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《2023.February》あみんちゅぶらり関東歩く旅そのⅡ群馬栃木~わたらせ渓谷鉄道と足尾銅山観光編~<br /><br />今日も目覚ましよりも早く起きることが出来た。いつもであれば目覚ましの音にびっくりして飛び起きるが、やはり仕事とオフの違いであろう。身支度をしてから朝食を頂くために1階へと下りて行く。会場はレストランというよりもは喫茶スペースといった感じの場所であった。朝食は部屋に持ち帰って食べることも可能だと聞いていたがイマイチ意味がよくわからなかったが、会場に行ってみて〝なるほど〟と納得する。東横インの朝食はバイキングであるが、お料理その他をトレーやお皿に取り分けるのではなく、蓋付きのバスケットに取り分けて蓋をすれば〝お弁当〟の如く持ち運びが出来る仕様になっていた。そのあたりは宿泊客個人の判断に任されるようではあるが、混雑している時間でもなかったために、その場で食べることを選択する。もうひと方お姉さんがいらっしゃったが、コーヒーだけを飲んで部屋に持ち帰られたようだ。ただその場で食事を済ませるにも〝バスケット〟の利用は変わらないようで、バスケットのサイズに合わせてお料理を取り分けなければならないために意外と使い勝手が悪いのである。とはいえ一個人の我儘が通る訳もなく、結局バスケットに取れるだけの量に収めての食事を頂き、コーヒーだけ部屋に持ち帰るようにした。<br /><br />今回の旅はあくまで〝イルミネーション散策〟であるために基本昼間の予定はno planである。しかしチェックアウトは決まっており、10:00には出発出来るように時間取りをして部屋を出ることにする。取り敢えず立駐から車を出すのだが、ここでまさかの景色に遭遇する。立駐故にそれ程広さがある訳ではないが、出庫する宿泊客の車を出すのが優先の筈が、出勤してきた従業員が先に割り込もうとするのである。台数などたかが知れているにも関わらず車を駐車しようとするため、混雑を作り出してしまっている。係員が静止をしていたが〝早く行け〟とばかりの態度に唖然とする。チェックアウトの絡みもあり、私自身も車を下ろしてもらうが譲る気配はなく、ナビセットとホテル外観の写真を撮るため平面の駐車場に車を停めると、今度はこちらでも駐車場の場所取り合戦が始まる。立駐の順番待ちで列を作るから路駐も出来ない上に、平面駐車場に停めるとまるで邪魔者のように出庫を待っていたりする。言い方は悪いが気持ちの良いものではないし、客を邪魔者扱いをする従業員の態度は最低である。宿泊自体は悪くはなかったものの最低の態度である。チェックアウトしたらさっさと出掛けろとばかりの仕打ちに、全てが興醒めしてしまった。まあこんな従業員しかいないホテルに二度と泊まることはないだろう。<br /><br />要件を済ませたらさっさと出発する。先ずは桐生郵便局に立ち寄って撮影済みネガフィルムの郵送をする。見た感じ定形外郵便の規格外と言われるが3cmは超えてないので企画内でOKである。次いで郵便局迄に見つけたドンキホーテ桐生店に立ち寄る。私の場合何故なのかがわからないのだが、旅先ではいつも〝手荒れ〟が酷くひび割れることも珍しくない。前回広島に行った際に〝ハンドクリーム〟を購入したが、持って来るのを忘れたために薬局へと向かう。ちょっとベタつくが〝メンターム〟を購入し、手に塗ってから手袋をはめてハンドルを握ることにする。<br /><br />ドンキを最後に桐生市街を後にして車を走らせる。まずローソン桐生堤町三丁目店に立ち寄ってひと息入れる。ここで今日のルートを思い付きで決め、わたらせ高原鉄道〝撮り鉄〟旅にすることにした。<br /><br />出来るだけ〝わ鐡〟の駅には立ち寄りたいが、時間的なロスはできないため、現在地よりも先の駅に立ち寄るとミッションを定めて出発する。先ずは大間々駅、群馬県みどり市にある大間々駅はわ鐡の本社がある場所だ。また車両基地もあるために現在運行に携わっていない列車も置かれている。