2015/12/26 - 2015/12/26
283位(同エリア377件中)
滝山氏照さん
秋元山・光厳寺(こうがんじ、群馬県前橋市総社町総社)は慶長6年(1601)総社藩初代藩主である秋元長朝(あきもと・ながとも、1546~1828)が徳蔵寺の亮應を招いて開山したのが始まりとされます。
寺名は秋元の姓と長朝の戒名である江月院殿巨岳元誉大居士より、母親春(はる)の戒名である光厳院殿心月等清大師より秋元山江月院光厳寺と命名され秋元氏の菩提寺となります。
寛永10年(1633)二代藩主秋元泰朝(あきもと・やすとも、1580~1642)は幕命により甲斐国都留谷村に1万8千石に加増されて転封、30年余に亘る秋元氏による総社での治世は終わると共に廃藩となりますが転封先から悪政に苦しむ旧領民への支援を行っています。
菩提寺である光厳寺は当主の意向がどうであったのかは不明ですが転封に伴って移転せず総社に留まり、以降秋元氏は宝永元年(1704)武蔵国河越へ5万石で、明和4年(1767)出羽国山形へ6万石、弘化2年(1845)上野国舘林へ6万石とそれぞれ栄転を伴う転封を繰り返すなか歴代当主を供養しています。
余談ですが泰朝は谷村転封後も領国の発展に寄与し、用水の開削や養蚕の奨励に勤めます。即ち泰朝は父の用水路開発策に習い桂川から城下までの約14Kmの堰を開削して飲み水の確保と供給を確保、また領民に桑を植えさせ絹や紬の生産を中心とした織物産業を打ち立てます。
境内に建てられた説明板には下記の通り紹介されています。
『 光 厳 寺 縁 起
慶長5年(1600)関ヶ原の合戦で東軍が勝利すると、徳川家康の命を受けた秋元長朝は会津に赴け上杉景勝に降伏を勧め、これを受け入れさせることに成功します。この功績によって翌年の慶長6年(1601)に父親ゆかりの上野総社に6千石(のちに1万石)の所領を与えられました。しかし、長朝が入城した蒼海城は武田信玄によって落城して以来荒廃していました。そこで蒼海城を廃城にし、その東側の勝山城跡地を利用して新たに総社城を築城したと云います。
光厳寺の創建は、慶長12年(1607)、総社城及び城下町を完成した総社藩初代秋元長朝が、徳蔵寺(現 前橋市元総社町)の亮應和尚を招いて開山したのが始まりとされます。また、山号は姓の秋元から、院号は長朝の法名「江月院殿巨岳元誉大居士」から、寺名は長朝の母春の法名「光厳院殿心月等清大姉」からとり、秋元山江月院光厳寺と名付けられ、秋元家歴代の菩提寺となりました。
寛永10年(1633)二代目藩主秋元泰朝の時に二代約30年に渡り治めてきた総社領から甲斐国谷村藩(現 山梨県都留郡)に1万8千石で移封となりました。この時光厳寺は随行せずこの地に留まり歴代秋元家の菩提を弔っていく事になります。その後、徳川幕府に庇護され、寛永3年(1626)に二代将軍秀忠により寺領30石が安堵され、さらに慶安2年(1649)には三代将軍家光より16石が加増され合わせて46石の朱印地を賜っており、天台宗の地方寺院としては規模の大きい修行寺として多くの僧侶を養成するなど寺運も甚だ隆盛したと云います。
江戸年中には、特に大きな火災に遭う事もなく境内には多くの古い建築物があり本堂(文政3年12月建立、110坪)、御廟所(文化9年建立)、庫裏(文化10年11月建立、120坪)、長屋門(店名5年5月建立)、楼門(文化年間頃建立)、薬師堂・元三大師堂・鐘楼(明和9年建立)などがあります。中でも薬医門は江戸時代初期もしくはそれ以前に城門として造られたものを移転したと推定され昭和50年(1975)12月24日に市指定重要文化財に」指定されています。
また、秋元家は、甲斐国谷村へ移封後も、川越、山形そして幕末の頃には館林に移り明治維新を迎えますが、菩提寺は一貫として光厳寺であり、隣接する宝塔山古墳(昭和19年国指定史跡に指定)頂上には歴代秋元家墓地があり昭和56年4月27日に市指定史跡に指定されています。また、境内にある力田遺愛碑は昭和25年6月16日に県指定史跡に指定され、東覚寺層塔は昭和48年9月24日に市指定重要文化財に指定されています。』
次に、宝塔山古墳の墳頂の平坦地に配された秋元氏歴代当主の墓地に立した説明板には次の通り記載されています。
「 秋 元 氏 歴 代 墓 地
指定年月日 昭和56年4月27日
所在地 前橋市総社町総社1606番地
秋元氏は、慶長6(1601)年関ケ原の戦功によって総社領6千石(のち1万石)を与えられ、長朝・泰朝の2代に亘って寛永10(1633)年まで約30年間この地を治め、善政を施した。
総社領における秋元氏の主な業績は、総社城の築城と城下町の形成、天狗岩用水の開さくと新田の開発であった。
秋元氏は、寛永10(1633)年、甲州(山梨県)都留郡谷村へ1万8千石で所替えとなる。以後、川越、山形、館林と転封を重ねる間、幕府の要職につき、明治維新をむかえることとなる。秋元氏は転封後も悪政に苦しむ総社領民の支援を行い、農民も「力田遺愛碑」を建てるなどして、旧領主秋元氏への感謝の念を忘れなかった。
長朝の法名は江月院殿臣岳元誉大居士、泰朝の法名は照尊院殿道泰安居士である。」
- 旅行の満足度
- 4.0
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
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光厳寺・寺門
幹線道路に面した光厳寺石門から直線道路を進みます。 -
石門新設
石門の裏には総社公民館建設に伴う道路拡張工事がなされ大門を撤去し新たに門柱を設置する旨のコメントが刻されています。 -
芭蕉句碑
新設の公民館に広場には芭蕉の句碑が建てられています。周辺の樹木は新規に植林された様子、加えて句碑を含む説明板などは訳あって他所から移転されたとも推測されます。 -
光厳寺・参道
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光厳寺・桜門(山門)
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光厳寺・桜門(山門)扁額全景
当寺の山額として「秋元山」は文字通り当地域を治めた総社藩主秋元氏の菩提寺であることを如実に示しています。 -
光厳寺・桜門扁額近景
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光厳寺由緒・説明板
