2016/05/19 - 2016/05/19
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frau.himmelさん
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ウィーン美術史美術館③回目です。
1回目はハプスブルク帝国を中心とした宮廷肖像画を、2回目は神話と旧約聖書を取り上げました。
3回目はいよいよイエス・キリストの物語にはいります。
美術史美術館にはイエス・キリストや聖母マリア、その他の聖人などが描かれた名画が多いですね。
それらの物語をある程度理解して鑑賞するのと、ただぼーっと鑑賞するのとでは楽しみ方にも大きな差が出ることだと思います。
私の場合はそんな知識はありませんから、まずはぼーっと鑑賞して、美術館で撮ってきた膨大な絵画の写真を見ながら後付けでいろいろ勉強する、それがいつものパターンです。でもそれはそれで楽しい。
まあ、70を過ぎてかなり頭の固くなった、しかも仏教徒の私が、難解な西洋宗教画を理解しようと頑張る(足掻く?)のだから、それだけでも意義のある事ではないかと自画自賛。(人に言わせると「イタイ人認定」笑)。
かなりいい加減な解釈をしているところもあると思いますがご容赦を。
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ネオルネッサンス様式の美術館の内部は見事です
荘厳華麗な階段室。この場所に立つだけでも身が引き締まる思いです。 -
内部だけではありません。
絵画鑑賞の移動の途中でふと目をやった中庭。これまた建物の壁の素晴らしいこと。 -
窓の一つ一つには女神の壁絵が嵌め込まれ、画家たちの名前を掲げた天使たちも。レンブラント、ルーベンスの名前も。
さて、至福の絵画鑑賞を続けましょう。 -
前編では、神話・旧約聖書と集めてみましたが、いよいよイエスキリストの物語にはいります。
それにはまずキリストの母である聖母マリアから。
キリストの誕生と言ったら受胎告知。
ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)
「マリアへの受胎告知」1609.
天使ガブリエルが「汝、神の子を宿した」とマリアにキリストの妊娠を告知している場面です。 -
天使ガブリエルから、従姉妹のエリザベツも処女懐胎したと知らされたマリアは、彼女の元を訪れ互いに喜び合った。
エリザベツから産まれた子供が洗礼者ヨハネです。
ルカ・ジョルダーノ(1634-1705)
「マリアの訪問」 -
マリアと夫ヨセフが人口調査のためにベツレヘムに向かう途中、馬小屋でイエスが産まれる。12月25日の早朝でした。
羊飼いの前に天使が現れ救世主の誕生を告げる。羊飼いたちは神の子を崇拝するために集まってきた。
ジョルジョーネ工房
「羊飼いの崇拝」1510 -
東方の三博士(マギ)たちもまた星に導かれて救世主イエスの誕生を知った。貢物を捧げ、聖母子を礼拝する三博士たち。
パオロ・ヴェロネーゼ(1528-1588)
「東方の三博士の崇拝」1582。 -
フラ・バルトロメオ(1475-1517)
「神殿でのキリストの捧げもの」
キリストの神殿奉献の物語。
『新約聖書』に書かれているイエス・キリストの生涯のエピソードの1つ。
産後の清めを終えたマリアは、ヨセフとともにイエスをエルサレムの神殿に捧げる。
左に聖ヨセフが立ち、右は聖母マリア。中央ではシメオンの司教に祝福を受けるイエスが。
女預言者アンナとシメオンの司教は救い主の誕生を知り、民衆に伝える。 -
さてここからは、幼子イエスと聖母マリアの聖母子像が続きます。
いろんな聖母子像があります。順不同です。
ティツィアーノ(1488-1576)
「ジプシーのマドンナ」1510
聖母マリアの黒い髪や瞳と浅黒い肌にちなんで、19世紀以来『ジプシーの聖母』と呼ばれている。 -
アルブレヒト・デューラー(1471-1528)
「梨の実の聖母子」1512.
幼いイエスが手に持っているのは梨?
