
2013/03/24 - 2013/03/24
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世界攻略者さん
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アンナプルナの入門的スポット - ダンプス。日帰りトレックといえば、サランコットでもピースパコダでもなく、普通はこの村を指します。なぜなら、ポカラから程よく離れたこの山村には、爽やかな登山道、眺めのいいロッジ、街歩きの楽しさなど、すべてが揃っているから。上級者だからこそわかる「ダンプスの魅力」、たっぷりお伝えいたしましょう。
**情報は2013年3月のもの。1ルピー=1円で計算。
==ポカラ・ザ・トレック シリーズ一覧==
① サランコット編
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10759203/
② ワールド・ピース・パゴダ編
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10759213/
③ フォクシン編
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10761488/
④ ダンプス編 <==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10838337/
==ポカラ旅行記==
ポカラ再発見 全4作
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10761427/
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[目次]
イントロ
アクセス
フェディへの道
ダンプスへの道
ダンプス散策 - 東側
ダンプス散策 - 西側
つきのいえ
オーストラリアン・キャンプ
下山ルート - 上の集落
下山ルート - 下の集落
ノーダラ
まとめ -
[イントロ]
「ポカラ・ザ・トレック」シリーズも、いよいよ最終回。最後に紹介するのは、アンナプルナ保護区域の南端にあるダンプス村です。ポカラからの所要時間は、30-40分のドライブ + 1.5時間の歩き。近郊というにはやや遠い場所ではありますが、普通に日帰り圏内です。
ダンプスは、一般的にはアンナプルナ・トレッキングのスタートポイントとして知られています。だから道路も近いし眺めもいい。また、ACAPの入域料を支払う必要がないため、アンナプルナの山村をプチ体験するにはもってこいの場所です。そんなダンプスに、私も遅ればせながら行ってきました。いまさらアンナプルナ入門って面でもないですが、物は試し。きっといろんな発見があるはずです。 -
[アクセス]
ダンプスがあるのは、ポカラからベニに向かう幹線道路沿いにある山の上。本数は少ないですが、ポカラ北部のハリ・チョークから村まで直通のバス及び乗合ジープが出ています。
トレッキングで村まで行くのであれば、ベニ方面に向かうバスに乗り、フェディで下車します。所要時間は20-40分。以下のバスがフェディを通過します。
- バグルン・バスパーク発ベニ行き長距離バス (20分に1本?)
- ハリ・チョーク発グワティ・コーラ行きローカルバス (1時間に2-3本、、少し時間がかかる)
- 他の町からベニ方面に向かうバスをバグルン通りで捕まえる。
いずれのバスも、ハリ・チョークに少し停まって客寄せします。運賃は、ローカルバスが40rs(40円)。長距離バスは50rs(50円)が妥当なライン。ただ困ったことに、バグルンBP発のバスは、かなりの確率で、外国人料金(50->100)を請求してきます。
バス乗り場への行き方は、次の旅行記を参照にしてください。
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10764799/ -
[フェディへの道]
それでは出発です。私はバス+トレッキングでダンプスを目指すので、まずはバスを乗り継ぎフェディの集落に向かいます。
フェディへの道は、山と山に挟まれた細長い盆地のような場所を走ります。最初の10分くらいは、右側にアンナプルナ・サウスやマチャプチャレがよく見えるシーニック・ドライブ。 -
フェディが近づくと、正面の山の上にホテルのような建物が見えてきます。
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ハリ・チョークから20分ほど走り、フェディ(1130m)に到着。ここには、山側にホテルが一軒、さらに田んぼ側に簡易食堂や売店が数軒。村というよりは、観光スポット周辺の露店街といった趣です。ダンプスまでジープ道が通った今でも、トレッカー向けの商売はそのまま続いているようです。
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[ダンプスへの道]
==森の道==
ここから先は、ダンプスまでトレッキングしていきます。前半の歩行ルートはこんな感じ。登山道は、北側にあるホテルの少し先から始まり、石段の歩きやすい道が丘の上まで続きます。目安時間は、上の丘まで30分。さらにダンプスまで1時間といったところ。結構時間がかかるので、天気が怪しい場合は、タクシーも視野に入れた方がいいかもしれません。 -
