2013/09/13 - 2013/09/14
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たびたびさん
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天領の歴史を持つ日田と炭鉱で繁栄した筑豊は、全く違う風土を持ちながらも、地理的にはかなり近い関係です。
江戸時代、長崎街道は、筑豊の中心である飯塚宿を通っていて、これに日田から大宰府、博多へと続く日田街道も同じ筑前六宿の一つ、山家宿で交差します。(ちなみに、山家宿のひとつ西が内野宿、その先が飯塚宿ですが、現在の行政区では内野宿も飯塚市です)つまり、九州における天領を支配するための西国郡代が置かれた日田には、長崎で起こったことが逐次報告されたとのことですが、そのルートは筑豊を経由したものだったんですね。
こうしたことも含めて日田は交通の要衝と言われてきたのですが、実は今のJRでも、大分と久留米を結ぶ久大線がメインで、これに加えて日田彦山線が田川経由で小倉方面と結ぶのがあるくらい。九州の南に向かうには、久留米から熊本に向かうか、大分から南に向かうしかなくて、結局、筑豊の奥といった位置づけが実態ではないかと思います。
さて、今回の旅は、福岡空港から日田に入って、日田と日田周辺で、懐かしい窯の窯元巡りも合わせて前半の二日。後半二日は、飯塚・直方・田川の炭鉱の町を周遊します。旅の始まりは、窯元巡りからです。
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福岡空港から、空港バスで日田に入ります。
晩飯を食べなければ。。田舎は、夜が早いのですが。うどん屋さんを見つけました。飛鳥うどんです。日田市の南部、隈町の一角にあって、小松軒の隣りです。けっこう人気のうどん屋さんのようで、夜暗い中で人が出入りしています。 -
日田にはうどん屋さんがたくさんあるんですが、日田のうどんがこういうものなのか、ここのうどんが特別なのか、どっちなのかよく分かりませんが、これは新ジャンル。細くて柔らかいうどんなのに、そこそこコシもある。いりこ味の出汁もいいし、体に優しい感じのうどんです。
これで宿に入って明日に備えます。ちなみに、宿は日田ビジネスホテルパークインサトー。泊まるだけということで一番安いここを選んだのですが、本当に安いと言うだけ。空調もうるさいし、疲れが取れない感じで一晩を過ごしました。かなり割り切って利用できる人にお勧めでしょう。 -
早朝は、亀山公園から散歩です。
ここは、日田市街の南側。全体は、三隈川の中に浮かぶようにこんもりと木の繁った丘陵です。公園の名は、亀のような形をした山から。日田市街の北にある月隈山が「豆田の城山」とも呼ばれるのに対し、こちらは「隈の城山」ともいうようです。 -
渡ったところです。この奥から頂に登ってみます。
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亀山公園の頂上にある神社が日隈神社。
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全くの山の中なのですが、参道や鳥居もそれなりに整備されていまして、傍らには日隈城跡の碑も。
この日隈城は、豊臣政権下の直轄地となった際に築かれた平山城。宮城豊盛によって築かれ、その後、関ヶ原の戦いで功のあった毛利高政が改修したとされます。ただし、佐伯の支城であったこの城は、一国一城令の発布後に廃城となりました。 -
義民 穴井六郎右衛門之碑は、亀山公園の中腹。あまりにも巨大な石碑なので、気になった次第です。
徳川吉宗の享保の改革の時代、日田代官岡田俊惟の悪政に立ち上がった馬原騒動の指導者が穴井六郎右衛門。日田郡馬原村の庄屋で、江戸での直訴に及びます。願書は何んとか受理され目的は果たしますが、帰国すると代官に処刑される結末となりました。碑は、その功績を讃えるものです。 -
三隈川まで下りてきました。
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イチオシ
日本で一番美しいダムと言われる白水堰堤みたいですね。さすが、大分です。
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堰堤を渡ると三隈川公園。川を眺めるかっぱ像です。
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三隈川は、日田市街の南側を流れる一級河川。筑後川本流の上流部にあたり、ゆったりと流れています。日田温泉街から日隈公園の方に渡って、対岸を眺めながら散策しましたが、薄く朝もやがかかった中に、水面に対岸の景色が映って、日田の豊かな自然環境を実感しました。この散歩道はぜひお勧めです。
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亀山公園 沈み橋まで帰ってきました。この橋は、日田市街隈町と亀山公園を結ぶ木製の平らな橋。川が増水した際には、この橋を越えて水が流れるという意味で沈み橋です。三隈川を望んで、日田市街の中でも特徴的な景観となっています。高知などには、石造りの堅牢な沈下橋というのもあるのですが、こちらはもっとぬくもりがある感じです。
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ここは、八坂神社。日田祇園の曳山行事で有名な神社ですが、
