2016/07/09 - 2016/07/23
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ミズ旅撮る人さん
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13年ぶりにインドへ行くことになりました。15日間という長い行程なので、前半はヒマラヤの西端、インドの北端に当たるラダックへ、後半は西の砂漠ラジャスタン地方へ向かいます。
6回目は、リキール村からレーに向かう途中にあるバスゴー村です。今ではのどかな農村ですが、かつてはラダック王国の重要な軍事拠点であり、村の背後にあるラブタン・ラツェには立派な王城やゴンパが建設されました。
19世紀のドグラ戦争で城は破壊され、廃墟となりましたが、ゴンパは現存し、ラブタン・ラツェの丘の象徴となっています。
丘は、半円形にふもとの村からせり上がり、その円周上に建物が点在する、大層見応えのある情景になっています。
この景観・廃墟・寺院の3点セットが完璧に揃ったバスゴーは必見です。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 航空会社
- エアインディア
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
PR
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リキールから15km余り東に走り、ヘアピンカーブを曲がると、いきなりバスゴー村のラブタン・ラツェが見えて来ます。
丘の中腹に階段と坂道に挟まれた白いチョルテン(仏塔)が見えます。
これは、カガン・トンスク・チョルテンで、ラブタン・ラツェへの入り口です。
11世紀にリンチェン・サンポによって建てられたと伝えられていて、内壁には如来と千仏画が描かれています。
車道は左端の白い塔のある建物チャンバ・ラカンまで通じています。 -
実際に見える車窓はこんな感じです。
左側の山に、左下から右上がりに続く車道が、線になって見えます。 -
インドのにぎやかな外装のトラックとすれ違うのも、このドライブの楽しみです。
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バスゴー村に入りました。バスゴーは、街道横にある大きな岩が牛(バ)の頭(ンゴ)に似ていることから名前が付けられたと言います。
11世紀にアルチのチョスコル・ゴンパを創建したリンチェン・サンポが寺を建てたと伝えられます。
16〜17世紀はナムギャル王朝のもとで重要な軍事拠点となり、寺院も建てられました。
今は、菜の花の咲く農村です。 -
ここからがラブタン・ラツェの領域です。
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青・白・黄、3色のチョルテンが出迎えてくれます。
ラブタン・ラツェは、見る角度で大きく姿が変わって見えます。
右に城跡が見えますが、ゴンパは岩に隠れて見えません。 -
ガードレールなんて無粋なものはまったくないカーブの連続の坂道を、慣れたドライバーは、ぐんぐん進んで行きます。
このスリルがまた、たまらなく楽しいのがラダックの旅だと身をもって実感しています。 -
先の見えないカーブを曲がると、谷を挟んでラブタン・ラツェ・カル(城跡)が見えました。
すっかり崩れかけた廃墟になってしまっていますが、大規模な要塞だったことが伺えます。
15世紀初めに、ラダック王国のダクパ・ブムによって建てられました。 -
こちらは、チャンバ・ラカン(弥勒堂)です。
16世紀末に、ツェワン・ナムギャル王によって建てられました。 -
チャンバ・ラカンの横をすり抜けるようにして、辿り着いたのは、駐車場というにはあまりに狭いわずかな平地。
既に何台かの車が停まっていて、そこに6台が突っ込んで来たのですから、この後どうなるのかと、こちらが心配してしまいました。
車を降りて、目の前に広がる光景に絶句。
写真だと部分しか写せないので、本当にもったいない。 -
前の写真の左につなげて考えてください。
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要塞の廃墟がこの絶景の左の要です。
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右から、チャンバ・ラカン、少し空いてラブタン・ラツェ・カル(王宮)の廃墟、セルザン・ゴンパと並んでいます。
ツアー一行は、チャンバ・ラカンに向かって歩いて行くのですが、これだけの絶景を前に、スタスタと進めるわけもなく、心が満足するまで見ていたい気持ちをなだめすかして、ついて行きます。 -
セルザン・ゴンパの先にはチャムチュン・ラカンがたくさんのタルチョをまとって建っています。
その下には、かつては大きな建物だったであろう廃墟が残っています。 -
この廃墟がまた、いい場所に建っています。
張り出した窓の先には菜の花の黄色が明るさを添える、緑の畑とポプラ並木。
寺なんか行かなくていいから、ここに捨てて行って欲しいなと思ってしまうほど、この景色に心酔しました。 -
気持ち、しぶしぶ、先ずは城跡の下まで歩きます。
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車が溜まっています。手前の白い車が私たちの車で、この細い道の途中で方向転換をして、今、向こうを向いています。
既に、あちこち法(のり)面が崩れているのに、落ちたら大惨事です。
しかし、こんなことにも慣れているらしいドライバーたちは、声を掛け合ってすんなり方向転換してしまいました。
車道のすぐ下にいる赤いシャツの人は、そこに水が出ているので、その水を汲みに行っています。
なぜ、こんな危険な場所でなく、上の車道に設置しないのか。
ラダックに住むということは、あるがままを受け入れるということが大前提なんだなとわかってきました。
