2013/11/02 - 2013/11/04
50位(同エリア220件中)
naoさん
四国隋一の大河、吉野川の中流に位置する徳島県美馬市脇町は、白漆喰塗の卯建(うだつ)があがる町家が残る町としてよく知られています。
吉野川の洪水によりもたらされた肥沃な土地が藍の栽培に適していることから、阿波藩主が奨励した藍栽培は阿波の代表的産業にまで成長します。
江戸時代、町民たちが藍染め木綿の着物を着るようになると、藍の需要が高まり、吉野川の水運に恵まれた脇町は、藍の集散地として大いに繁栄します。
このように隆盛を極める脇町には、当時100軒を超える藍商や呉服商がおり、その繁栄ぶりを誇示するかのように、競いあって豪勢な卯建のあがる町家を建てていきます。
現在、約400mにわたって連なる町並みには、その豪商たちが建てた卯建があがる町家が多数残っており、当時の隆盛ぶりがうかがえます。
卯建とは、隣家との境に設けられた防火壁のことで、これを造るにはかなりの工事費が必要だったため、商業的・社会的に成功した、経済的に余裕のある家しか設けることができませんでした。
このように、卯建のあがる家は、豊かな財力や社会的地位の高さの象徴のように見られていることから、商業的・社会的な成功者を形容する際に用いられる、「うだつがあがる」の語源だと言われています。
逆に、「うだつがあがらない」は言うには及ばないと思いますが・・・。
家紋など、思い思いの装飾が施された卯建は、さしずめ美術品といっても過言ではないほどの素晴らしさで、虫籠窓、格子造り、蔀戸などとともに、伝統的な町家が放つ歴史や文化の香りに触れながらの町歩きを楽しみに、多くの観光客が訪れています。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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道の駅「藍ランドうだつ」に車を停めて、脇町へやって来ました。
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いきなり見事な卯建が出迎えてくれます。
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真下からだとわかりにくいですが、脇町の卯建は寄棟屋根が載っています。
町歩きの前に、オデオン座を見に行きましょう。 -
卯建の町並みを抜けた川向いにある「オデオン座」は、1934年、回り舞台や花道を備えた本格的な芝居小屋として建てられ、演劇や映画などを通じてこの町の人々に親しまれてきました。
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しかし、映画の斜陽化とともに観客の足も遠のき、取り壊されることになっていましたが、山田洋次監督の映画の舞台になったことをきっかけに、平成11年には建設当時の西洋風の外観に修復され、現在はイベントホールとして利用されています。
では、町並みに戻ります。 -
町並みに戻って来ると、秋を感じさせてくれるように、たわわに実った柿が目に入ってきます。
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この辺りは、町並みの東端になります。
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では本格的に町歩きをスタートします。
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この町は、袖壁が華麗に発展した袖卯建が特徴です。
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もちろん、窓は格子窓です。
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本瓦葺きの立派なお屋敷です。
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卯建の屋根は、鬼瓦が載る本格的なものです。
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ひし形模様が珍しいな〜、と思ってよく見ると、なんとスチール製の格子でした。
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緩やかな上り勾配の頂点の向こうに、町並みが続いています。
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町歩きをしていてよく目についたのが大輪の菊の花です。
ほとんどの町家の軒下に飾られています。 -
とても珍しい竹製の阿波踊りの人形を作っている時代屋さん。
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時代屋さんの軒下のも菊の花が飾ってあります。
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店内には、阿波踊り人形以外にも、竹筆などの竹製品が並べられています。
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藍木綿の暖簾が風に揺れています。
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時代屋さんのお向かいには、脇町で最も大きい規模を誇る吉田家住宅があります。
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吉田家住宅は、1792年に創業した藍の豪商「佐川屋直兵衛」のお屋敷で、現在一般公開されています。
みせの間や帳場など、当時の藍商の店構えを見ることができます。 -
表の潜り戸が跳ねあげられています。
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格子出窓の仕口部。
込栓がアクセントになっています。 -
建物の西側にも小玄関があります。
さすがに豪商の建物です、勝手口ではなく、玄関が二つあるんです。 -
この町並みにある町家のほとんどは、銅製の樋を使っています。
銅製でなきゃいけないような決め事でもあるんでしょうか・・・。 -
この町家の手前を右に入れば・・・
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松屋小路と名付けられた脇道があります。
この通りにあった呉服屋さんの屋号から名付けられたそうです。 -
昔懐かしい看板が町並みを見つめています。
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郵便局や医院として使われていた森家住宅です。
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森家住宅の玄関上の彫り物。
丸い模様も一枚板から削り出しています。 -
ちょっと軒下を拝借して町並みを撮ってみました。
三角形の構図を狙ったんですが、白と黒のバランスが難しいですね。 -
この町家の軒先で、籠に入れられているのは・・・