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この境内にある、この「むらくもの松」が目当てでした。地を這うように伸ばした幹から、くねくね曲がった枝が空に向かって何本も出ています。力強さを感じる枝ぶりですね。こんな松は初めて見ました。京都の遊龍の松のようでもありますが、遊龍の松だと幹から出た枝はここまで伸びていませんし。。とてもインパクトがあると思います。
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向かいは、専念寺。ここは、詩・書・画に優れていたことから「三絶僧」と呼ばれた五岳上人が6代目住職を務めた寺だそうです。
ちなみに、上人の作品は、二万点にも及ぶと言われる膨大なもの。先ごろ、五岳作の「西郷隆盛肖像画」が発見され、話題になったそうです。境内には五岳上人像のある「五岳の庭」があるそうでしたが、こちらはちょっとよく分かりませんでした。 -
日田の観光は、市街の北側の豆田町が人気で、この辺り、南側の隈町界隈への観光客は比較的少ないかもしれません。ただ、日田は筑後川の水運にも支えられた町。いろんな情報は、その水運でもたらされることも多かったようで、いろんな文化は、まず隈町に入って豆田の方に広がって行ったという話を聞きました。写真は、風情のある金物屋さんです。いい感じですよね。
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原次郎左衛門の味噌醤油蔵は、隈町のシンボル的な存在。
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ここは、現役の味噌醤油蔵で販売が本業なのですが、二階に九州一円の玩具を集めた展示室。
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そして、これがけっこう見応えがありました。
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博多人形に手毬、小さな土鈴のコレクションなども楽しいです。
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松本製菓は、原次郎左衛門の味噌醤油蔵の並び。まだ朝の8時前だったのですが、もうお店の玄関が開いていて、寄ってみました。
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このマルボーロが看板商品だということです。「でも、マルボーロは佐賀のお菓子なんですけどねえ」と言ったら、「うちのはもっと柔らかくておいしいよ」と言われて、自信たっぷり。それではと、それをいただきましたがふくら、しっとりいい感じ。ただ、マルボーロは小麦に卵・バターといった基本的な材料のお菓子。元々、どこでもそんなに、違いはないかもしれません。でも、うまいことはうまいです。そのとおりです。
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さて、ここからはレンタカーを借りて、焼き物巡りに出発です。
その途中の夜明の鐘です。いかにも語呂がいいのですが、これはJR夜明駅の脇にある鐘。JR夜明駅は、日田彦山線と久大本線の分岐駅ですが、とっても小さな駅。たぶん、周囲にあまりにも何もないので、これを作ったのではないかと思います。写真で見てはいたのですが、実物はかなり小さい。見た時、びっくりしてしまいました。なお、この鐘は自由に叩けます。 -
もう一つ寄ったのは、清溪文庫。
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ここは、大正期から昭和期にわたって日本銀行総裁および大蔵大臣を歴任した井上準之助の実家です。昭和5年、浜口首相に協力し金解禁にこぎつけるなど、歴史的な功績を残しました。
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展示された遺品の中には、昭和7年の選挙運動中、血盟団員に暗殺された時にきていたコートもあって、しっかり銃弾の跡が残っていました。
ただ、こうした時代はそう昔ではない。現在にもつながっていることを認識しないといけないと思います。 -
途中に竹田地区の棚田という看板。せっかくだから、ここも寄ってみますかあ。
棚田親水公園は、竹田地区の棚田の手前。大きな看板が出ていました。始めは、ホタル館「ほたるっこ」。「ほたるを育てる会」が蛍の生息環境を守っている小川の辺りをうろうろ。ちょっと地味な施設だなあと思ったら、その上流に行ってびっくり。宝珠山川の水を引き込んだ河川プール「こいのぼりプール」に、宝珠山川まで、階段を下りてそのままじゃぶじゃぶ水遊びしている人も。山の中なのに、スカッと開けた施設です。 -
そして、ここもついつい立ち寄ってしまった岩屋公園。国道52号線からわき道を入るんですが、こんなところ車が上がれるのかなあというような急な坂道です。公園は、岩屋神社周辺の一帯で、ここも耶馬日田英彦山国定公園内。天然記念物の奇岩群があって、岩屋神社の権現岩も正面に見えるいい眺めです。
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公園の中心にあるのが、岩屋神社。欽明天皇の8年(547年)に空から降ってきたと伝えられる「宝珠石」を祀った神社だそうです。