引退したわ89-300形302号とわ89-100形101号、トロッコわっしーのWKT-550形551号、〝渓谷号〟運行のためにJR東日本から購入したDE10-1537号機、〝トロッコわたらせ渓谷号〟用の客車で、スハフ12形客車を改造した〝わ99形5080号〟等が停車している様は、正にローカル鉄道博物館のようだ。多分客車列車を知らない若い世代にはわからないのかも知れないが、12系車両といえば臨時急行等に用いられたクロスシート(ボックスシート)の定番だったことから貧乏学生の頃はよく利用したものだ。今では需要もなく海外で第二の人生を送っているものや、わ鐡のように改造されて現役を続けているものを見れば懐かしいと同時に嬉しくも思える車両のひとつである。そんな姿を目に焼き付けて、次の駅を目指して出発する私であった。<br /><br />上神梅(かみかんばい)駅は旧足尾鉄道時代の大正元(1912)年の開業で、既に100年を超える歴史を持っている。開業時から使用されている木造駅舎は一部昭和初期に増築された部分はあれど、プラットホームとともに登録有形文化財に登録されている。ただ今となっては田舎のローカル駅のひとつでしかないが。イルミネーションも取り付けられて入るが、この時間故に残念でしかない。<br /><br />車に戻り暫く走ると道路脇に駅の所在が記されている看板を見つける。本宿駅入口、坂を少し下って行くとホームだけの無人駅があった。この駅の歴史は浅く、足尾線当時はなかった駅だ。上神梅駅から水沼駅間は駅がないため歩かねばならず、駅設置を要望していたものが三セク化を機会に設けられた駅である。ここにもやはりイルミネーション飾りがあるのだが、昼間であるがためにそのものは見ることはできなかった。<br /><br />下りがあれば上りがあるのは当たり前で、息を切らせながら坂を上って車に戻る。暫く走って道の駅くろほねやまびこに立ち寄った。今回の旅路に於いて、宿泊した桐生は群馬県であるために、getした地域振興券は群馬県でしか使えない。故にお土産でも買える場所で使わないと無駄になってしまうためだという理由もある。地元産のものは結構な品揃えはあったが、土産品にできそうな物は少なかった。とは言えなんとか使い切って気持ちを楽にして再び車を走らせる。<br /><br />水沼駅はやはり足尾鉄道開業時の設置駅である。2面2線の離合が出来る駅ではあるが、現在のダイヤでは当駅止まりの列車もなく、事実上は単線利用の駅となっている。無人駅ではあるが、お食事処の“わたらせ庵”と“水沼温泉センター”という娯楽施設が付随している。しかしわたらせ渓谷鐵道の経営ではなく外部委託をしている施設のために、委託事業者の兼ね合いで令和5(2023)年に8月より休館となっているようだ。“関東の駅百選”に選定された駅であり、その選定理由が“関東唯一の緑に囲まれた天然温泉付き(露天風呂)の駅”だというが、現状休止中であるために名ばかりとなっている。街興しの一環として誘致しても読みが甘く、長続きしないのは田舎のあるあるであることにモロ当てはまっているのが悲しい。確かにその温泉だけを目当てにここまで来るかと問われれば、私ならば“来ない”と言い切れる自信があるだけに今後の展開に期待したいところである。こちらもイルミネーション飾りはされて入るが、時間的に楽しめるものではなく、車に戻って次の目的地を目指すことにする。<br /><br />花輪駅も開業当初に設置された駅である。当時は1面2線の島式ホームだったようだが、国鉄時代に合理化され1面1線の現在のようになったと記されている。無人駅なのでホームに入り写真を撮影していると、まさかの接近放送にびっくりする。丁度WKT-500形502号桐生行きが入線して来たのだが、この付近発祥とされる“うさぎと亀”のミュージックだが、そもそも無人駅には必要ないだろうと思ったのが本音である。わたらせ渓谷鐵道で接近放送がある駅は桐生駅とここ花輪駅だけである。接近放送というから違和感があるだけで、鉄道利用の観光客に“うさぎと亀”発祥の地をアピールすることは理に適っているのかも知れない。まあ観光客の立場て文句を言う筋合いはないので、素直に街興しの一環として評価したいと思う。<br /><br />場所的な問題で次駅の中野駅を飛ばし神戸(ごうど)駅へとやって来る。