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 秋に入り、立て続けに巡っている京都市内のギャラリー。それ<br />ほど広くは無い場所だが、そこに足を踏み入れると、意外な驚き<br />が待っている。今回訪れたのは昨秋、本拠地東京から京都に支店<br />を構えた小山登美夫ギャラリーとタカ・イシイギャラリー。蜷川<br />実花の鮮烈な色彩とジョン・ウインドマンのモノトーンな中にあ<br />る深みが見る者の心に迫る。<br /><br />90年代後半から独特の色彩感覚を持つ写真で、若い女性を中心<br />に圧倒的な支持を集めてきた蜷川実花。一応雑誌や写真集で彼女<br />の写真を目にし、その存在は知っていたが、実際の写真がこれほ<br />ど凄いとは思わなかった。真新しい建物の狭い階段を上ると、鮮<br />烈な色彩が飛び込んでくる。<br /><br />この世のものとは思えないほどの色合いをした花々。そんな花々<br />が写るだけの写真なのに、色と光の洪水は見る者を別世界にいざ<br />なう。その鮮やかすぎる色彩はあまりにもまばゆく、まばゆすぎ<br />るからこそ、散りゆく花の行く末を思わずにいられない。大きく<br />プリントされ花たちが作り出す世界は圧倒的。その感覚はこの場<br />所を訪れた者しか味わえない。<br /><br />蜷川実花展のフロアーと繋がった空間がタカ・イシイギャラリー。<br />そこに展示されたニューヨーク在住の画家・ジョン・ウインドマ<br />ンの作品はそれまでの鮮やかな色彩とは一転、白と黒で構成され<br />た極めて静謐な世界。まぶしすぎる光で切り取られた手や足の素<br />描。まるで写真のように硬質な描写は、感情を排したからこそ生<br />まれる無機的な哀しみが漂う。<br /><br />他にもギャラリー奥に展示された立体作品は、積み重ねた本を白<br />くペイントし、その側面に生まれた変化を味わう作品。さらにそ<br />れを平面化した作品や波を描写した作品は色や形のバリエーショ<br />ンに思索的な空気が宿る。通り過ぎただけでは、作品を理解する<br />ことは難しいが、立ち止まって見ると感情を揺さぶる何かが発見<br />できる。<br /><br />繋がった2つのギャラリーで展示された鮮烈な色彩と無機的な静<br />謐さ。2つの世界が隣り合うことで鮮やかな対比が生まれ、お互<br />いを鮮明に浮かび上がらせる。そんな互いを引き出す相乗効果が<br />空間として味わえる2つの個展は、それ自体が一つの作品のよう<br />な面白みを持っている。<br /><br />小山登美夫ギャラリー蜷川実花展http://www.tomiokoyamagallery.com/tkgk/<br />タカ・イシイギャラリー ジョン・ウィドマン「Relaxation Sensation」http://www.takaishiigallery.com/jp/exhibitions/2009/jw/<br />文化ブログhttp://abekaheki.blog72.fc2.com/

日本と世界の凄い場所16 「『蜷川実花「FLOWER ADDICT」×ジョン・ウィドマン「Relaxation Sensation」』」展

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2009/10/23 - 2009/11/21

3426位(同エリア3748件中)

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阿部和璧

阿部和璧さん

 秋に入り、立て続けに巡っている京都市内のギャラリー。それ
ほど広くは無い場所だが、そこに足を踏み入れると、意外な驚き
が待っている。今回訪れたのは昨秋、本拠地東京から京都に支店
を構えた小山登美夫ギャラリーとタカ・イシイギャラリー。蜷川
実花の鮮烈な色彩とジョン・ウインドマンのモノトーンな中にあ
る深みが見る者の心に迫る。

90年代後半から独特の色彩感覚を持つ写真で、若い女性を中心
に圧倒的な支持を集めてきた蜷川実花。一応雑誌や写真集で彼女
の写真を目にし、その存在は知っていたが、実際の写真がこれほ
ど凄いとは思わなかった。真新しい建物の狭い階段を上ると、鮮
烈な色彩が飛び込んでくる。

この世のものとは思えないほどの色合いをした花々。そんな花々
が写るだけの写真なのに、色と光の洪水は見る者を別世界にいざ
なう。その鮮やかすぎる色彩はあまりにもまばゆく、まばゆすぎ
るからこそ、散りゆく花の行く末を思わずにいられない。大きく
プリントされ花たちが作り出す世界は圧倒的。その感覚はこの場
所を訪れた者しか味わえない。

蜷川実花展のフロアーと繋がった空間がタカ・イシイギャラリー。
そこに展示されたニューヨーク在住の画家・ジョン・ウインドマ
ンの作品はそれまでの鮮やかな色彩とは一転、白と黒で構成され
た極めて静謐な世界。まぶしすぎる光で切り取られた手や足の素
描。まるで写真のように硬質な描写は、感情を排したからこそ生
まれる無機的な哀しみが漂う。

他にもギャラリー奥に展示された立体作品は、積み重ねた本を白
くペイントし、その側面に生まれた変化を味わう作品。さらにそ
れを平面化した作品や波を描写した作品は色や形のバリエーショ
ンに思索的な空気が宿る。通り過ぎただけでは、作品を理解する
ことは難しいが、立ち止まって見ると感情を揺さぶる何かが発見
できる。

繋がった2つのギャラリーで展示された鮮烈な色彩と無機的な静
謐さ。2つの世界が隣り合うことで鮮やかな対比が生まれ、お互
いを鮮明に浮かび上がらせる。そんな互いを引き出す相乗効果が
空間として味わえる2つの個展は、それ自体が一つの作品のよう
な面白みを持っている。

小山登美夫ギャラリー蜷川実花展http://www.tomiokoyamagallery.com/tkgk/
タカ・イシイギャラリー ジョン・ウィドマン「Relaxation Sensation」http://www.takaishiigallery.com/jp/exhibitions/2009/jw/
文化ブログhttp://abekaheki.blog72.fc2.com/

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