やっぱりデューラーのマリアの顔は上品ですね。 -
アルブレヒト・アルトドルファー(1480-1538)
「聖母子」1531
アルトドルファーの特徴ある顔です。 -
ベルナルディーノ・ルイーニ(1480-1532)
「聖母子像」
ルイーニはレオナルドダ・ヴィンチの影響を多く受けているイタリアの画家。 -
ユース・ヴァン・クレーヴェ(1485-1540)
「聖母子」1530.
イエスが手に持っているのは聖母マリアの祈りのロザリオ。 -
フラ・バルトロメオ(1475-1517)
「聖母子像」1514/16.
イタリアルネッサンス期の画家バルトロメオの聖母子像。
聖母マリアはちょっと冷たい(クール)な表情。 -
カラヴァッジョ(1571-1610)
「聖母子と聖アンナ」1633。
マリアの母聖アンナと聖母マリアそれにイエス。三代の絵です。 -
ラファエロ(1483-1520)
「草原の聖母(ベルヴェデーレの聖母)」1505/06。
有名な魅力的な聖母子像です。
イエスと遊んでいる男の子は後の洗礼者ヨハネ。聖母マリアの従姉妹エリザベツの息子です。 -
フランチェスコ・ディ・クリストファーノ(1484-1525)
「聖母子と幼い聖ヨハネ」1518/20
ここにも洗礼者聖ヨハネ。
地面に横たわっている長い十字架は聖ヨハネのアトリビュート。
かなりの頻度で聖母子像に幼子聖ヨハネが登場します。 -
ソドマ(1477-1549)
「聖家族と幼児洗礼者聖ヨハネ」1520-30年頃。
聖母子と聖ヨハネの後ろから顔を覗かせているのは聖ヨゼフ。マリアの夫でイエスの養父です。
ソドマはマニエリスム期のイタリアの画家 -
ラファエロ工房
「聖家族と幼いヨハネ」1513/14。
聖母子とイエスの養父聖ヨゼフとそれに洗礼者ヨハネ。
上と同じ顔触れです。 -
ブロンツィーノ(1503-1572)
「聖家族と聖アンナと幼子の聖ヨハネ」1545/6。
上↑に、マリアの母聖アンナが加わります。
こうやって見ると、聖ヨゼフってマリアの夫と言うより母アンナの夫と言った方がしっくりきますね。 -
ティツィアーノ(1488-1576)
「さくらんぼのマドンナ」
聖母マリアと幼子イエス、それにお馴染み幼き洗礼者ヨハネ。
そして見守っているのはイエスの養父ヨセフと、洗礼者ヨハネの養父ザカリア。洗礼者ヨハネの母は聖マリアの従姉妹で処女懐胎のエリザベツでしたね。
イエスはマリアにサクランボを捧げています。 -
ここからは聖母子を囲んで、いろんな聖人が描かれた言わば記念写真的な絵画が続きます。
パルマ・イル・ヴェッキオ(1480-1528)
「聖母マリアと子供と聖人」1520/25
聖母子の周りに集まっっている聖人は、
(左側)聖ケレティヌス、聖カタリナ(車輪の)、右側:聖バルバラと洗礼者ヨハネ。
ここでは洗礼者ヨハネは成長した大人で描かれています。 -
アルブレヒト・アルトドルファー(1480-1538)
「聖家族と天使」。
聖マリアとイエスそれに聖ヨセフ(イエスの養父)。右の若い男性は聖アガピトゥス。
聖アガピトゥスって聞き慣れない聖人ですが、3世紀ごろの殉教者の聖人だそう。 -
アントニー・ヴァン・ダイク(1599-1641)
「聖母子と聖ロザリア、使徒パウロとペテロ(聖ロザリアの戴冠式)」
聖ロザリアは幼子キリストから薔薇の冠を受け取り(下:拡大図)、聖母の両脇には使徒パウロとペテロ。 -
カラヴァッジョ(1571-1610)
「ロザリオの聖母」1606/07.
