には空谷(からたに)砂防ダム(2段)が見える。
左上段がスリット型、右下段が不透過型。 -
後日、立山砂防工事事務所からいただいたガイドマップのトロッコ詳細図。
学習会当日、これが手元にあればもっと理解できたんだけど。
これは大臣とか国会議員、協力団体企業などが視察に来た時用に作成したそうです。 -
さて、トロッコはぐんぐん進む。
素掘りの「ワサビ谷トンネル」
その先は「空谷」トンネル
最後部の席だからこそ、こんなの撮れた。 -
一部のスイッチバックは2編成分の延長があり、交換も追い抜きもできる。
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各スイッチバックの突端には、停止標識とスイッチバック番号が書かれている。
写真では「桑谷1」 -
有名な天鳥のオーバーハング。
岩盤の下部を切り欠いて線路を通した。
軌道では鉄道標識ではなく一般の道路標識を使用している。
*現在は線路改良でトンネルとなり、ここは通らなくなった。2005年廃止。 -
その先、天鳥上流には交換・退避施設がある。
この辺りはよく土砂崩れがあり、復旧作業などに使うのだそうだ。 -
オーバーハングってただ迫り出した岩の下かと思ったら、実はこんなところなんですね。まさに岩盤を削った下をの隙間をトロッコが通っていたのです。
すごい断崖絶壁に軌道を通したものですね。
写真はkk-kiyo様のブログ、「ローカル線の回顧録 第350話 1990年立山砂防:緑燃ゆる季節」よりお借りしました。ありがとうございます!!
いやー素晴らしいアングルで撮られていますね。学習会参加者では絶対に撮れません。
こういう角度で見ると「ナルホド、そうだったんのか」と納得できるのですが、如何せんトロッコの中からは撮れませんから。【掲載許可承諾済】
出処=https://kk-kiyo.hatenablog.com/entry/2020/04/23/062200 -
右に見える「新天鳥トンネル」が完成するとオーバーハングは通らなくなる。
(2007年開通、経路変更)
*現在は過去3か所あった桃の木、天鳥、桑谷ともオバーハングは通らずトンネルで抜けるようになりました。 -
有名な「滝の谷トンネル」。トンネルの上を滝谷の水が流れる。
こういう構造は日本ではここだけ。
谷を橋で越えると土石流があると橋が流されるので、水を上に逃がせば被害が最小限で済むという。
今ではさらに後述する桑谷の下をくぐる「滝見トンネル」も出来たそうな。
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線路変更により2008年、新滝の谷トンネル271mが完成し、現在ここは通らなくなりました。 -
新名所誕生!!
2005年に新しくできた「滝見トンネル」29.1m
以前は桑谷には橋が架けられていましたが、桑谷の水がトンネルの上を流れ、まるで「裏見の滝」のようです。 -
なんだか椿山荘の五丈滝裏か、ディズニーランドのジャングルクルーズみたいなノリでワクワクしますね。
窓があって滝の裏側から見られる光景なんて、世界中にそんなにありませんよ。
しかし国交省の直轄事務所、こんなの作っちゃうなんてスゴイです。
トンネルの先の建物は桑谷連絡所。
*2004年のトロッココースでは、ここはまだ通っていませんでした。
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https://youtu.be/-ffLccBJD6g
2022年の動画です。非常によくできていました。
https://youtu.be/TaNYY5Kx4-0
2023年12月、朝日新聞デジタルで機関車前面展望ノーカット版が公開されました。
工事列車なので途中停車が多いですが、前面展望動画は初めてだと思います。