売店で水を購入し、トレッキング・スタート。最初の区間は基本的に森の中の道。周りは樹林に囲まれ、鳥のさえずりの中、気持ちよく登っていきます。
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==野鳥==
ガサガサガサ..。すぐそばの森の中から物音が聞こえてきました。音の方を覗いてみると、落ち葉の上をのそのそと歩くデカイ鳥。背中が灰色だから鳩かな..と観察していると、その正体はハクオウチョウ(白翁鳥)でした。冠羽を逆立てた姿、イケメンですね〜。この鳥は、ダムサイド近くの森でも見かけました。
写真: White-crested Laughingthrush -
こちらは、カラフルなオオゴシキドリ。日本山妙法寺の隣でも...。おっと、私には探鳥に時間を割いている時間などないのです。少しでも早くダンプスに着いて、雲が出る前にヒマラヤを鑑賞しなくては。そのために朝早く出てきんですから。
写真: Great Barbet -
登るにつれ、背後の見晴らしも少しづつ良くなっていきます。写真は、ポカラ方面に続く谷沿いの道路と農地。
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道路から歩くこと15分、「ダンプス・リゾート」に到着です。これが、バスの中から見えていた丘の上のホテル。道路とダンプスの間にある唯一のホテルになります。
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==田園地帯==
ホテルの後は、丘の上に形成された田園地帯を歩きます。ポツポツと点在する民家を経ながら、さらに上へ。
写真: 歩行ルート。黄色い点は左から、ダンプス・リゾート、分岐点、茶屋。白くて太い道は、村のジープ道。 -
私がスタスタ畑の間を歩いていると、農家のおばさんが急いで棒のようなものを取りに行き、無言で私に差し出しました。どうも、これをウォーキング・スティックとして使え、と言いたいようです。売店をやっている訳ではありませんが、こういう副業もありなんですね。値段は忘れました。
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少し歩くと、白い慰霊碑のようなものが出てきて、道は右上へと分岐します(標識あり)。民家の庭先を覗き見するような感じで集落を通過。その後、再び森が立ちはだかり、登りの道が始まります。
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ここからダンプスは見えませんが、この道がダンプスに繋がっているのは確か。黙々と石段の道を進みます。途中で茶屋(写真)が2軒並んだ場所が出てくるので、疲れたらここで休憩しましょう。
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茶屋から12分ほど登り、稜線上のロッジ街(1650m)に到着です。道路からここまで標高差520メートル約40分。一気に登るにはちょうどいい距離でした。道はわかりやすく、ジープ道は一度クロスしただけ。健全なトレッキング道は、今も健在です。
ちなみに、この稜線上のエリアは、あくまでダンプスの一部分。行政的には、ダンプスVDCは周辺の集落を広く含みます。でも、それではわかりにくいので、私が「ダンプス」と言う時は、このロッジが並ぶ稜線エリアを指すことになります。 -
[ダンプス散策 - 東側]
==展望ポイント==
山道を登りきると、村の東端あたりに到着します。都合のいいことに、すぐ近くに見晴らしのいい芝生の高台があり、そこから見た稜線のロッジ街はこんな感じ。いかにも眺望が良さそうなロケーションでしょ。こんなに見通しのいい場所、これまで紹介したビューポイントにはありませんでした。
すごく賑やかな様子を想像していたのですが、朝のダンプスは非常に静かです。聞こえてくる音といえば、鳥のさえずりと、食器洗いなどの村の生活音だけ。これが山村ってもんなんですかね。
写真: 青い点は、上からオーストラリアン・キャンプ、ACAPチェックポイント。 -
また、この高台はヒマラヤのビューポイントとしても秀逸です。北側に見えるは、左にアンナプルナ・サウスとヒウンチュリ。中央にマチャプチャレ。その右にアンナプルナ?。マチャプチャレに至っては、谷筋の奥に山全体が見えるという理想的な構図。もしかすると、マチャプチャレのNo.1ビューポイントは、このダンプスなのかもしれませんね。
残念ながら、この時撮影した写真は70点くらいの出来栄え。まだ7時45分と朝早く、南壁に十分な太陽が当たっていないのと、薄い雲が舞ってるのが原因です。 -
==ロッジ==
眺めを確認した後は、村の散策に出かけます。稜線上を走る道は、ジープ道と歩道の二本。歩道の方が眺めが良さそうなので、そちらを中心に散策していきます。
石の歩道を進むと、まず旅行者向けの簡易レストランやロッジなどが出てきます(写真)。見ての通り、ロッジからの景色も、先ほどの高台に負けず劣らずいい眺め。本やコンピューターを持ち込んで、リゾート気分でのんびりするのも良さそうですね。 -
==学校==
その後、左側に大きな白い建物が出てきます。壁に書かれた文字によると、クオリィア&ウチノ メモリアル・ビル (シュリー アディカピ パヌパクタ小学校)。あれ、UCHINOって日本人の名前?
