2014/09/03 - 2014/09/03
1976位(同エリア3390件中)
WT信さん
バス停「北の天満宮前」で下車。
京都住まいのM・Iさんが北野天満宮の門前で待っていた。
しかし3時を回っているのに、昼飯を食べる時間が無く、腹が頻りに催促している。
M・Iさんが私の意向を酌んで、宮前の老舗”あわ餅の沢屋”に案内してくれた。
北野天満宮のご祭神は周知の”菅原道真”。
「東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな」私は・・春なわすれそ・・と教わったとまで記憶しているから、子供の頃だったのであろう。
村の氏神様も天神様で、薄暗い”天神様の細道”を恐る恐る通って行ったこともあり、上記の歌と合わせ、”菅原道真”の出世を妬んだ輩の讒訴で大宰府に流される話も誰となく教わってその頃から知っていた。
九州育ちの所為か”菅原道真”と云えば”大宰府天満宮”がご本家と思いこんでいたら、”日本の神を覗く旅路”の旅が進むにつれ、”大宰府天満宮”は”菅原道真”のお墓に建てられた社殿で、それとは別に、”菅原道真”の怨霊を恐れた人々が、左遷された”菅原道真”の怨霊を沈めんと建てたのが”北野天満宮”で有ることを知った。
今まで訪れた神社の神々が全て神話の世界の神であるのに対し、”菅原道真”は歴っきとした歴史上の人物。
その意味で”北野天満宮”や”大宰府天満宮”は、歴史上の人物を初めて神として祀ったいわゆる”天神神”の始祖ともいえる、
”あわ餅”で元気を取り戻し、M・Iさんにとっては散歩コースの北野天満宮参詣を開始。
お蔭でガイドブックには紹介が無い場所や伝承を教わりながら、効率よく回遊でき大助かり。
脇に「天神信仰発祥の地」の案内板がある石の大鳥居の潜ると、間もなく右手に見えてくるのが参道に被さる様に張り出した「影向松」。
緩やかなカーブの参道の先の二の鳥居を過ぎた左手に、一の鳥居の柱より太く、蓮の花を象った足場を持つ鳥居が現れ、鳥居の奥の神社名は”伴氏社”で、案内版には大伴氏出身の道真の母君を祀るとある。
更に進んだ参道の両脇に参拝者に触れられて黒光りの臥牛(がぎゅう)。
道真を墓に埋葬するため、遺体を牛車で運ぼうとしたが、牛が横たわって動かなくなったっため、遺体を近くの”安楽寺”(現在の”大宰府天満宮”)に葬ったとの故事に依る。
?2016年1月太宰府天満宮を終着地とする旅をした。
道真の遺体を運んだと云う故事に則る、鼻が光り輝く臥牛を目の当たりにし、これで天神信仰の大本山に参詣したと書けると安堵した。
https://4travel.jp/travelogue/11201367
不思議なことに臥牛の銅像は左右に一匹ずつおり、「右が雄牛で左が雌牛」とM・Iさん。
正面にどっしりと構える”楼門”。
近づいて見上げると屋根が鮮やかな金箔で縁取りしたように張り巡らされており、掲げられている額の文字は「文道の大祖風月の本主」と書かれているとの事。
”楼門”を潜ると左手に目につく”絵馬所”の先に正面に重そうな屋根を戴く”三光門”。
圧倒するように見下ろす「天満宮」の勅額。
門の中で天井を見上げると、南(手前)の庇には太陽が、北の庇には月が雲の上に顔を出している。
ここの門は日月星の彫刻が施されていたことから”三光門”と名付けられとのことだが、みる限り星の彫刻が見当たらない。
そこで皆に呼ばれる別名は”星無門”。
”三光門”を潜っていよいよ国宝の社殿へ向かう。
文字通り重厚な感じの構えとは裏腹に、社殿は金箔と唐風の色とりどり彫刻で、むしろ軽やかさを感じる装飾。
社殿の南東に並ぶ社務所、宝物殿、神楽殿を囲む朱の壁と上部の色鮮やかな彫刻、その前に振り下げられている提灯風の真っ白な明かり採りとの調和が強烈に目を惹きつける。
次々に現れる小さいながら特徴を持った社殿を眺め、東門を経て北門に出ると”北野天満宮”回遊が終わる。
祟りを鎮めるために祀られた”菅原道真”も、今や正義の神、学問の神、書道の神、農業の神として崇敬を受け、神社数第3位、”記紀にお出ましにならない神”の神社数では八幡様に次いで第2位の数を誇る。
島田裕己氏によると、現在全国の神社数は減少一途だが、歴史上明らかに生存した人を神とする天神様だけは今後とも増加するだろうとの事。
ちなみに祀られている神様が一番多い神社は靖国神社でその数なんと246万柱。
また俳聖と呼ばれているとは言え、芭蕉が神様として祀られている神社が有るのにも驚いた覚えがある。
深川の富岡八幡宮の一角に建ち神社名”花本社”。
探せば祀られている神様の名を聞いて驚く天神様はもっと沢山あることだろう。
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