(学習会参加者が撮影すると必ず背面展望になります) -
青バン谷の流路工が見えてきた。
傾斜が急なので床固されている。
左は妙寿砂防ダム。 -
鬼ヶ城連絡所ではいったん停車。
係員数人が下車し、荷物も下ろしました。職員の弁当かな。
途中4つの連絡所があるが学習会列車はここのみ停車で、あとは通過。
連絡所は駅のようなもので、運行管理と係員の詰所になっている。
しかし単線無閉塞運転でよく衝突事故がおきないものだと。
信号が無いから、交換を失念して出発したら絶対に衝突する。
地方鉄道ではなく工事用機械(部外者の乗らない関係者専用)だからATSが無くても法的にはok。 -
真川の対岸には鬼ヶ城の土砂崩壊地が見えます。
カルデラ内にはいたるところに、こんなのがあるんでしょう。 -
その先にはサブ谷砂防ダム。副ダム2基を備え3段になっている。
-
七郎2スイッチバックではモーターカーともすれ違います。
これは8名まで乗車でき、ガソリンエンジン車で巡視などにフットワーク良く動き回れるそうです。軌道のワゴン車のような存在。 -
七郎4スイッチバックの先には滝があった。
右は説明員のボランティアガイドさん。 -
砂防軌道で一番の急カーブ、R7。(半径7mのカーブ)
グス谷橋左岸付近
最後部からは先頭の機関車が真横に見えますが、一瞬なので撮り逃しました。 -
いよいよ18段連続の「樺平スイッチバック」(かんばだいら)に入り一気に200mを駆けあがります。
上のほうに来ると1スパンが長く、カーブもあるので全体が映せません。 -
白岩下流展望台から見た、樺平18段スイッチバック
*2005-10に撮影なので紅葉しています。 -
18段スイッチバックを登りきると、見晴らしの良いところで5分停車、
下車見学となります。 -
眼下には真新しい砂防ダム群が広がって見えます。
正面の山は大崩壊をおこした鳶山。
織田信長の家臣、佐々成政が家康を説得のため真冬にこの左手のザラ峠を越え(さらさら越え)浜松城に向かったと言われています。 -
トロッコを牽引するのは北陸重機製の5トンディーゼル機関車。
JRの「DD51」などのような型式はなく、2-10-190が車両番号。最初の2は平成2年導入。
*平成15年4月に「立山砂防事務所」に名称変更しています。 -
機関車の運転台。
矢崎のタコグラフ(運行記録計)がついてますね。
右端のグレーのBOXがポイント遠隔操作用のスイッチで、これを操作すると無線で信号が伝わり上下の方向が切替わるのだそうです。 -
千寿を発車後、1時間45分で軌道の終点、水谷に到着。標高は1116m
スカイツリーの高さを超える641mを上ってきたたことになります。
ここは立山砂防工事の前線基地となっています。 -
乗って来た列車。
すでに機関車が反対側に付け替えられているが方向転換されていない。
山下りではエンジンブレーキがよく効くようにバックで運転するんだとか。
左が千寿方面。水谷 グルメ・レストラン
-
水谷の連絡所(右)と砂防工事事務所の水谷出張所(左)
ここは千寿の砂防工事事務所からトロッコ経由で郵便や宅配便も届くのだとか。
半年間こもってお仕事されている工事の方に、ご家族などから衣類や食料を送って来られるんだそうです。
診療所もあり医師、看護師も常駐しています。
ここで40分の弁当休憩。屋外の絶景テーブルで白岩砂防ダムを眺めながら持参したおにぎりをいただきます。
寒い日暑い日強風の日には砂防事務所2階の会議室を使わせてもらえます。 -
さあ、これからは徒歩でカルデラ内の見学。
もうトロッコには乗ったので終わった気分だったが、実は「カルデラ体験学習会」なのでここからが本番。説明員のかたも気合が入ります。
白岩トンネルを抜けると、いよいよカルデラの中に入ります。
このトンネルは昔はトロッコが通っていて、線路が残っている。
カルデラの内外をつなぐ唯一の通路で、車両も通るため信号機が設置されていた。 -
