2009/08/11 - 2009/08/16
98位(同エリア348件中)
きっちーさん
中国の超有名!世界遺産、福建土楼群を見学して歩いています。
客家土楼がいっぱいある、永定という地域へ来ているのですが、泊まった宿が非常にアヤシイ(笑)。
つか、泊まっている場所がどこかもロストしております。
宿の土楼ツアー代金は、かなりぼったくられていると分かっているのですが、まあ自分で選んだことだし、それは仕方ない!
切り替えて、目一杯楽しむことにしました!
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 航空会社
- JAL
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-
午前中、感動の『承啓樓』を見学したあと、アヤシイ宿泊先のある、このどこだか分からない町でお昼を済ませます。
午後に、『初渓村』という土楼へ行く約束で、ホテルのフロントでまったりしていると、午前中運転してくれたおじさんが、時間通りロビーへ現れます。
ホテルのおばちゃんは、信用するには注意が必要ですが、この人は至極まっとうそう。
気兼ねなく、同行できます。
さて、午後の『初渓村』見学ツアーへ出発!! -
暗雲が立ちこめるなか、車は深い山の奥深くへ走って行きます。
宿泊している、謎の場所も山奥ではありますが、それよりもさらに奥地っといった雰囲気。
うっそうとした緑が、山々をびっしり覆っています。
中央アジアが香る、渇いた地域を旅してきた自分にとって、四川省以来の360度グリーンな中国!
本当に、広い国だと思います。 -
川向うに、ぽつぽつと土楼が見えはじめたこと、砂利が敷き詰められた駐車場で、おじさんが車を停めます。
川を渡って土楼へ行くのかと思いきや、
「少し、キツイけど」と、
駐車場のすぐ横から、小山へ続く急な階段を先に立って歩き出します。
空からは、線の細い絹のような雨がしたたり、慌てて傘を差し掛けますが、「わたしは大丈夫」と濡れるのを気にするでもなく、上へ上へと登って行きます。
そうはいっても、自分だけ傘を差してるのも悪いので、出来るだけ濡れないようにとくっついて登りますが・・・あ、足イタ・・(泣)!
ものすごい、急こう配です。
しかも、ロングロングウェイ〜。
どこまで続くの、この階段?! -
ひーひー泣きながら足を引きずって登った山頂に、小さな展望台が設けられていました。
おじさんが、「あそこだよ」というので、どうやら目的地についたようです??
あたりには、東屋以外なにもなさそうですが、親子連れやカップルが楽しそうに、写真を撮っています。
写真に夢中になっている、みんなの視線の先を追うと、木立の合間から絶景が!! -
四角い土楼もあるのですが・・。
-
なんといっても目をひくのは、緑の絨毯に林立する円楼群!
-
にょきにょき地面から生えているような錯覚を覚える、感動的な光景です。
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なるほど、だから『初渓村』なのかー。
ふつう土楼には、最後に「樓」っていう字が付いてますが、「村」っていうのはめずらしい――そう思ってたんですが。 -
たしかに、土楼の村みたいです!
-
それにしても、人間よりも妖精が住んでいそうな〜。
あの丸い部分から、なにかが出てきそうな(笑)。
そのなにかを、ハンマーで叩けそうな・・。
モグラ・・? -
どんどん変な方向へ、イメージが流されていきますが。
とにかく、壮観です! -
キツイ階段でも、登ってヨカッタ(笑)。
とにかく土楼は大きいので、近くで撮ろうと思っても、なかなかうまく撮れません。
こうして、うえから観た方が素人カメラでもうまく映ります!たぶん! -
せっかくだから、カメラをパンして隅から隅まで〜。
と、見渡していると、村はずれの土楼の裏山に、お墓が見えます。
こんな遠くからでも見えるんだから、結構おっきい?
おじさんに「アレ、お墓ですよね?」とたずねようとして、小さな発見!