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光厳寺・長屋門
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光厳寺・庫裏
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光厳寺・庫裏
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光厳寺・本堂(遠景)
正式には秋元山江月院光厳寺と称する天台宗の寺院です。山号は秋元氏の姓から、院号は長朝の法名である江月院から、寺名は長朝の母の法名である光厳院からそれぞれ採られています。 -
光厳寺・本堂(近景)
唐破風の玄関が張り出しています。 -
秋元氏御廟所
秋元氏歴代当主の菩提寺で、寛永10年(1633)二代当主秋元泰朝が甲斐郡内谷村へ転封、その後歴代当主が武蔵川越・出羽山形・上野館林へと移封となった後も一貫して当寺院にて祀られています。 -
秋元氏・御霊屋
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東覚寺七重多層塔
現在は秋元氏御廟所の中に配されていますが元は総社町高井の東覚寺跡に在ったそうです。 -
東覚寺七重多層塔・説明板
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石造物
秋元氏廟所前に並ぶ石造物が見えます。 -
元三大師堂
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薬師堂
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光厳寺・桜門(山門)
境内から再び桜門(内側)を捉えます。 -
光厳寺・鐘楼堂
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光厳寺・薬医門
光厳寺の薬医門は本柱と控柱との間隔が2.1mあり、城門として城を廻る厚い築地の中に収まるように造られ、例えば江戸時代総社城の門だったものを移築したと推定されます。 -
光厳寺・薬医門標柱
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光厳寺薬医門・説明板
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宝塔山古墳
光厳寺の前には一辺が約50mほどの方墳があり、墳頂の平坦部には総社藩初代藩主秋元長朝を始めとする歴代当主の秋元氏の墓地があります。 -
宝塔山古墳・標柱
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宝塔山・石燈籠
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宝塔山古墳・推定復元図
後刻案内に従って古墳石室を探しますが結局見当たりません。 -
宝塔山古墳石段
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市街展望
総社公民館建物及び駐車場を展望します。 -
秋元氏墓石階段
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秋元氏歴代墓地・説明板
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秋元氏歴代墓地(遠景)
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秋元氏歴代墓地(近景)
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四代 秋元喬知(あきもと・たかとも)
甲斐谷村藩主・武蔵川越初代藩主、但馬守・摂津守・但馬守 -
五代 秋元喬房(あきもと・たかふさ)墓石(右側)
武蔵川越藩第二代藩主、但馬守・伊賀守
六代 秋元喬求(あきもと・たかもと)墓石(左側)
武蔵川越藩第三代藩主、越中守 -
初代 秋元長朝(あきもと・ながとも)墓石
総社藩初代藩主、越中守 -
二代 秋元泰朝(あきもと・やすとも)墓石
総社藩第2代藩主・谷村藩初代藩主、但馬守、日光造営奉行 -
三代 秋元富朝(あきもと・とみとも)
甲斐谷村藩第2藩主、越中守
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四代 秋元喬知(あきもと・たかとも)
甲斐谷村藩第3藩主・武蔵川越初代藩主、但馬守・摂津守・但馬守、老中 -
五代 秋元喬房(あきもと・たかふさ)墓石
武蔵川越藩第2代藩主、但馬守・伊賀守
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六代 秋元喬求(あきもと・たかもと)
武蔵川越藩第3代藩主、越中守 -
八代 秋元永朝(あきもと・つねとも)
出羽山形藩第2代藩主、 摂津守・但馬守 -
九代 秋元久朝(あきもと・ひさとも)
出羽山形藩第3藩主、但馬守・若狭守 -
十代 秋元志朝(あきもと・ゆきとも)
出羽山形藩第4代藩主・上野館林藩初代藩主、但馬守 -
十一代 秋本礼朝(あきもと・ひろとも)
上野館林藩第2代(最後)藩主、但馬守 -
秋元氏廟風景
初代と二代の墓石の間から風景を捉えます。 -
市街風景
秋元氏歴代墓から総社公民館を一望します。 -
宝塔山古墳南側
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光厳寺歴代住職・墓石群
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光厳寺歴代住職・墓石
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光厳寺歴代住職・墓石
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宝塔山古墳
南西側から古墳頂上を見上げます。
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