画面中央には聖母子。聖母マリアは聖ドミニコの方を向いています。
聖ドミニコが手にしているのはロザリオの数珠。マリアはこれを民衆に配るようにドミニコに目配せしているのです。
右側で聖ペテロが聖母子を指さしています。民衆には聖母子の姿は見えないのです。 -
フランチェスコ・ライボリーニ(1450-1517)
「聖母子と聖フランシスコ、カタリナ、ヨハネ」1504。
聖母子の右側に車輪を持って立っているのは聖カタリナ、左は聖フランシスコ。そして絵巻物を開いて偉そ~うに説教しているように見えるのは洗礼者ヨハネ。 -
ペルジーノ(1446-1523)
「聖母子と聖ローザ(?)、聖カタリナ(?)」1493/1495 -
まだまだ聖母子と一緒の聖人の絵画は続きます。
聖母子は超人気者だったのですね。
ティツィアーノ(1488-1576)
「聖母子と聖ヒエロニムス、聖シュテファン、聖マウリティウス」
1520 -
ロレンツォ・ロット(1480-1556)
「聖母子と聖カタリナと聖ヤコブ」1527/33 -
ペルジーノ(1450-1523)
「聖母子と4人の聖人」1493
聖母マリアと幼子イエスは天蓋の玉座に座り、聖ペテロ、パウロ、福音書記者ヨハネ(?)、洗礼者ヨハネの4人の聖人に囲まれています。
とても威厳ある聖人たちの集団画です。 -
聖母子像が続きましたので、いったん聖母マリアに退場していただきます。
ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)
「聖母被昇天」祭壇画1611/14-21.
聖母マリアが天使たちに囲まれて天国へ登る場面。
聖母マリアが亡くなったのは57歳の時。イエス・キリストより11年も長く生存していますので、これからのイエスの物語にも度々絡んできます。 -
イエスはヨルダン川において、洗礼者ヨハネから洗礼を受けます。
ヨハネは聖母マリアの従姉妹エリザベツの息子です。聖母子像にも度々登場したあのヨハネです。
ヨアヒム・パティニール(1483-1524)
「キリストの洗礼」1515頃 -
洗礼者ヨハネから洗礼を受けたイエス・キリストは試練の旅に出ます。
カラヴァッジョ(1571-1610)
「徴税人」1615/20
徴税人、つまり税金を取りたてる人のこと。人々に忌み嫌われる職業でユダヤ人の役目でした。
そんな徴税人だったマタイに対し、イエスキリストは「私に従いなさい、そして一緒に伝道活動をやるのです」と強引に誘う。
「マタイの召命」 -
ティツィアーノ(1488-1576)
「キリストと姦淫の女」1512/15
キリストの前に姦淫の罪に問われた女性が連れてこられた。姦淫は重罪で石打ちの刑に処される。
キリストは群衆に向かって「あなた方の中で、罪を犯したことのない者が、最初に彼女に石を投げなさい。」と言った。
すると、一人また一人と立ち去ってしまい、誰も女に石を投げることができなかった。 -
アンニーバレ・カラッチ(1560-1609)
「泉の傍のキリストとサマリヤの女」。
キリストと弟子たちは旅の途中でサマリア地方の町はずれにやってきた。キリストが一人疲れて休んでいると、水瓶を持って水汲みに来た一人のサマリヤの女がいた。喉が渇いたキリストは1杯の水を所望する。
次に続く -
ロレンツォ・リッピ(1606-1665)
「キリストとサマリアの女」1644
(上より続く)
驚いたサマリヤの女は「どうしてユダヤ人のあなたがサマリヤ人の私に頼むのですか?」。
ユダヤ人はサマリヤ人を差別していて、今まで話しかけることさえしなかったから。
キリストは「私が誰であるかを知ったら、あなたの方から願い出て私に水を与えるだろう」と答え、彼女に神の教え説き、自らが救世主である事を明かした。 -
ルーカス・クラナッハ(父)
「キリストの母との別れ」1520.