中国語で「墓」は「ムゥ」と発音します。
ムウ・・。
「ひょっとして、手塚治虫の『MW』って中国語の墓っていう意味だったりして・・」
たまきしゃーん!
そうだったらどーしよーっ!
と、心の中で叫びながら(笑)、墓写真撮りました。
↑
どうもしねえよbyのだめ -
「すごいっスねー。この眺め最高ですねー」←日本語
感心しながら、おじさんを振り返ると、「メモを貸してごらん」と言われます。
差し出すと、おじさんはふたつの土楼の名前をメモに書き込みます。
『承啓樓』『如弁樓』
「なんですか?」
「一番大きい土楼と、小さい土楼」
「え!まだアレより大きいのがあるんですか?!」
「承啓樓は、さっき見たでしょ」
「ハイハイ、あのカタツムリみたいな!」
眼下の土楼を眺めます。
どーだろ?
遠目だと、けっこう大きそうだけどな。
あの真ん中のはともかく、左右のはもろビッグでっせ。 -
大小はともかく、この一面キノコのように、群生した土楼の風景っていうのは、ここじゃなきゃ観られないよなー!
あらためて見惚れていると、「そろそろ、近くへ行こう」と促されます。
そうでした。
なかも観たいアル! -
登るときより、降りる方がヤバい!
雨でぬれてツルツル滑る木の階段に、傘をさすのをあきらめて、一気にくだります。
振り返ると、ずいぶん高くのぼったもんだ。
はるか後方に、ポツンと見晴らし台のある東屋が見えました。 -
さ!
駐車場と村を分かつ川を渡ります・・・って、橋が無い〜(汗)。
雨に濡れた飛び石が、小さな瀧の脇に点々と配置されています。
「柵とかないのーっ?!」
ぎょっとしますが、おじさんは慣れたようすでスタスタ歩いて行きます。
こ、こわいんですけど・・! -
これで落ちて流されても、助けてもらえなさそうな気がするので(笑)、細心の注意を払いながら渡ります。
でも、真ん中あたりまで来ると、調子にのって写真を撮ってしまう根っからの観光客・・。 -
カメラも落とさず、無事渡り終えると、しだいに巨大な円楼が目前に迫ってきます。
おお〜っ。 -
村全体に、高層の土楼が散らばっているので、村なのに村っぽい感じがしません。
-
立派な土楼は、そこで暮らす一族の富の象徴なので、こんだけ立ち並んでいるってことは、相当豊かな財政だったということでしょうか?
あたり一面畑ですし、耕作地以外に目立った産業の「みやげ」も売られていませんが、土楼の基礎はガッチリとした石が積み上げられており、荒れたところが全く見られません。
リッチなのか、初渓村? -
『集慶樓』と、表札(?)が出ている土楼の前にきました。
-
「記念写真を撮ってあげる」
おじさんが言います。
なんだかんだで、観光客ゴコロをわかっていらっしゃる!
「あっざーす!」
さっそく入口の前に立つと、湿気のせいかカメラが起動しません。
オー!ノー!!
あわてて電源を切ったり入れたりしますが、エラー表示。
「ここからが、午後の本番なのにィ〜っ」
怨念を込めて、電池を入れ替えたら、普通に起動しました。やれやれ。
いくたびかの、過酷な環境に耐えてきた、オイラのペンタックス!
がんばれ、これからも!
フォーエヴァーな気持ちで、レンズを見つめます(笑)。 -
んじゃ、さっそく中へ〜。
ここの土楼も、おっきいし、キレイだし、ニオイません(笑)。
ドーナッツ型の本体の内側に、やはりお堂のような建物が見えます。 -
中庭のお堂を囲む小さな建物は、おみやげ屋さんや、展示室になっています。
本来、ここには家畜が飼われているんでしょう。 -
とりあえず、本体の方からまわってみよう。
-
1階の入口には、プレートが張り付いており、展示の中身が簡単に紹介されています。
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人形劇の展示。
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狛犬?