我々、文明漬けの人間はこんなに車が来るなら即刻斜面を切り崩して駐車場を作るでしょう。
しかし、ラダックでは資金難の問題もあるでしょうが、そのままでなんとかなるなら、手を加えなくてもいいんじゃないかと考えているのではないかと感じるのです。
恰好を付けて言うなら「自然との共生」。
この言葉の本当の意味は、人間が自然に合わせるということなのだと思うのです。 -
城跡の下から階段でチャンバ・ラカンへと登って行きます。
チャンバ・ラカンは、真正面から見るとこんな形をしています。 -
横から見ると、奥の塔が目立って全然違った印象になります。
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チャンバ・ラカンからは、バスゴーの村が良く見えます。
正面の丘の斜面に見えるヘアピンカーブを降りて、ここまで来ました。 -
タルチョがあると、風景に動きが出て、写真を撮るのが一層楽しくなります。
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ただ、風が自分に都合よく吹いてくれるとは限らないので、撮りたいなびき方になるまで、何度も撮ったりします。
すると当然、ツアーの最後尾は指定席になってしまうのです。 -
なびかなくてもタルチョは、やっぱりいい。
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ようやくチャンバ・ラカンに入りました。
ヘミス系ドゥク派の寺院です。16世紀にツェワン・ナムギャル王によって建てられました。
本尊のチャンバ(弥勒菩薩)像は、ラダック第2の大仏で、高さはおよそ10m。 -
下から覗き見ると(訂正、「仰ぎ見る」ですね)、お顔が見えました。
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右の脇侍が、こちらのジャムヤン(文殊菩薩)です。
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左の脇侍が、チェンレジ(観自在菩薩)です。
日本の三尊形式とは異なるようですね。本尊と脇侍の組み合わせが違います。 -
チャンバ・ラカンは、壁画が美しいことでも評価されているそうです。
私の好みから言うと、ちょっと顔が丸過ぎるのですが。 -
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真ん中で、琵琶のような楽器を弾いています。
チベット・ホルンや太鼓の類は実物を見ましたが、弦楽器は見ていないです。 -
額に第3の目がある仏様ですね。小さな脇侍が可愛いです。
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これは、本尊自体より、両肩の高さに飛んでいる、白い羽の生えた天使(?)に注目。
羽が腰から生えているし、足は鳥の足。ウムム・・・ -
歓喜仏が6体も描かれたタンカ(仏画)。
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チャンバ大仏の足元には、ダライ・ラマの写真。
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チャンバ(弥勒菩薩)に向かって左側の壁画。無数の仏に囲まれた密度の濃い空間となっています。
そして、天井の一マス毎に異なる絵柄の楽しさ。まるでパッチワークのようです。 -
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再び階段を降りて、ラブタン・ラツエ・カルの下を歩きます。
カル(王宮)は、見ての通りの廃墟で、崩れかけた壁以外、見るものがありません。 -
セルザン・ゴンパの前には、なぜか平石がずらっと積まれています。
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ゴンパのある建物のテラスの先に、チャムチュン・ラカンがあります。
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足下には、あの廃墟があります。
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チャムチュン・ラカンです。
小さなお堂で、中に入れる人数はほんの数人です。 -
お堂に入ると、本尊のチャンバ像と面突き合わせるほど、近くに相対します。
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光背の動物たちは、干支かしら?
チベット仏教に干支ってあるの?ネパールやミャンマーはあったけど・・・ -
壁画は新グゲ様式らしいです。全体的に赤が基調の絵柄になっています。
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牛、食べるの?
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ラカンの中は狭くて暗いので、壁画を撮るのは、とってもたいへん。でも保存状態がかなり良くて、撮りがいがあります。
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天井には、本尊のための傘が。
吹き抜けに明かり取りの窓があるので、お堂自体は暗くてもお顔がはっきり見えます。 -
チャムチュン・ラカンの周りはテラス状になっていて、一周できます。
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ダルシン(旗竿)とタルチョ。
これらを見ると、ラダックを吹き抜ける風と話が出来るような気がします。
目に見えない風が、はためきによって見えるからでしょうか。
そして、この広い空が、力を貸してくれるのです。 -
ほら、大きな声が聞こえませんか?
