2020/01/29 - 2020/01/29
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ちびのぱぱさん
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城下町を縫うようにお堀が巡り、
そこをゆったりどんこ舟に揺られる。
北原白秋の愛憎のふるさと。
詩情豊かな風土に旅情も掻き立てられる。
菅笠をかぶった船頭が、自慢ののどで白秋の歌を歌ってくれる。
そんなイメージを抱いて柳川を訪ねました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 船 私鉄
-
午前中に太宰府天満宮を観光し、それから柳川に向かおうと思います。
-
太宰府は水の豊かなところです。
-
賽銭が投げ込まれている。
-
江戸時代に奉納されたという麒麟像。
支配者が仁のある政治を行うときに現れる神聖な生き物とされています。
今年の大河ドラマの「麒麟が来る」はそれにちなんでいるのでしょう。
太宰府駅に戻って、終点の大牟田までの切符で、柳川に途中下車できるか尋ねます。
ネットか何かで、西鉄は途中下車ができると聞いていました。
駅員さんは、大丈夫です、とおっしゃいました。
珍しいシステムを採用してますが、こういうのにたまらなく魅力を感じちゃうタイプです。
このシステムを活用すると、一人110円ほどの節約になります。
JR各社も本来普通乗車券で途中下車できますが、片道100㎞以上とか、いくつか条件が付きます。 -
柳川に向かう途中は、曇ったりときおり雨がぱらついたりしていましたが、柳川に着くと天気は回復の兆しを見せます。
駅前には客引きがいて、「川下りはこちらです。」とベルトコンベヤー式に送迎バスに乗せています。
川下りの業者は4社ほどが軒を競っているようですので、取り敢えず観光案内所に逃げ込みました。
ネットで1割引きというのを見つけましたので、そのことを係りの女性に尋ねると、「四社ともそれぞれの値段をつけています。」との返事で今一つ要領を得ない。
会社ごとに乗り場も違っているというが、川下りの内容は大差がないらしい。
さて、どこがいいのだろう。
試案の挙句、一割引きをしている業者の名前を告げると地図でその事務所を教えてくれました。
それがここ。 -
今の時期、こたつ船になっている。
なかなか風流だね。 -
風もなく、この時期にしては温かい。
-
駅から5分ほどのところにある水郷柳川観光という会社。
一階の事務所に入って、ネットの画面を見せると一割引きにしてくれました。
船は、30分以内に出発するという。
どういう意味かと思ったら、人数がそろったらすぐにでも出発のよう。 -
事務所の二階に上がってみると、雛飾りが施してある。
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ジオラマみたい。
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さげもん、というこの地方独特のつるし雛だそうです。
空飛ぶ女の子。 -
二階から覗くと、私らのほかに乗客が現れる気配がない。
駅で根こそぎA社に持っていかれるからね。
こんなに呑気に構えていていいのだろうか。 -
なんとなく昼食を食べはぐっています。
時刻は昼の12時半。
背中の荷物を探ると、朝食の余ったミニアンパンが四つ。
二人で二つずつ食べる。 -
下から強烈にいい匂いが上ってくると思ったら、火鉢の一つで焼き芋を焼いている!
船頭さんたちで食べるのかなあ。 -
向こうのほうに大きな駐車場が見えるので、ここは車で来た人たちをターゲットにしているのかもしれません。
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どうやら30分フルに待ちそうなので、ちょっとあたりを散歩。
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山茶花かな。
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こっちは船の上に雛飾り。
柳川のひな祭りは、気合が入っているらしい。
さげもん巡りだの、雛めぐり船だのがあるらしい。 -
まだ1月末ですけどね。
「おきゃくさーん、30分経ったから船出しますよー。」
と呼び出しが来ました。 -
乗客は私ら二人だけ。
ベテランの船頭さんが、「わたくし、柳川の小栗旬が今日の船頭を務めさせていただきます。」と船を出す。
「船頭仲間からは、アンパンマンと呼ばれています。」 -
猫の見送り。
見送ってませんね。
天気も上々で、船頭さんの語りも上々。
穏やかで、船頭さん、しゃべりっぱなしですが、時折ふとだまると、竿を指す音と小鳥のさえずりのみ。 -
色々な川下りの会社があって、「あ、ライバル会社の人ね。」とか言って、適当に挨拶して進んでゆきます。
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川下りの船頭の仕事は、意外と人気があるんですよ。
お客さん、北海道?
