2013/11/02 - 2013/11/04
1009位(同エリア1792件中)
naoさん
昼食後は、高松市内に点在する、安藤忠雄氏設計の「サンプレイス」、「STEP」、「四国村ギャラリー」を訪れます。
高松南新町商店街の中にある「サンプレイス」は安藤忠雄氏の初期の作品で、商店街のアーケードに面する正面外観は、アルミパネルの外壁とコンクリート打放しの柱と梁という構成になっていて、2層分の小さな吹抜けが設けられています。
正面と直交するサイドは、半円形のアルミパネルの外壁とコンクリート打放しの直線のフレームが組み合わされ、正面に比べればいくぶん安藤さんらしさが顔を覗かせていますが、さらに裏側に廻ると、「いかにも安藤流」といえるコンクリート打放しの建物が現われます。
高松丸亀町商店街の中にある「STEP」ですが、「初代STEP」は2006年に解体され、現在、2代目の建物に建て替えられています。
写真で見る限りの「初代STEP」は、コンクリート打ち放しと二丁掛けタイルを組み合わせた外壁に、建物中央部の中庭空間に設けられた屋外階段が特徴的な4階建ての商業ビルで、この階段に接続する廊下が各階を回遊する構成となっています。
商店街のアーケードという閉鎖的な空間から解放するように建物中央部に中庭空間を設け、これに面する屋外階段と廊下を介して建物を有機的につなぐ手法や細部のディティールに安藤さんらしさが見られる良い建物でしたが、残念ながら2006年に取り壊されてしまいます。
現在の「STEP」も安藤さんが設計されていますが、正面ファサードがガラスで覆われた、いかにも合理性を追求したような箱形の建物で、1〜2階が店舗、3階がオフィスになっています。
私の感想では、現在の「STEP」は側面の外壁につけられた亜鉛メッキの2本の樋に安藤さんらしさを感じる程度で、はるかに「初代STEP」の方に軍配が上がります。
これらの建物以外にも、高松丸亀町商店街を少し外れた所に小さなテナントが入る「FOYER」という商業建築がありましたが、高松丸亀町商店街の大規模再開発事業の一環として撤去されてしまいました。
源平の古戦場として知られる高松市屋島には、四国各地に点在する江戸時代以降の古民家などを移築・復元した、いわば古い建物のテーマパークともいうべき「四国民家博物館(四国村)」がありますが、この「四国民家博物館(四国村)」の中に、ここを創設した方が収集した美術品を展示する美術館として、安藤忠雄氏の設計により建てられた小さな美術館「四国村ギャラリー」があります。
敷地の勾配を巧みに活かして設計されたこの美術館は、園路レベルのエントランスホールと、勾配に沿うように下がったレベルに設けられた展示室の2フロアで構成され、上下のフロアをエレベーターと階段がつないでいます。
エントランスホールで最も印象的なのは、直線の壁を貫くようにはめ込まれた楕円形のエレベーターシャフトで、エレベーターホール天井の楕円形のスリットから漏れる間接光が、柔らかく降りそそいでいます。
エレベーターシャフトの左手にある階段を下りると、正面に受付があり、右側の展示室へ続いています。
展示室の外部には、コンクリート打ち放しのバルコニーに続いて、これも勾配に沿うように階段状の水の庭園が設けられていて、バルコニーに立てば、水の庭園とともに、高松市街を望むことができます。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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まず、高松南新町商店街の中にある「サンプレイス」を訪れます。
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商店街に面する外観は、アルミパネルの外壁とコンクリート打放しの柱と梁という構成になっていて、2層分の小さな吹抜けが設けられています。
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サイドは、コンクリート打放しの2層のフレームとアルミパネルの外壁が組み合わされ・・・
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正面外観に比べれば、より安藤さんらしさが顔を覗かせています。
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さらに、裏側に廻れば「いかにも安藤流」といえるコンクリート打放しの建物が現われます。
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裏面の外壁には、左右で異なった開口部を設けています。
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左側には細い長いスリット窓を・・・
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右側には3層分のカーテンウォールの広い開口部を開けています。
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半円形のアルミパネルの柔らかさを・・・
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アルミパネル面から突き出たコンクリート打放しの直線のフレームが「グッ」と引き締めています。
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半円形のアルミパネルと、そこから突き出たコンクリート打放しのフレームの取合い部分。
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半円形のアルミパネルの中間部分では、上部はコンクリート打ち放し、下部はアルミパネルの直線の壁がつないでいます。
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「半円形のアルミパネル」だの、「そこから突き出たコンクリート打放しのフレーム」だの、「コンクリート打放しとアルミパネルの直線の壁」だのと、ややこしい説明をしましたが、この写真を見れば理解していただけるでしょうか・・・。
