2013秋11　ネパール(ボダナート・出国)

2013/11/27 - 2013/11/28

ボダナートを出て以降、翌日の空港まで一枚も写真がない。
この夜、体調は最悪で、本当にネパールを脱出できるかどうか全く自信が持てなかった。
とにかく吐き気が治まらず、胃は痛く重く、不快な便意はあるのに一向に出せない。
何も食べてないので胃液だけをひたすら吐く。
吐き気による頭痛と悪寒で毛布にくるまって震える。
あまりのつらさで帰国できない不安に苛まれ、恐怖で脂汗がにじみ、何度も毛布を跳ね除ける。
「私はこのままネパールで死ぬのかな」と、『遺体引き取り』で迷惑をかけてしまうであろう家族のことまで心配した（←100％真面目に）

粉末アクエリアスで思いっきり吐いたので、これ以降、二度とスポーツ飲料の類が飲めなくなった（10年経った今も飲めない）。
カトマンズの水道水の鉄臭さが死ぬほどキツイ。
もはや顔も洗いたくないし、できることなら使いたくない。
でも、菌が怖くて手を洗わないわけにはいかない。何度も何度も石鹸で。
その度に吐き気に襲われる。

まさに地獄だった。


【旅程】
□11/12　上海泊
□11/13　昆明泊
□11/14　カトマンズ泊
□11/15　カトマンズ泊
□11/16　カトマンズ泊
□11/17　カトマンズ泊
□11/18　カトマンズ泊
□11/19　カトマンズ泊
□11/20　ポカラ泊
□11/21　ポカラ泊
□11/22　ポカラ泊
□11/23　ポカラ泊
□11/24　ポカラ泊
□11/25　カトマンズ泊
□11/26　カトマンズ泊
■11/27　カトマンズ泊
■11/28　機内泊
□11/29　上海泊
□11/30　帰国


【為替レート】
100JPY≒1USD≒100NPR(ﾈﾊﾟｰﾙﾙﾋﾟｰ)

エリア カトマンズ(ネパール)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 高速・路線バス 徒歩
• 航空会社: 中国東方航空
• 旅行の手配内容: 個別手配

なけなしの体力もほぼ枯渇。
宿で休んでいればいいのに、無謀にもボダナートにやって来た。
なんでこんなに馬鹿なんだろう。

とは言え、まだこの時は多少の余裕があった。
「何か温かいものでも飲もうかな」なんてことも考えていた。
（飲まなくて良かった。想像しただけで悲惨）

周りを囲むように土産物店などが並ぶ。

明らかに傾いている。
隣の建物が頑丈そうで良かったですね。

傍らにはテントが張られ、法要？が行なわれる様子。

それ待ちの僧侶かな

犬はとても人馴れしていて、ベンチで座っているとすぐ隣に飛び乗ってきてびっくりした。
更に膝の上に足をかけられ、「食われるのかな」と思った。

以前にも、死にかけている時に野良犬に寄ってこられた記憶があるので。

それにしても、全力の食あたりは半端ないな。

何か少しでも口に入れるとアッという間に下から出る。
場合によっては上からも出る。

内臓の皆さんは何をしておられるのだろう。
一本化？　ストライキ？　一足先に死んでる!?

今まで『食あたり』だと思っていたヤツは、今回のに比べれば屁みたいなものだ。

今までのは単なる『下痢』で、これがホンモノの食あたりだと学んだ。

今までただの下痢を「食あたり」だのと過剰申告したことを反省。

時間が経つにつれ、ジリジリと体調が悪化していく。案の定。

ポカラで食あたりを起こして以降、日記もほとんど書けず、何があったのか記憶が曖昧。

が、この日がMAXに辛かった。

下三段、いくらなんでも枯れすぎだろう。
うちのパキラ（三代目）もこんな感じですけどw

夥しい数の鳩。
なぜそのくぼみを執拗に狙うのか。

「これはもしや…吐くんじゃないか」とビビリ始め、とにかく人の少なそうな場所を目指してゴンパへと向かう。

…。
売店がバズっていたので立ち去る。

うぅ…ますますヤバい。

とにかく人のいない所を求めて、更に別のゴンパへ。
吐く時は孤独が望ましい。

やった、ここはベンチがある。
しかも、犬とリスと鳩しかいない。

とは言え、こんなところで吐いたら絶対にバチあたる。
（もうじゅうぶんあたってると思うけど）

静寂のベンチで吐き気と戦う修行中。
ていうか何を吐くつもりなのか。
いよいよ『魂』でも吐くのか。

しばらく休んで吐き気はどうにか峠を超えたものの、そろそろ死にそうなので、帰路につくため再びボダナートに戻る。

いやもう鳩w
ヤラれたのか!? 犬ー!!