各地で宣教を続けたキリストは最後にエルサレムへ赴く。
死を予期したキリストは出発に先立ち聖母マリアに別れを告げる。
キリストとの別れに際して悲しみに暮れる聖母マリアやマグダラのマリア。 -
ここから受難のキリスト。
マルチェロ・ヴェヌスティ(1512-1579)
「キリストのオリーブ山の祈り(?)」1550.
ユダの密告により、逮捕を前にしたキリストは、弟子ヨハネ・ペテロ・ヤコブを連れてオリーブ山の麓ゲッセマネにやってきた。
そこで一心に神に祈りを捧げるイエス・キリスト。しかし弟子たちはだらしなく眠り込んでしまう。 -
カラッチョロ(578-1635)
「オリーブ山のキリスト」1615-17
捕らえられた夜の、オリーブ山でのキリストの祈り。
寄り添うように天使が描かれています。
カラッチョロはカラヴァッジョの最も重要な後継者です。 -
カラヴァッジョ(1571-1610)
「荊の冠」1601.
大勢の人の前でキリストは捕らえられ、辱めのために荊の冠をかぶせられ、暴行を受け、嘲笑されます。 -
ティツィアーノ(1488-1576)
「エッケ・ホモ」1543。
「エッケ・ホモ」とは、ラテン語で「この人を見よ!」。
磔刑を前に、鞭打たれ荊冠を被せられたキリストが引き摺り出される。(下の拡大図)
それを見て、嘲笑し騒ぎ立てる群衆に向けて、キリストの無罪を信じている総督ピラトが発した言葉です。
しかし群衆たちは聞く耳を持たず、キリストは刑場となるゴルゴダの丘へ引き立てられた。 -
ヤーコポ・ティントレット(1518-1594)
「鞭うたれるキリスト」1583/90 -
ベルナルディーノ・ルイニ
「十字架を担ぐキリスト」1510/15。
荊冠を被り、大きな十字架を担ぎゴルゴダの丘へ引き立てられる受難のキリスト。 -
ちょっと異質だけど、同じく受難の絵としてここに挿入します。
アルブレヒト・デューラー(1471-1528)
「一万人のキリスト教徒の殉教」1508
キリスト教に改宗したアハティウスと彼の兵士たちは、ペルシア王サポールの命令によってアララト山で殉教し、磔にされ石を投げられ荊の茂みに投げ入れられた・・・。
非常に詳細に描かれた1万人のキリスト教徒の殉教はキリストの歩んだ道に続く典型的な受難へと変容している(解説書より) -
ルーカスクラナッハ
「十字架のキリスト」
ゴルゴダの丘で2人の盗賊と共に磔に処されたキリスト。
足元には母マリアとマグダラのマリア、聖ヨハネなどの姿が。 -
ヴォルフ・ヒューバー(1485-1540)
「救いの寓意」1540。
キリストの磔刑図。
正面で跪いているのは寄進者であるパッサウの枢機卿司教。 -
ロヒール・ヴァン・デル・ヴァイデン(1399/1400-1464)
「キリストの磔」1440年、三部作
イエス・キリストの足元で泣き崩れているのは聖母マリア、それを支えている聖ヨハネ。
左で香油を手にしている聖マグダラのマリア。右で聖顔布を持っているのは聖ベロニカ。キリストの周りを喪服の天使たちが悲しみ乍ら飛び交っている。
跪いているのは寄進者夫婦でしょうか。 -
アルブレヒト・アルトドルファー(1480-1538)
「キリストの埋葬」1518.
十字架から降ろされたキリストは、母マリア、マグダラのマリア、聖ヨハネなどに見守られて埋葬されます。悲しみに暮れる母マリア。 -
ジョヴァンニ・ジローラモ・サヴォルド(1480-1540)
「キリストの追悼」1513/20。
棺に納められる前のキリスト。 -
ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)
「キリストの哀悼」1614/15.