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古民具。
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柱飾りでしょうか?
凝った彫刻です。
この土楼で実際に使用されていた物なのかな?
首をかしげながら、ひと部屋づつ覗いて行きます。 -
土楼の軒下を、ぐるりと一周。
-
いままで見てきた土楼と異なり、『集慶樓』にはまったく生活臭がありません。
-
つか、人の気配もせんな〜?
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2階へあがってみます。
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通常だと、2階は居住スペースはなく、倉庫などとして利用されているそうですが・・。
それにしたって、すべての扉が閉ざされています。 -
代わりに飾ってあったのが、このプレート群!
-
中国の「姓」や「氏」が網羅されています。
日本でいう、「苗字」に近いもの。
山田さんとか、鈴木さんみたいな〜。 -
ただ、山田さん・鈴木さんとは、ちょこっと意味合いが異なります。
日本の苗字は、どちらかといえば「氏」に近いのかな?
「姓」の方は、同一の先祖からでた(または同一と信じられている)、血縁集団。
「氏」は、その血縁集団の中から、独立したり、その一部のグループのくくり。 -
婚姻関係があっても、中国や朝鮮半島では『夫婦別姓』です。
日本でも、歴史的には別姓の歴史は長いですし、上流階級をのぞけば、庶民はフツーに苗字そのものがありませんでした。
中国に話を戻しますが、「嫁取り」という、「女が家に入る」感覚は存在していますが、血縁で無い彼女は名前の面で、生涯部外者であり続けます。
つまり、それだけ出自を重んじるというか、ルーツである血族の意識が強いのかな、というふうに感じます。
じゃあ、一生部外者じゃ可哀そうじゃんと、同性にしちゃえばイイじゃない〜、かというと・・。
日本の戸籍制度を考えると、完全に家父長制が主とされていますので、両者の苗字のうち女性の姓が選択されることは稀です。
当人同士の意志がどうこうより、社会的なジェンダーバイアスが優先されやすい、ともいえます。 -
ままっ。
気になりだすとキリがないすけど、ようするに、そんな中国の代表的な、「苗」「氏」がならび、その筋から出た有名人のお名前や、血族が集中している地域名などが紹介されています。
けっこう、見ごたえがあります!
孔明さんの、「孔氏」もありました〜v -
中国の「苗」「氏」の解説を読めたのは初めてなので、(読解力はもちろん素人ながら)かなり楽しい。
「あー。こういう名前、あるある」
「この苗字は、このあたりの省にいっぱい住んでんだ〜」
「トニー・レオン(梁朝偉)やダオダオ(陳道明)はない?」
途中から趣味に走っているうえ、帰るとすっかり忘れちゃいますが(笑)、面白かったです!
観光地とはいえ、この季節に来ている人はあまりいないようで、誰もいない土楼見物。
階段を登り、今度は3階を歩きます。
しかし、うえでも足もとに注意しないと、大きい土楼は出入り口がたくさんあるので、所どころトラップのように階段の四角い穴が、足もとにぽっかり口をあけています。
あんまボサっとしてると、落ちそう(笑)。 -
そして!
みたかったものを発見!!
この写真じゃちょっと分かりにくいんですが・・。 -
こっちだと、見やすいかも。
宿泊した環興樓や、ほかの土楼もそうだったのですが、各フロアにはそれぞれ、行き止まりになる部屋がありまして。
一周することが出来ない設計になっているんです。
なので、その行き止まりの角部屋(?)が、どうなっているのか中をみてみたかったのだ〜。
どれどれ。
室内は土楼の廊下ぶん、ほかの部屋より奥行きがあり、ふたつの部屋がくっついた形になっています。
ちょうど、中央の部分に仕切りがあり、出入りも可能。
「仕切り部屋の方が、ほかんトコより若干広いんだ〜」
もちろん、居住スペースによってひょっとしたら、多少の違いはあるのかも知れませんが。
見れたので、満足v -
と、ところが・・!
