2019/05/04 - 2019/05/04
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モボ101さん
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ドイツ東部、ザクセン州の州都ドレスデンは、エルベ川のフィレンツェと称えられる美しい古都。市内には、月に1日だけ開くトラム博物館があるので、日程を合わせて訪問することに。
旧東ドイツの街で地下鉄があるのは、首都ベルリンだけ。人口55万人のドレスデンの公共交通機関の主力はトラム。その軌間は標準軌より15mm広い1450mmで、路線網の総延長は130km。LRTと呼ばれる部分低床の連接車が、市内を縦横にかけ抜け、一部の路線は郊外まで延びています。
その1では、100年以上にわたるドレスデンのトラムの歴史を伝える博物館への行き方と、20世紀初頭から第二次世界大戦までのトラムをご紹介します。
https://4travel.jp/travelogue/11710177
その2では、第二次世界大戦後の東ドイツ時代のトラムと業務用の特殊車両等をご紹介します。
【この旅行記です】
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 鉄道
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
後半は、第二次世界大戦後に東ドイツが製造したトラムから始めます。
第二次世界大戦の敗戦により東西に分断されたドイツで、ドレスデンは共産圏の東ドイツに属することに。1948年の東ドイツ成立後、1950年から標準型トラムとして、国内各都市に加えてソ連やポーランドにも輸出されたのが、ヴェルダウ車両工場人民公社が製造したLOWA型とよばれる2軸の電動車ET50型と付随車のEB50型。
1954年から製造がゴータ車輌製造人民公社に移管され、ET54型とEB54型に。1538号は1956年ゴータ製のET54型で、出力60kW×2。1967年に片運転台、片側扉に改造。 -
車内は4人と2人のボックスシートで、吊革はなく、天井からにぎり棒。
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ドアの近くに設置してある券売機。レバーを手前に倒すと、こんな長いチケットが出てくる。“1乗車有効”と印字。
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1538号が連結している2軸の付随車、1362号と1361号も1956年のゴータ製EB54型の同型車。ET54型がEB54型を1~2両牽引するのが一般的だったようです。
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2両とも1967年の改造で、進行方向左側の扉とステップは埋められ、両開きで幅の広い乗降扉は右側だけに。
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2軸の電動車ET57型と付随車のEB57型は、ゴータ車輌製造人民公社が1957年に大幅なモデルチェンジを行った、ゴータカーと呼ばれる東ドイツの標準型トラム。1587号は1959年にケムニッツのトラムが導入し、1966年にドレスデンに転入したET57型。出力60kW×2。1990年頃まで使用。
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LOWA型に対してゴータカーは正面が半流線型で3枚窓となり、側面窓を4枚から3枚に変更しているが、車内の構成はほとんど同じ。
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連結している1413号は、2軸の付随車EB57型。半世紀前、1966年当時のドレスデンのトラムの姿を今に伝えています。
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もう1両のゴータカー1512号は1960年製。ET57型の片運転台、片側ドアバージョン。1970年代からチョコレート色のラインが窓下1本に。1990年からは貨物輸送に転用され、765号と同じグレーにオレンジのラインの塗色になって1993年に博物館入り。現在は窓下と車体の裾にアルミのモールを取り付け3本ラインの60年代の姿に復元。
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ゴータカーの運転席の機機配置。ベルリン郊外やドレスデンの近郊で運行する現役のゴータカーに乗りましたが、運転士は左側の制御器で加速と電気ブレーキを常用。停止する直前に右側のハンドブレーキのレバーを手前に倒していました。
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車内は1538号と同一の構成。
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1512号の連結相手の2軸の付随車は、1960年製片側ドアのEB57型1422号。1986年にデッサウのトラムに売却され、東西ドイツ統一後にハノーファーのトラム博物館が入手。2009年にハノーファーとの間での博物館同士の車両交換によりドレスデンに里帰り。
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検修庫で窓枠やドア、内装を全て取り払って整備中。
博物館のホームページに掲載されている1962年製、片運転台片側3扉のゴータカーのボギーの電動車1734号とボギーの付随車2015号は、当日は見かけませんでした。 -