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英彦山開いた北魏からの渡来僧、善正が翌年の532年には修験者の重要な修行場としてここを既に開いていたようですが、修験者の神社らしく、いきなり険しい参道です。
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イチオシ
本殿は、ひょっこり空に飛び出した大きな岩の真下。
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この迫力どうでしょう。群馬の榛名神社っぽいですね。
国指定重要文化財です。 -
やっと、竹地区の棚田。東峰村宝珠山の山間にあって、県道52号を行くのですが、目印になるものがないので、何度も聞きながら行きました。
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古くは室町時代に形成されたという約400枚の棚田と24戸の集落は、農林水産省認定「日本棚田百選」や「美しい日本の歴史的風土」にも選ばれています。高い場所に展望台があって、地区を一望できました。
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ちょっと、寄り道が過ぎたかもしれません。やっと小石原に到着です。
小石原焼窯元鶴見窯は、小石原の中心部に向かう途中の国道211号線沿い。高取焼宗家が目当てだったのですが、入り口にあったので、ついでに寄ってみることにしました。 -
若い人がやっている窯のようで、商品は洗練された現代っぽいデザイン。形が歪んで素人の作品と区別がつかないような作品を作っている窯もあるのですが、やっぱりそれはダメ。
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ここのようにプロらしいきちんとした形が基本でしょう。好感を持ちました。
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さて、ここが、宗家。
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そもそも、高取焼は、秀吉の朝鮮出兵の際に、朝鮮から連れてこられた陶工、高取八山を祖とする焼き物。その後、小堀遠州の指導を受け、きれいさびと言われる遠州好みの美を表現する遠州七窯の筆頭となった由緒ある歴史を持っています。そして、高取焼宗家は、その初代「八山」の名を一子相伝により、代々受け継いだ窯元なのです。
ただ、その道は平たんではなく、筑前黒田藩の御用窯として続いていたものの、9代目清次郎の時、廃藩置県により閉窯。10代目富基は、窯の再興の志半ばにして病に倒れ、娘11代目静山が秘伝書を紐解いて再興を果たします。
部屋の奥には、代々伝わる高取焼の名品がガラスケースに展示され、歴史の重みを感じました。 -
イチオシ
これは、展示されている茶入れ。
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釉のきれいさが
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見せ所です。
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こちらは、食器。掛け分けの見事さに、
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割山椒の長石釉もお決まりのデザインでしょう。なるほど。
これを見て、やっと小石原に来た気分が出てきました。 -
先に進んでこの「道の駅小石原」の辺りが町の中心です。小石原の窯元が多く集まる地区が始まります。
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ここには、物産館「陶の里館」があって、小石原焼の窯元50軒が出店しています。ここで品定めするのもよしですが、ここで窯元の地図をいただいたり、ちょっとした窯元情報やグルメ情報も入手。観光案内所としての利用も可能です。
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そして、観光客なら必ず立ち寄るのが小石原焼伝統産業会館。約350年の歴史を持ち、陶磁器では日本で最初の伝統的工芸品に指定されたた小石原焼の歴史と技法を解説しています。展示室はいくつかあって、現在47軒の窯元の代表作もあります。
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ただし、小鹿田焼や上野焼に比べても、小石原焼は多種多様。ジャンルが多いので、自分の目線を持っていないとちょっと混乱するかもしれません。
今回、私は小石原焼でも高取焼を中心に回るつもり。小石原焼でも、数軒ある高取焼はちょっと別扱いされていて、地元では高取焼は高取焼。高取焼以外の小石原焼を小石原焼と言って区別しています。 -
さて、お昼は惣助へ。小石原の窯元が集まる集落の端っこ。行者杉の近くです。
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イチオシ