設置当初は神土駅として開業し、三セク化の際に神戸駅となった経緯がある。2面3線のホームは往時の賑わいを今に伝えるものであり、桐生方面の1線は列車のレストラン“清流”が利用している。駅舎は開業時に竣工した木造の駅舎が、3回の増改築を実施はされたものの現在でも使用されており駅本屋やプラットホームなどの設備が登録有形文化財に登録されている。また駅前には大きな広場があり路線バスの停車・転回スペースがあるほか、大型観光バス・乗用車用の駐車場が設けられている。神戸駅周辺は花桃の名所となっており、毎年4月の“神戸駅花桃まつり”の際は駐車場がイベントスペースとなるために一般車の駅前乗り入れはできなくなるらしい。ただその時期の混雑は大変なものだと言われても、シーズンオフの1月ではその様子はなく、そういうものだと思い込むしかなかったのが現実だった。<br /><br />車に戻り国道122号線を足尾に向かって走って行く。そのうち見えてくる大きな湖は草木湖。昭和52(1977)年に完成した草木ダムによって出来たダム湖である。草木ダムは洪水調節、不特定利水、かんがい、上水道・工業用水道供給、水力発電の6つの目的がある多目的ダムであり、その中でも用途が広い部類に分類されている。計画当時はまた足尾銅山が採掘を行っていたこともあり、鉱毒防止も目的としていたと言われている。しかし補償交渉中の昭和48(1973)年に足尾銅山が閉山し、以降鉱毒流出が極端に減少したこともあって鉱毒防止目的は除外されている。ダム完成以降の草木湖では厳重な水質調査が毎年行われているが、環境に影響を及ぼす数値は検出されていない。その一方でダム建設によって東村神戸(ごうど)・沢入(そうり)地区などの住民230戸が草木湖の水没対象となった。この地域は比較的開けた山村で足尾と桐生の中間点に位置し、交通の便も悪くなく居住者が多かった。そのような理由から住民の反対運動は激しく、漁業権補償と並んで容易に解決できない問題となった。それでも昭和48(1973)年には妥協案が成立し本格的な工事が始まった。同時に路線が水没する当時の国鉄足尾線(現わたらせ渓谷鐵道)の草木トンネルの掘削等を含む付け替え工事が実施され、当初の計画より7年遅れでダムは完成し運用を開始した。<br /><br />そんな草木湖の畔に草木ドライブインが存在する。竣工は昭和51(1976)年だそうで、草木ダムの完成前にできたようだ。改装もしているだろうから一概に当時のものとは言い切れないが、近年に出来た道の駅ともまた違い、正しく“昭和のドライブイン”らしい風格を醸し出していた。ただ既にお土産を購入していれば特に見るものもなく、一息ついて先を急ぐことにする。<br /><br />草木湖を眺めながら暫く走り、沢入(そうり)駅に到着する。こちらも草木ダム建設時に補償問題で揉めた場所であるが、今では静かな無人駅である。2面2線のホームは現在わたらせ渓谷鐵道で神戸駅とともに上下線の離合が行われる駅となっている。そんな沢入駅はプラットホームと待合所が登録有形文化財に登録されており、足尾鉄道以来の歴史ある駅舎の様子を今に伝えている。また駅舎には沢入簡易郵便局が併設されている。特にわたらせ渓谷鐵道の業務委託をしているとかではないために、切符が買えるとかという訳ではない。確かにこの界隈では“車社会”であることを考えれば人の集まる場所に郵便局を設置していることにはならないが、界隈の複雑な土地問題を考えると、駅に郵便局を併設することは無意味ではないと考える。いつもならば“旅行貯金一局”となる筈だが、通帳を忘れた私には、局の存在を記録することしかできないのが残念であった。<br /><br />旅行貯金が出来ないのは仕方がないので車に戻って出発する。沢入駅は国道と渡良瀬川を挟んだ対岸にあるために、戻る際にも川を渡ることが必要となる。この時期は水量も少なく、石がごろごろとしているだけの川幅のある川としてしか見えない。鉱害ではないのであろうが、殺風景な景色を見ると強ち無関係ではないのかも知れないという思いがこみ上げて来る。<br /><br />国道122号線へと戻り渡良瀬川沿いに走って行くと間もなく県境を越えて栃木県へと入る。従来は村とか町が接していたのであるが、今では群馬県みどり市と栃木県日光市であるから不思議である。