後で調べてみると、確かに栃木県の進学塾やウチノ税理事務所などが中心となって寄贈された学校でした。名前が長ったらしいので、略してウチノ小学校と呼ぶことにします。 -
学校裏側で、歩道とジープ道が交差。歩道は南側の高くなっている場所を進みます。こちらにも宿が数軒。途中で、ライジング・サン・アカデミーというボロい小学校を通過しました。これまた、日本っぽい名前ですね。
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ダンプスの集落は東西に伸びているので、街のどこからでもヒマラヤの景色が望めます。よく考えてみると、宿が多数あって、街全体からヒマラヤが見える場所はそう多くありません。ここまで紹介してきたサランコット、日本山妙法寺、フォクシンで言えば、最寄りの集落があるのは、すべてヒマラヤの見えない山の南側斜面。部屋から雪山が見えるロッジとなると、妙法寺近くの2軒の宿だけです。それが、「ポカラ近郊」と「アンナプルナ保護区域」の大きな違いでしょうか。
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さらに進むと、興味深い家を一軒見つけました。見た目普通の民家のようですが、壁に描かれた十字架(矢印)を私は見逃しませんでした。そう、この家の家族はクリスチャン。布教に熱心なキリスト教は、伝統的な農村にも、ジワジワと浸透しているようです。
アンナプルナ南部の住民は、基本的にはヒンドゥー教を信仰しています。仏教徒もある程度いますが、村にゴンパがないのを見てわかるとおり、決して主流派ではありません。 -
[ダンプス散策 - 西側]
==学校==
ウチノ小学校から700メートルほど歩き、石の歩道は終わり。再びジープ道に合流します。その後、丘を右から回り込んだ先に出てくるのが、スリ・プリティビ・ナラヤン中学(写真)。どうも、ベルギーの支援を受けた学校のようです。手前にはサッカー場サイズの広場、背後はヒマラヤという、何とも開けたロケーション。この学校を「マチャプチャレ中学」と呼んでも、誰も異論はないでしょう。これ以上マチャプチャレがよく見える学校なんて、どこにもないんですから。 -
いつの間にか、マチャプチャレに陽が強く当たり、見栄えがよくなっていました。この山は、見る角度により見え方が大きく異なります。ポカラやその近郊から見ると、鋭く尖った形。チョムロンやベースキャンプなどのアンナプルナ内院から見ると、ピークが2つに割れたフィッシュテール(魚の尻尾)の形。ダンプスからの眺めはポカラからのものに近いのですが、少し西に移動した分、かろうじて先端の2つのピークが確認できます。
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ブォーーン。空を見上げると、小型プロペラ機が村の上を通過していきました。恐らく、ポカラ->ジョムソン便でしょう。トレッキングする場所が違えば、その上空を飛ぶ乗り物も違います。サランコット(パラグライダー)、日本山妙法寺(ウルトラライト飛行機)、フォクシン(ポカラ空港の離着陸)、そしてここダンプスではムスタンに向かうジョムソン便です。
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==バス乗り場==