地元の郷土料理が食べられるお店ということで訪ねたのですが、この料理は繊細で、味わい深い。こんな田舎で普通の値段なのに、なんだか高級料亭で食べているような感覚になりました。すばらしい。
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うどんやそばではなくて、ここでは定食が絶対にお勧めですよ〜。
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向かいにあったマルイ窯 泉利美窯元です。大きな構えのお店です。
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商品は、技法は小石原から小鹿田焼に伝えられたので変な表現ではあるのですが、小鹿田焼のような飛びカンナの見事な大皿がずらり。とても勢いを感じる窯元なので、こういう店では大物を買いたくなるんですよね。
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このなまこ釉も見事。ちょっと買いたくなりました。
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これはそばにある行者杉です。
この辺りは、日本三大修験の霊場である英彦山権現を中心とした山岳信仰が盛んだった地域。修験者は小石原でミソギをし、行者堂付近で杉の穂を山に直接さす献木植栽をしたのだそうで、それがこの行者杉の始まり。樹齢は2百〜5百年、4.8ヘクタールに約500本が残っているそうです。 -
中でも「大王杉」は樹齢500年。高さ50mの巨木です。
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落ち着いたところで、高取八仙窯へ。
この窯は、小石原にある高取焼では一番安定した窯元でしょう。 -
宗家からどこかで分かれたということでしたが、こちらは八仙。時期によっては、宗家の八山を助けたとのことでした。
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イチオシ
作品は、掛け分け茶碗など典型的な高取焼。
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ただ、ここの窯の作品も少し見慣れてしまったんでしょうか。高取焼を目当てに来ていたはずなのですが、以前のようなドキドキ感が薄れたような感じです。
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それとも、私は、今回、食器を中心に考え過ぎていて、茶道具中心の品ぞろえとも合わなかったのかもしれません。
もっと、回る必要があるようです。先に進みましょう。 -
高取焼 鬼丸雪山窯も、小石原にあって高取焼を扱う数軒の窯元の一つ。以前、還元焼きの青い皿を買っていて、今もお気に入りなのですが、その後の窯の様子を見に立ち寄りました。
その青い皿は土色が黒いので、高取焼としては変だなあと思っていたのですが、これは還元焼きだから土は同じでもそのようになることを今回確認。もう一つは、商品の中には高取焼にしては厚くて重さのあるものがあることも不思議だったのですが、器の安定性を考えるとある程度重さが必要で、使い手のニーズを考えたもので好評なのだとか。そうしたちょっとしたことが商品のバリエーションを広げていくんでしょう。 -
縁が出来た窯だけにいろいろ話を聞いて安心しました。
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近くをぶらぶらと歩いて、これは太田実窯。国道から一本入った筋です。
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小さな店構えですが、入ると小鹿田焼のような商品がずらり。もちろん、小石原焼が小鹿田焼のルーツなのでおかしくはないのですが、これではちょっと新鮮さがないかなあと思ってしまいました。
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向かいの太田隆光窯です。
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何気なく入っただけなのですが、濃い青の釉の美しさが見事。タラベラ市陶芸ビエンナーレでグランプリを受賞したという盾に、芸術的な造形作品もいくつか展示されていました。この躍動感や色彩の鮮やかさは小石原焼の枠を超えて自由な作風です。こういう窯元に出会うのが窯元巡りの醍醐味。お蔭ですっかり気分がよくなりました。健闘を祈ります。
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高取焼を求めて、今度は永末窯へ移動です。ここは、小石原の窯元が集まる地区の一番端っこ。
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ただ、あれれ。高取焼の窯元と聞いたのですが、それは間違いだったようです。 化粧土に飛びカンナや呉須絵、ひしゃく掛け釉など。小石原焼の手法を基本に自由に遊んだ作品。得意な分野がはっきりしませんでしたが、その分、大らかな雰囲気が伝わってきました。まあ、これも縁。無駄ではなかったでしょう。
