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2020年10月15日(木)午後の3時半、この日のサイクリングの折り返しになる流れ橋を渡る。八幡側の上津屋地区から堤防上のサイクリングロードに上がると、2ケ所上津屋橋休憩所がある。<br /><br />上流側の石田神社御旅所と下流側の石田神社から上がったところにあるのが旧休憩所(下の写真1)で、それより少し下流に行ったところにあるのが新休憩所(下の写真2)。新休憩所は2017年に「茶いくるスポット」としてオープンしたもので、広さ310平方mで、駐輪ラック40台分や屋根付きのベンチなどを備える近代的なもの。どちらの休憩所も使えるが、新休憩所からの方が流れ橋がよく見えるかな。<br /><br />流れ橋だが、正式には上津屋橋(こうづやばし)と云い、木津川流れ橋とか八幡流れ橋とも呼ばれる。川が増水すると橋桁と橋板が流される橋で、日本だけでなくアイルランドやオーストラリアにも見られる。日本には大小様々な100基以上の流れ橋があり、茨城県の小貝川に架かる小目沼橋や福岡県の矢部川に架かる船小屋観光橋などが知られているが、一番有名と云えるのがこの橋。<br /><br />上津屋地区の話で書いたのだが、江戸時代から明治の中頃まで川を挟んで上津屋村が分かれていたことで、住民は頻繁に渡し舟で往来していたのだが、利便性に劣ると云うことで、1953年(昭和28年)1月に京都府の職員だった技術者の設計でこの橋は架けられた。洪水に耐えられる橋を造るのは費用が掛かると云うことで、橋桁と橋板を橋脚に固定せずにワイヤーで繋ぐだけにし、大水の時は橋桁と橋板が流れることで水圧を下げ、橋脚を守る構造にした。また、橋脚だけになることで、上流から流されて来たものが橋に掛かり、ダム様の塊を作り、それが決壊することで被害を大きくすることも防いでいた。<br /><br />造られたその年の7月に早速流され、以後2020年までの63年間で23回流されている。1990年代に入ると97年まで8年で6回流出が続いたため、98年の復旧時には半分の区間で橋桁が流出しても損傷しにくい新工法で修復された。その甲斐があったのか2009年まで過去最も長い12年間流出がなかったが、その後は2014年まで6年で4回の流出が発生した。<br /><br />ワイヤーで繋がれているとは云え、復旧には数か月掛かり、また費用も数千万円掛かることから、この時、永久橋への架け替えが検討されたが、橋が流れている状態でもここに来る前に寄った流れ橋交流プラザへの来場者は増えており、また2010年にすぐ下流に人も渡れる第二京阪道路の新木津川大橋の側道が開通しており復旧までの期間は迂回できること、さらに従来の景観を維持したままの復旧を望む声や署名が多かったこともあり、75㎝かさ上げして従来の構造のまま16年に復旧された。その後も2017年10月に流出し、18年6月に復旧したが、昨年(2019年)10月の令和元年東日本台風(台風19号)に伴う大雨により流出している。<br /><br />現在の橋は今年(2020年)4月に復旧したもので、一部はコンクリートだがほとんどの部分は木材製。長さは356.5mで、一番長い橋脚間は10.1m。橋の幅は3.3m(ただし、有効幅員は3m)。自転車に乗ったまま渡っている人もいたが、歩行者専用橋で、バイクと自転車は降りて押して渡る必要がある。京都府道281号八幡城陽線の一部ではあるが、車は通れない。<br /><br />欄干や橋上灯がなく、丸太で組んだ橋脚の上に橋桁を渡しただけの素朴な姿の橋で、まるで数百年前に架設された橋のような印象を与え、さらに橋の周囲は堤防の内側(川側)で民家や電柱がなく茶畑しかないため、時代劇撮影の恰好のロケ地として使われてきた。年平均で7回、多い年には24回のロケに使われたそうだ。水戸黄門、暴れん坊将軍、桃太郎侍、必殺仕事人、座頭市、銭形平次等々、多くの人がテレビや映画でこの橋を目にしている。<br /><br />ちゃんと自転車を降りて押して渡る。この橋を渡るのは多分3回目だが、前回が19年ほど前なので、現在のかさ上げされた橋を渡るのは初めて。全然違いは分からない。橋の向こう側には比叡山が見える。350m以上あるので写真を撮りながらだが、渡り切るのは5分以上掛かる。<br /><br />橋から降りられる訳ではないが、川の中ほどには中州が広がり(下の写真3)、向かい側の久御山、城陽側が流れの本流(下の写真4)で八幡側はこの時はほとんど流れてなかったので、川原を中州まで歩いて渡っている人もいた(下の写真5)。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.4766186293451357&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br /><br />木津川右岸に続く

京都 八幡 上津屋流れ橋(Kozuya Floating Bridge, Yawata, Kyoto, JP)

