2020/02/01 - 2020/02/28
441位(同エリア10396件中)
琉球熱さん
日本三大ドヤ街、山谷(東京)、寿町(横浜)、あいりん地区(大阪)。
そのうちの一つ、寿町に少しばかりの縁ができて3ヶ月。
毎日、何かしら“事件”が起こる。それでなくても、これまでの自分の「常識」が打ち破られるようなことばかり。
記録として撮影した写真の公開に迷いがなかったわけではないが、華やかなYOKOHAMAにも“裏”があることを知ってもらうことは無意味ではないだろうと思い、公開することにした。
もうじきこの地を離れるにあたっての貴重な経験の記録としての意味合いも込めて。
-
「ドヤ街」の「ドヤ」とは「宿(ヤド)」の逆さことばであり、簡易宿泊所が集まっていることから、こう呼ばれるようになった。
ある日の朝、どこにでもあるような、一見平凡な朝の風景。 -
しかしここは「寿町」。
毎日、何かしら“事件”が起こる。
もっとも、「事件」と感じているのは、新参者の私だけであって、古くからの住人にとっては、「いつものこと」のようだ。 -
街角には、やることもなく、ただただ「そこに居るだけ」という人々。
冬場はこのように日向に集まる(笑) -
日がな一日、こうやって路傍で過ごす。
ドヤ街は日雇い労働者が多く、ここ寿町は特に港湾労働者の集まる場所である。
しかし、近年のドヤ街の住人は生活保護を受ける高齢者がメインで、セーフティネットの役割を果たす場所へと変貌してきている。
「労働者の町」というより「福祉の町」の色合いが強くなってきているそうだ。
事実、寿町も高齢者ばかり。高齢者が集まったというより、かつての住人たちが20年、30年という時を経て現在に至るということなのだろう。 -
話は変わるが、この寿町地区でまず驚かされたのが自販機。
値段を見てほしい。 -
一般の市中自販機よりも20~30円も安いのである。
生活保護を受けている人が多いからなのだろう。
しかしその割には、飲食店の価格は決して安くない。 -
街を歩いてみる。
このような誰かの“荷物”が道端に置かれている。
放置されているのではない、
盗まれないように「施錠」されていることからも、ゴミではないことがわかる。
もっとも、これを盗もうとは思わないが・・・ -
不法投棄された粗大ごみ、そして物色する人…
この地区の粗大ごみの量はハンパではない。
ありとあらゆる物が捨てられていく。
それらは、必ずしも地区内から出された物ばかりではなく、他の地域から持ち込まれたものも相当量あるという。
つまり、寿地区は周囲からもそのような扱い・認識をされているということだ。 -
一応公園がある。
しかし、ここで遊ぶ子供はいない。
ここが賑わうのは、、、後述しよう -
街中は残念ながら、汚い。
ゴミ集積場ではない場所でも、この有様。
それをハトがついばむ。ゴミは散乱し、ハトのフン害も起こる。
そして、吸い殻や空き缶のポイ捨てが異常に多い。
毎日清掃しても全く追いつかない。
それでも、昔からの住人に言わせれば、「良くなった」。
以前は街中にすえた臭いが立ち込めていたという。
みんながどこでも立小便をしてしまうからだそうだ…。 -
昼過ぎ、巡回するパトカー。
朝から同じ場所に居続ける人々。
かつて(30~40年前)は警察も不用意に立ち入れないエリアだったという。喧嘩騒ぎで駆けつけたパトカーが、暴徒化した住人たちにひっくり返されたこともあったそうだ。
今ではそこまでの騒ぎはさすがにない。
昔をよく知る人によれば、当時血気盛んだった人たちが高齢化し、体力もなくなって大人しくなっていったとのこと。
図らずも、住人たちの高齢化によって「安全な街」に変わったと。 -
そうは言っても、珍事は起こる。
ちょっと人が集まっている場所、見上げれば -
誰かが落とした(もしくは風で飛ばされた)布団。
こんなことで呼ばれる警官も気の毒だ。 -
パトカー以上にこの街で頻繁に見かける車両。