聖母マリアと聖ヨハネ。
ルーベンスも聖母マリアの悲しみを描いています。 -
ルドヴィコ・カルディ・チコリ(1559-1613)
「キリストの哀歌」
十字架から降ろされたキリストを亜麻布で包んで抱きかかえているのはアリマタヤのヨセフ、そして悲しみに暮れる聖母マリア、その後ろの青年はニコデモ。 -
アルブレヒト・アルトドルファー(1480-1538)
「キリストの復活」
夕陽を背に、キリストは埋葬された3日後に復活します。
幻想的なシーンですね。 -
ガロファロ
「キリストの復活」
ピンボケで見にくい絵ですが、これもキリストの復活。
キリストは復活し墓から出て天に昇られる。 -
ロレンツォ・ロット(1480-1556)
「Christus, sein Blut spendend(キリスト、彼の血を与える)」
1543
復活したキリスト。天に昇る途中でしょうか、大勢の人々に彼の血を分け与えている?(難解です) -
カラヴァッジョ派
「キリストとエマオの弟子たち」1621
復活の日、エルサレムから少し離れた地エマオにキリストが現れた。
旅をしていた弟子のクレオパらは、男がキリストだと気づかぬまま宿に招き夕食を共にする。客人がパンをちぎったその時、弟子たちは男の正体に気づく。
しかしその時はキリストの姿はなかった。
中央がキリスト、左で手を広げているのは宿の主人、右側で驚いているのがキリストの弟子たち。 -
ここからはイエス・キリストの教えを世に伝えるために遣わされた聖人・聖女を取り上げます。
グエルチーノ(1591-1666)
「洗礼者ヨハネ」1641
聖母マリアの従姉妹エリザベツの息子で聖母子像にも度々登場した洗礼者ヨハネです。
アトリビュートは長い十字架です。 -
ベルナルド・ストロッツィ(1581-1644)
「説教する洗礼者ヨハネ」。
パレスチナのヘロデ王の前で見事な舞を披露して、その褒美としてヨハネの生首を所望したサロメの話は前回の旅行記で取り上げています。
「洗礼者ヨハネの首を持つサロメ」ベルナルディーノ・ルイニ(1460-1532) -
グイド・レーニ(1575-1642)
「聖ヒエロニムス」。
キリストと直接かかわった人物ではありませんが、ヒエロニムスも有名ですね。
実在した人物で、聖書をラテン語に翻訳した教父だそうです。 -
クリストフ・パウディス(1625-1666)
「聖ヒエロニムス」1656/58.
聖ヒエロニムスが瞑想しているところ。傍らにはドクロと十字架、それに書物。これはお馴染みのアトリビュートです。
ヒエロニムスはよくヨボヨボの老人の姿で描かれていますね。 -
ティントレット
「聖ヒエロニムスとライオン」1571/75
また聖ヒエロニムスとライオンの伝説は有名です。
これは、修道院に一頭のライオンがが足を引きずりながら入ってきた。修道士たちは驚いて皆逃げ出したが、ヒエロニムスだけはまるで客人を迎えるようにライオンに近づき、足の棘を抜いてやった。それ以来ライオンはヒエロニムスの傍から離れなかった。という伝説からきています。 -
フランチェスコ・フリーニ(1603-1646)
「悔い改めるマグダラのマリア」1634。
娼婦だったマグダラのマリア。キリストと出会い諭され許され、罪を悔い改めるというシーン。
マグダラのマリアはキリストの磔刑にも立ち合った重要な弟子です。 -
ドメニコ・フェッティ (1588-1623)
「聖カタリナと聖人ドミニコとペトルス殉教者の神秘的な関与」1617/21
聖カタリナは、夢の中で聖母マリア立ち合いのもと、幼いキリストに婚約指輪をはめてもらったという夢を見る。夢から覚めたカタリナは現実に指輪をしていることを誇りに思う。
聖カタリナも聖母子像の絵画の中に、アトリビュートの車輪を手によく登場していました。
これはローマ皇帝により、手足を釘を打ち付けた車輪に括りつけて転がされるという拷問を受けた。しかしカタリナが車輪に触れると、車輪は毀れてしまった。という伝説からきています。 -
アルブレヒト・アルトドルファー(1480-1538)
「聖女カタリナの斬首」1505/10。
釘のついた車輪で括り付けられ拷問にかけられたが、カタリナが車輪に触れると、自然に壊れた。
結局彼女は斬首される。
聖女カタリナのアトリビュートは車輪です。 -
ラファエロ(1483-1520)
「聖マルガリータ」1520.