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タルチョは、紐でつながっている部分だけが縫ってあります。
その他の3辺は切りっ放しなのです。
風が少しずつ、布の端をほつれさせて、やがて自然に還って行くのです。
ラダックらしい(チベット仏教世界はみんなそうですが)です。
そんなタルチョだから、自然に溶け込み、風と共生できるのでしょう。 -
セルザン・ゴンパに入ります。
ヘミス系のドゥク派のゴンパ。
1623年に、ジャムヤン・ナムゲル王の供養のために、息子のセンゲ・ナムギャルと高僧タクツァン・レーパが建てました。 -
本尊はチャンバ(弥勒菩薩)です。約7mくらいの大きな仏像です。
この像はネパールの仏師によって鋳造されました。
真正面に両手を挙げているので、顔を写すのが難しいです。 -
イチオシ
しかし、がんばってご尊顔を頂戴してみると、うわーーー、麗しい!
邪気のない素直な目が、一直線に正面を見つめています。
今回撮った写真の中でも、最高の出来です。 -
足元には、たくさんのカータ(白い布)と、お布施が。私も貢いでしまいそう。
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壁画もたいそう素晴らしいのですが、バターランプの煤が付いてくすんでしまっています。
そのために、今ではバターランプはストーブのような囲いの中で灯されているのです。 -
今までで一番優れた壁画だと思います。
バスゴーが最も栄えた時期の寺院なので、最高の絵師が描いたのでしょう。 -
セルザン・ゴンパの中から外を、鋭い眼差しで見る僧。
その扉の一番上に防犯カメラがありました。 -
誘われてしまいそうな路地。
でも、その先は廃墟しかないのです。そこがまたいい・・・ -
ラブタン・ラツエ・カルは完全に灰燼(かいじん)と化した状態なのに、よくぞチャンバ・ラカン、セルザン・ゴンパの諸堂が無事だったものです。
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到着した頃は、雲が多くて写真写りがパッとしなかったチャンバ・ラカンも、日が差して青空が出てくると、見違えるように立派に見えます。
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日が出て来て、一層美しくなったラブタン・ラツェに心を残しつつ、これでお別れです。
ここからだと、ふもとに続く参道とカガン・トンスク・チョルテンが良く見えます。 -
バスゴーの村。中心部はもう少し左側ですが、やはりのどかな農村です。
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菜の花が咲くのは春と思っていましたが、ラダックでは春から夏がとても短いので、あまり違いがないのかもしれません。
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ふもとから見たラブタン・ラツェ。
ここから見える建物は、実際に歩いて見学する時とは、ちょうど反対側なのだとわかります。
この写真では左にチャンバ・ラカン、ラブタン・ラツェ・カル、セルザン・ゴンパとなっています。 -
たくさんのチョルテン(仏塔)が見送ってくれます。
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しばらく走ると、こんな巨大なチョルテンも、マニ車とともにありました。
ここは、軍事施設なので力を入れているのでしょう。 -
たくさんのドラム缶とトラックがいます。
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バスゴーからレー空港までの国道沿いには、こうした軍事施設がずっと続いています。
天上世界と下界の違いをつくづく感じます。 -
一昨日、レーからアルチに向かう時にトイレ休憩をしたニンムーの村です。
今回は通過します。 -
この橋にもすっかり慣れました。
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あの山には見覚えがあります。インダス川とザンスカール川の合流点です。
もうここまで帰って来たんですね。 -
この雄大な景色も、レーに行ったら見られないと思うと、寂しくなります。
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「マグネティック・ヒル」何でしょう?
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あっ開けた。そして、その向こうに連なる山々。レーが近い。
現在地がわかっているわけでもないのに、なんだかそんな気がします。 -
山懐(ふところ)に大きな寺院が見えます。
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ツアーでは立ち寄りませんが、ピャン・ゴンパです。
レーから西へ24km。ディグン派の総本山。
1550年代後半にタシ・ナムギャル王と導師ダンマ・クンガ・ダクパが建てました。
現在の座主は33代目トクダン・リンポチェ10世。
建物は、ツォカン、ゴンカン、グル・ラカン、ドゥカンが並ぶ大きなもの。 -
「JULLEY(ジュレー)」と書いた看板が出迎えてくれます。
ジュレーは、ラダック語の挨拶で、こんにちは・さようなら・ありがとう。何にでも使える「どうも」に似た言葉です。
気持ちを込める時はジュレジュレーと言葉を重ねます。どうもどうもと同じです。 -
空港の敷地内にある軍事博物館が見えました。いよいよレーの町が近付きます。
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シャンティ・ストゥーパが見えました。もうホテルはすぐそこです。
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レー空港に到着した直後に、小休憩をしたホテルにチェックインしました。
写真はホテルの部屋からの眺めです。ここで、昼食をいただきます。チェックインの時間がこんなに早くても、全然構わないのがすごいと思います。
昼日中はとても暑いので、部屋で休めると本当に助かります。
休憩をとって15時に、午後の観光に出発します。
それでは、次回にて。
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