この体験学習会は、トロッココースのほかバスコース、健脚コースなどもあり、見学場所が微妙に変わっています。
また年度によっても違うようです。
今回のトロッココースでは噴泉、護天涯の碑、金山谷、インクラインには行きませんでした。
また白岩砂防ダム脇を歩いて登るコースもあるそうです。
地図は前出の視察団用資料より。 -
対岸にはさっき通ってきた水谷の事務所や宿舎が見えます。
6~10月の工事期間、ここには最大300名以上の作業者と職員が寝泊まりしています。 -
カルデラで一番古い、白岩砂防堰堤。登録有形文化財に指定された。
7基の副ダムを合わせて落差108m、貯砂量100万m3(立米)と日本一の砂防ダム。
カルデラの出口にあたり、立山砂防の要となっている。 -
作業者の憩いの場、天蓋の湯。天然温泉です。
泉質は単純泉でpHは7.33。43℃
源泉は1.6キロ先の多枝原平(だしわらだいら)から引いている。 -
こちらが浴槽。10人以上は入れる露天風呂です。
ここは作業者専用なので見学者は入れません。
手前は男湯で、石積みの向こうに女子浴槽もあります。
ああ、満天の星空を眺めながら入ったらシアワセだろうなあ。 -
見学者は腰かけて足だけ漬けることができる。ちょい熱め。
5分の見学時間じゃこれが関の山なんでしょうが・・・
(今では見学者専用の足湯が出来、そちらに入ります)
ところが、あるとき1人の見学者があっという間に全裸になって静止も聴かずに飛び込んだという。5分後には服を着て何事もなかったような顔で見学会に戻ったそうな。
過去そんなツワモノが4人もいたそうなんで、まあ確信犯で周到に準備して来たんでしょうな。 -
建設中の湯川12号砂防堰堤の見学です。
*2023年完成しました。 -
建設工事中の湯川12号ダムの本体。
湯川の最下部に位置し、規模の大きいダムです。 -
泥谷砂防ダム群
常に新しい砂防堰堤の工事が進められ、土砂崩れとの追いかけっこだそうです。
永遠に砂防ダムを作り続けるんだろう、とおっしゃっていました。 -
工事中の砂防ダム断面。スリット型というそうです。
クルマとの対比で大きさがわかる。 -
カルデラの中を行く、多枝原平から国見岳、室堂平方面。
-
1580年に開湯したとされる立山温泉の跡地。
以前は人気の温泉地で富山から徒歩で山道を登ってやってきたという。
明治から昭和初期に大変賑わった。
安政5年の飛越地震では宿泊客36名が生き埋めになったという。 -
1969年に豪雨で登山道が流され、立山黒部アルペンルート開業により閉館、1974年に閉鎖。
建物は老朽化で1979年に焼却処分。
今では浴槽跡だけが残っている、 -
焼却を免れた立山温泉の金庫。
さぞたくさんのお金が入っていたんでしょうね。 -
収容500名と規模の大きな温泉宿だったそうだが、浴槽は意外にも小さい。
これじゃ「イモ洗い状態」だったんじゃ・・・ -
湯川にかかる吊り橋「天涯の橋」
湯川連絡橋ともいう。富山県が架けたそうな。
あいにくこの時、ガスってきました。 -
下を見ると崩れた土石がたまっています。
湯川 -
橋を渡ると「泥鰌池」(どじょういけ)
安政の災害時に湯川がせき止められて出来た池の1つ。
250年も経つとだんだん栄養豊富になり、ニジマス、フナ、ドジョウなどが生息している。
カルデラの西端にあり、この真上は弥陀ヶ原。
このあと、1班と交代でやってきたバスに乗り、博物館に戻りました。 -
2022年度の学習会実施レポートによると、
『7月から 10 月中旬にかけて 46 回計画し、31 回実施した。(つまり15回は中止!実施率 67%)
応募総人数は 2,921 名、参加者総数は 499 名であった。』
とあります。
1/3は中止になり、倍率は約5倍だったわけですね。