<br /><br />そのうちまた渡良瀬川を渡って原向駅へと向かう。駅チカには個人宅があり、駅から歩いて0分の立地ではあるが、いかんせん列車の本数が少ない。それに栃木県に入った途端“除雪”が行われていないことに気付く。道路はそう影響はないが、駅周りには写真の通り雪の塊が残っていた。県境を越えただけでこれだけの違いがあるのかとちょっとびっくりした私であった。<br /><br />そんな原向駅を後にして走って行くこと数分、急に道路の様子が変わる。足尾バイパスの区間であるが、足尾銅山を観光地化した“足尾銅山観光”に向かうために旧道だとバス等の大型車ではやはり不便であるようだ。そんな風に思いながらバイパスを走り、観光地となった“足尾銅山観光”に到着する。<br /><br />駐車場に車を停めてみるが人影が見当たらず“休園日”だったか?という錯覚に陥る。普通に開園しているのだが、この時期は本当のシーズンオフのようで観光客がいないだけであった。そんな静かな道を歩いて数分、チケットブースに到着する。入場料は大人830円、webの割引もあるようだが探す手間をケチり正規の値段をPayPayで支払う。そしてトロッコ乗場へと移動して時間を待つが、やはり先にも後にも観光客はいなかった。時間になりトロッコに乗車する。多分暖かい時期だと気持ちが良いのだろうが、この時期だとやはり“寒い”。そんな中をトロッコ列車に乗って移動し、坑道内150m迄進んで行く。牽引車は動力は蓄電池、つまりモーターカーである。坑道内の空気を汚さないためだそうだが、これは銅山稼働時期と変わらないらしい。当時の雰囲気を体験できるように途中で機関車が付け替えられるが、それはあくまでデモンストレーションである。<br /><br />元々この場所は足尾銅山の通洞坑であり、それを足尾銅山の歴史がわかるように江戸時代から明治・大正、昭和時代の掘削方法の違いなどがわかるように作られている。あくまで立体的な“資料館”の作りであるために興味のある者には楽しいものになるのだが、歴史に興味がなければ面白さは無いように思えるのかも知れない。足尾銅山と言えば学校の“歴史”の授業で必ず学ぶ“田中正造”と“足尾銅山鉱毒事件”で知られている筈なのだが、聞いても“覚えていない”とうちの同僚達の意見を加味すると、そういった方々には面白みはないのかも知れない。まぁ私自身は近代・現代史は意外に好きなので、訪れて損はしなかったとは感じたのだが。<br /><br />そんな感じで坑道内を歩いて回り、外に出て来る。坑道の外にもそれぞれの時代に於ける銅の選別の方法等が立体的に見ることができ、楽しいひと時が過ごせた。<br /><br />江戸時代に鋳造された寛永通宝だが、実はこれも足尾銅山に繋がりがある。日本全国で鋳造された寛永通宝だが、ここ足尾でも足尾銅山で産出するの銅を用いた“寛永通宝一文銭”が寛保年間に出回っていた。これは銭貨の裏側に“足”という文字があったことから“足字銭”と呼ばれたそうだ。そのダミーも敷地内に飾られており、鉱害というものもあったのは事実ではあるが、現代・近代史に於いて足尾銅山が果たした役目は非常に大きなものだったことが理解でき、有意義な時間が過ごせたと思った私であった。<br /><br />土産物屋もあったが、栃木では特に買い物をする予定もなく、続く行程が時間勝負になっていたために、一時間程あれば十分と書かれていたものを二時間弱かけて堪能し、車へと戻って来た。付近に関連施設として記載されていた“古河足尾歴史館”なるものもあるようだが、足は運んだものの冬季休館中ということで入館は叶わなかった。<br /><br />教訓としては空いている時期にのんびりと訪れるのであればこの時期は良いのかも知れないが、やはり雪が降り道路が凍結する場所故に暖かい時期に訪れるのがお勧めである。但しイルミネーションは見られないが・・・。<br /><br />話を戻して車に戻り、足尾銅山観光を後にして先を急ぐ。足尾銅山観光の最寄り駅である通洞駅は、以前は足尾銅山通洞坑、現在では足尾銅山観光の最寄り駅となっている。<br /><br />  《続く》<br /><br /><br />

