2008/06/13 - 2008/06/20
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Mark & Risbeauさん
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今回の旅行の最終日、DCを離れる前に立ち寄っておくところがある。地下鉄に乗って、昨晩とおなじスミソニアン前で下車、そこに向かった。
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向かった先は、財務省製版印刷局(BEP)。米ドル紙幣や郵便切手をはじめ各種政府証券を印刷する役所である。日本同様、硬貨を鋳造する造幣局とは役割が分かれている。BEPは1990年までここDCのみでドル札を印刷していたが、DC本庁のバックアップと通貨の輸送コスト削減のため、テキサス州フォート・ワースに分庁を設けた。
アメリカ造幣局 (印刷局) 博物館・美術館・ギャラリー
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ここに来た目的は、前々から実家の父にしつこく頼まれていたあるものを手に入れることである。
アメリカ造幣局 (印刷局) 博物館・美術館・ギャラリー
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BEP本庁では未裁断の紙幣シートを買うことができる。1ドルX32枚から50ドルX16枚までさまざまな種類があるが、父に1ドルX32枚のシートを、りす坊のコレクションに5ドルX4枚のシートを買った。1ドルX32枚のシートは55ドルなので、財務省の粗利は42%。これは、ボロい。いざというときにははさみで切って紙幣として使えます、というのが職員さんの定番ジョウクになっているようだ。切ってしまえば、仕入れ値1.42ドルの1ドル札になってしまう。
アメリカ造幣局 (印刷局) 博物館・美術館・ギャラリー
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BEPは、朝早く行って無料予約券をもらえば紙幣の製版・印刷現場を見学することが可能だが、僕らは時間がなかったので諦めた。
アメリカ造幣局 (印刷局) 博物館・美術館・ギャラリー
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DCからダレス国際空港までは直通の電車がない。タクシーなら小一時間走って50ドル以上かかる距離だが、事前に調べたら市バスで行くのが一番安上がりだった。40分に一本と便数が少ないのが玉に瑕だが、市内の交通ハブになっているロンフォン・プラザから空港まで5A系統のバスで約50分。市バスなのでゆっくり街の風景も見れて、ひとり3.10ドルは悪くない。
空港につくと、夕方のフライト前に今回の旅行最後の目的地に向かう地元のVRTAバスに乗り換えた。こちらも空港からたった15分の距離なのに、1時間1便とかなり不便。まあ、バスがあるだけいいか。博物館から空港への帰りは客待ちタクシーはないので、とりわけ貴重な足である。 -
アドバー・ヘイジー・センターは、DCからから随分離れてはいるが、ナショナル・モールのスミソニアン航空宇宙博物館別館の位置づけだ。もともとボウイング社の飛行場のハンガーを利用した博物館である。
スティーブン F ウドバー ハジー センター 博物館・美術館・ギャラリー
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ここ別館にも旧日本海軍の飛行機が何機か展示されている。その中に太平洋戦争末期に開発され、終戦のため実際に出動することなく全機廃棄の憂き目を見た「晴嵐」の現存する唯一の機体があった。当時すでに切羽詰まっていた旧日本軍の台所事情を示すかのように、潜水艦からカタパルト発進し、任務後は海から操縦士のみ回収というハチャメチャな作戦用に開発された薄幸の攻撃機である。
スティーブン F ウドバー ハジー センター 博物館・美術館・ギャラリー
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何の脈絡もなく養毛剤の名前にされてしまった紫電改は、開発された1942年当時としては多くの改良と新技術を取り入れた先進の戦闘機だった。しかし、性能と功績に関しては研究者の評価が大きく別れるらしい。反語的だが、「ゼロ」という名前の方が毛生え薬としては効能はありそう。
スティーブン F ウドバー ハジー センター 博物館・美術館・ギャラリー
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第二次大戦のドイツ空軍の戦闘機メッサーシュミット。邪な戦争に供された戦闘機には違いはないが、近代的戦闘機第一号と呼ばれる名機である。
スティーブン F ウドバー ハジー センター 博物館・美術館・ギャラリー