高齢者が多いからだけでなく、酔っ払ってコケて顔面から出血…なんて輩も多い。
(現に私も何度か遭遇した)
病院まで行くのがかったるいから、と救急車を呼ぶ馬鹿野郎も多い。
そして…薬物中毒による救急搬送も、ここではそれほど稀ではない。
気の毒なのは救急隊員たちである。 -
地区内の飲食店は昼間から酒は出すわ、カラオケやるわで、そこそこ繁盛している。
しかし、安くもないし美味くもないらしい。
衛生面が気になって、私はまだ利用したことがないのだが・・・ -
さて、寿町と言えば「簡易宿泊所」、略して「かんしゅく」。
ここにはおよそ300軒ほどが軒を連ねるという。 -
「かんしゅく」では身分証明書も手付金や保証金・保証人も不要。
だから、様々な事情を抱えた人が棲みつく。
生活保護を受給するためには「現住所」が必要だが、寿町の「かんしゅく」は宿泊施設でありながら、住所として登録することができる。 -
最近でこそキレイな「かんしゅく」も散見されるが、大半はかなり老朽化していて、快適か否か以前に防災面での不安もある。
-
お断りしておくが、これもれっきとした「かんしゅく」。
廃屋ではない。
安く泊まれると言っても、これである。そしてあてがわれる部屋は3畳。当然、風呂もトイレもない。辛うじてエアコンはあるが、住環境としてはかなり劣悪と言わざるを得ない。 -
とあるかんしゅくの内部。
奥に共同トイレが見える。
風呂はなく、コインシャワーがほとんど。
その費用すらもったいないと、風呂に入らない人が非常に多い。
数ヶ月入浴していない人間の臭い、想像したことがあるだろうか? -
古い木造建築の向こうには「今」の建物。
道路を境に、時代から取り残されたような町。 -
路地裏はまさに昭和
-
道路の「向こう側」と「こっち側」
なんとなく悲しくなるのは、“よそ者”の感覚だろう。
ここの住人は、どっこいしぶとく生きている。 -
路地には怪しげな酒場が並ぶ
昼間から営業しているのだから恐れ入る -
単なる訪問者だったら、この路地は入れなかっただろう。
-
それにしても、なんとも怪しげ
ディープな場所だ
夜はどんな顔になるのか? -
路地を出て中心部に向かうと、なにやら大変な行列。
こんな光景はこの街で見たことがない。 -
炊き出しだった
寿町唯一の公園は、子供のためではなく、大人のための広場
忙し気に動き回っているのは、支援施設の職員や近隣の教会の人、そしてボランティア。
本当に空腹の人もいれば、タダならもらわなきゃ損と並んでいる人もいる。
配っているのはお粥だが、水っぽくて不味いと、評判は芳しくない。
しかし、少ない予算の中でやりくりして、係の人たちはほとんどが手弁当だ。
タダでもらっておいて、そんな事情を斟酌することもせず、「不味い」は無いよな。 -
30~40年前は本当に「ヤバイ」街だった寿町。
血気盛んな港湾労働者たち、当時はそれなりに羽振りも良かったのだろう。
しかし90年代初めにバブル経済が崩壊し、さらにガントクレーンなどの大型機械の出現が、港湾の荷役作業を様変わりさせた。
日雇い労働の需要は激減し、この街には失業者が溢れた。
収入を失ったことで、家族を失った人、持病を悪化させた人、精神に異常をきたした人…
この街には、一言で括れないような様々な事情を抱えた人たちが住んでいる。
結果、この街の住民の8割以上が生活保護に頼っている状態である。
写真の男性は、ある時点で「時」が止まっている。そして常に世間に怒りを感じている。
きょうも道路の真ん中で、大声で怒声をあげていた。 -
福島の原発で働いていた人や、糖尿病を悪化させ歩行困難になった人、、、個別に見ていけば同情の余地のある人も少なからずいるが、「?」となるケースがあるのも事実だ。
年齢的にも体力的にもまだ十分働けるのでは?と思われる若年層もチラホラ -
閑話休題
深刻な事情を抱える街ではあるが、この街ならではの光景もある。
この奇天烈な自転車(笑)
ここまでやれば見事というしかない。
が、、、 -
