2018/02/19 - 2018/02/20
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Kana さん
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12年ぶり2度目のパリ、初めての一人旅。
短期出張の限られた旅程の中で駆け抜けた今回の旅行記は、時系列ではなく美術館編・街歩き編を並行して作成してまいります。
美術館は、ルーブル、ドラクロワ美術館(ルーブル分館)とオランジュリーの3つを巡りました。第1弾
https://4travel.jp/travelogue/11333281
前回の旅以来の課題であったルーブル鑑賞は↑こちらから。
第2弾の今回は、モネの睡蓮が代表的なオランジュリー美術館を訪れます。
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渡仏1日目、早朝パリに到着し日中の予定をこなしたあと、チュイルリー公園に足を運びました。
幼い頃から...「印象派」という言葉を知るよりずっと前から大好きだったモネ。その睡蓮が壁いっぱいに展示された贅沢な空間があると聞いて憧れていた、オランジュリー美術館を目指します。パリに来る機会があるなら訪れたいと、長ーく思い続けていました。
しかし...手元の時計を見遣ると時刻はすでに17時50分。月曜の美術館の閉館は18時。最終入館は、たしか30分前までだったはずです。建物のエントランスの階段手前には "~17:45"という張り紙が出されていました。もし入れてもらえたとしても、短時間で見る展示ではありません。出直そう...でもせめて、建物の写真だけでも撮っておきたい...と、少し近づいてみました。もっと早い時間帯であれば入館待ちの列ができたであろう階段周辺も、もうガランとしています。
ところが、まだ閉じられていない入口側のガラス扉から、ゆったりと入館して持ち物検査の列に並ぶベビーカーを携えたご家族連れの姿が見えました。さらに、新たに入っていくマダムの姿が...勇気を出して、「この時刻からでも入れますか?」と尋ねてみました。
すると、意外な答えが。
*****
今回の旅で間違いなく1番の幸運は、この日オランジュリー美術館に入れたことでした。
「出直す」日として想定したのは帰国する最終日でしたが、直通バスの時間から逆算すると、鑑賞できる時間も満足に取れないスケジュールとなってしまうところでした。(しかもこの旅行中、帰国日以外はあいにくの雨天だったため、この最終日はエッフェル塔など所謂パリらしい風景の撮影をしながらの街歩きができる唯一の日だったのです。)
結果として、初日の延長開館のおかげで時間を気にすることなく心ゆくまで印象派の作品を鑑賞することができました。
本旅行記にオランジュリーの頁をしっかり残せたのは、この素晴らしい偶然の賜物です。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス タクシー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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小雨のパラつく夕刻の入口前。この建物自体も憧れだったから、写真だけでもとエントランス側に回って見ました。
最終入館時刻はとっくに過ぎているはずです。でも、一組、二組と階段を登り、左手の入口側から入っていく人々...。
「昨日と今日は、午後9時まで開いているんですよ」
扉を開けて入っていくマダムに意を決して尋ねると、笑顔で教えてくれました。(後日調べると、さらに直前の金曜・土曜には午後11時まで、特設展示に関するイベントが開催されていたようです。)
荷物検査を済ませてクロークにコートを預かってもらい、チケットカウンターへ。
2組ほど並んでいましたが、ほとんど待つことなくチケットを購入し、展示室に入ることができました。
モネの睡蓮の大作が展示される上のフロアと、印象派を中心に数々の名作が並ぶ地階フロアに分かれています。オランジュリー美術館 博物館・美術館・ギャラリー
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まずは天井からの自然光が照らす造りになっている、モネの展示室へ。
夕刻のこの時間帯にも、間接照明の柔らかな明かりが部屋全体に降り注いでいます。 -
長年憧れていた空間を、訪れることができました。
写真におさめることは到底かなわない、見る位置によって刻々と表情を変える大作。そして文字通りそのサイズから、カメラで写し取れる範囲に全景を入れることも非常に難しい。 -
明るい色彩の水面。傾いた陽の光がキャンバスいっぱいに溢れます。
青を基調とした2つのモネの展示室の作品のうちでは、ひときわ目を引く存在です。 -
細い通路で繋がった、モネによる睡蓮の2つの展示室。
入った時には数組、他の鑑賞者の方たちがいました(それでも、日中の時間帯に比べると少ないのではないかと思います)。 -
手元のiPhoneのパノラマモードを使用してみました。
三脚がなく支点を固定できないため、少し縒れてしまっていますが、展示室の空間の広がりは捉えられている...でしょうか? -
二つめの部屋。
壁いっぱい、水面の描写が精緻な筆で描き出されています。 -
ゆっくり、一枚いちまいを鑑賞しながら進んでゆきます。
知らず、広く明るい展示室に一人になっていました。 -
こちらの写真も、パノラマモードを試行。
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この水辺の描写、子供心にずっと憧れていたものです。
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そっと近づいて...