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2024/02/15 - 2024/02/15

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《2023.February》あみんちゅぶらり関東歩く旅そのⅡ群馬栃木~わたらせ渓谷鉄道と足尾銅山観光編~

今日も目覚ましよりも早く起きることが出来た。いつもであれば目覚ましの音にびっくりして飛び起きるが、やはり仕事とオフの違いであろう。身支度をしてから朝食を頂くために1階へと下りて行く。会場はレストランというよりもは喫茶スペースといった感じの場所であった。朝食は部屋に持ち帰って食べることも可能だと聞いていたがイマイチ意味がよくわからなかったが、会場に行ってみて〝なるほど〟と納得する。東横インの朝食はバイキングであるが、お料理その他をトレーやお皿に取り分けるのではなく、蓋付きのバスケットに取り分けて蓋をすれば〝お弁当〟の如く持ち運びが出来る仕様になっていた。そのあたりは宿泊客個人の判断に任されるようではあるが、混雑している時間でもなかったために、その場で食べることを選択する。もうひと方お姉さんがいらっしゃったが、コーヒーだけを飲んで部屋に持ち帰られたようだ。ただその場で食事を済ませるにも〝バスケット〟の利用は変わらないようで、バスケットのサイズに合わせてお料理を取り分けなければならないために意外と使い勝手が悪いのである。とはいえ一個人の我儘が通る訳もなく、結局バスケットに取れるだけの量に収めての食事を頂き、コーヒーだけ部屋に持ち帰るようにした。

今回の旅はあくまで〝イルミネーション散策〟であるために基本昼間の予定はno planである。しかしチェックアウトは決まっており、10:00には出発出来るように時間取りをして部屋を出ることにする。取り敢えず立駐から車を出すのだが、ここでまさかの景色に遭遇する。立駐故にそれ程広さがある訳ではないが、出庫する宿泊客の車を出すのが優先の筈が、出勤してきた従業員が先に割り込もうとするのである。台数などたかが知れているにも関わらず車を駐車しようとするため、混雑を作り出してしまっている。係員が静止をしていたが〝早く行け〟とばかりの態度に唖然とする。チェックアウトの絡みもあり、私自身も車を下ろしてもらうが譲る気配はなく、ナビセットとホテル外観の写真を撮るため平面の駐車場に車を停めると、今度はこちらでも駐車場の場所取り合戦が始まる。立駐の順番待ちで列を作るから路駐も出来ない上に、平面駐車場に停めるとまるで邪魔者のように出庫を待っていたりする。言い方は悪いが気持ちの良いものではないし、客を邪魔者扱いをする従業員の態度は最低である。宿泊自体は悪くはなかったものの最低の態度である。チェックアウトしたらさっさと出掛けろとばかりの仕打ちに、全てが興醒めしてしまった。まあこんな従業員しかいないホテルに二度と泊まることはないだろう。

要件を済ませたらさっさと出発する。先ずは桐生郵便局に立ち寄って撮影済みネガフィルムの郵送をする。見た感じ定形外郵便の規格外と言われるが3cmは超えてないので企画内でOKである。次いで郵便局迄に見つけたドンキホーテ桐生店に立ち寄る。私の場合何故なのかがわからないのだが、旅先ではいつも〝手荒れ〟が酷くひび割れることも珍しくない。前回広島に行った際に〝ハンドクリーム〟を購入したが、持って来るのを忘れたために薬局へと向かう。ちょっとベタつくが〝メンターム〟を購入し、手に塗ってから手袋をはめてハンドルを握ることにする。

ドンキを最後に桐生市街を後にして車を走らせる。まずローソン桐生堤町三丁目店に立ち寄ってひと息入れる。ここで今日のルートを思い付きで決め、わたらせ高原鉄道〝撮り鉄〟旅にすることにした。