また、トロッココースに限ると、「30 回計画/19 回実施 309 名参加」だったので、まさに更に狭き門だったわけです。
いや~改めて行けて良かったと再認識しました。
写真:多枝原噴泉 立山温泉の源泉で86度の湯が噴出している(注:ここはトロッココースでは行きません。以下、健脚コースのときの写真です) -
立山カルデラ内部の泥谷第1号堰堤に埋め込まれた「護天涯の碑」
天涯とは「天のはて、極めて遠く隔たったところ」という意味。
この碑は、富山平野の土砂災害を防ぐために人里を離れた立山カルデラを守ることは「あたかも地の果て天涯を守ることに通じる」という意味で使われており、大正4年、当時の浜口恒之助富山県知事により刻まれた。
「天涯を護る」との使命感に駆られ白岩砂防堰堤建設に尽力した人々の心意気が込められている。
上と同じく健脚コースの写真です。 -
白岩砂防堰堤の管理橋上から見た、松尾砂防堰堤(手前)と有峰第1号砂防堰堤(奥)。
その先の橋は有峰橋。
正面の山は鬼岳と獅子岳。
トロッココースではこの場所には行きません。 -
カルデラ全体の図がないので、地形図を使って作成しました。
右が北でアルペンルーと、称名滝、室堂平はこの右手です。
中央の水色が常願寺川でこの辺り一帯が土砂崩壊地となっています。
赤が砂防ダム、黄緑が砂防工事専用トロッコの軌道です。 -
後日いただいた、立山砂防事務所の事業概要パンフから許可を得て転載させていただきました。2021年3月版より。
カルデラの中にはこれだけの砂防施設があり、さらに富山湾の河口まで続いています。右上の角がちょうど立山(雄山)になります。 -
立山砂防事務所の事業概要パンフレットの表紙です。
立山カルデラの全容が映っています。 -
もう1枚、富山県のHPからお借りしました。
上のパンフ写真と同じアングルで左にアルペンルート、中央の山に囲われたすり鉢状の地形が立山カルデラです。
アルペンルートの国民宿舎立山荘の裏手には「カルデラ展望台」という施設があり、そこからはカルデラ全体をのぞき込むことが出来ます。それ以外からはカルデラが見渡せる場所はありません。立山荘 宿・ホテル
-
長野県側から見た立山連峰。
カルデラはこの位置にある。立山の直下が室堂平。
山の向こうは富山平野と日本海。 -
トロッコの線路図です。⇒ 2014年現在に朱記訂正【最新】
説明を聞き、頂いた資料をながめてもトロッコの全容がはっきりしなかったので、この図は私が立山砂防事務所の係官にヒアリングし、手書きでまとめたものです。
ーーーーートロッコのデータ集ーー2014年現在ー(一部修正)ーーー
運行区間 千寿ヶ原(標高476m)-水谷(1,116m)
延長 18km
所要時間 ・一般列車:1時間40分
・学習会列車:1時間45分(途中見学停車あり)
・モーターカー:1時間15分
軌道連絡所(一般鉄道の駅に相当するところ)
7箇所 千寿が原、中小屋、桑谷、鬼ヶ城、七郎、樺平、水谷
スイッチバック 9箇所 ⇒ 現在は8箇所
・千寿 4段
・天鳥 4段 ⇒ 2007年廃止
・桑谷 2段
・妙寿 4段
・鬼ヶ城 2段
・七郎 4段
・グス谷 2段
・サブ谷 2段
・樺平 18段(高低差約200m、連続数世界一)
計42段(世界最多) ⇒ 現在は38段
トンネル 10箇所 最長:鬼ヶ城トンネル(547m)⇒ 現在は12箇所
橋 21箇所 最長:津之浦橋(60.4m)⇒ 現在は20箇所
オーバーハング 2箇所 天鳥、桑谷 ⇒ 現在トンネルが出来たため、無し
平均勾配 1/28.1(35.5パーミル)
最急勾配 1/12(83.3パーミル)七郎スイッチバック付近
最急カーブ R7(半径7m) グス谷橋左岸側
使用レール 15kg/m
軌間(ゲージ) 610mm
ポイント 構内、交換施設:手動
スイッチバック:無線による方向識別自動切替
運転保安 全線単線無線通告方式
最高速度 上り:18km/h