もっとスゴイのは、、持ち主だ
見よ! この出で立ち(笑) -
別の雨の日
自作レインハット着用のおばちゃん
(-_-;) -
この街に不似合いな高級車
これもまた現実
当然、「かんしゅく」住人のモノではない -
明らかにこの街の住人ではない女性の一団。
街行く人に声をかけている。
宗教の勧誘である。 -
高級車も宗教の勧誘も、
残念ながら『貧困ビジネス』の一面。
こんな可愛いキャラクターを創ったところで、この街の不可解さ、制度の理不尽さが是正されるわけでもない。
この街にある種の諦観が漂うのも、無理もないのかもしれない。
※写真は寿町のイメージキャラクター、『ことぶきんちゃん』 -
日暮れ時
道端に座り込む女性
これも日常で、誰も気に留めない。 -
そして「寿」の夜は更けていく・・・
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (10)
-
- fuzzさん 2020/04/17 15:53:14
- すげぇ興味深い
- 琉球熱さん、こんにちは。
えっと・・・
「ことぶきんちゃん」の旅行記にお邪魔しています。
え?違うって(笑)
ことぶきんちゃんが全然街のイメージと違う所がいいですね。
イメージ通りのヤバそうなおっちゃんが寿町のイメージキャラクターだったら、それこそヤバイっすもん。
確かに横浜ってハイソな影に昔の色々がありそな街ですが、こうしてレポを拝見して何だか妙に納得しました。
それに多くの人が横浜旅行記を都会的でカッコいく表現されているけど、琉球熱さんみたいに実際に住んでいた人、しかも昔からではない住人の目で見る寿町を知る事が出来て得したなあと感じました。
自分で何言ってるのか、何を言いたいのかイマイチ分からない文章ですみません。
観光ではなく現実味のあるレポを楽しみにしています。
fuzz
- 琉球熱さん からの返信 2020/04/18 00:56:20
- RE: すげぇ興味深い
- fuzzさん、こんにちは!
投票&書き込み、ありがとうございます。
実は横浜の“影”を書いたこの2編、けっこう気合い入れて書き上げたんですよ。
本籍を移してしまったくらい大好きな街であり、今でも頻繁に訪れる街なのですが、きれいごとだけでない部分も見たくなるという、妙な性癖がありまして(笑)
(これは沖縄に対しても同じ)
寿町は3ヶ月という短い期間でしたが、仕事してました。
訪問者ではない位置だからこそ見えてくるものがあり、複雑な思いを持ちながらの仕事でしたが・・・
やりきれなかったのは外国人墓地の方でしたね。
背景を語るとかなり長くなるので、大幅に割愛しましたけど、これまた複雑な心境です。
それでも、そんな歴史をひっくるめて、私は横浜が好きです。
そうそう、『ことぶきんちゃん』ですが、作者は可愛い女性です。
とあるイベントで、ことぶきんちゃんの着ぐるみを着て、保育園児を遊んだという、とても娘には見せられない経験もしております(笑)
文明開化の香り、「日本初」が非常に多い街
fuzzさんが次回横浜に来る機会があれば、明暗併せてご案内いたしましょう!
ちなみに、中華街はあまり詳しくないです(笑)
---------琉球熱--------
-
- momonga_bonさん 2020/03/19 18:26:10
- 相変わらず治安が…
- 琉球熱さん、こんにちわ。
寿町、相変わらずのようですね。
っかもっと悪くなった感じ・・・
その昔、あぶない刑事でよく犯罪が起こった場所と言えば、
黄金町、日の出町、寿町・・・だったなぁ~。
特に寿町のアパートでは死体が。(;^ω^)
炊き出しに、宗教勧誘・・・
高級車はアッチ系の方ですね。
----- momonga_bon -----
- 琉球熱さん からの返信 2020/03/21 00:52:09
- RE: 相変わらず治安が…
- momonga_bon、こんにちは
コメントありがとうございます。
寿町、ご存知でしたか!