いろんなものが空中に浮かんでるんです。
うまく説明できなくてすみません。 -
地下階の換気パイプがこんな所に顔を出しています。
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1階の通り抜け部分から商店街を見たところです。
では、そろそろ「STEP」へ向かいます。
北側の高松丸亀町商店街の中にある「STEP」へは歩いて行ける距離なので、ウィンドウショッピングしながら歩いて行きます。 -
高松南新町商店街の通路には、干支のタイル絵がはめ込まれているので、我が家の家族の干支を探してみます。
まず、我が家でいちばん偉いお母さんと上の子の干支です。 -
次は、下の子の干支です。
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でっ、最後は私、お父さんの干支です。
お父さんはいつも「デーン」と後ろにひかえています。
っていうのは見栄で、何事も後回しにされるとういうのが真実です。 -
高松南新町商店街の北側の入口です。
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高松丸亀町商店街の中にある「STEP」にやって来ました。
現在の「STEP」は2代目になるんですが、初代の「STEP」は2006年に解体され、この建物に建て替えられました。 -
現在の「STEP」も安藤さんが設計されていますが、いかにも合理性を追求したような商業建築で・・・
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1〜2階が店舗、3階がオフィスになっています。
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現在の「STEP」で安藤さんらしさを感じるのは、側面の外壁につけられた、この亜鉛メッキの2本の樋だけで・・・
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はるかに初代「STEP」の方に軍配が上がります。
では、この辺りで「四国村ギャラリー」へ移動するのため、車を取りに戻ります。 -
高松丸亀町商店街で見つけた高松市の汚水枡の蓋。
高松市には、源平の古戦場として有名な屋島があるので、平家方の船に掲げられた扇の的を弓で射落とした那須与一の物語をモチーフにしています。 -
高松丸亀町商店街の南側の入口です。
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源平の古戦場として知られる高松市屋島の山麓にある「四国民家博物館(四国村)」に到着後、入場券を購入して早速入場します。
ここは、四国各地に点在する江戸時代以降の古民家などを移築・復元した施設で、この中に安藤忠雄氏の設計になる小さな美術館「四国村ギャラリー」があります。 -
江戸時代以降の古民家などと聞けば、じっくり見たいのはヤマヤマなんですが、この日の目的は「四国村ギャラリー」オンリーなので、後ろ髪を引かれる思いで「四国村ギャラリー」に駆け込みました。
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敷地全体に勾配がついているので、これを巧みに活かして設計されています。
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まず、園路のレベルにエントランスホールを設け・・・
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敷地の勾配に沿うように、一段下がったレベルには展示室という、2フロアで構成されています。
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これがエントランスホールへの出入口です。
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振り返るとこんな感じです。
エントランスホール横の通路の先に何かありそうなので、中へ入る前にそちらを見に行きましょう。 -
エントランスホール横の通路を突きあたると階段があります。
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この階段を下りると・・・
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楕円形のエレベーターシャフトがそびえています。
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さらに階段を下りて振り返ると、上段にエントランスホール、下段の赤いパネルがはめられている展示室が見えます。
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展示室の外観です。
展示室は細長い長方形になっています。 -
展示室のレベルから見上げた右側はエントランスホールの妻壁になります。
壁と言ってもガラス張りですが・・・。 -
エレベーターシャフトとエントランスホールの関係です。
では、中へ入りましょう。 -
エントランスホールの内部です。
左が出入口の扉で、右側に階段とエレベーターホールへの開口部があります。 -
楕円形のエレベーターシャフトは、エントランスホールの壁を貫くように組み込まれています。
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エレベーターシャフトと壁のスリットには、ガラスがはめ込まれています。
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エレベーターホール天井の楕円形のスリットからは、やわらかい間接光が降りそそいでいます。
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この階段を下りると正面に受付があり、右側の展示室へ続いています。
なお、建物はいいですが、展示室内の展示物は撮影しないでくださいとのことなので、撮影をひかえました。 -