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では、国道沿いに適当に回りましょう。翁明窯元は、店構えがきれいなので立ち寄りました。きれいな店内で、カップルが結婚式の記念品にとやってきています。がんばってますね。
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イチオシ
基本は小石原焼のようですが、高取焼も少しあって、高取焼の職人さんがいた時期に焼いたものだとか。つまり、一定水準以上の窯は何でもできるので、ここもそういう窯かなあと思った次第。で、目についたのは、化粧土にりっぱな花の呉須絵を描いた大皿。陶器は歳を重ねると色が変わるので、細かな絵を描くのはあまり馴染まないと思うのですが、試しに描いてみたのだとか。活き活きとした絵なので、これなら磁器に描いた方がいいのではないかと思いました。いかがでしょうか。
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そして、この小石原焼ちがいわ窯は、日本工芸会正会員の陶芸家福島善三の窯。
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イチオシ
まだ木が香ってくるような店内は、料亭の一間のようです。そこに、薄い青地にピンクの釉がワンポイントといったこの窯独特の美を表現した作品が並びます。いわゆる作家さんの窯ですね。もう十年以上前から変わらぬ作風なので、これが一定の到達点だという証でしょう。
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元永陶苑は、小石原にある高取焼を扱う窯元の一つ。どこかの窯で職人さんをやっていて、独立した窯のようです。当然、高取焼のことに詳しくて、しばし雑談。小石原の高取焼にドキドキ感がイマイチだったことを話したら、古い高取焼を見せてくれたり、高取焼のルーツである直方の永満寺を教えてもらったり、大変お世話になりました。高取焼は、全国でも窯元は20軒ほど。本来は、完全な分業制で成り立つ焼き物だったという話にはドキッとしました。陶器にしては薄いし、高い温度でゆがみが出やすい。ほどほどではできない繊細な焼き物であることが困難な要因になっているのかもしれません。
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蔵人窯は、小石原の窯元が集まる中心ぶ部からはだいぶ坂を下った外れです。
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この辺りにもポツポツと数軒の窯元があって、聞くと、この地区の窯元が共同で販売所を作っていて、それが「陶ギャラリー鼓」。なるほど、一軒ずつ回るよりその方が効率的です。
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ところで、ここの作品は、素朴な感じ。余計な力が入っていないところがウリでしょう。
これで、小石原はおしまい。小鹿田焼きの方に移動しましょう。 -
小石原からは、何か、とんでもない峠道を越えてやって来ましたが、何んとか小鹿田焼に到着です。
小鹿田焼陶芸館は、小鹿田焼の里の一番入口にある小鹿田焼の総合資料館。 -
小鹿田焼の歴史や飛びカンナや刷毛目、櫛描きなど道具を用いて刻まれた幾何学的紋様の製法解説のほか、
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代表的な美しい作品も並んでいて、美術館として見ても十分鑑賞に堪える内容だと思います。
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イチオシ
この自由な作風。たまりませんねえ。
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ここから、歩いて窯元を回ります。
坂本義孝窯は、小鹿田焼の里に10軒ある窯元の中では、一番入口にあります。 -
坂本姓の窯元は、4軒あって、ここで窯が作られる際、土地を提供した家なのだそうです。
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飛びカンナや刷毛目、櫛目はどこも同じなんですが、やっぱり少しずつ特徴が出る。ここは白い化粧土の美しさを大事にしているように思いました。
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イチオシ
小鹿田の里は、国の重要無形文化財に指定された小鹿田焼の窯元10軒が集まる山間の里。陶器の原料となる土を水車で動かす杵で挽く光景があちこちで見られ、「小鹿田焼の里」の名称で重要文化的景観としても選定されています。
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2軒目は坂本正美窯。坂本姓の4軒の窯元の一つです。敷地に入ると奥に作業所で、展示場は入口すぐ。
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これだと気軽に品定めができます。小さな作品は、数がたくさん揃えてあって、同じ種類のもので数が必要なときには、ありがたいのではないかと思いました。飛びカンナの小さな壺がかわいらしかったです。
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3軒目は黒木史人窯。ちなみに、小石原から陶工を呼ぶための資金を出したという黒木姓の窯元は3軒あります。