学校を過ぎると、売店が並ぶ場所が出てきます。実はここが、バスや乗合ジープ(写真)の出発ポイント。共にジープ道で山を降りた後、ポカラのハリ・チョークまで客を運びます。運行スケジュールですが、バスは一日1本で、ポカラ行きが9時-10時の間に村を出発。帰りは2-3時頃。乗合ジープは、少なくとも午前中に2便。運賃は100rs(100円)程度のはずですが、倍の200rs(200円)請求されても驚きません。なぜだか知りませんが、ダンプスに行く乗り物だけは、外国人料金がまかり通っているのです。感じワル〜っ。 -
この先、道は少し悪くなるものの、ジープ道は続きます。写真は、自転車で通学する小学生。全体的にフラットで縦長のダンプスでは、それなりに自転車も使えます。
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==お土産屋==
売店街から300メートルほど歩くと、手編み製品を並べた長屋風の建物が出てきます。ダンプスには多数のロッジやレストランがありますが、土産物屋を見たのはここが初めて。なぜ、ここにだけに集中しいるのか、全く謎です。私の推測ですが、ダンプスはアンナプルナ・トレッキングの入口として使う人は多くても、出口として使う人は少ないのだと思います。だから、お土産の需要自体もあまり多くないはず。 -
その土産物屋のまわりにも宿が数軒。滞在環境が気になったので、写真右側にあるロッジをチェックしてみました。部屋の内部は、ベットが並ぶだけのごく普通の山小屋(1泊200rs=200円)。ただ、ここにはアンナプルナ内院ルートではあまり見かけないコンセントが部屋についています。
幹線道路に近いダンプスは、ポカラと同じ電力網に接続されています。ですので電気インフラは整っている...と言いたいところですが、これは諸刃の剣。ポカラ同様、計画停電の対象になるため、晩秋から春にかけては長時間の停電に悩まされます。
写真: 矢印が「つきのいえ」 -
[つきのいえ]
確か、このあたりには風の旅行社が経営する「つきのいえ」ロッジがあるはず。探してみたのですが、それらしい建物は見当たりません。土産物屋の人に聞いてみると、そのすぐ裏側、先ほどチェックしたロッジの真横でした。
このロッジは、なぜか宿の看板を掲げておらず、裏入口の石の上に「月の家」と彫刻してあるだけです(写真)。これじゃ、ウォークインの客などいませんよね。外からだとホテルかどうかさえわかんないんだから。 -
勝手にお邪魔して中を見学します。5つほどある部屋は、すべてヒマラヤ・ビュー。ドアの前に安楽椅子などもあり、ベーシックな造りながらも、ハイエンド宿の雰囲気が漂います。
URL - http://www.kaze-travel.co.jp/nepal_kiji015.html -
部屋からの眺めは、こんな感じで文句なし。ただ、最初にチェックした高台の方が、谷筋沿いにあるため「眺めの完成度」は一枚上です。
私が中庭をうろちょろしていると、ネパール人の管理人が出てきて挨拶してくれました。「いい景色ですね」と返事して、紅茶を注文。部屋の前に座るわけにもいかないので、敷地の端に椅子(矢印)を置いてもらい、しばし一人ティータイムを楽しみました。 -
==五右衛門風呂==
月の家は、宿の看板を掲げないことからもわかる通り、日本人による日本人のための隠れ家的ロッジ。随所にそのおもてなし精神が発揮されています。わかりやすいところでは、ダイニングにある薪ストーブとそれを囲む座布団。さらには、こだわりの五右衛門風呂(写真)。ガスシャワーも併設されていますが、この五右衛門風呂だけは薪で沸かしています。 -
客室から離れた中庭の端にあるため、風呂場からの眺めもヒマラヤ・ビュー。ただ..目隠しの竹フェンスがちょっと邪魔かな。