先ほど外部から見た展示室の妻側。
この色のパネルが見えていたんですね。 -
コンクリート壁の左側が展示室で、右側がバルコニーに至る通路です。
展示物は撮影しないでくださいとのでしたが、建物の構成を説明するうえでどうしても必要だったんで、ここだけは撮らせていただきました。
勝手に判断してすいません。 -
でっ、通路を抜けてバルコニーへ出ます。
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バルコニー側から、逆に通路の奥を見たところです。
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バルコニーです。
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バルコニーからは、遠く高松市街を望むことができます。
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バルコニーに置かれた亜鉛めっきの椅子とテーブルは・・・
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この空間にすんなり溶け込んでいます。
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展示室の外側にある水の庭園へは・・・
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この通路を下りて行きます。
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通路から水の庭園が見えてきました。
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水の庭園は、多彩な表情や緩急の変化を作り出す、淀みや階段状の落差を配し・・・
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敷地の勾配に沿って、折れ曲がりながら続いています。
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水の庭園から見たバルコニーと・・・
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展示室です。
楕円形の円筒は、もちろんエレベーターシャフトです。 -
ピンコロ石の階段と、鉄平石貼りの落差が組み合わされて斜面を下りて行きます。
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唐突ですが、水の上に突き出たこのバルコニーを見て、「フランク・ロイド・ライトの落水荘だ!」と声をあげそうになってしまいました。
スケールは全然違いますが、私のイメージは「落水荘」そのものです。 -
同じ落差でも、場所によって流速を変えて流れています。
緩やかに流れる落差があれば・・・ -
勢いのある落差もあります。
勢いがありすぎて、舗装路を濡らしています。 -
淀みをオーバーフローした水が、壁を伝うように流れ落ちている所もあります。
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水の庭園から見上げると、バルコニー手すりのガラスが青空を映しています。
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幾重にも重なる落差が、多彩な表情を見せる水の庭園。
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垂直の流れと、階段状の落差と、淀みが・・・
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多彩な変化を見せながら、いたる所にしつらえられています。
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こうしてボカシテ見ると、シャープな建物も柔らかく見えます。
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水の庭園の最上部にある吐水口。
これだけの水量で、あんなに多彩な表情がつけられるんでしょうか・・・。 -
では、そろそろ水の庭園を後にします。
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バルコニーに戻ると・・・
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空に浮かぶ雲がいろんな表情を見せています。
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大空を切り裂く建物との対比を狙ってみました。
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バルコニーの椅子が、西日を受けて影を延ばしています。
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展示室外部の、水平スリットからみた雲。
このスリットは展示室の採光用にとられたものですが、全面開放するのではなく、上部のみをスリット状にして柔らかい光を取り入れるようデザインしています。 -
エントランスホールへ続く階段を上った先には・・・
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妻面に大きなガラス窓があります。
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出入口へのアプローチ外部です。
左手にエントランスホールがわずかに見えています。 -
園路からは、展示室の屋根越しに高松市街が見えています。
安藤さんは殊のほか緑が好きなので、この景観は気に入っておられるでしょうね。 -
では、この辺りで「四国村ギャラリー」とはお別れです。
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