安芸の宮島・萩・津和野(4)津和野

2012/07/21 - 2012/07/23

長門湯本温泉を朝８時に出発して仙崎の青海島を遊覧した後に萩を駆け足で巡り、お昼過ぎには津和野にいるという強行スケジュールです。この後岩国の錦帯橋を渡って広島まで行くのですから津和野でも自由になる時間は限られています。今回は３５年前の高校の修学旅行のルートを辿る旅でもあったのですが、同じ２泊３日でもこんなに慌しくなかった気がします。当時の旅行代金よりも現在の方が飛行機を利用しても安く旅できる不思議さも感じましたが、盛りだくさん過ぎるバスツアーも考えものだと感じました。妻にとっては初めての中国地方だったので喜んでもらえたのが何よりです。津和野を訪れた７月２２日は前日の祇園祭の余韻もほとんど感じられませんでした。有名な鷺舞のお祭りの翌日なんてお間抜けな感じもしますが、短いけれど楽しい滞在でした。

エリア 津和野(島根)

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: 観光バス 船 ANAグループ 徒歩
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行あり）
• 利用旅行会社: クラブツーリズム

萩の観光を終え、息を突く間もなくバスに乗り込んで、汗がひかぬ間に出発！盛りだくさんでいろいろな所を観光できますが情緒は感じられません。
萩までは海岸線の景色を楽しみましたが、今度は山間部の景色です。３５寝前にもこの道を走ったのだろうかと思うと感慨深いものはあります。

予定表には無かった森鴎外の生家の見学がありました。近くのお土産屋さんの駐車場にバスを停め、お店の方の案内で見学します。パンフレットには殿町の観光とあったのでここまでは足を延ばせないと諦めていた場所なので良かったです。

現在の感覚で言うと小さな家ですが、当時としては立派なお屋敷だったそうです。

玄関から中を覗いてみます。左手の部屋は調剤室だったそうです。

右手には土間。ここで森林太郎が過ごしていたのだと思うと不思議な気分になります。

更に右手に廻り込みます。三間続いた部屋ですから当時としては大きかったのでしょう。つい最近まで日本の住宅もこれに近いものがありましたが、プライバシーも何も無い部屋の造りですね。

裏側に森鴎外の銅像がありました。この塀の先に線路があり、ちょうど機関車が通りました。動画で撮影したので写真はありませんが、わざわざここで１０分ほど待つほどではありませんでした。

紫陽花が美しく咲いているのが印象に残った鴎外の家です。

先程の三間の一番奥の部屋側の庭。多分主の使った部屋であろうことが感じられます。

鴨居の写真は左から父の森静男（静泰）中央は母の森ミネ（通称峰子）
右は、森鴎外（本名林太郎）です。

炎天下の昼過ぎに食事もせずに観光している酔狂なｸﾗﾌﾞﾂｰﾘｽﾞﾑ。

正面左側が鴎外の使っていた四畳半の部屋です。右奥には父の使っていた薬箱が置かれています。各部屋に堀炬燵が設けられていることから冬場は相当冷え込む土地なのでしょう。石州瓦も積もった雪が落ちやすい様に上薬が掛けられています。

扣　鈕（ぼたん）
南山の　たたかいの日に
袖口の　こがねのぼたん
ひとつおとしつ
その扣鈕（ぼたん）惜し

べるりんの　都大路の
ぱっさあじゅ　電灯あおき
店にて買いぬ
はたとせまえに

えぽれっと　かがやきし友
こがね髪　ゆらぎし少女（おとめ）
はや老いにけん
死にもやしけん

はたとせの　身のうきしずみ
よろこびも　かなしびも知る
袖のぼたんよ
かたはとなりぬ

ますらおの　玉と砕けし
ももちたり　それも惜しけど
こも惜し扣鈕
身に添ふ扣鈕

歌碑がひっそりと建っています

駐車場のそばのレストランに案内されます。この辺りには他には食堂くらいしかないのでオプションの昼食を注文しておかないと寂しい思いをしそうです。

昼食は２種類ありましたが、こちらは津和野の酒粕を使った鍋のついたもの。うずめめしも食べたかったけれど。

太皷谷稲成神社に寄進されたもので、国道９号沿いに町を見下ろして建っています。朱色のコンクリート製で、高さ18ｍ、柱の直径２ｍの巨大なものです。 諸星大二郎の「闇の客人」という話を思い出しました。