もはや使っていないため、各個室がどーんっと蛇腹につながった、ぶち抜き部屋もあったりして!
はあ〜。
おっきーね。
ホント、これなら倉庫としても使えるなあ。
蛇腹部屋には、思い出したように少量の展示があるだけなのですが、先ほどまでドアはプレートに塞がれ、立ち入ることもできなかったので、なんだかものすごー広う感じる・・。 -
中国の現代建築は、広い国土を思う存分活かして、
「無駄に歩かせる〜っ」
みたいに泣きが入る、広々と空間いっぱいのマンモス建築が主流です。
ところが古い家屋は、敷地は広くてもこじんまりと小さなタイプが多く、驚かされます。
中国の広大な陸地を、くたびれた埃っぽいバスで(空調のイイのもありますけど)、振動にゆれながら移動していると、農村のレンガ造りの小さな家々が肩を寄せ合う景色に出会います。
どこまでも続く地平線に、おもいっきりスペースを使って、バンバン家屋を広げても良いんじゃないかと思うのですが、やっぱりスモールサイズ。
どっちかっちゃ、中国の人はお庭に空間を割いています。
自分は、でっかい家って住んだことナイので分かりませんけど(笑)、意外と人の住環境って大きくならないもんなんでしょうか? -
イヤ自分なら、家はビッグならビッグなほど、いい(笑)。
ついでに、庭もデカイ方がいい。
どっかから、遺産が転がりこまないかな〜。
顔も見たことのない、死にかけた外国暮らしの親戚がいないものか・・(妄)。 -
思考回路が、どんどん危険な方向へ〜。
-
いつもか?
-
美しい廃屋のような『集慶樓』にいると、時間の間隔が無くなります。
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皇軍の傷が残る戦跡や、福建土楼群のような記憶と共にたたずむ、人々の痕跡が垣間見える地域を旅をしていると、時々感じるのですが、自分が空気になったように意識が拡散します。
-
なーんにも、考えない瞬間というか。
-
自分が誰で、どこへ行くのかも、知覚できない。
むかしから此処にいて、日差しが射せば浮き上がる影みたいに、存在はしているけど、本当はどこにもいないような。
そんな、不思議な感覚です。 -
「長い時間からみれば、命なんてあっちゅー間かも知れないなあ・・」
神妙な心持ちになります。
文化遺産として、こうして残るものもあるでしょうし、個々の人達の記憶の中に残るものもある。
短い時間だからこそ、存在証明って人間が生きてく上でスゴイ原動力になるのかも。
好きなものは多いけど、結局、死んでも持って行けるのは人の気持ちだけだと思うから、なるたけ良い事したいよなあ〜。
いっぱい持ってく予定で。
あんま、出来てないけど(笑)。 -
巨大な空虚の中、静かな誘発されるように、想いが去来したり、カラッポになったりしながら、時間が過ぎていきます。
やがて。
にわかに、黒い雲が重なる弧の上空へかぶさります。 -
「天気、ハッキリしないなー」
ぶつくさ言いながら、さらに上の階へ。
壊れていはいないものの、まったく気配がありません。 -
なんか、もったいないような・・。
若干の寂れはあるものの、まだまだしっかりした建物です。
こんながらんどうで置いておくのは、もったいない!
すこし手を加えて、宿泊もできるようにすれば絶対ウケそうなのに〜。 -
資本主義の世界で生きていると、どしても思考が「儲かるには」の方向へ流されやすい(笑)。
音の無い部屋の格子窓を覗くと、遥か眼下に瑞々しい緑が揺れています。
なんで、こんな高いの〜っ?! -
これ、4階建てだったよね??
すぐ脇が、谷川になっているらしく、お城の塔から見下ろしている感じ。
びっくりした! -
しっかりしているように見えても、すこし廃れてきているのか、登れない階段も。
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怪我をしたらシャレにならないので、好奇心は抑えて降りてきまちた。
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地上階に足がついた途端に、激しい雨が軒をたたき始めます。
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およ。
これって、スコールか?
