2009/10/17 - 2009/11/23
5414位(同エリア5995件中)
阿部和璧さん
京都や奈良の寺社仏閣では、観光客の増える春や秋の一時期に
特別公開される寺院や仏像がある。そんな中でも迫真の写実表
現で、見る者に深い感動を与えるのがこの仏像。静かな哀しみ
を秘めたその瞳で一体何を思うのか。
先ごろ行われた「国宝・阿修羅展」の阿修羅像を所蔵している
ことでも知られる興福寺。そんな境内の中で、日頃はひっそり
と扉を閉ざしているのが北円堂。創建は藤原不比等(659−
720)の一周忌にあたる養老5年。現存する建物は承元2年
(1208)年頃に再建された国宝である。
春と秋の一時期にしか入れない堂内に足を踏み入れると、ひん
やりとした空気の中でこの仏像に対面できる。5世紀頃、北イ
ンドで法相(ほっそう)教学の礎となる唯識を生み出した僧侶
がモデル。すべての存在は空であり、個人の意識は幻であると
いう大胆な考えで以後の仏教に多大な影響を与えた人物。
唯識や空の問題に、自分なりの回答を見出すまではあまりの苦
悩のために、死ぬことも考えたというその生き様。見下ろした
視線を受け止めれば、見ている者にまで深い哀しみを誘うこの
仏像。その瞳には無著、そして運慶の指導でこの仏像を制作し
たという運助の深い精神性が宿っている。
(ちなみに09年は10月17日から11月23日まで仮金堂
に展示される阿修羅像や八部衆、十大弟子像と共に北円堂も開
帳される。共通拝観券は一般1500円とちょっとした値段だ
が、正倉院展などに行かれた際にはぜひ立ち寄って欲しい。)
興福寺ウェブサイトhttp://www.kohfukuji.com/event/detail.cgi?event_seq=00000007
文化ブログ http://abekaheki.blog72.fc2.com/
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