マルガリータは伝説上の殉教聖女。
長官から結婚を申し込まれるが拒絶して土牢に入れられ拷問を受ける。
土牢の中で悪魔が火を吹く竜となり、マルガリータを呑みこむが、手に持った十字架で竜の腹を割き無事に外に出ることができたという伝説。
お腹から脱出したということで、出産の守護聖女として崇められているそうです。アトリビュートはもちろん竜。 -
ティエポロ(1696-1770)
「シエナの聖カタリナ」1746。
車輪の聖カタリナとは違います。
こちらは実在した聖女。聖フランシスコと共に中世イタリアの最も著名な聖人でイタリアの守護聖人とされている。
頭に載せているのはシエナの聖カタリナのアトリビュートの荊の冠。また手には聖痕が見える。 -
ここからは祭壇画など。
アルブレヒト・デューラー(1471-1528)
「ランダウアー祭壇画:聖三位一体の礼拝」1511。
この祭壇画は旧約聖書の人物たち、諸聖人、選ばれた人々が、上中央部の聖三位一体(父なる神、子なるキリスト、聖霊の鳩)を礼拝しているという場面。
天上にはマリアや聖ヨハネを先頭に諸聖人の姿が、地上には法皇や皇帝や貴族たち。
ニュルンベルクの商人ランダウアーが寄進したもので、彼の姿も描かれています。 -
ユース・ヴァン・クレーヴェ(1485-1540)
「三連祭壇画」1530.
中央祭壇には聖母子と聖ヨセフ(?)、左翼の鎧姿は聖ゲオルク(ドラゴンを退治する聖人)、右翼の立っている女性は聖カタリナ。跪いている夫婦は寄進者でしょうか。 -
ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)
「聖アンブローズと皇帝テオドシウス」165/16.
ミラノの司教であるアンブローズは皇帝テオドシスが民衆虐殺の事件を起こしたため、皇帝の大聖堂への入場を拒否した。
金色の司祭服を身につけて「ちょっと待った!」と遮っているのがアンブローズ司教。赤いマントを着け「なんで、なんで?」と涙目で哀願しているのが皇帝テオドシス。 -
ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)
「聖イルデフォンソの祭壇画(Ildefonso Altar)」1616/17.
聖イルデフォンソはトレドの守護聖人。
ある日、イルデフォンソが薄暗い教会に入ると祭壇の周りだけ光り輝いていた。するとそこには、天使たちに囲まれた聖母マリアの姿があった。
マリアは「これはイエスキリストからの贈り物です」と言いイルデフォンスに祭服を贈った、という奇跡が起こった。
両翼で跪いているのは、左:ネーデルランド総督アルブレヒト大公、右:イザベル王妃共同統治者でこの絵の寄進者。 -
ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)
「聖フランシスコ・ザビエルの奇跡」1616/27.
