今出川・北大路・北野旅行記(ブログ) 一覧に戻る
 今から105年前の明治37年(1904)、ちょうど日露戦<br />争の真っ只中に完成した府庁旧本館。現役の官公庁建造物として<br />は最古という建物の内部で、最も贅沢に作られた旧知事室。そこ<br />にあるものは100年という時間を感じさせない上質な雰囲気を<br />漂わせている。<br /><br />今年は通常より長い御所の公開に合わせ、開催されている「府庁<br />界隈まちかどミュージアム」。その関連行事に参加するために訪<br />れた府庁旧本館。西洋建築には興味が無かったはずなのに、すっ<br />かりその魅力の虜となったその内部。中でも明治38年から昭和<br />46年までの67年間、24人の知事が使用していた旧知事室は<br />凄かった。<br /><br />2階南東の隅にあるその部屋の、窓からは比叡山と大文字山。通<br />常の1・5倍ほどの高さを持つ室内はギリシャのコリント様式に<br />最上の木曽桧(ひのき)を織り交ぜた日本独自の建築手法。柱や<br />梁に彫刻されたギリシャの国花・アンカンサスがそれを示してい<br />る。作者は京都ハリストス正教会などの建築でも知られる松室重<br />光。現在ではこの部屋を含む建物全体が重要文化財となっている。<br /><br />赤い絨毯の敷かれた空間に配置された知事執務机をはじめとする<br />家具類は、当時最高級の西洋家具を作ることで知られた東京の杉<br />田商店製。壁面の暖炉のマントルピースはイタリアから輸入した<br />大理石彫刻。100年前の面影をそのまま残した空間は09年11<br />月29日からNHKで放送される『坂の上の雲』の主人公役の本<br />木雅弘さんの回想シーンにも用いられたという。<br /><br />「まちかどミュージアム」期間中は土日も含め、それ以外の時は<br />平日なら申し込み不要で見学ができるこの空間。現代とは違う空<br />気が満ちたこの場所で、当時の時代背景や、ものに宿った昔の記<br />憶の片鱗を味わってみるのも面白い。なお、「まちかどミュージ<br />アム」期間中は2階建物西側で京都府が友好提携を結ぶロシア連<br />邦のレニングラード州の児童、生徒絵画展や京都府関連の若手作<br />家の美術展が行われており、特にロシア児童の絵画には驚くほど<br />良質な作品があったりして、そちらも十分楽しめる。<br /><br />京都府ウェブサイト 京都府庁旧本館の公開。http://www.pref.kyoto.jp/sisan/1214473296472.html<br />文化ブログよりhttp://abekaheki.blog72.fc2.com/

日本と世界の凄い場所19 『京都府庁旧本館知事室と「まちかどミュージアム」の美術展』

1いいね!

2009/10/28 - 2009/11/10

3170位(同エリア3400件中)

0

0

阿部和璧

阿部和璧さん

 今から105年前の明治37年(1904)、ちょうど日露戦
争の真っ只中に完成した府庁旧本館。現役の官公庁建造物として
は最古という建物の内部で、最も贅沢に作られた旧知事室。そこ
にあるものは100年という時間を感じさせない上質な雰囲気を
漂わせている。

今年は通常より長い御所の公開に合わせ、開催されている「府庁
界隈まちかどミュージアム」。その関連行事に参加するために訪
れた府庁旧本館。西洋建築には興味が無かったはずなのに、すっ
かりその魅力の虜となったその内部。中でも明治38年から昭和
46年までの67年間、24人の知事が使用していた旧知事室は
凄かった。

2階南東の隅にあるその部屋の、窓からは比叡山と大文字山。通
常の1・5倍ほどの高さを持つ室内はギリシャのコリント様式に
最上の木曽桧(ひのき)を織り交ぜた日本独自の建築手法。柱や
梁に彫刻されたギリシャの国花・アンカンサスがそれを示してい
る。作者は京都ハリストス正教会などの建築でも知られる松室重
光。現在ではこの部屋を含む建物全体が重要文化財となっている。

赤い絨毯の敷かれた空間に配置された知事執務机をはじめとする
家具類は、当時最高級の西洋家具を作ることで知られた東京の杉
田商店製。壁面の暖炉のマントルピースはイタリアから輸入した
大理石彫刻。100年前の面影をそのまま残した空間は09年11
月29日からNHKで放送される『坂の上の雲』の主人公役の本
木雅弘さんの回想シーンにも用いられたという。

「まちかどミュージアム」期間中は土日も含め、それ以外の時は
平日なら申し込み不要で見学ができるこの空間。現代とは違う空
気が満ちたこの場所で、当時の時代背景や、ものに宿った昔の記
憶の片鱗を味わってみるのも面白い。なお、「まちかどミュージ
アム」期間中は2階建物西側で京都府が友好提携を結ぶロシア連
邦のレニングラード州の児童、生徒絵画展や京都府関連の若手作
家の美術展が行われており、特にロシア児童の絵画には驚くほど
良質な作品があったりして、そちらも十分楽しめる。

京都府ウェブサイト 京都府庁旧本館の公開。http://www.pref.kyoto.jp/sisan/1214473296472.html
文化ブログよりhttp://abekaheki.blog72.fc2.com/

PR

この旅行記のタグ

1いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

PAGE TOP