津和野はワサビの名産地です。

鷺舞見たかったです。看板で我慢？

石州和紙の起源は柿本人麻呂が石見の国に紙漉きの技術を伝えたと言われているそうです。江戸時代に入ってからは津和野・浜田両藩において専売制を行い、石州和紙の中で特に石州半紙の名は広く知られたそうです。

食事の後は殿町に移動して有名な掘割を散策します。歩いて良いのはカトリック教会と津和野川の間の数百メートルだけです。自由時間は２０分ほどです。

鷺舞は津和野の弥栄神社に伝わる古典芸能神事で、毎年祇園祭りの７月２０日は町内11ヶ所、２７日は町内９ヶ所で舞うそうです。京都の祇園祭で観た事がありますが、羽をパタンパタンと優雅な踊りでした。

元々は京都が本家ですが一度中断されていますので、現在では津和野の方が有名です。中国の雲南省やカンボジアなどでも似たような舞がありますが、鷺では無くて孔雀になります。

掘割を涼しそうに鯉が泳いでいます。

鯉はほぼ人間と同じくらいの寿命があるそうです。

カトリック教会の内部は畳敷きで、鮮やかなステンドグラスが印象的です。 昭和６年にドイツ人ヴェケレーによって建てられたもので、城下町の古い町並みにゴシック建築の建物が映えます。

内部を見学させていただくと確かに畳敷きです。日本式に考えると畳は縦では無くて横に敷きそうなものですが。広く見えるとか何か意図があるのでしょうか？

日本でしか見る事の出来ない不思議な雰囲気の教会ですね。

添乗員さんがここから先に行かないようにチェックしているのか、撮影ポイントなので待っていてくれるのか微妙ですが。

掘割の鯉と記念写真と思ったら鯉は一匹もいませんでした。がっかり。

回遊しているのでいる所にはいくらでもいるのですが。

提灯の紋は京都の八坂神社と同じきゅうりに似た「五瓜に唐花紋」のようでした。何か関係があるのでしょうか？京都では祇園祭の時期はきゅうりを食べませんが（全てでは無いですが）津和野では？

お祭りの合間に来てしまったのでした。ちょっと寂しい津和野の夏です。

通りには人がいっぱいです。

鯉を追いかけて津和野川の畔に向かいます。

津和野藩の家老のお屋敷が並びます。ここに並ぶ三件で津和野藩の家禄のかなりの石高を貰っていたそうです。

弥栄神社の鳥居までで先に進んで戻ってくる時間はありません。

津和野川の流れを眺めるに止まります。

線路があると言う事はここでも蒸気機関車が見られた訳です。こんなポイントに案内してくれたらクラツーのポイントも上がるのですが。

川の畔には鯉のオブジェ。泳ぎゆく先には鯉の餌箱。蓋をあけると一袋１００円の餌が。

橋の上におりた　鳥はなん鳥
かわささぎの　かわささぎの
ヤーかわささぎ　さぎが橋を渡した
さぎが橋を渡した
時雨の雨に　ぬれとりとり
ヤーかわささぎ　さぎが橋を渡した
さぎが橋を渡した

八坂神社で観た優雅な踊りをもう一度見たいと思います。

さあ自由時間は終わりです。

駐車場に戻ります。

高校の修学旅行では貸自転車に乗って紙漉きの工房を見学したりもっと時間があったように思うのですが。現在の方が道路事情も良くて時間が取れそうなものですが。

トイレと飲み物補給して出発です。

津和野駅には機関車が置かれていました。

萩方面から津和野に到着した蒸気機関車は２時間ほど整備をしてまた同じ路線を山口へ戻ります。我々は一路錦帯橋へ向かいます。