気がつくと、中央のお堂には洗濯物が。
なんで、あげな中途半端なとこに(笑)。
でも、土楼内を歩いた限り、住人は居なさそうだったのに?? -
この、中側の円周も展示室みたいだし。
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展示室を観て歩く前に、しばし雨音に耳を傾けます。
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傾け・・・。
って、マジすごい勢いなんすけど(汗)。 -
軒下にいても、地面から弾けた雨水が靴を濡らします。
避難、避難。 -
入り口には、手作りテイストの看板。
かわいいな。 -
なかは相変わらず、埃かぶってそうな肩の力が抜けた展示なんですけど(笑)。
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空白の建物の中にいると、環興樓のあの刺すような臭気や、建物内に満ちた人の気配が、たまらなく恋しく感じている自分に気がついて、とまどいます。
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一晩泊まっただけで逃げ出したのに。
美しさと静寂を兼ね備えた、この集慶樓とくらべれば、雲泥の差です。
なのに、無性にあの生活観あふれる土楼を想起してしまう。 -
ガラスケースに入れられたまま、管理され朽ちていくより、欠けや汚れを伴っても、身近に使われ続ける物のほうが心惹かれる。
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土楼の魅力って、想像を超えたユニークな建築だけじゃなくて、そこに住む人を含めて、惹きつけられていたんだ、と気がつきました。
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単に「同じものなら使わにゃソン!」という、ケチな性分かも知れませんけど(笑)。
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ケチだからこそ感じる、素朴な疑問。
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コレ、何に使うのー??
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いろんな種類のプラカード(?)が、打ち捨てられたように(笑)並べられていますが、漢字を読んでも「何に使われたのか」という、想像がつかにゃい。
なんだー?? -
おじさんに説明していただきたいトコですが、あいにく姿が見えません。
雨は、ますます激しくなるばかり・・。 -
軒先を、うまく渡りながら移動。
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えーと、こっちかな?
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なにをグルグルしとるのかと言いますと・・。
-
オラ!
一発!
ドンピシャ!
最後に、中心部のお堂を観たかったのでございマス。 -
雨をよけて、駆け足で門をくぐると、対になった真っ赤な提灯と、コチラへ向き合うように椅子が並んでいます。
集会所みたい? -
一族のお祝いとか、話し合いとか、そーいうのをここでやってそう。←住んでいる人が見つからんが
壁に掛かっている額には、どうみても家訓みたいな漢字が連なっています。
あんま長いと解読できん(汗)。 -
核心はコレだ(笑)!!
日本では、儒教の原形が逆転して『忠孝』と定着しとりますが、本来はこの『孝忠』が正解。
君主への忠節より、親に報いることが人のあるべき姿として、主張されています。 -
序列をひっくり返すだけで、まったく違う意味になる。
面白くもあり、怖い部分でもありますね。
中央の祭壇を覗きます。 -
ここにも、観音様。
アモイ大学のKさんの言う通り、先祖の位牌みたいなものじゃなくて、観音様を祭っている土楼が多いですね〜。 -
土砂降りの雨が、まったく収まるようすが無いので、入り口近くのみやげ屋で、おみやを物色していると、どこかで休憩していたらしき、運転手のおじさんがチョイチョイと肩をたたきます。
「アレ見た?」
「アレってなんすか?」
「見てないの?じゃあ、こっちおいで」
手招きしながら、みやげ屋のすぐそばにある、内側円周の展示室へ入っていきます。
そこなら、さっき見たけど。
「縁起が良いんだ」
おじさんはそう言いながら、部屋のすみにあるケースをガンガン叩きます。
???? -
これが、そのケース。
なかには、お水の入った洗面器と黄色い枕、たくさんのお金が入っています。
賽銭箱?