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冷戦時代を象徴する旧ソ連のMikoyan-Gurevich 17略してミグ17も発見。ジェットエンジンに翼がついたような、ストレイトなデザインだな。
スティーブン F ウドバー ハジー センター 博物館・美術館・ギャラリー
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トムキャットことF-14は映画トップガンにも使われた旧グラマン社製の艦載戦闘機。
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ここには、民間機の展示も多い。その代表格は英仏共同開発の超音速旅客機(SST)コンコルドだろう。実は、ずっと以前から現物を見たかった飛行機である。
1976年運航開始、音速の倍の速度で飛ぶコンコルドはロンドン−ニューヨーク間を3時間半で結んだ。通常のジェット旅客機は時速900キロだが、コンコルドは単純計算で時速2,000キロ以上になる。スティーブン F ウドバー ハジー センター 博物館・美術館・ギャラリー
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しかしいい話ばかりではない。音速を超える飛行機は衝撃波(ソニック・ブーム)という新しい騒音を作り出した。また乗員数100名では採算を確保することは難しく、結局2003年に運航終了になってしまった。もはや飛ぶ姿を見ることはなくなったが、21世紀の目にも未来を予感させる見るからに速そうな旅客機である。
スティーブン F ウドバー ハジー センター 博物館・美術館・ギャラリー
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現物を生まれて初めて見た、という点では、スペイス・シャトルもそう。実際、一般人が本物を間近にみる機会はそれほどないだろう。スペイス・シャトル「エンタープライズ号」は、一連のシャトルの第一号のテスト機で、1976年にカリフォルニアで建造された。
スティーブン F ウドバー ハジー センター 博物館・美術館・ギャラリー
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繰り返しテストで使用されたあと、1985年にNASAからスミソニアンに移管された。大気中のテスト飛行の目的で作られたものなので、このシャトルにはロケットエンジンや本物の耐熱タイルは使われてないが、圧倒的なサイズだけでも感動もの。
スティーブン F ウドバー ハジー センター 博物館・美術館・ギャラリー
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スカイラブ(Skylab)という懐かしい名前で、70年代に打ち上げられた宇宙ステイションのモデルも展示されている。
スティーブン F ウドバー ハジー センター 博物館・美術館・ギャラリー
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最後にここのスミソニアンを訪問した目的の展示物をご紹介したい。
日本人には忘れがたい米軍爆撃機B29のなかでも、特に忘れがたい一機がエノラ・ゲイだ。機長の母の名が付けられたエノラ・ゲイは、1945年8月6日に広島に原子爆弾を落下させた米空軍爆撃機である。この機の前に立ったとき、稲妻に打たれたような衝撃が身体を走った。スティーブン F ウドバー ハジー センター 博物館・美術館・ギャラリー
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94年に長年倉庫に保管されていたエノラ・ゲイを修復して展示することが決定されたとき、併せて原爆の被害についての展示も予定されていた。これに対して退役軍人会などから強い抗議が起こり、結局機体のみ展示することに落ち着いた。このいきさつから、2003年に完成したこの別館でも原爆の被害や被害者数などに対する言及は全くない。
スティーブン F ウドバー ハジー センター 博物館・美術館・ギャラリー
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米国では「原爆が戦争の終結を早め、結果的に多くの人命を救った」という意見が多数派だが、エノラ・ゲイの機長ポール・ティベッツ氏も昨年11月に他界するまで一貫して同意見だった。
その意見の真偽は僕には分からない。しかし、それよりも一瞬にして何万人もの罪もない人々を虐殺するという決定を、人間が行ったということがいまだに信じられないのである。決定を行った人にも、犠牲者と同年代の年老いた親や幼い子供がいただろう。立場が逆だったら、同じ意見が言えただろうか。戦争が生み出す狂気の犠牲になったすべての人々に改めて手をあわせて、今回の旅行の締めくくった。スティーブン F ウドバー ハジー センター 博物館・美術館・ギャラリー
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