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巨匠の筆の運びを目の当たりにし...
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一歩ずつ下がってゆきながら全景を見渡すと、ある地点から、急に写実的な情景が浮かび上がってくる不思議。
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水面に寄せる波を幾重にも線で描く風景のモチーフは、自分の幼い頃からずっと抱き続けてきたものでした。
...思えば、遥か昔学校の廊下に図工の先生が厚意で掲示してくれた「印象・日の出」のレプリカが、私が初めて目にし、意識した"芸術"であり、モネとの出会いでした。
その後、高校で世界史の先生がパリの美術館で撮った写真を示してくれた時から、いつかはここへ行こうと決めていました。 -
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19時を回るころ、にわかに他のお客さんの数が増えてきました。
仕事を終えてふっと立ち寄った雰囲気の方、立派なカメラを携えて粛々と絵画に向かう方、思い思いの過ごし方をする皆が同時に腰かけたとしてものんびり鑑賞できるくらいの程よい人口密度で、依然として静かでゆったりとした時間が流れています。 -
そっとモネの展示室を出て、白い通路を経て階段を降り、地下の展示室に移動します。
会いたかった作品の一つ。 -
ルノワールの柔らかであたたかみのある筆使いは、自分が年を経て大人に近づくにつれて、だんだん好きになってきました。
(そしてふと、遠い我が家で待つピアノをあまり練習してくれないおてんば達に想いを馳せました) -
画家が情景をキャンバスへと写す目線が、慈愛と対象への暖かな感情で満ちていることを感じ取れるようになってきたから、その魅力をいっそう実感できるようになったのかもしれません。
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その光景は一見何気のないものともいえますが、作品に描かれる人物たちにとって、かけがえのない大切な一瞬。それを分かち合う、画家の優しい視点が伝わってくるような気がします。
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こちらはひんやりと、物憂げな眼差しで見る者を惹きつけます。
この日ここに来るまで、恥ずかしながら、ローランサンの作品の魅力をあまり知らずにいました。 -
ほんのりと淡い色彩で描かれる儚げな女性像の持つ、強い求心力。
時代を経て、幾多の表現方法を以って、絵画は現代を生きる私たちに語りかけ続けます。 -
こちらは、お隣の展示室からも垣間見えるよう配置されていました。
色彩のインパクトもさることながら、写実的な道化の画。彼らの表情は何を伝えているのか... -
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花弁の表面を滑る光と、大輪の重さにこうべを垂れるずっしりとした質量まで感じられそうな一枚。
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鮮やかで、遠目に写真と見まごうような色彩も、近くに寄れば
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絵の具を重ねた精緻で見事な筆跡。
...これを気軽にパシャパシャと写真に撮ってしまっている自分を省みて、我々はもしかするととてつもなく重大な営みをどこかにおき忘れてきてしまうのではないないか?とふと少しだけ不安になりました。 -
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時代は下り、現代アートの空間へ。
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大満足で展示室を後にすると、外はもう真っ暗。
今日、入ることのできた幸運に心からありがとう!を繰り返しながら、帰路につきます。
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この旅行記へのコメント (5)
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- notchさん 2018/03/10 07:35:17
- モネの睡蓮の間
- Kanaさん,こんにちは~
オランジュリー,行けてよかったですね!
