2009/10/24 - 2009/11/12
4938位(同エリア5995件中)
阿部和璧さん
これまで6回ほど訪れている正倉院展。年によっては出し
惜しみを感じることもあるこの展示。しかし今年は即位20
周年記念と冠されているだけあって圧倒的だった。
今から約1250年前の天平勝宝八歳(756年)6月21
日、聖武天皇の四十九日にあたるその日。光明皇后が天皇遺
愛の品、六百数十点を東大寺大仏に献納したことに始まる正
倉院御物。61回目となる今回の展示は大きく2つの区分に
分けられる。一つは前半の天皇家関係の展示。そしてもう一
つが東大寺関係の展示。今回はその前者、天皇家関係の展示
を紹介する。
まずこの正倉院展、分かり易く見る前提となるのが展示区分
の理解。大きく分けた天皇家関係の展示の中にも5つの区分
があり、その区分を理解した上で見ていくと、驚くほど理解
できる。最初に入る東新館は右手に「聖武天皇遺愛の宝物」。
中央が宮廷などで使われた「楽器、遊戯具」。左手は「刀剣
と刀子、佩飾品(アクセサリー)」となっており、当時の天
皇家やその周辺に生きた人々の生活が垣間見れる。
華やかな品々の中でも特に目を引くのが平螺鈿背円鏡。白く
輝く貝殻と赤い琥珀が散りばめられた装飾はそれ自体が宝石。
当時の工芸の素晴らしさを実感できる。また今回の目玉の一
つ紫檀木画槽琵琶と琵琶袋に残る文様や色合いには遠くペル
シャや唐の文化の影響が見られ、シルクロードの終着点とも
言える天平文化の国際性を感じることができる。
他にも聖武天皇愛用の小刀・緑牙撥鏤把鞘御刀子。光明皇后
の「籐三娘」という署名が入った楽殻論などは、歴史上の人
物としてしか認識できなかった人々が、より実体を持って感
じられるという不思議な感覚を味わえる。千年以上昔という
年月を感じさせないこれらの宝物が、美しく現存すること自
体奇跡的。
東新館を出て、次に向かうのが西新館。そこにあるのは天平
勝宝四年(752)4月9日に行われた大仏開眼法要で実際
に使われたか「楽舞に用いられた品々」。今回は伎楽、高麗
楽の面と装束が陳列されており、中でも伎楽面・呉女は現存
する3点全てが出品。それと共に法要の時の呉女が使用した
衣装(上着とスカート)も展示されており、当時の伎楽の姿
を知ることができる。
天皇家関係の展示の最後となるのは「儀式に用いられた品々」。
一見何の変哲もない箒(ほうき)や鋤が陳列されているが、実
はこれ、聖武天皇の娘・孝謙天皇の時代に取り入れられた儀式
に用いれたれ品々。正月初子(1月3日)に天子が田を鋤で耕
し豊作を祈願する儀式と、皇后が蚕の部屋を掃き蚕神を祀る
儀式に用いられたもの。特に箒は天平宝字二年(758)の
使用され、大伴家持が「初春の初子の今日の玉箒 手にとる
からにゆらぐ玉の緒」と『万葉集』に詠んだもの。
このよう千年以上昔の品々の使用目的だけでなく、日付までも
が理解できる正倉院御物。埋蔵品でなく、収蔵品として優れた
保存状態でこれほどの量が残るものは世界でも類を見ない。そ
んな宝物が「正倉院展」として鑑賞できる機会は、たとえ年に
一度だとしても逃すべきではないだろう。
(ちなみに11月12日は天皇即位20周年記念により正倉院展の入館料は無料)
後編へhttp://4travel.jp/traveler/abekaheki/album/10393245/
正倉院展ウェブサイトhttp://www.narahaku.go.jp/exhibition/2009toku/shosoin/shosoin_index.html
文化ブログより。http://abekaheki.blog72.fc2.com/
正倉院展と同時期に開帳している興福寺北円堂・無著像(国宝)
について。http://4travel.jp/traveler/abekaheki/album/10384684/
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
阿部和璧さんの関連旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
0