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2020/10/15 - 2020/10/15

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ちふゆ

ちふゆさん

2020年10月15日(木)午後の3時半、この日のサイクリングの折り返しになる流れ橋を渡る。八幡側の上津屋地区から堤防上のサイクリングロードに上がると、2ケ所上津屋橋休憩所がある。

上流側の石田神社御旅所と下流側の石田神社から上がったところにあるのが旧休憩所(下の写真1)で、それより少し下流に行ったところにあるのが新休憩所(下の写真2)。新休憩所は2017年に「茶いくるスポット」としてオープンしたもので、広さ310平方mで、駐輪ラック40台分や屋根付きのベンチなどを備える近代的なもの。どちらの休憩所も使えるが、新休憩所からの方が流れ橋がよく見えるかな。

流れ橋だが、正式には上津屋橋(こうづやばし)と云い、木津川流れ橋とか八幡流れ橋とも呼ばれる。川が増水すると橋桁と橋板が流される橋で、日本だけでなくアイルランドやオーストラリアにも見られる。日本には大小様々な100基以上の流れ橋があり、茨城県の小貝川に架かる小目沼橋や福岡県の矢部川に架かる船小屋観光橋などが知られているが、一番有名と云えるのがこの橋。

上津屋地区の話で書いたのだが、江戸時代から明治の中頃まで川を挟んで上津屋村が分かれていたことで、住民は頻繁に渡し舟で往来していたのだが、利便性に劣ると云うことで、1953年(昭和28年)1月に京都府の職員だった技術者の設計でこの橋は架けられた。洪水に耐えられる橋を造るのは費用が掛かると云うことで、橋桁と橋板を橋脚に固定せずにワイヤーで繋ぐだけにし、大水の時は橋桁と橋板が流れることで水圧を下げ、橋脚を守る構造にした。また、橋脚だけになることで、上流から流されて来たものが橋に掛かり、ダム様の塊を作り、それが決壊することで被害を大きくすることも防いでいた。

造られたその年の7月に早速流され、以後2020年までの63年間で23回流されている。1990年代に入ると97年まで8年で6回流出が続いたため、98年の復旧時には半分の区間で橋桁が流出しても損傷しにくい新工法で修復された。その甲斐があったのか2009年まで過去最も長い12年間流出がなかったが、その後は2014年まで6年で4回の流出が発生した。

ワイヤーで繋がれているとは云え、復旧には数か月掛かり、また費用も数千万円掛かることから、この時、永久橋への架け替えが検討されたが、橋が流れている状態でもここに来る前に寄った流れ橋交流プラザへの来場者は増えており、また2010年にすぐ下流に人も渡れる第二京阪道路の新木津川大橋の側道が開通しており復旧までの期間は迂回できること、さらに従来の景観を維持したままの復旧を望む声や署名が多かったこともあり、75㎝かさ上げして従来の構造のまま16年に復旧された。その後も2017年10月に流出し、18年6月に復旧したが、昨年(2019年)10月の令和元年東日本台風(台風19号)に伴う大雨により流出している。

現在の橋は今年(2020年)4月に復旧したもので、一部はコンクリートだがほとんどの部分は木材製。長さは356.5mで、一番長い橋脚間は10.1m。橋の幅は3.3m(ただし、有効幅員は3m)。自転車に乗ったまま渡っている人もいたが、歩行者専用橋で、バイクと自転車は降りて押して渡る必要がある。京都府道281号八幡城陽線の一部ではあるが、車は通れない。

欄干や橋上灯がなく、丸太で組んだ橋脚の上に橋桁を渡しただけの素朴な姿の橋で、まるで数百年前に架設された橋のような印象を与え、さらに橋の周囲は堤防の内側(川側)で民家や電柱がなく茶畑しかないため、時代劇撮影の恰好のロケ地として使われてきた。年平均で7回、多い年には24回のロケに使われたそうだ。水戸黄門、暴れん坊将軍、桃太郎侍、必殺仕事人、座頭市、銭形平次等々、多くの人がテレビや映画でこの橋を目にしている。

ちゃんと自転車を降りて押して渡る。この橋を渡るのは多分3回目だが、前回が19年ほど前なので、現在のかさ上げされた橋を渡るのは初めて。全然違いは分からない。橋の向こう側には比叡山が見える。350m以上あるので写真を撮りながらだが、渡り切るのは5分以上掛かる。

橋から降りられる訳ではないが、川の中ほどには中州が広がり(下の写真3)、向かい側の久御山、城陽側が流れの本流(下の写真4)で八幡側はこの時はほとんど流れてなかったので、川原を中州まで歩いて渡っている人もいた(下の写真5)。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.4766186293451357&type=1&l=223fe1adec


木津川右岸に続く

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  • 写真1 旧上津屋橋休憩所

    写真1 旧上津屋橋休憩所

  • 写真2 上津屋橋休憩所

    写真2 上津屋橋休憩所

  • 写真3 木津川中州

    写真3 木津川中州

  • 写真4 木津川本流上流側

    写真4 木津川本流上流側

  • 写真5 木津川八幡側

    写真5 木津川八幡側

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