でも、叩いちゃマズいんじゃ・・。 -
おじさんが何をしているのか理解できずにいると、腕をつかまれて、ケースのサイドへ立たされます。
「ホラ、ホラ」
と指差す方向へ目を凝らすと・・・!
枕じゃない!
蛇じゃっ!!
大蛇〜っ!! -
とぐろを巻く、黄金の蛇!
「めずらしいでしょう。動くともっとスゴイんだよ」
目を丸くしている私に、満足そうな笑みを浮かべ、網に指を突っ込んで、ぐらぐら檻を揺らすおじさん。
やめれ、オヤジ!!
指、咬まれるぞーっ(汗)! -
慌て顔もウケたらしく、「じゃ、行こっか」とスタスタ出口へ歩いて行くおじさん。
ゼッタイ、ほかの観光客にもおんなじ事してそー(汗)。
今度は村の中にある、四角い土楼へ案内してくれるそうなんですけど、すんごい雨はまだ弱くなりそうな気配もなく・・。 -
「まったく、こんな雨ん中ウロウロしとんのは、観光客しかおりませんなー」
と、通じない日本語で、おじさんにくっついてお次の土楼へ。
よく整備された足場は、決して悪くないのですが、基礎が石なので、ツルツル滑ります。
そそっかしいのが、コケないように、ちゃんと合わせて待っていてくれる、おじさん。
やっぱ、イイ人だ。 -
なるべく、軒下づたいに村を進みます。
「ここだよ」
案の定、着いてみると、住人はみな家の中へすっ込んでいます。
そーだろうなあ。
この土砂降りじゃね。
こちらの四角い土楼は、入口に立っただけで、現在進行形で住人がいると分かります。
空気に乗って、飼育されている家畜が臭うんだもん(笑)。 -
『縄慶楼』?
なんで、縄?
1799年に建てられた、徐さん一族が所有する長方形の土楼だそうです。
縄の由来は・・書いてないか。
では、さっそく〜♪ -
中心にある祖堂は、残念ながら扉が閉ざされていて、内部がどうなっているのか測れません。
なので、メインの建物をまわってみることに。 -
四角い土楼って、午前中に見学した承啓樓のヨコにもあったけど、入れなかったので、今度こそバッチシ観とかな!
-
「俺は近くにいるから、グルッと観て来なよ」
と、おじさん。
「がってん」
さっそく、カメラを構えなおし、屋根の下を一周することにいたしヤス! -
階上へも行ってみたいんですけど、縄慶楼には明らかに住人の気配がするので、立ち入れない壁を感じます(笑)。
だって、お許しは頂いているものの、人の居住スペースに入っていくのって、そこはかとなく不法侵入っぽくないスか〜? -
まあ、中庭っぽい、この地上階なら問題なかろう、と。
-
「玄関の赤い貼り紙が、中国っぽい!」
とデジカメを構えていると・・。 -
建物の角から、ちょこんと一羽のニワトリちゃんが走り出て来ます。
こちらへ飛び出たものの、
「あ!人間っ」
あわてて引き返して行くニワトリ(笑)。 -
そういえば、出発前に母上から、
「中国は風土病がいっぱい。動物には絶対近づかないように!即、新型鳥インフルエンザだからね!!」
という、独断と差別と偏見に満ちたアドバイスを、承ったような・・? -
「んな、中国の地方都市だって、飛行機が行き来する昨今だよ。動物園にでも行かなきゃ、早々動物に囲まれる状況なんて、ありえないじゃ〜ん」
と、鼻もひっかけなかったのですが・・。
目の前に、縦列するニワトリーズ!!
なんでーっ?! -
うほっ!