> 黄金町、日の出町、寿町・・・だったなぁ?。
こりゃまたディープな場所で(笑)
戦後の混乱期から語らないといけないですね
黄金町や日の出町は大ナタが入り、最近では街全体のイメージアップ作戦がそれなりに効果を出しているようですが、寿はアンタッチャブルです。
> 特に寿町のアパートでは死体が。(;^ω^)
これ、実際起こってます
病気の場合が多いですけどね
> 高級車はアッチ系の方ですね。
よくご存じで(笑)
---------琉球熱--------
-
- ちゃっぴぃ♪さん 2020/03/19 12:43:30
- 非常に勉強になりました
- 琉球熱さん、こんにちは
自堕落で底に転げ落ちた人間に同情する気は微塵もありませんが、
屯する大人たちに混ざって小さい子供まで同じ環境にいるのが気になりました。
その子たちは、これから普通に社会人として生きていけるのだろうか、
世の中は広くて自由で、見ただけで涙が出るような絶景があるということに気付ける日がくるのだろうか…
なんというか、昼間でも立ち入るのに勇気がいる、現代社会の闇を見た気分です。
私がもうすぐサヨナラする土地に存在する「散歩中、畑に山積みにされた牛糞が突然動いたと思ったらイノシシだった」みたいな恐怖とは全く別の暗い恐怖を感じました。
写真の子はこれからどんな人生を生きるんだろうか…
- 琉球熱さん からの返信 2020/03/21 00:36:03
- RE: 非常に勉強になりました
- ちゃっぴぃさん、こんにちは
コメントありがとうございます。
本編でも書きましたが、寿町に暮らす人々の中には同情すべき人もいます。でも、同情の余地がない人たちがいるのも事実です。
若年層の中には精神的にダメージを受けている人たちもいるので、年齢で括ることはできません。
しかし、「しかし」なのです。子供がいながら、どうにも理解不能な暮らしぶりの人たちがいます。
ランドセルを背負ったまま昼前から街をウロウロしている小学校低学年の子もいましたし(行政に通報・相談済み)、休校措置で遊びに来る子供たちのイタズラが笑えないレベルなのは、善悪の判断ができない大人の下で育っているので当然の結果でしょう。
ここにいると、この国の施策は本当に間違っていると実感します。
「散歩中、畑に山積みにされた牛糞が突然動いたと思ったらイノシシだった」
こんな環境で生活できるのはとても幸せですね。
都会で暮らすより、よっぽど多くのことを学べると思います。
---------琉球熱--------
-
- らびたんさん 2020/03/17 14:28:35
- もうじき離れる・・・って?!
- 琉球熱さん、もうじきこの地を離れるって、どういうことですか?!
ここじゃ書けないかもしれませんが、遠くに行かれちゃうのでしょうか。
らびたん
- 琉球熱さん からの返信 2020/03/17 23:26:35
- RE: もうじき離れる・・・って?!
- らびたんさん、まいど!
細かい部分まで読んでくれてありがとう!
「この地を離れる」ってのは、文字通り「寿町を離れる」って意味です。
遠くに行くわけじゃありませんよ!
希望としては遠くに行きたいけど(笑)
---------琉球熱--------
-
- PHOPHOCHANGさん 2020/03/17 14:01:52
- 懐かしさと言うか
- 行ってみたい気はします。
山谷が台東区内に在り、区民としては足を踏み入れられない場所だったので、寿町の景観に共通項を見出だしました。今は昔と言い切れないんですね。
山谷はすっかりとまでは行かずとも、今は外国人旅行客の町になってます。臭いもほぼ無くなりました。
昔は浅草まで臭って来ましたから(ってか、浅草の北側から既に子供にはNGでした)。
う~ん、後に続く者が居ないのは良い事なんですよね?
- 琉球熱さん からの返信 2020/03/17 23:24:01
- RE: 懐かしさと言うか
- PHOさん、こんにちは
いつもありがとうございます。
山谷とは共通項が多いのでしょうね。山谷を知らないので想像ですが。
ただ、寿町は山谷ほどバックパッカーの街にはなっていません。
「かんしゅく」ではなく「ゲストハウス」「ホステル」が増えているもの事実ですが、実態はまだまだです。
きょうも路上でケンカ。
それを見ていた古くから寿を知る人は、「久しぶりに威勢の良い声を聞いた」と言っていました(笑)
> う〜ん、後に続く者が居ないのは良い事なんですよね?
景気が良くなって誰もが職にありつけているという状況で寿町の人口が減っているのなら喜ばしいことですが、実際はそうじゃありませんよね?
やるせない問題です。
---------琉球熱--------
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ YOKOHAMAの光と影
10
38