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とてつもなく大きい松ぼっくりです。
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この町並みには、数は少ないですがナマコ壁の町家もあります。
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和菓子屋さんのお品書に、「ラグビー饅頭」なるものが載っています。
たぶんラグビーボールのような形をしているんでしょうね。 -
店先に置かれた睡蓮鉢で泳ぐ金魚が、挨拶してくれます。
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この町並みで最も古い町家の国見家住宅です。
左側の隣家と間隔があるからでしょうか、片側にしか卯建がありません。 -
なぜか卯建の無い町家。
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私の大好物の路地がありました。
両側の町家の腰板は、木造船の古材を再利用した「船板塀」のようです。 -
再利用された船板は、時の経過とともに虫食いや腐食などにより・・・
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人の力では到底造り出せない景色を生んでいます。
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卯建が整然と並んで、まるでオンパレードのようです。
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面白い雲が広がっています。
これ、うろこ雲ですかね・・・。 -
まるで鬼瓦の競演ですね。
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この町家は、卯建周りだけが白漆喰塗なので、やけに木部が目立ちます。
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妻入りと平入りの町家が並んでいます。
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そろそろ卯建のあがる町家が途切れそうです。
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この町家の横には、かねてん小路があります。
ここも醤油醸造元の屋号から名付けられたそうです。 -
この町家の腰板にも、先ほどの路地の町家と同じように「船板塀」が使われています。
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木造船特有の細工跡が、「船板塀」の景観を生んでいます。
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町並みの西の端まで来ました。
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出窓の肘木には彫り物細工がしてあります。
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では、ここで折り返します。
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ところどころ新しく建て替わった町家があってもこの景観なのに、昔はもっと壮観だったんでしょうね。
だって、卯建のあがる町家だけしかなかったんですから・・・。 -
卯建の上から町並みを見下ろす鬼瓦。
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昔の妻入りの町家と新しく建て替わった妻入りの町家が並んでいます。
卯建の有無だけじゃなく、ずいぶん雰囲気が違います。 -
組み木細工の欄間。
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国見家住宅まで戻って来ました。
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こちらは「ラグビー饅頭」の和菓子屋さん。
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こちらは森家住宅と松ぼっくり。
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何と精巧な彫り物なんでしょうか。
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籠の中の松ぼっくりや・・・
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菊の花も見つめる町並み。
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町家に負けないようにと、精一杯背伸びする大輪の菊。
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その大輪の菊と張りあうように咲き誇る真っ赤なゼラニウム。
これでひととおり町並みを歩いたので、道の駅に戻ります。 -
吉田家住宅裏手の中庭の様子です。
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中庭を囲むように、質蔵や藍蔵などが建っています。
脇町の町並みはこれくらいにして、吉野川に架かる潜水橋がこの近くにあるので見に行きます。 -
道の駅の前の吉野川の堤防を越えると、脇町潜水橋が見えます。
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この橋は、吉野川に架かる数少なくなった潜水橋の一つで、脇町と穴吹町を結んでいます。
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潜水橋とは、川の増水時に橋が沈んでしまうことからこの名前がついたもので・・・
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四万十川の沈下橋と同じものです。
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この橋は交互通行になっているので、橋の一方から進入車があれば、車が渡りきるまで待っています。
暗黙のうちに譲り合いのルールができているようです。 -
ご覧のように、この橋には欄干がありません。
よく見ると付けられるようにはなっているんですが・・・。 -
水面まで2m程度の高さしかありません。
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四季折々の吉野川の姿を見ることができる脇町潜水橋は、流域の人々が川とともに暮らしてきた証となっています。
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