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たまたまかもしれませんが、商品はまばら。一方で、デザインや形に少しこだわったものも置いてあって、上品な灰色っぽい緑の釉に特徴を感じました。
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4軒目の黒木隆窯は、小鹿田焼の里のちょうど真ん中あたり。10軒の窯元はお互いに協力して技術の伝承をしているのですが、やはりそれぞれ特徴が出ます。実は、私は、小鹿田焼ではこの窯が一番お気に入り。大きな壺と皿は、こちらで買いました。
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褐色の飴釉が効果的に使われて、全体に締まった印象になるのがいいんですね。ただ、最近は、大物は注文生産なのだとか。確かに、在庫の商品には大物はほとんどありませんでした。ちょっとさみしいです。
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5軒目は黒木富雄窯。ちょっと高台にあります。作業場を通った奥が展示場です。
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入ってみると、皿も壺もけっこう大物が置いてあります。刷毛目の文様もくっきりしているし、緑や黄色の釉も鮮明な色合い。全体に小鹿田焼の特徴をより強調している作風を感じました。
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6軒目は柳瀬晴夫窯。柳瀬の姓の窯元は2軒ありますが、これは小石原から移ってきて技術を伝えた家です。
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そういう意味だと、小石原から伝えた当初の技術を大事にする気持ちが強いのかもしれません。展示されていた商品は大きいのや小さいのや雑多な感じもしましたが、それぞれに、基本はこうあるべきといった思いがあるような印象を受けました。ただ、どの辺りに目線を持って行っていいのかは、絞りきれない面があるかもしれません。
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7軒目は坂本工窯。しかし、ここには、なぜか看板がない。小鹿田焼陶芸館でもらった地図で、ここが坂本工窯と分かりました。それに、展示場もはっきりしなくて、作業部屋のような棚に雑然と食器が置いてあるだけ。どうしたもんでしょうか。
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ただ、小鹿田焼のホームページでは有望な窯元と紹介されていて、こういう窯では本当はなんとかいろいろ話が聞きたいところでした。確かに、さらの掛け釉とか、独創的な感じがちらりと見えています。
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8軒目は柳瀬朝夫窯。小石原から移ってきた陶工の家の一つです。
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イチオシ
お店に入ったら、ぎっしりと商品が並べられて、ここは窯元ではなくて販売店かと思ったほどでした。白い釉と青い釉を重ねた色使いが特徴的でしょうか。この美しさに目が行けば、ちょっとこの色調でいろいろ食器とか揃えてみたい気持ちになるかもしれません。
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9軒目は坂本一雄窯。小鹿田焼の里だと坂を下って、比較的奥の方。
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ただ、道からは少し上がっていった高台です。
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ちょうど、練った土を炭をおこしたかまどの上で乾かしているところで、
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元気そうな若い人が黙々と作業をしていました。
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奥の展示場は、大物がずらり。刷毛目・櫛目の文様が大胆で、力強い印象の作品です。
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最後の小袋定雄窯は、小鹿田焼の里の一番奥。坂をだらだら下って行った先です。
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ちなみに、小鹿田焼の里にあって、小袋の姓の窯元はここ1軒。陶工を呼ぶための資金を出した黒木家から分家した家のようです。作業場では、黙々とロクロを回すご主人の姿がありましたが、さっそく展示場の方へ。商品の数はけっこう多くて、大きなものもちらほら。ただ、最近の作品と古い作品が混じっているからかもしれませんが、ちょっと統一感がないような。ただ、「こぶくろ窯」の看板がかわいい文字で書いてあったのに、商品の印象は重厚系だったので、そのギャップで混乱してしまったのかもしれません。
