切通の迂回路は？

2021/12/13 - 2021/12/13

　永福寺跡から二階堂川に架かる亀ヶ渕橋を渡って所謂獅子舞谷までの街道は鎌倉時代には源頼朝が奥州平泉に出兵し凱旋した大手中路として残っている。すなわち、永福寺跡から所謂獅子舞谷までの街道は由緒ある史跡である。しかし、そうした認識は中世史の専門家にはないであろう。
　その上、鎌倉の鶴と亀は頼朝によって新しくされ、ここ亀ヶ淵に亀が改められ、永福寺が建立された鎌倉の亀の地であることも、中世史の専門家は気が付いてはいない。
　鎌倉の軍都としての都市計画は頼朝によって改められた鎌倉の鶴の地、鶴岡八幡宮の参道、若宮大路などからも知られる。鶴岡八幡宮は神（筑波山神社）と仏（浅草観音）に守られている地であるが、ここ鎌倉の亀の地はお経を埋めた経塚山に守られていたのであろうか？
　鎌倉の外には鎌倉道が残るが鎌倉中にもこうした軍事道路が残っている。ここ大手中路である。この街道は後世にバス通りとかにはならず、昔の面影を残している。軍事都市に軍事道路が付きものである。紅葉狩りの途中か帰りにはそうしたことに思いを馳せて頂きたい。
　鎌倉の特徴は切通とやぐらである。ここ大手中路には天園から永福寺に向かう途中に2つの切通が残っており、しかも、ここにはやぐらが見られないという稀有な切通である。やぐらがないのは何故か？それは鎌倉殿の命で掘削した切通であり、御家人はそうした切通に自分の亡き骸を埋葬するやぐらを営むことは恐れ多いことだったからだろう。
　しかし、鎌倉の切通では迂回路が付き物だ。東電変電所奥の最初の切通の迂回路（アイパス路）はなかったハズはない。現在ではこの切通が終わる辺りから尾根に向かう山道の入口や、この切通を過ぎた辺りにも尾根に上る山道の入口があるが、もっと手前、この切通の手前にあって然るべきである。この冬はそうしたことの探求もしたいものだ。
（表紙写真は最初の切通が終わる辺りにある尾根道への入口）

エリア 鎌倉(神奈川)

永福寺跡の紅葉。

「史跡永福寺跡　駐輪場案内」。
駐輪場案内に等高線まである地図が使われている。裏山は緩い傾斜で二段築成で削ってお堂（阿弥陀堂、釈迦堂、薬師堂）を建てる敷地を確保し、前の経塚山を削って崖にして池の用地を確保していることが分かる。
崩れても池なら埋まるだけであるが、お堂は埋まってしまったら元も子もない。

永福寺跡の池の法面に咲くタンポポ。

西洋タンポポのようだ。数年前にここの草むしりなどの整備をしている人には西洋タンポポが駆除し、白花タンポポは残すように頼んでおいたのだが…。
鎌倉時代初期の史跡に西洋タンポポは無粋だ。

経塚山を削った崖。頼朝存命中のものか、それに近いもの。ここ永福寺では一番の史跡だ。
橋は亀ヶ渕橋。

経塚山麓の紅葉。

亀ヶ渕切通入口の紅葉。

二階堂川に架かる橋の手前の杉林。亀ヶ渕切通からここに出られると聞いている。

東電変電所辺りの紅葉。亀ヶ渕橋袂の地図に「紅葉谷」のシールが貼られている場所がここだ。しかし、「紅葉谷（もみじがやつ）」は由緒正しい谷戸で、鎌倉時代から瑞泉寺がある谷を差す。

東電変電所辺りで天台山の雨水を集めてY字の支流が二階堂川に合流している。その合流点にはコンクリートの護岸と石積みの護岸が見える。

石積みの護岸。
この辺りから山の尾根に上がる山道があっても良いのだが。

東電変電所奥の切通手前の「注意」看板。

切通手前の紅葉。

対岸。この辺りに山に上る尾根道の入口はないか？

対岸。この辺りに山に上る尾根道の入口はないか？

切通入口にある橋の袂に「注意」看板。

切通。鎌倉中では一番の史跡だ。

切通の終わりかけに鉄塔がある尾根に上る山道の入口が。数年前から倒木が積もっており、通れなくなっている。

切通を通り、二階堂川を渡った先には、尾根にある鉄塔まで上る谷道の入口。帰りはここに下りて来た。

「この先私道につき通行注意」看板（（https://4travel.jp/travelogue/11728937））。

所謂獅子舞谷手前の切通。

所謂獅子舞谷の紅葉。

谷にある旧街道。

谷にある旧街道。

大手中路がなだらかな杉林に向かう場所にある7股のカエデ。

カエデの根元に女竹の藪の中に大手中路が通っていた。

尾根道にあるタモノキの候補木。

尾根道にあるタモノキの候補木。この1年間タモノキがどの木なのか調べている。