イエズス会創始者の一人であるフランシスコ・ザビエルが信仰を象徴する人物に見守られながら、異教徒に説教し、死者を呼び覚まし、身体の不自由な者を癒し、偶像を破壊するアジアの宣教師として描かれている。(パンフレットより)。
聴衆はどうみてもアジア人の顔つきには見えませんが・・。 -
ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)
「聖イグナチオ・デ・ロヨラの奇跡」
聖フランシスコ・ザビエルの奇跡とならんで展示されている。
イグナチオ・デ・ロヨラ(1491-1556)はカスティーリヤ王国バスク地方の修道士。
フランシスコ・ザビエルと同じくイエズス会の創立者の一人。 -
さて、お腹空きました~。
美術史美術館のカフェは世界で最も美しいカフェと言われています。
どうです、豪華でしょう?
今回ここで昼食を摂ることも楽しみの一つでした。 -
光が入り込んで写りは悪いけど、総大理石の豪華なカフェです。
今の時間だったら席はパラパラと空いています。 -
ウェイターさんを呼んで、まずは私たちの定番の白ワインを。
-
食事はサラダの盛り合わせ。
お肉もチーズも入ってお野菜たっぷり。
これにパンもついていますから、シニアの私達にはこれで十分。
美味しくいただきました。
食事を終えたら、また美術鑑賞を続けます。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- ベームさん 2023/02/23 14:08:16
- まだ、旅行記にお目にかかれるとは、
- frau himmel さん、
ご無沙汰しています。
今になって、まだhimmelさんの旅行記拝見できるとは、思ってもいませんでした。
沢山、引き出しをお持ちで結構です。
コロナが下火になっても、花粉が飛び始めています。蟄居の生活は、まだまだ続きます。
ベーム
- frau.himmelさん からの返信 2023/02/23 21:10:27
- RE: まだ、旅行記にお目にかかれるとは、
- ベームさんこんばんは。
お久しぶりです。
ホント、いよいよ花粉の襲来で、ベームさんにとっては一番大変な季節ですね。
うちは、夫の方は以前よりだいぶ良くなったようですが、私の方がここのところくしゃみや鼻水に悩まされ、夫からはそれは花粉症だ、って脅かされています。
>沢山、引き出しをお持ちで結構です。
いえ、さっと仕上げてしまわれるベームさんと違って、のろのろでなかなか旅行記が投稿できない私のこと、最後まで完成していないものが、まだいくつも残っています。
しばらくは老化防止の脳トレ材料はありそうです。
関東近辺でいつも素敵な場所を見つけて旅行記になさっているベームさんのこと、花粉が終わったら、次はどこに案内してくださいますか。
楽しみにしています。
himmel
-
- Mugieさん 2023/02/23 08:12:29
- おはようございます
- ウィーン美術史美術館のカフェ、素敵ですね。
上から見ると床の大理石の模様がきれいです。
白ワインで楽しむランチも優雅でいいですね。
frau.himmelさんのテーマごとに分類された解説がとてもわかりやすいです。
洗礼者ヨハネは知っていましたが、従姉妹のエリザベツから産まれた子供だとは知りませんでした。
勉強になりました。
ムギー
- frau.himmelさん からの返信 2023/02/23 20:49:50
- RE: こんばんは
- ムギーさんこんばんは。
コメントありがとうございます。
ウィーン美術史美術館のカフェー、上から見るとあの幾何学模様がとても面白いですよね。来館何度目かにしてやっと入ることができました。
>frau.himmelさんのテーマごとに分類された解説がとてもわかりやすいです。
ありがとうございます。
当の本人は絵の説明のコメントを書きながら、ゴチャゴチャして訳がわからなくなったりしているのですよ(笑)。
洗礼者ヨハネの母エリザベツ、彼女も本当に聖母マリアの従姉妹なのか親戚なのか、説明書では分かれているので、私は判り易く従姉妹で通そうと決めました(笑)。そんなものです、私の解説なんて。
でもムギーさんの博識には本当に驚きます。
いつもQ&Aに回答していらっして、その範囲の広いこと広いこと!
これからも4トラの迷える子羊の救世主になってください。
あら私ったら・・・、キリストの世界がまだ抜けきっていませんね。
himmel
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