下り:15km/h
滑空防止 手動砂捲装置を機関車に搭載
ーーーーーーーーーー
*注記 軌道改良により、現在はスイッチバック38段、トンネル12か所に変わっています。オーバーハング3箇所もトンネル経由に路線変更されたので通らなくなりました。
2004年から現在までの軌道経路変更箇所
・津之浦トンネル202m経由に変更
・天鳥スイッチバック廃止、(新)天鳥トンネル472m経由に変更
・上記により天鳥上流退避施設廃止
・滝の谷トンネル廃止、(新)滝の谷トンネル271m経由に変更
・鬼ヶ城トンネル、崩落により別経路で新トンネル。
・鬼ヶ城連絡所、トンネル西口から東口に移動
・桃ノ木、天鳥、桑谷の3オーバーハングとも通らなくなる。
・桑谷橋廃止、滝見トンネル経由に変更
・桑谷トンネル、新トンネル721mに移動
・水谷見学場所先に退避施設新設 -
砂防軌道の運行図表(基本ダイヤ)です。
工事の進捗や崩落事故などにより、運休したり続行便が増発されたりします。
土日祝は運休です。
⇒トロッコを見たい場合は、平日の朝8時前と16時過ぎ、立山駅周辺から見ると、続々とやってくるトロッコが多数山の斜面に見られます。
役所なので16時半までには下山が終わり、17時には車庫のシャッターを閉めて業務終了となります。原則残業はありません。 -
朝7時、立山砂防工事事務所1階のシャッターが開く。
中はトロッコの車庫になっていて、編成の組まれたトロッコが収納されている。
エンジンがかかり、順次表のヤードに出て来る。
こんな立派な車庫は見たことないですね。 -
朝7:45にはその日1番の巡視モーターカーが千寿を出発して水谷に向かいます。
倒木、土砂崩壊など軌道に損傷の無いことを確認してから、続行のトロッコが出発してゆきます。 -
続々と山を登ってゆくトロッコ。
トロッコを簡単に見たい場合は、平日の朝8時前後と16時過ぎ、立山駅周辺から見ていると、山の斜面を登って行く(また夕方は下りてくる)トロッコが多数見られます。日中はあまり本数は多くなく、昼休みはお休みです。 -
立山砂防軌道には、
モーターカー 4両
ディーゼル機関車 9両(5t)
人車(人員輸送車) 14両(9人定員)
1両(3人定員)
2t無蓋貨車 30両
3t無蓋貨車 2両
1t無蓋貨車 44両
1t回転具付き貨車 16両
バラスト用ホッパ車 6両(写真)
保冷車 1両
散布車 1両
高所作業車 2両
が在籍します。平成15年9月現在。
全て「建設機械」扱いで鉄道車両ではありません。 -
トロッコは急こう配を運転するので、スリップ防止のため砂を撒きながら進む。
特に雨の降り始め、虫の発生する季節は要注意。
機関車には砂タンクがあり、砂は乾いていないと効果がないのですが。 -
トロッコ用撒き砂の焼砂装置。
電熱器で加熱して砂を乾燥させる。
こんな大規模な焼砂装置は例を見ない。さすが国家プロジェクトは金のかけ方が違う。 -
立山ケーブルカーが、立山駅を発車するとすぐ右手にゲージ(線路幅)の狭い線路が見えます。これが立山砂防軌道で、ここが「千寿4スイッチバック」です。
線路幅610mm、日本で一番狭いゲージで、世界的にもあまり例を見ません。
軽便鉄道や黒部峡谷トロッコの762mmよりも狭いです。立山黒部アルペンルート立山ケーブルカー 乗り物
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博物館に立山ケーブルカーと砂防トロッコの並び写真が展示されていました。
このタイミングで撮るのは非常に難しいですね。
上の写真と同じ場所です。 -
スイッチバックポイントの各部の名称です。
機関車には発信機が設置されていて、上りか下りかを示す信号を出しており、線路中央にあるトランスポンダで受信して自動でポイントを切替えます。
連絡所構内にあるポイントは手動だそうです。