出来るだけ〝わ鐡〟の駅には立ち寄りたいが、時間的なロスはできないため、現在地よりも先の駅に立ち寄るとミッションを定めて出発する。先ずは大間々駅、群馬県みどり市にある大間々駅はわ鐡の本社がある場所だ。また車両基地もあるために現在運行に携わっていない列車も置かれている。引退したわ89-300形302号とわ89-100形101号、トロッコわっしーのWKT-550形551号、〝渓谷号〟運行のためにJR東日本から購入したDE10-1537号機、〝トロッコわたらせ渓谷号〟用の客車で、スハフ12形客車を改造した〝わ99形5080号〟等が停車している様は、正にローカル鉄道博物館のようだ。多分客車列車を知らない若い世代にはわからないのかも知れないが、12系車両といえば臨時急行等に用いられたクロスシート(ボックスシート)の定番だったことから貧乏学生の頃はよく利用したものだ。今では需要もなく海外で第二の人生を送っているものや、わ鐡のように改造されて現役を続けているものを見れば懐かしいと同時に嬉しくも思える車両のひとつである。そんな姿を目に焼き付けて、次の駅を目指して出発する私であった。

上神梅(かみかんばい)駅は旧足尾鉄道時代の大正元(1912)年の開業で、既に100年を超える歴史を持っている。開業時から使用されている木造駅舎は一部昭和初期に増築された部分はあれど、プラットホームとともに登録有形文化財に登録されている。ただ今となっては田舎のローカル駅のひとつでしかないが。イルミネーションも取り付けられて入るが、この時間故に残念でしかない。

車に戻り暫く走ると道路脇に駅の所在が記されている看板を見つける。本宿駅入口、坂を少し下って行くとホームだけの無人駅があった。この駅の歴史は浅く、足尾線当時はなかった駅だ。上神梅駅から水沼駅間は駅がないため歩かねばならず、駅設置を要望していたものが三セク化を機会に設けられた駅である。ここにもやはりイルミネーション飾りがあるのだが、昼間であるがためにそのものは見ることはできなかった。

下りがあれば上りがあるのは当たり前で、息を切らせながら坂を上って車に戻る。暫く走って道の駅くろほねやまびこに立ち寄った。今回の旅路に於いて、宿泊した桐生は群馬県であるために、getした地域振興券は群馬県でしか使えない。故にお土産でも買える場所で使わないと無駄になってしまうためだという理由もある。地元産のものは結構な品揃えはあったが、土産品にできそうな物は少なかった。とは言えなんとか使い切って気持ちを楽にして再び車を走らせる。

水沼駅はやはり足尾鉄道開業時の設置駅である。2面2線の離合が出来る駅ではあるが、現在のダイヤでは当駅止まりの列車もなく、事実上は単線利用の駅となっている。無人駅ではあるが、お食事処の“わたらせ庵”と“水沼温泉センター”という娯楽施設が付随している。しかしわたらせ渓谷鐵道の経営ではなく外部委託をしている施設のために、委託事業者の兼ね合いで令和5(2023)年に8月より休館となっているようだ。“関東の駅百選”に選定された駅であり、その選定理由が“関東唯一の緑に囲まれた天然温泉付き(露天風呂)の駅”だというが、現状休止中であるために名ばかりとなっている。街興しの一環として誘致しても読みが甘く、長続きしないのは田舎のあるあるであることにモロ当てはまっているのが悲しい。確かにその温泉だけを目当てにここまで来るかと問われれば、私ならば“来ない”と言い切れる自信があるだけに今後の展開に期待したいところである。こちらもイルミネーション飾りはされて入るが、時間的に楽しめるものではなく、車に戻って次の目的地を目指すことにする。

花輪駅も開業当初に設置された駅である。当時は1面2線の島式ホームだったようだが、国鉄時代に合理化され1面1線の現在のようになったと記されている。無人駅なのでホームに入り写真を撮影していると、まさかの接近放送にびっくりする。丁度WKT-500形502号桐生行きが入線して来たのだが、この付近発祥とされる“うさぎと亀”のミュージックだが、そもそも無人駅には必要ないだろうと思ったのが本音である。わたらせ渓谷鐵道で接近放送がある駅は桐生駅とここ花輪駅だけである。接近放送というから違和感があるだけで、鉄道利用の観光客に“うさぎと亀”発祥の地をアピールすることは理に適っているのかも知れない。まあ観光客の立場て文句を言う筋合いはないので、素直に街興しの一環として評価したいと思う。