さきほどのテント内で法要が始まる様子。

賑々しい太鼓の音に惹きつけられ、少し覗かせていただく。
独特の音色に、吐き気を忘れてしばし釘付け。

ボダナートを離れて帰りのバスに乗り込む。
おぉ…こんな状態で車に揺られる修行ですか。

道中を気合で耐え抜き、バスを降りて綱渡り状態で宿へと向かっている途中、旅行会社のおっさんに捕まる（数度目）。

おっさん「まいど！ナガルコットに行かないか？」
わたくし「すみません。いまそれどころでは」
おっさん「ナガルコットは最高だぞ！」　　…ガン無視かい　　
わたくし「いやマジで勘弁してください。吐きますよ」
おっさん「5000ﾙﾋﾟｰでどうだっ！」　　　…ガン無視かい
わたくし「（あかんヤバい）ふっふっふ。トイレ貸してください」
おっさん「5000ﾙﾋﾟｰでどうだっ！」　　　…ガン無視かい
わたくし「だからトイレを…（脂汗）」
おっさん「5000ﾙﾋﾟｰでどうだっ！」

「いや、死んでも値下げはせんのかい！」
とツッコむ余裕すらなく、おっさん押しのけて立ち（這い）去る。

更に途中で、笛を売りつけるおっさんにも捕まる（数度目）。
頼む。もうやめてくれ。マジでヤバイんです、と懇願。
おっさん激怒して背後から罵声。

もはや。ぶちまけてやれば良かった…

込み上げる吐き気をギリギリで抑えつけ、ホテルの階段を死ぬ気で４階へ。
ベッドに倒れ込み、もう動けない。
が、吐き気は容赦なく襲ってくる。何も食べてないのに。

翌日。
午前10時ごろ、身体を引き剥がすように起きる。吐き気と悪寒でフラフラする。
土産物はいつものごとく最後に買うつもりで一切買ってないので、とにかくそれを買いに出かける。
店までの短い道のりも辛く、店内でもゆっくり動かないと酔う。
選ぶとかいうこともほとんど出来ずに、適当に紅茶をカゴに放り込む。
とにかく一歩たりとも余分には歩きたくないし、人とも関わりあいたくない。

ヨタヨタとホテルに戻り荷物をまとめる。
チェックアウト時刻ギリギリまでベッドに倒れ臥す。
正午少し前、チェックアウト。

ホテル前に停車中のタクシーを発見。ラッキー！
空港まで350ﾙﾋﾟｰとのことで、荷物を取ってきてタクシーに乗り込む。
やっとやっとやっと･･･ネパールを離れられる。悲しいけれど、これが正直な気持ち。
もうあの水の臭いにもクラクションにも客引きにも汚物にも排泄物の臭いにも、果ては、食べもののニオイにすら、1日たりとも耐えられそうにない。
道を駆けるドブネズミも、床をヨタヨタと這うゴキブリも見たくない。

おそらく機内食のニオイで吐いてしまうだろうと予測していた。
ついにあのエチケット袋のお世話になるのかと。

空港までの道すがら、停車中のタクシーの窓に物乞いの少女。
元気な時だったなら、きっと菓子なり小銭なりを与えただろうと思う。もう私には不要なのだし。
けれど気持ちが荒みきっていて、目を逸らし続ける。
哀れそうにねだっていた少女だったが、車から離れた途端、どこからか菓子を出して笑いながら食べていた。

かなり早目に空港に到着。
16:10のフライトまでまだ3時間ほどあったが、チェックインカウンターが開いていて中に入ることが出来た。

清潔で静かでゆったり広々した空間に、安心して口に出来そうな食べものが並んでいる。
あれほど何も口にする気にならなかったというのに、ここにきてトマトとキュウリのオープンサンドとメロンを食べてみる。

･･･食べられた！
なんと、何日かぶりに「あ、おいしいかも」と感じた。
そして、あれほど強烈だった吐き気も悪寒も消えていることに気付いた。

情けない話だけど、結局私はいろいろなことに対するストレスに最もヤラれていたらしい。
もちろん下痢は治まらないけれど、最も辛かったその他の不調が手品のように消えたことに我ながら心底驚いた。