旧共産圏諸国のトラムの生産を、チェコスロバキアのタトラ国営会社が行うことになり、1969年にゴータ車両製造人民公社での生産を終え、移管したタトラ国営会社でもゴータカーの生産は1971年で終了。
タトラ国営会社は、1950年代から米国PCCカーのライセンスを購入して高性能のボギー車、タトラカーを大量に生産していて、T1、T2、T3とモデルチェンジ。ドレスデンでも1960年代半ばに、T3型をプラハから取り寄せて走行試験を行い、これをベースに東ドイツ向けにアレンジしたT4D型を開発。2000号は、1967年に導入した最初のタトラカーT4D。出力43kW×4。塗色もプラハと同じタトラカー標準のオレンジとベージュ。 -
タトラカーはT4Dは、T3までと同じ片運転台片側扉仕様。プラハを始め、T3型を2両連結したMM編成が一般的だが、T4D型はそれ以前の東ドイツ製のトラムと同様に、電動車が付随車B4D型を牽引するMT編成やMMT編成が基本。
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車内は1人がけと2人がけのシート。
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これ以後は、1984年までの17年間にタトラカーT4Dが572両、ボギーの付随車B4Dが249両と、大量に導入されることに。2000号は、タトラカー導入30周年にあわせて博物館入り。
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同じくタトラカーT4Dの222988号は1968年製。2000号と連結運転が可能。1990年代以降は黄色の塗色に変更されたので、1980年代以前、東ドイツ時代のオレンジとベージュに戻されています。
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タトラカーの運転席。米国のPCCカーにならって、加速もブレーキも足踏みペダル。運転士の両手は手すりを掴んでいるだけ。
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車内は、2000号に対して1人がけと2人がけの座席の配置が逆になっている。
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インナーフレームで直角カルダン駆動、車輪の間に電磁吸着ブレーキを有するタトラカーの台車。
博物館のホームページに掲載されているボギーの付随車、タトラカーB4Dの272 105号は見かけませんでした。 -
丸い車体で抵抗制御のT4D型から、角型の車体でサイリスタチョッパ制御にモデルチェンジされた、新型タトラカーの東ドイツ向けT6A2型、226 001号は1985年製。出力45kW×4。この博物館で一番新しい車両。
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角タトラも片運転台、片側扉仕様。
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以下は、各種業務用の車両です。
四角い箱の251105号は1970年製。東ドイツ国鉄や輸送会社の協力のもとで開発した、牽引されながらトラムの線路の軌間や軌道の歪みを自動計測する車両。ベルリン、ライプチヒ、ドレスデンに1台ずつ導入。1999年に廃車。展示中の車両には測定軸がないが、別途保管されているので取付は可能だとか。 -
車内には、多数の測定機器を装備。
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乗務員室の付いた貨車722 507号はLOWA製。当初は、火力発電所で灰を輸送する深い荷台を備えたダンプカーとして使用。1958年にドレスデントラムに引き継がれてからは、浅い荷台のダンプカーに改造。1993年に博物館入りして、1971年当時の姿で展示。
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白い貨車3301号は、1921年にドレスデントラムの工場で製造。トラムの大型有蓋貨車として使用後、1926年に Bienert-Mühle の工場と港の間の穀物輸送の貨車となり、1965年の廃車後に車体だけがトラムの駅の自転車置き場に転用されてシャーシは廃棄。
1996年に、トラム博物館が引き取り車体を復元。堅牢な2軸台車を履いているように見えるのは、貨車の足回りが失われているので、メーターゲージの車両を積載してトラムの路線を移動する台車枠、3500号の上に車体を仮置きしているため。 -
はしご車251102号は、1921年にドレスデントラムの工場で製造。古い2軸の付随車の台枠と2軸の台車を流用し、その上に伸縮と折り畳み、回転できる梯子を取り付けたもの。ホールの屋根や天井、壁、照明の修理等に使用。1984年当時の姿のまま、非稼働状態で展示。
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2軸の無蓋貨車3406号は、1920年にドレスデントラムの工場で製造。トラムの整備工場間や、郊外の狭軌の蒸機鉄道の整備工場との間で、車両部品の輸送等に従事。1947年当時の塗色に復元して展示。
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2軸の無蓋貨車3261号は、1932年にドレスデントラムの工場で製造。作業機器の運搬に従事した後、トラムの車庫で倉庫として使用。1947年当時の姿に復元。
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無蓋貨車3261号の上では、架線や軌道の部品を展示。