モネの睡蓮の間の静かな時の流れがいいですねー 木々の葉が揺れる音が静かに聞こえてきそうな雰囲気が伝わってきました。夜だからでしょうか,また昼間とは違った空気感が感じとれますね。
幼いころからモネには憧れをもっていらっしゃったのですね。今回の訪問の喜びはひとしお大きかったものかと思います。
わたしが訪れたのがつい2か月前ですが,次に行くときは夜間の雰囲気を味わってみたいなあと思いながら読ませていただきました。ありがとうございました♪
notch
- Kana さん からの返信 2018/03/11 16:01:28
- Re: モネの睡蓮の間
- notchさま,
ありがとうございます。
私の拙い旅行記からでも,当日の展示室の静かで魅力的な雰囲気が伝わったなら,これほど嬉しいことはありません!
モネへの憧れは,美術について知識を得るよりずっとずっと幼い頃からで,彼の絵を初めて見たあとしばらく,水彩絵の具で画用紙に幾重も微妙に異なる色彩の線を重ねた水面のある風景を描き続けていた記憶がおぼろげにあります(苦笑)。
オランジュリー美術館の夜間開館について,日本の案内サイトや公式サイトの英語版からではあまり詳しい情報を見つけることができず,帰国後に探してみました。どうやら毎週ではなく,館内でコンサートなどイベントが開催される時に,夕方~夜間まで展示室を開放してくれるようです。
http://www.musee-orangerie.fr/fr/article/agenda?field_date_evenement_value%5Bmin%5D%5Bdate%5D=11%2F03%2F2018&field_date_evenement_value%5Bmax%5D%5Bdate%5D=30%2F06%2F2018&field_event_type_tid=144&field_audiences_tid=All
(睡蓮の間でのピアノコンサート)
http://www.musee-orangerie.fr/fr/article/cycle-de-concerts-piano
↓同ページの英語版もありました。
http://www.musee-orangerie.fr/en/article/cycle-piano-concerts
もしもモネの睡蓮の展示室で演奏会を聴くことができたら,とても素敵だと思います♪
Kana
- notchさん からの返信 2018/03/11 17:25:39
- RE: Re: モネの睡蓮の間
- Kanaさん,こんにちは。
なるほど,公式HPのここで情報をチェックできるのですね。睡蓮の間でのピアノコンサートはすばらしいですね。いつか聴いてみたいです!
情報ありがとうございました♪
notch
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- sanaboさん 2018/03/09 21:17:40
- オランジュリー美術館、大好きです♪
- Kanaさん、
お久しぶりです!
出張の合間を縫っての美術館巡り、至福の時ですね☆彡
私もオランジュリーは特に大好きな美術館です。
数年前にジヴェルニーのモネの家を訪問して以来、
オランジュリーも再訪したいと思っています。
オランジュリーに飾られた『睡蓮』を描いたアトリエが
今は土産ショップになっているのを、モネは草葉の陰で
どう思っているのかしら~なんて思ったのを思い出しました(笑)
日中でしたら物凄い混雑だと思いますけど
タイミングの良い時間帯にいらっしゃり、ゆっくりと鑑賞出来て
ラッキーでしたね。
sanabo
- Kana さん からの返信 2018/03/09 23:03:59
- Re: オランジュリー美術館、大好きです♪
- sanaboさま、
お久しぶりです。メッセージをいただき、ありがとうございます!
長く憧れていたオランジュリー美術館、実際に訪ねることができて、もっともっと大好きになりました‼︎
sanaboさまのジヴェルニー旅行記表紙のお写真を拝見した瞬間、「モネの睡蓮そのものだ!」と思わず歓声を上げてしまいました。
あの水面の感じも、柳の幹も、まさに「睡蓮」からそのまま抜け出したような…いいえ、モネがこの場所の風景をそのまま描いたのですね。
感動しました。素敵な旅行記を拝読できて、嬉しくなりました。
ジヴェルニーも、モネのアトリエも、いつか訪れてみたいです。
また旅の目標ができました!
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
Kana
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