北海道からも、若い人が船頭になりたいって言ってきてます。
女性も来とるんですよ。
わたしが仕込みました。
30回も川に落ちて、それでもやめんで今じゃ一人前になりました。 -
コタツは、たいして暖かくないんですが、日和がいいので気持ちがいい。
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狭い水路に侵入します。
柳川の水路がどのようにできたか、なんていう話もしてくれましたが、なんだったか忘れました。 -
低いところでは、頭を下げないとこすりそう。
-
船頭さんは表情も変えずにこう言います。
「このあいだ、橋の下をくぐったら、カツラがなくなっていたお客様がおりました。」
うそでしょ! -
「ライオンでございます。」
犬ね。 -
生活と密着している。
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海が近くて、上げ潮になると水位が上がるとか。
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あの壁にある白い部分をなんていうか知ってますか?
なまこ壁。
おお、よくご存じですね。じゃあ、なんでそういうかご存じ?
海鼠に似ているから。
なんでも知ってますね。 -
川の売店。
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魚を捕る仕掛け、だったかな?
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正面に古い家が見えてきました。
-
「あそこに、ライオンの銅像みたいなのが見えてますね。
あれはライオンではなくて、女の子です。」
この女の子の像の下には、「待ちぼうけ」の歌詞が刻まれています。
船頭さん、歌ってくれました。 -
お堀端には、要所要所に、柳川の偉大なる詩人、北原白秋の詩が刻まれた石碑が配してあり、そこに来ると船頭さんがそらんじてくれる。
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北原白秋は、自らこの柳川を「廃市」とよび、その寂れた様子を文章にしています。
私の郷里柳河は水郷である。そして静かな廃市の一つである。
柳河の街を貫通する数知れぬ掘割のにおいには日に日にすたれてゆく旧い封建時代の白壁が今なお懐かしい影を映す。 -
水は清らかに流れて廃市に入り、廃れはてたNoskai屋の人もなき厨の下を流れ、洗濯女の白い酒布に注ぎ、水門に堰かれては、三味線の音の緩む昼過ぎを小料理屋の黒いダアリヤの花に歎き
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酒造る水となり、汲水場に立つ湯上りの素肌しなやかな肺病娘の唇を漱ぎ、
-
そうして夜は観音講の懐かしい提灯の灯をちらつかせながら、
樋を隔てて海近き沖ノ端の塩川に落ちてゆく。
北原白秋 水郷柳河
沖ノ端というのは柳川を貫いている大きな川です。
家業の造り酒屋を継ぐこともなく、父親に黙って伝習館中学を中退して文学の道にのめり込んでいった北原白秋には、柳川はどんな風に映っていたのだろうかと想像します。
白秋の「水郷柳河」という文を読んでいると、この町をある時は美しく、あるときは怪しく、ある時は卑しく書いていて、上げたり下げたりしている。
故郷ってそんなもんかもしれません。
「水落ち」というお堀のかいぼり、どぶさらいのことが楽しかった思い出として描かれていますが、船頭さんもその話をしていた。
2月の下旬にいっせいに行われるそうです。
いつか、見てみたいものです。 -
約一時間、いや一時間以上、楽しいトークでもてなしていただきました。
ありがとうございます。 -
このあと天気が崩れ、雨の中、送迎の車で駅に戻りました。
写真は、水郷柳川観光の送迎車を一本逃したところです。
左手に走り去るバス。
しの降る雨、
立ち尽くすわれら。
雨の中進む、川下りのどんこぶね…。
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