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最後、お礼を言って紅茶の代金を払おうとすると、管理人の男性は「そんなの要りませんよ」と受け取りを拒否します。冷やかしの私に、そこまでおもてなし精神を発揮しなくても...。無理やりお金を渡して退散しました。
ダンプスには数多くのロッジがありますが、月の家のような個性的な宿には、ぜひこれからも生き残っていってほしいものです。 -
==チェックポイント==
月の家の後、さらに800メートルほど歩くと、アンナプルナ保護区域のチェックポイント(写真)が出てきます。つまり、ここから先は有料。入域料は、事前取得で2000rs(2000円)。その場取得で4000rs(4000円)。さらには、TIMSという登山者登録カード($10/$20)も必要です。トータルで、少なくとも3000円の出費。
細かい話をすれば、ダンプスもアンナプルナ保護区域の中に位置しています。ただ、チェックポイントが村の外にあるため、お目こぼしにあっているというだけ。 -
この日も、ダンプスを出発してアンナプルナ・トレッキングに出かけるグループを何組か見かけました。この道は、ダウラリ、トルカと経て、ランドルック、チョムロンへと続きます。そのまま歩き続ければ、プーンヒルやアンナプルナ・ベースキャンプだって行けちゃいます。このあたりが、ダンプスが他の近郊ビューポイントと大きく違うところです。
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[オーストラリアン・キャンプ]
さて、見るもの全部見たし、そろそろ帰りますか。タイミングが合えばバスやジープも使えるのですが、やはり私は歩くのが好き。来た道と違うルートはないかと探してみると、あっさり見つかりました。
場所は、マチャプチャレ中学から見て南側にある集落。バス乗り場のすぐ近くです。写真の石段を登っていくと、木のないチョータラを中心とした広場のような場所が出てきます(次の写真)。そこの南側から山を下る道がスタートしています。 -
また、この場所からは、稜線沿いにオーストラリアン・キャンプ(2060m)と呼ばれる見晴らしポイントへの道も伸びています。この日は台湾人トレッカーが多数登っていました。ここからオーストラリアン・キャンプへは、恐らく2時間くらい。そこにはロッジもあり、アンナプルナ山系に加え、ダウラギリやフェワ湖まで見えるとのことです。
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これが、ネットから拾ったオーストラリアン・キャンプの景色。確かに、ダンプスからの眺めと比べ、高さが違います。
ところで、ここからオーストラリアン・キャンプに続く道には、ACAPのチェックポイントがないような気がします。もしそうだとすると、ダンプスの楽しみ方が一気に広がります。さらなる絶景へ無料でトレッキングできるわけですから。
時刻はまだ9時半。行くべきかどうか迷いましたが、雲がかなり増えてきたので、やめることにしました。 -
[下山ルート - 上の集落]
それでは、下山開始。広場を出た後は、普通に整備された石段の道が、下の村に向かって伸びています。
写真: 5色のタルチョを掲げるチベット仏教信者の家。 -
==伝統民家==
このルートは、登ってきたルート同様、農村の集落を通過します。こちらも、ほとんどの建物が石壁+スレート瓦の伝統建築で、とてもフォトジェニック。 -
この民家は、古くなったスレート瓦を交換中。やっぱ、レンガやトタンじゃなくて石ですよね、石!