以上で、小鹿田焼は終了です。もう日も暮れかかっていて、帰りを急ぎましょう。 -
ただ、帰りが順調だったので、天ケ瀬温泉にも足を延ばすことにしました。この玖珠川沿いに開けた温泉街の景色は素晴らしいですね。やっぱり来て正解だったでしょう。
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ところで、天ヶ瀬温泉には、駅前温泉 ・薬師湯 ・神田湯 ・益次郎温泉 ・鶴舞の湯という五つの共同露天風呂があります。益次郎温泉は、その一つ。大村益次郎に関係しているんだそうです。料金は100円。管理人さんもいなくて、客が自分で箱の中に入れるシステム。よく見るとおばあさんも入っていて、ここは混浴なんですね。ちょうどいい感じの湯加減で、飲泉もできる。それが、なんかうまいんですよね。建物はかなり粗末ですが、目の前は玖珠川だし、自然に包まれたいい露天風呂です。
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田代屋は、天ケ瀬温泉にあるそば饅頭の老舗。温泉街は、大抵の店が早く閉まってしまうんですが、ここは夜7時くらいでも、煌々と灯がともっていました。
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そばは、皮に練り込んであるのですが、ちょっと山芋が入って粘りもある。その分、上品な仕上がりになっているように思います。餡子が自慢のようでしたが、ちょっと甘さは控えめ。皮の方の印象が強く残りました。
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日田街道沿いにある想夫恋の本店。ファミリーレストランのような店舗ですが、ここは、日田の焼きそばの有名店。夜8時前くらいでしたが、お店は満員でした。
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いただいたのは、スタンダードな焼きそば。ソース味で、もやしに豚肉の細切れが入って、特別なものは何もないと思うのですが、パリパリの麺がちょっと気にならなくはないにしても、これがびっくりするくらいとってもおいしいんですね。
一方で、材料がシンプルな割に840円と値段はやや高めですが、おいしいのでまあ帳尻はあっているのかなあと思います。
押せ押せでしたが、これでレンタカーを返します。ぎりぎり時間に間に合いました。 -
そして、レンタカーのお店の人に聞いてやってきたのが一番どり。日田市街南部、隈町の一角です。日田は、焼き鳥の店がたくさんあるのですが、焼き鳥もいいけど、ここの鳥料理は最高だよと教えられたんです。
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いただいたのは、鳥の生肝。韓国のりで包んで、地元の甘めの醤油を付けていただきます。とろんとした食感に濃厚な旨味があって、これは確かにうまいです。
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日田市内には、特に鶏が名産ということではないようですが、焼き鳥の店がやたらとたくさんあります。焼き鳥一幸もその一軒。今度は宿泊したホテルの人に紹介されて訪ねました。
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赤ちょうちんを入ると、お店は大賑わい。確かに人気のお店です。
で、私は、ビールも飲まず焼き鳥だけを食べるという面倒くさい客だったのですが、嫌な顔もせず愛想よく対応いただきまして、ありがとうございました。で、焼き鳥の方は、かなりうまい。やっぱり、ここに来たのも大正解だったようです。 -
今夜の宿は、アル・ステージ 小松軒。日田温泉に近い隈町の一角。風呂は天然温泉で、日帰り温泉もやっているホテルです。部屋は畳の間にベッドが置かれたもの。畳のスペースでも寛げるし、とても使い勝手がいいですね。シティホテルに和風の要素が加わって、リーズナブルな価格だし、かなりお勧めです。
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この旅行記へのコメント (5)
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- ことりsweetさん 2022/12/24 11:28:31
- 日田~小鹿田焼の里♪
- たびたびさん、こんにちは。
大分旅にイイネをありがとうございました。
日田は私たち二人の興味を引いた街でした。
豆田町、恩田焼の里を巡りながらどのように
栄えていったのかを知りたいと思いました。
やはり舟運によるものなんですね。
たびたびさんの旅行記を先に見ておけばって思いました。
宿にしたビジネスホテルが旅行割もあって安くて主人が決めたのですが
温泉宿にしたかったです。。。
>原次郎左衛門の味噌醤油蔵現役の味噌醤油蔵で販売が本業なのですが、
>二階に九州一円の玩具を集めた展示室。
こちら、お店の前までいったのですが、
寄りませんでした。2階の展示室行ってみたかったです。
ただ、豆田町のお店で来年の干支の土人形を予約しました。
工芸品の良さが、そこかしこに見つけられる町でしたね。
小石原焼~小鹿田焼などの様々な窯元を
訪れていて本当にすごいです!
