Budapest：再訪　Nr.7/洪牙利建国千年記念碑

2010/05/23 - 2010/05/27

ハンガリー建国千年を記念して、1896年、博覧会が開かれこの記念碑が建設された。ハンガリー史の年表に依れば、マジャール民族がこのカルパティア盆地を「ケンデ」のクルサーンと「ジュラ」のアールパートに卒いられて、征服し、定住してから千年になるという。

蛇足ながら、我が国は　「カムヤマトイワレヒコ・ホホデノミコト」が橿原の宮で　初代天皇として即位、この神武天皇即位を起源とし、2010年は建国2670年　２月11日がその日とされ「建国記念の日」となっている。そして現今迄神話の時代からこの王朝が続いているのは世界的に見ても稀有な存在。歴史的事実は別としても、日本書紀にははっきり「巻第一神代上」「巻二神代下」と区別してあり、神武天皇の事跡は巻第三に載っている。これも民族の壮大なロマンである。

エリア ブダペスト(ハンガリー)

• 交通手段: 鉄道
• 航空会社: ルフトハンザドイツ航空

英雄広場

※この稿のコメントは主としの人物説明は以下の本を参照。

「ハンガリー史　１・２」　パムレーニ・エルヴィン著　田代文雄/鹿島正浩　共訳　恒文社　1990年版

柱の天辺に立つ「大天使　ガブリエル」

聖イシュトヴァーンの夢に現れ、ハンガリー民族をキリスト教へと導いたと云われる。ガブリエルは唯一の女性天使でマリアにイエス懐妊、いわゆる「受胎告知」を知らせた天使。

英雄広場の背後の広い市民公園も散策する予定が時間がなくパスしたのは残念であった。

天使の柱の台座中央にはハンガリー部族をこの地に導いた　首長アールパート。

台座両脇にはアールパートに従って来た６人の部族長達

この像の前は　戦死者の慰霊碑となっている。

背後の回廊に居並ぶ王や英雄達の銅像は　1919年ハンガリー社会主義革命の時、フランツ・ヨーゼフ皇帝を初め、ハプスブルク家の銅像は撤去された。この革命はわずか４ヶ月で倒壊し、ホルティ提督が権力を握り、王のいない王政復古となり、ハプスブルク家の銅像達も元の場所に復帰したものの、今次大戦後ハプスブルク家の銅像は再び撤去、ハプスブルク家と戦った英雄達の像に取って代わられた。（ブタペスト物語　早稲田みか　河出書房新社　82頁から一部抜粋）

向かって左翼のコロネード（回廊）

向かって右翼のコロネード（回廊）

「労働と繁栄」左翼回廊外側

戦いの男神」左翼回廊内側

「平和の女神」右翼回廊内側

「学問と芸術」右翼回廊外側

Szeni Istvan ：聖イシュトヴァーン?世
（970頃〜1038）アールパート家　1000年に初代ハンガリー国王として戴冠

なおハンガリー支配の王朝の変遷は

アールパート家（889/1301）
プシェミシュル家（1301/1305）
バイエルン・ヴィッテルバッハ家（1305/1037）
アンジュウ家（1308/1386）
ルクセンブルク家（1387/1437）
ハプスブル家（1437/1439）
ヤゲロ家（1440/1444）
フニャディー家（1446/1453）
ハプスブルク家（1453/1457）
フニャディー家８1458/1490）
ヤゲロ家（1490/1526）サボヤイ家（1526/1540）
ハプスブルク家８1526/1918）

と激しく変わり、1918年の第一次大戦敗北、1919年ハンガリー・ソヴィエト共和国成立まで王朝が続いた。共和国が1920年ホルティーの白色革命で崩壊、再び王国としたが、王のいない王国でホルティーが1944年まで摂政を務めた。

左：Szeni Laszlo：聖ラースロー?世（1040〜1095）
クスマン人との英雄的戦いは伝説となり、ハンガリー騎士道制精神の理想と謳われた。

右：Kalman(Konyves)：カールマン文人王（1065頃〜1116）　生まれつき背骨が曲っていた為（英・hunchback／独・der Buckel）、聖職者教育を受けるも、1095年王座に就く。切断刑の廃止　魔女狩禁止　聖職者妻帯禁止　ヴェネチアから獲得した　クロアチア　ダルマチアの王にもなる。

左：Endre ?（Andras)　アンドレ(アンドラーシュ)?世（1205〜1235）　教会10分の1税の金納禁止、塩の専売収入の上限制定。貨幣経済移行期の混乱の時代。

右：Bela ?　ベラ?世（1206〜1230）
ハンガリーにゴシック様式導入　ブダ城の建設　モンゴルの侵攻（1240〜1242）に対処

左：Karoly Robert ?　カーロイ・ローベルト?世（1288〜1342）　ナポリアンジュー家出身、ナポリ公カルロ・マルティロとハンガリー王女マーリアの子。ハンガリーで初めて金貨を鋳造。鉱業、商業　都市の発展。

右：Nagy Lajos ?　ナジ・ラヨッショ?世　大王（1326〜1382）　ポーランド王位（1370〜1382）　宮廷はゴシックと前期ルネッサンスの中心となる。

Hunyadi Janos: フニャディー・ヤーノシュ（1407〜1465）ルーマニア貴族の出　トルコ防衛を組織、1442年対トルコ作戦を指揮　摂政　軍総司令官　ベオグラードの戦陣で病没。

彼のヴァイダフニャド城はハンガリー・ゴシック芸術の代表作。英雄広場にあるヴァイダフニャディ城は建国千年祭の時、これを模して建設、現農業博物館。

左：Matyas Hunyadi マーチャース・フニャディ（1440〜1490）1458年国王に選出　コルヴィヌスという人文主義的名前で知られる。ブダの王宮　コルヴィナ文庫創設　アルプス以北のルネッサンス人文主義文化の最高の中心地とし、ブラティスヴァに大学（アカデミー・イストロポリターナ）創設。

右：Bocskai Istvan ボチカイ・イシュトヴァーン（1557〜1606）　トランシルヴァニア公　ティサ地方の大土地所有者　対トルコ「長期戦争」の勝利に於ける軍事指導者。　ハプスブルク絶対主義に対するハンガリー貴族の闘争を指揮、ウイーン講和でハンガリー貴族の自治と新教徒の信仰の自由獲得。

左：Bethlen Gabor　ベトレン・ガーボル（1580〜1629）トランシルヴァニア公　反ハプスブルク政策　国家経済再建　新教徒文化政策　学校の建設。卓越した軍事　外交的才能はヨーロッパ政治に重要な役割をはたす。

右：Thokoly Irem テケリ・イレム伯爵（1657〜1705）
北部ハンガリーの大領主　1678年フランス　トルコの支持をえて北部ハンガリーを占拠、首長に選出された。1683年以降反トルコ解放戦争成功の為、テケリはトルコ傭兵隊指導者となる。1699年以降トルコで亡命生活。

左：Racoczi Frenc ?　ラーコーツイ・フレンツ　?世（1676〜1735）1707年　仏　露　普　の援助を受け独立ハンガリー王国を目指して戦うも敗北。1712年迄露国　1717年迄仏国　最後はトルコに亡命。ラテン語　フランス語　ハンガリー語の著作多数。

右：Kossuth Lajos　コシュート・ラヨシュ（1802〜1884）19世紀に於けるハンガリー・ブルジョア的変革と民族独立闘争の最も偉大な人物。1849年臨時国家元首　執政　1949年独立戦争敗北後　1851年迄トルコに亡命　1852年ロンドン定住　1861年イタリアへ　1865年以降トリノ　当地で没した。