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集落の中心に入ると、村の子供らに囲まれました。チョコレート!、ビスケット!、ペン! 覚えたての英単語を使っての、何かくれアピールです。どれもないと答えると、ぼそっと「パニ..」。水ならどうぞどうぞ! 後は帰るだけですから。写真はペットボトルをゲットして喜ぶ子供。
おかしいな〜。こんなローカル専用の道を歩く観光客なんているんですかね。どうも、少人数のトレッカーグループが、ガイドに連れられて、このコースを通ることもあるようです。だから、子供らも微妙に外国人慣れしていた訳です。 -
==農作業==
さて、ここで問題です。これら木の棒は水牛を使って田畑を耕す道具なのですが、どうやって使うのでしょう。一見、下のやつが土を耕しそうですが、ちょっと違います。
下の方は、二頭の水牛の頭を固定するのに使います。それに、上の方の棒を紐でくくりつけて、土を耕します。写真のT字型ものは土を均すためのもので、人が上に乗ります。この他、土を深く耕すクワ状の棒もあります。 -
この装備は、牛にとってはいい迷惑。一旦装着されると自由に動けませんからね。お互い好きな方向に動きたがるため、草を食べるのにも二人三脚状態。首裏の毛が抜けてる様子を見ると、かなり酷使されてるんでしょうね。
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最初の集落を抜けた後、簡易食堂が一軒。試しに値段をチェックしてみると、ブラックティーが20rs(20円)、瓶コーラが35rs(35円)と、珍しく地元価格で提供されていました。手前の空き地には、祭りの時に使われた竹のブランコが、そのまま残されていますね。この後、ヒンドゥーの廟を過ぎて、さらに下の集落へと進みます。
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[下山ルート - 下の集落]
==学校==
全体の半分ほど下ったあたりで、広い校庭を持つ学校が出てきます。校門に書かれた情報によると、学校の名は「スリ・ウダヤ中学」。この建物が浜松市入野中学と猪口夫妻(玉川大学?)により寄贈されたことが書かれています。ここにも、また日本人が! -
校庭内をブラブラしていると、校長先生が私を職員室へと案内してくれました。そこで入野中学のペナント(写真)や関係者の集合写真などを発見。確かに日本との交流があるようです。校長によると、建物はできたものの継続的な支援があるわけではないので、学校運営はかなり苦しいとか。そうため息をつくのですが、私にはどうすることもできません。
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==教会==
学校の後、民家が並ぶジープ道と交差。伝統家屋が並ぶ端に一軒だけモダンな建物があるので行ってみると、そこは建設中の新しい教会でした。キリスト教の布教力恐るべし!
たまたまポカラの牧師が工事をチェックしに来ていたので、話を伺いました。現在、この村にはプロテスタントの信者が30人。最初、難病の娘を持つ親が、教会の教えに従い神に祈り続けたところ、本当に病気が治ってしまったのがすべての始まり。その家族が村の信者第一号で、この教会を建設しているのも信仰深いその家族です。 -
もちろん、こんな田舎なので常駐の牧師さんはいません。この教会が完成した時には、ポカラの牧師が時々ミサに訪れることになるでしょう。
キリスト教の基本戦略は、現地コミュニティに溶け込むこと。その牧師は、いくつもの住民参加型プランを私に明かしてくれました。
1. 夜間に学生の無料補習授業。老人に識字教室。
2. クラブ活動やクリスマスパーティ
3. 作物の種を無料で配る。子ヤギを無償で貸し出して、成長したら利益を折半。
などと、明るく現実的なものばかり。ただ祈っているだけの他の宗教と違い、実際に実利があるわけですから、人によってはキリスト教になびいちゃいますよね。
写真: 教会内部。椅子がない代わりにカーペットを敷きます。 -
==村の共同作業==
再び下山ルートに戻ると、すぐ左側の崖下で大勢の村人が作業しているのを見かけました。近くに行ってみると、どうもこれは切り出した石を積んで堤防か何かを作っているようです。 -
その現場に石を運ぶのは女性らの役目。どうやら、この山では建築材としての石は簡単に手に入るようです。
ちなみにダンプスの女性の特徴ですが、全体的にスレンダーで小顔。色黒の肌に、鼻ピアスと耳ピアス。ヒンドゥー教信者は、おでこに赤いティカもつけています。服装は明るい色づかいが多く、フォクシンで見たものとかなり似ています。 -
==歩行ルート==
来た道に戻り、下山を続けます。下の集落を過ぎた後、斜面の農地を通過。広い草原の淵を歩いて、ジープ道に合流です。このジープ道は、中腹の村を経て稜線上のダンプスまで続いています。直通バスやジープが通るのもこの道。このジープ道を200メートルほど歩いた先が、ポカラとベニを結ぶ幹線道路になります。
写真は、帰りに通ったルート。黄色い点は、左から、下り始めの広場、教会、スリ・ウダヤ中学、ウチノ小学校(上左)、見晴らしのいい高台(上右)、幹線道路(下)。目安時間は1時間弱。 -