食器だけでなく茶器も注目されていて
茶碗や茶入れの画像もよかったです。
私は食器を目指しましたが、茶碗との出会いが
いつかあればと思っています。
私が訪れた時は小鹿田焼の窯元はあまりお店が
開いているところがなくて残念でした。
坂本窯さんで今回購入しました。
もともと染付が好きなので
陶器はまだどんなものがよいか探っている状態です。
たびたびさんはこの旅での出会いはありましたか。
九州は器の出会いが楽しいですところです。
ことりsweet
- たびたびさん からの返信 2022/12/24 22:03:38
- RE: 日田?小鹿田焼の里♪
- 日田の旅行記をご覧いただきありがとうございます。
日田は天領で西国筋郡代が置かれ、支配石高は17万石。これに幕府の公的資金が日田の商人を通じて九州の大名に貸出され富を生むという構造。羽振りがよかったんだと思います。広瀬家とかがその代表格ですね。
で、焼き物の方ですが、小鹿田焼は民陶なので本当に安い。特に大きなものが安いのでびっくりします。私は大きな鉢に観音竹を入れたのを玄関に置いていまして、今でも大のお気に入りです。大皿も夏になるとこれにそうめんを盛って家族で食べていますが、本当に重宝しますね。磁器と陶器は自ずと使い分けができていくように思いますが、食器に限って言うと磁器と陶器は混ぜて使うのがいいですね。混ぜて使うと途端に豊かな景色が広がります。私も基本は磁器の染付ですが、行き着く先は敢えて言えば祥瑞でしょうか。繰り返しの文様が何とも言えない癒しになるんですよね。陶器の選び方についてですけど、磁器以上にまずは形から入るのがいいと思います。陶器は釉薬の色とかが目につきますけどまずは形がきちんとしていて美しいこと。そこがちゃんとしていないと長く愛着を持つことはできないように思います。
高取焼だと福岡市内に亀井味楽という窯があってかなりいいです。この旅でも、結局は気持ちのどこかで亀井味楽と比べているところがあって、もしそれよりいいものがあれば買っていたと思います。亀井味楽は湯のみとコーヒーカップを持っていますが、特に湯のみの方は見るたびに素晴らしいなあと眺めてしまいます。
変な話、どこかで焼き物コレクションを旅行記のようにアップしてみてもいいんですけどね。ちょっと長々となりましたけど、思いつくままに。。
たびたび
- ことりsweetさん からの返信 2022/12/25 15:34:40
- RE: RE: 日田?小鹿田焼の里♪
- たびたびさん、再びこんにちは。
コメントとても勉強になります(*^^*)
小鹿田焼の鉢に緑のしっかりした葉の観音竹とても似合いますね。
磁器と陶器を混ざて使う感じ私も試してみます。
祥瑞の柄、精緻で魅力的です。じっと見つめていたくなりますね。
私はもう少し大らかな仕上がりの
タコ唐草などが好きです。
絵付け以前に、形がしっかりしたものを選ぶのが大事なんですね。
> 高取焼だと福岡市内に亀井味楽という窯があってかなりいいです。
茶入の景色いいですね。お茶を習っていましたが
始めは小さな地味ないれものという感じでみていました。
その産地はよく知らずにいました。
> 変な話、どこかで焼き物コレクションを旅行記のようにアップしてみてもいいんです
けどね。ちょっと長々となりましたけど、思いつくままに。。
それ、いいアイディアだと思います。
読み応えあるでしょうね。私も記事が見られたら嬉しいです。
ことりsweet
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- もっちさん 2013/11/11 01:55:05
- 窯元全て制覇は凄いですね〜
- 小鹿田焼の魅力にはまり、窯元まで行ってみたくなり調べていた所、たびたびさんの旅行記に出逢いました。
窯元10件 すべて回られたのですね!!羨ましいです〜
来年あたり絶対に行こうと思います。
とても参考になりました〜 また寄らせて頂きます。
- たびたびさん からの返信 2013/11/12 09:18:13
- RE: 窯元全て制覇は凄いですね〜
- 小鹿田焼の窯元10軒は狭いエリアに集まっているので、全部回るのはさほど苦労しません。いろんな伝統の技術をお互いに助けあって伝えているんだそうですが、それでもそれぞれに個性が出るようですね。
日田市内にも小鹿田焼の店はあるのですが、やっぱり現地で見ると格別な思いがします。ただ、在庫は限られるので、買うのであれば、お勧めはお祭りの時です。品数が全然違いますので。
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