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レール輸送車3482号は、1925年にドレスデントラムの工場で製造。森林鉄道の運材車のように、台車の中央に回転できる荷受け部分がある同一形状の2軸の輸送フレーム部分2台を、長いカップリングロッドで連結。その長さは、輸送するレールに合わせて調整可能。1990年代初頭に廃車。1947年当時の姿で展示。
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緑とベージュに塗り分けた2軸の電動車、854号は1943年に Gothaer Waggonfabrik AG Gotha がドイツ中央部の街、エアフルトのトラムに納入。1967年にドレスデン近郊を運行していたロックヴィッツタル鉄道に譲渡。この時に、ドレスデンで機器の換装や近代化工事を実施。
1977年に同鉄道が廃止されるとキルニッシュ渓谷鉄道に移り、1994年の廃車後はロックヴィッツタル鉄道の支援組織の手でもとの線路跡に静態保存。2007年にドレスデントラム博物館が引き取り、1969年の姿に復元するとともに、同支援組織は解散という流転の生涯。軌間がメーターゲージのためドレスデンのトラム路線を走ることができず、通電はしているものの静態保存。 -
運転席の左に制御器、右にハンドブレーキ、足元にペダルでドレスデンのトラムと同じ構成。
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2人と4人のボックスシートや天井から下がる波形の吊革も、ドレスデンのトラムと同じ構成。
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ロックヴィッツタル鉄道の2軸の黄色い郵便車、35号は1908年に Gottfried Lindner で製造。車体側面の片側には扉、向こう側には上下に2個所の郵便投入口を設置。1960年に廃車となり、シャーシは廃棄され車体のみ個人に売却されて物置小屋に。2012年の復元時には、足回りには適当な中古部品を取り付け。
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凸型車体で2軸、メーターゲージでB型の貨物用電気機関車3091号は、1905年のヘンシェル製。王立ザクセン邦有鉄道のフライタール貨物鉄道1号機として就役。出力20.2kW×2。
貨物鉄道の路線は、1941年にドレスデンのトラムに移管され、3091号機は1947年にで廃車になった車両から取り外したAEGの制御器とパンタグラフに換装。1964年のリニューアルで、BBCの制御器と37kW×2のモーターに換装。1972年の貨物鉄道廃止後、ドレスデン旧市街の中心にある交通博物館が入手。2016年にドレスデントラム博物館に移管して、1964年当時の姿で展示。 -
この博物館は東ドイツ時代のバスも保存しているという情報もあるのですが、当日は見かけませんでした。展示館内にあった唯一のクルマがコレ。トラムと同じ塗色のクラシックでちょっとかわいいこのクルマは、東ドイツにあったバルカスという商用車メーカーのB1000型。1969年から東西ドイツ統一の翌年の1991年まで、30年以上モデルチェンジもせずに17万台以上作り続けたのだとか。EUのナンバープレートが付いているので、動態保存でしょう。
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キャプタイヤコードが巻かれた、車輪の付いた電気機器。上に乗った説明の記載は Umformer(コンバーター)。“溶接用発電機として、また牽引棒による鉄道車両の移動用三相モーターとしても使用可能、架線のないホールでの作業も可能”となっているけど、何でしょう。
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電話ボックスのような木製の箱。工事現場に持って行くのか、移動式のトイレ。
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新旧3種類のパンタグラフ。
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トラムの路線にも、アナログ電話の時代から運転指令があったようです。
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数多くのトラムの模型も展示されています。
309号の4連のアーチ形側窓をモチーフにした展示ケース内に、HOゲージの新旧歴代ドレスデンのトラム。 -
手作り感あふれる大型模型もあります。
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この日の朝、トラム博物館に向かう際に、同じ敷地内にあるトラフェンベルグ車庫でチラッと見かけたタトラカー。低床連節車の増備により、東ドイツ時代の車両は2010年に全廃になったはず。月に1度のトラム博物館の開館に合わせて、動態保存車による市内運行でもあるのかとちょっと期待したけど、帰りにも同じ場所で待機中。
近くまで行ってみると、タトラカーT4Dの3両編成が2本、パンタを上げているけど動く気配なし。更新工事を受けているのでしょう。博物館のオリジナルスタイルに比べ、大型の方向幕や両開きのプラグドア、シングルアームのパンタグラフなど、改造による差異がみられます。
ホテルに帰ってネットで調べたら、最近になってラッシュ時の増発のためにタトラカーを復活させ、ワインを飲みながら市内を巡る観光電車等にも使用しているのだとか。全廃から何年間も、まとまった両数を保管しておくとは、余裕がありますね。
ドレスデントラム博物館の公式ホームページは、
https://www.strassenbahnmuseum-dresden.de/
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