ここはグワティ・コーラ(グワティ川)と呼ばれる場所で、すぐ隣に川が流れています。ハリ・チョーク発のローカルバスは、ここが終点。位置的には、フェディから、だいたい1.3キロほど西になります。
ポカラに戻る場合、ここでポカラ方面に向かう長距離バスを拾うか、出発待ちしているローカルバスに乗りこみます。いずれも本数が多いので、何の問題もないでしょう。 -
[ノーダラ]
==アクセス==
また、逆にベニ方面のバスに乗り、隣の山の上にあるノーダラ(1430m)に行くのも悪くないアイデアです。10分15-20rm(15-20円)。なぜなら、そこから見るヒマラヤは、一風変わった眺めだからです。この時はポカラに戻りましたが、後日、ノーダラに立ち寄る機会がありました。
写真: 黄色い点がノーダラの集落。S時カーブの続く坂道は、地元ライダー達に人気です。ちなみに、ノーダラから稜線上のジープ道を東(写真左)に進むと、サランコットに至ります。 -
適当なところでバスを降り、歩いて眺めのいい場所を探します。稜線上の道路を西に500メートルほど歩いたところで、NCELLの看板を掲げた文房具屋さん(写真)が出てきます。とりあえず、この辺りからの眺望が良さそう。
このノーダラのある稜線と、ダンプスのある稜線は2キロほど離れています。高さはダンプスの方が少し上。ここからの眺めですが、本来ならダンプスの稜線が邪魔になるところですが、それを逆に利用して面白い写真を撮ることもできます。実例をお見せしましょう。 -
==眺め==
まずはこの写真。村を前景にしたマチャプチャレ。意図的にズームを使っているため、実際にはこれほど山が大きく見えるわけではありません。
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これは、ヒウンチュリを背景にしたウチノ小学校。遠方から見るとこんな眺めになるとは、ウチノさんもびっくりでしょう。
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これが全体の眺め。青い線が今日歩いたルートになります。黄色い点は、左からスリ・ウダヤ中学、芝生の高台、ダンプス・リゾート。これらすべてのエリアが、広い意味での「ダンプス」。今回、目いっぱい楽しませてもらいました。
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[まとめ]
う〜ん、やるじゃないダンプス! 正直言えば、私はダンプスを過小評価していました。アンナプルナの大半をすでに制覇している私としては、エリアの入口にあるダンプスなぞ、わざわざ行く価値はないと考えていたからです。
でも実際には、ダンプスの山岳リゾートしての完成度は非常に高い。アクセスの良さ、整備されたトレッキング道。眺めの良さ、ロッジの充実度、街歩きの楽しさ..。繰り返しになりますが、アンナプルナの入域料は不要です。もし一泊を考えているのなら、サランコットや妙法寺よりも、ダンプスがおすすめ。ハードなトレッキングをすることなく、プチ山小屋体験できるでしょう。そして、その体験を通じて、さらなるトレッキング欲が沸き上がってくるはずです。
入門編を終えた後、どこに進むかはあなた次第。村で見かけたトレッカー達に触発され、翌日ポカラで許可証のカウンターに並んでたとしても、私は驚きません。なぜなら、それは誰もが通ってきた道だから。今度の春休み、みなさんもダンプスでアンナプルナ入門してみませんか? はじめの一歩は、いつも美しい景色から始まります。
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以上で、「ポカラ・ザ・トレック」シリーズは終了です。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。 -
[リンク集]
==ポカラ旅行記一覧==
ポカラ再発見 全4作
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10761427/
==ネパール・トレッキング==
最速のアンナプルナ 全8作 (2009年秋)
http://4travel.jp/travelogue/10444950
エベレスト・トレッキングのすすめ 全10作 (2011年春)
http://4travel.jp/travelogue/10581163
ポカラ・ザ・トレック 全4作 (2013年春)
http://4travel.jp/travelogue/10759203
トレッキング装備購入ガイド 全2作
http://4travel.jp/travelogue/10571988
==ネパール旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&level1=1&level2=771&level3=&sort=when
==海外旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&sort=when&view_mode=list
==国内旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/?dmos=dm&sort=when&view_mode=list
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