場所的な問題で次駅の中野駅を飛ばし神戸(ごうど)駅へとやって来る。設置当初は神土駅として開業し、三セク化の際に神戸駅となった経緯がある。2面3線のホームは往時の賑わいを今に伝えるものであり、桐生方面の1線は列車のレストラン“清流”が利用している。駅舎は開業時に竣工した木造の駅舎が、3回の増改築を実施はされたものの現在でも使用されており駅本屋やプラットホームなどの設備が登録有形文化財に登録されている。また駅前には大きな広場があり路線バスの停車・転回スペースがあるほか、大型観光バス・乗用車用の駐車場が設けられている。神戸駅周辺は花桃の名所となっており、毎年4月の“神戸駅花桃まつり”の際は駐車場がイベントスペースとなるために一般車の駅前乗り入れはできなくなるらしい。ただその時期の混雑は大変なものだと言われても、シーズンオフの1月ではその様子はなく、そういうものだと思い込むしかなかったのが現実だった。

車に戻り国道122号線を足尾に向かって走って行く。そのうち見えてくる大きな湖は草木湖。昭和52(1977)年に完成した草木ダムによって出来たダム湖である。草木ダムは洪水調節、不特定利水、かんがい、上水道・工業用水道供給、水力発電の6つの目的がある多目的ダムであり、その中でも用途が広い部類に分類されている。計画当時はまた足尾銅山が採掘を行っていたこともあり、鉱毒防止も目的としていたと言われている。しかし補償交渉中の昭和48(1973)年に足尾銅山が閉山し、以降鉱毒流出が極端に減少したこともあって鉱毒防止目的は除外されている。ダム完成以降の草木湖では厳重な水質調査が毎年行われているが、環境に影響を及ぼす数値は検出されていない。その一方でダム建設によって東村神戸(ごうど)・沢入(そうり)地区などの住民230戸が草木湖の水没対象となった。この地域は比較的開けた山村で足尾と桐生の中間点に位置し、交通の便も悪くなく居住者が多かった。そのような理由から住民の反対運動は激しく、漁業権補償と並んで容易に解決できない問題となった。それでも昭和48(1973)年には妥協案が成立し本格的な工事が始まった。同時に路線が水没する当時の国鉄足尾線(現わたらせ渓谷鐵道)の草木トンネルの掘削等を含む付け替え工事が実施され、当初の計画より7年遅れでダムは完成し運用を開始した。

そんな草木湖の畔に草木ドライブインが存在する。竣工は昭和51(1976)年だそうで、草木ダムの完成前にできたようだ。改装もしているだろうから一概に当時のものとは言い切れないが、近年に出来た道の駅ともまた違い、正しく“昭和のドライブイン”らしい風格を醸し出していた。ただ既にお土産を購入していれば特に見るものもなく、一息ついて先を急ぐことにする。

草木湖を眺めながら暫く走り、沢入(そうり)駅に到着する。こちらも草木ダム建設時に補償問題で揉めた場所であるが、今では静かな無人駅である。2面2線のホームは現在わたらせ渓谷鐵道で神戸駅とともに上下線の離合が行われる駅となっている。そんな沢入駅はプラットホームと待合所が登録有形文化財に登録されており、足尾鉄道以来の歴史ある駅舎の様子を今に伝えている。また駅舎には沢入簡易郵便局が併設されている。特にわたらせ渓谷鐵道の業務委託をしているとかではないために、切符が買えるとかという訳ではない。確かにこの界隈では“車社会”であることを考えれば人の集まる場所に郵便局を設置していることにはならないが、界隈の複雑な土地問題を考えると、駅に郵便局を併設することは無意味ではないと考える。いつもならば“旅行貯金一局”となる筈だが、通帳を忘れた私には、局の存在を記録することしかできないのが残念であった。

旅行貯金が出来ないのは仕方がないので車に戻って出発する。沢入駅は国道と渡良瀬川を挟んだ対岸にあるために、戻る際にも川を渡ることが必要となる。この時期は水量も少なく、石がごろごろとしているだけの川幅のある川としてしか見えない。鉱害ではないのであろうが、殺風景な景色を見ると強ち無関係ではないのかも知れないという思いがこみ上げて来る。

国道122号線へと戻り渡良瀬川沿いに走って行くと間もなく県境を越えて栃木県へと入る。従来は村とか町が接していたのであるが、今では群馬県みどり市と栃木県日光市であるから不思議である。