このおかげで機関車の方向ギヤを切り替えるだけで迅速に反転でき、運転時間が削減されました。 -
スイッチバックを反対側から。
ポイントの開通方向が表示されている。(写真では山下り方向に開通)
無線で自動切換えだが、上のハンドルを回すことで手動でも切り替えられる。
折り返して元の方向に戻る場合などに使用。 -
列車には運転士と助士(最後部)の2名が乗っており、助士が停止位置とポイントの切替を確認してブザーで運転士に合図します。
だから停止後わずか1~2秒で逆向きに発車できるわけで、これだけスイッチバックが多数あっても迅速な運転が保たれるわけです。
JRのスイッチバックだとポイント遠隔制御とエンド交換で1ヶ所2分以上停車しますね。
写真はたまたまポイント不転換があり、修理しているところですが聞くと枯れ葉がギアに挟まったそうで、よくあることだそうですね。 -
【追記】
あまり知られてはいませんが、千寿から水谷に向かう本線のほかに、千寿から常願寺川添いに「訓練線」があります。およそ500mの線路と4段のスイッチバックがあり乗務員の訓練に使われていますが、砂防事務所のフェスティバルの日には試乗会があって順番に5分程度乗せてもらえます。
地元民対象なので、HPでは告知されません。地元でチラシ、ポスターだけで周知。 -
後日、立山カルデラ砂防博物館も見学しました。
砂防トロッココーナーがあり、ジオラマなどが展示されています。 -
トロッコに乗れなかった方のために、模型と機関車の実物も展示されていて乗ることも出来ます。(展示だけで動きません)
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実物の線路も展示され、比較できるようになっていました。
一番左が新幹線の70kgレール、一番右が立山砂防軌道の6kgレール。 -
砂防について書けば、旅行記2本分くらいのネタはあるのですが、今回は「トロッコに乗りたい」という不純な動機に基づくものなので、この辺で終わりにします。
鳶崩れ、常願寺川の砂防の歴史などはこちらをご覧になればよろしいと思います。
https://tanken.com/sabo.html 探検com「砂防の歴史」
「立山カルデラ砂防体験学習会」はその後、見学プランやルート、見学場所などが何度も変更され現在も続いています。
トロッコファンの方は是非チャレンジを!! -
帰路は富山から、名高き北陸の食パン電車、419系でした。
「月光型」と呼ばれる581系寝台電車を改造し、普通列車にしたものです。
昔は「金星」「彗星」「明星」「つばめ」「はと」「しおじ」「みどり」「きりしま」などに使われていた車両です。
窓が少なく景観は悪いですが、ゆったりした元寝台を利用したボックスシートで、居眠りには最適です。富山駅 駅
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後日談::
終了後、学習会の写真の募集があったので応募したところ、砂防博物館の写真展と、富山駅前CICビルで行われたカルデラ展で展示していただけました。
(この旅行記にある5枚を出品しています) -
立山には、まだまだ知られていない世界がある。
写真:泥谷第20号砂防堰堤
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*この旅行記は2004年9月のアーカイブで、4トラ移植にあたり最新状況もわかるように加筆修正し、写真追加してあります。 2023-11
参考:富山県にある、もう1つの「誰でも乗れないトロッコ!」
関西電力黒部上部軌道「黒部ルート見学会」
https://4travel.jp/travelogue/11859492
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