フライトは1時間弱ほど遅れたが、窓から見えた夕陽に染まるヒマラヤの美しさは素晴らしかった。
『ネパール』が最後にくれた憐憫だったのだろうか。

この旅行記へのコメント （11）

• まみさん 2024/03/16 10:24:38

  完結編おつかれさまでした

  途中まで「これにイイねを押しても良いものか？」って思ってたけど、最後食べられて良かった。
  ネパール手強いなー。
  バリ島ボケの私から見たらMRKの皆さん達人だわ。
  
  まみむし

  小心者さん からの返信 2024/03/16 14:01:51

  バレとる！

  
  確かに「良く」はないけど、「イイね」ありがとう！
  ていうか再掲やし誰にも気づかれへんと思ってたんで驚きました。
  
  私はまみさんの旅に憧れます。
  でも今後のパッカー旅行記も楽しみにしています。
  私以上にドツボを踏んでほしいです。
  
  いつか必ずバリに行きたい！
  
  小心者

  フィーコさん からの返信 2024/03/16 15:33:29

  脱出　おめでとう

  小心者さん　こんにちは♪
  
  あ、まみむしさん2個送ってたの見たよー
  
  結局、吐き気も悪寒も
  ネパール適応障害やったんや（笑）
  帰れる、離れられる
  と思ったらメロンがうまい！
  
  ウズのヒヴァを離れる時
  ポカリの粉末置いてこなかったのを後悔したけど、
  飲まれへんかったんやな。
  
  ウズでコーラやファンタ？ばっかし飲んでたようやったの理解しました
  （笑）
  
  フィーコ

  フィーコさん からの返信 2024/03/16 15:34:16

  Re: 完結編おつかれさまでした

  ごめん、一個消してくれ

  まみさん からの返信 2024/03/16 16:27:04

  フィーコさんおもしろすぎる

  ツッコミからのボケ、お見事！
  
  確かに2回送った　まみむし

  フィーコさん からの返信 2024/03/16 18:13:03

  😭　エーン　😭

  ボケたー
  
  姐さん、早よ消してー

  小心者さん からの返信 2024/03/16 20:03:31

  もはや「神」としか

  
  フィーコさん、まみさん、こんばんは！
  ワシの掲示板、楽しくてなによりです。
  重複分を消すの、マジでもったいない。
  断腸の思いで消しときましたが、その後の流れはどうしても消せません。
  ごめんちゃい。
  
  改めまして、コメントありがとうございます。
  そうそう。アクエリアスもポカリも飲めないんです。
  なるほど、あれが適応障害ってヤツなのか。さすが、難しい言葉を知っとらさるな。
  でも、だからといって下痢はまだまだ延々と治らんかったけどな！
  
  メロンにはウズでも助けられたなー。
  もうメロンには一生足向けて寝られませんわ。
  
  小心者

  さとぴ。さん からの返信 2024/03/19 06:52:33

  移せるかな。

  しまった！
  こっちに書くのが正解だったのね。
  すまんがアレをコレに移動しといてください。
  
  で、完ケツ編でとるのね。だいぶ出遅れとるがな。
  もう胸やけで読めんから来年読むよ。
  
  さとぴ。

  小心者さん からの返信 2024/03/19 14:08:40

  移せるか！

  
  ムチャブリ乙。ついでに「ケツ」ヤメレ。
  
  ちょっと小耳に挟んだんですが、マジでネパール検討中？
  やっぱ「拾い喰いマイスター」は気合入っとるな。
  わしも会長見習って普段から腐ったもんとか食って鍛えよっと！（死亡フラグ）
  
  小心者（全体に繊細）

  さとぴ。さん からの返信 2024/03/21 22:13:15

  もう落ちたもん拾って食べるのヤメレ。

  完ケツおめでとうございます。
  
  想像以上にお辛そうで
  なんとお悔やみしてよいのやら。
  さすが腹こわしマイスターの旅行は気合い入っとるな。
  下痢と食あたりの違いも勉強になったよ。
  
  ポカラもポカリもこりごりですね。ぷぷ
  
  で、いつごろ待ち合わせる？
  
  さとぴ。

  小心者さん からの返信 2024/03/22 22:34:10

  デリケートはつらいわ

  ネパールでの地獄を思い出した今、ウズベキスタンの辛い記憶が薄れつつあります。
  ウズベキスタンはええ国やったなぁ…
  コロナはマジで後がキツかった（しみじみ）
  
  >ポカラもポカリもこりごりですね
  
  珍しく上手いこと言いよったな。
  ネパールはマジでもうこりごりや。
  とっとと行って拾い喰いして、ワシの溜飲を下げるように。
  
  小心者