そのうちまた渡良瀬川を渡って原向駅へと向かう。駅チカには個人宅があり、駅から歩いて0分の立地ではあるが、いかんせん列車の本数が少ない。それに栃木県に入った途端“除雪”が行われていないことに気付く。道路はそう影響はないが、駅周りには写真の通り雪の塊が残っていた。県境を越えただけでこれだけの違いがあるのかとちょっとびっくりした私であった。

そんな原向駅を後にして走って行くこと数分、急に道路の様子が変わる。足尾バイパスの区間であるが、足尾銅山を観光地化した“足尾銅山観光”に向かうために旧道だとバス等の大型車ではやはり不便であるようだ。そんな風に思いながらバイパスを走り、観光地となった“足尾銅山観光”に到着する。

駐車場に車を停めてみるが人影が見当たらず“休園日”だったか?という錯覚に陥る。普通に開園しているのだが、この時期は本当のシーズンオフのようで観光客がいないだけであった。そんな静かな道を歩いて数分、チケットブースに到着する。入場料は大人830円、webの割引もあるようだが探す手間をケチり正規の値段をPayPayで支払う。そしてトロッコ乗場へと移動して時間を待つが、やはり先にも後にも観光客はいなかった。時間になりトロッコに乗車する。多分暖かい時期だと気持ちが良いのだろうが、この時期だとやはり“寒い”。そんな中をトロッコ列車に乗って移動し、坑道内150m迄進んで行く。牽引車は動力は蓄電池、つまりモーターカーである。坑道内の空気を汚さないためだそうだが、これは銅山稼働時期と変わらないらしい。当時の雰囲気を体験できるように途中で機関車が付け替えられるが、それはあくまでデモンストレーションである。

元々この場所は足尾銅山の通洞坑であり、それを足尾銅山の歴史がわかるように江戸時代から明治・大正、昭和時代の掘削方法の違いなどがわかるように作られている。あくまで立体的な“資料館”の作りであるために興味のある者には楽しいものになるのだが、歴史に興味がなければ面白さは無いように思えるのかも知れない。足尾銅山と言えば学校の“歴史”の授業で必ず学ぶ“田中正造”と“足尾銅山鉱毒事件”で知られている筈なのだが、聞いても“覚えていない”とうちの同僚達の意見を加味すると、そういった方々には面白みはないのかも知れない。まぁ私自身は近代・現代史は意外に好きなので、訪れて損はしなかったとは感じたのだが。

そんな感じで坑道内を歩いて回り、外に出て来る。坑道の外にもそれぞれの時代に於ける銅の選別の方法等が立体的に見ることができ、楽しいひと時が過ごせた。

江戸時代に鋳造された寛永通宝だが、実はこれも足尾銅山に繋がりがある。日本全国で鋳造された寛永通宝だが、ここ足尾でも足尾銅山で産出するの銅を用いた“寛永通宝一文銭”が寛保年間に出回っていた。これは銭貨の裏側に“足”という文字があったことから“足字銭”と呼ばれたそうだ。そのダミーも敷地内に飾られており、鉱害というものもあったのは事実ではあるが、現代・近代史に於いて足尾銅山が果たした役目は非常に大きなものだったことが理解でき、有意義な時間が過ごせたと思った私であった。

土産物屋もあったが、栃木では特に買い物をする予定もなく、続く行程が時間勝負になっていたために、一時間程あれば十分と書かれていたものを二時間弱かけて堪能し、車へと戻って来た。付近に関連施設として記載されていた“古河足尾歴史館”なるものもあるようだが、足は運んだものの冬季休館中ということで入館は叶わなかった。

教訓としては空いている時期にのんびりと訪れるのであればこの時期は良いのかも知れないが、やはり雪が降り道路が凍結する場所故に暖かい時期に訪れるのがお勧めである。但しイルミネーションは見られないが・・・。

話を戻して車に戻り、足尾銅山観光を後にして先を急ぐ。足尾銅山観光の最寄り駅である通洞駅は、以前は足尾銅山通洞坑、現在では足尾銅山観光の最寄り駅となっている。

  《続く》


旅行の満足度
5.0
観光
5.0
ホテル
3.0
グルメ
5.0
ショッピング
5.0
交通
5.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
1万円 - 3万円
交通手段
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