ここにも〜っ(泣)。 -
「近ヅイテハイケナイ」と言われた見本のような、おニワ様たちが、行く手を塞ぎます。
新型インフルエンザの、発生リスクが高い場所は、鳥と豚と人間の生活圏が近い地域、といいます。
鳥の運ぶウィルスに、まず豚が感染。
鳥から直接人間に感染する確率は低いものの、豚と人間は、ウィルスの行き来が起こりやすい。
なので、この三者が同居している地域は、要注意だとか。
うーん。
ブタさんは、見てないけど・・。
ま、インフルエンザのひとつやふたつで、死にはしないでしょ。
死なない、死なない。 -
同じ注意するなら、足もとの落とし物の方が・・。
油断すると、踏んでしまいそうです(笑)。 -
家禽だって病気はあるし、こーいう子どもの方がヤバそうだよな、と思って顔をあげると、瞬時におニワ様たちが消えとります。
あれ?
見まわしたその時・・!! -
バシャーッと。
-
四角く切り取られた空に、穴があいたように水が落ちてきます。
-
どこさ行った、ニワトリーっ。
野生(?)の感というやつかしら?? -
しっかし、全然ちがう地域にいることを、実感しちゃいますね。
こんな雨だらけの夏って、はじめて。
この夏は、けっこう雨が多かった印象がありますが、それにしたってこんな雨、めったに体験しないよなあ〜。
南国だ。 -
こうなってしまうと、中庭に出る度胸も無く・・。
-
つれづれなるままに、部分写真。
よっぽど、うえに登りたかったのか、階段写真が残ってました(笑)。 -
スゴイ。
雨が、写真に写る。 -
この地域なら、水害はコワいけど、渇水はなさそう。
あの、ツルツル滑る石畳の意味が、ようやく分かったような気がします。
土楼の基礎がしっかりしている訳ですね。 -
おニワ様の見えない適当な場所で、雨宿りをしていると、サイドからも祖堂へ入れるみたいです。
先ほど正面入口は、木の扉が閉じてましたけど。 -
「ちょこっと、のぞいて見たいけど。この雨じゃなあ〜・・」
しばらく、空を見上げてボンヤリしていましたが、こうしとってもしゃーない!行くぜ! -
意を決して(?)雨の中、おもてに出ないカタチの観光を続けることに致します!
-
「愚かやのう〜」
と観光客を見送る、濡れないベンチに避難しているおニワ様。
串焼きにするぞ、こんにゃろ。 -
「ゆっくり見れた?もういいの?」
「はーい」
村の小さなお茶屋さんで、たばこを燻らせながら待っていてくれたおじさんに、傘を差し掛け、村をまわりながら、駐車場方面に向かいます。 -
ちょっと不思議に思ったんですけど。
建物の壁面を、ほぼすべて土壁で作られている土楼って、こんな雨の多い地域じゃ、痛みが早くないんでしょうか? -
私の祖母が住んでいる群馬の農村では、庭先に土蔵がある家をよく見かけました。
土蔵には漆喰が塗られており、なんとなくですが「防水加工?」と、子ども心に思っていました。
(いまでは倉庫も、おっきいプレハブ小屋みたいなのが、主流ですが) -
雨よりは、ドカ雪や雷がよく落ちる村なので、この福建省地域とは気候条件が違いますが、なんとなく土壁だけだと心もとなく感じてしまいます。
土楼の入口部分は、あきらかに漆喰と思われる、白い化粧壁でおおわれています。
「漆喰」という技術が使われない地域、というわけでは、無いよう。 -
「濡れて傷んじゃったりしたら、全部くっついているだけに、大改修になっちゃうんじゃ?」
と、首をひねりますが。
こんだけ蒸し暑いうえ、窓の面積が極端に少ない建物だと、壁全体で通気性を確保しないと、逆にカビちゃったりしてヤバいんでしょうか? -
素人ですから建築のことなんて、さっぱり分からないですけど。
職人さんが見たら、気候に合わせた工夫が分かって、面白いんだろうなー。 -
補修の時は、ジャッキー映画のように、やっぱ足場は竹で組むのかな〜v
余計な方向へ、頭がいき始めるころ、雨も小降りになってきます。
雨宿りしていた、観光客の姿もちらほら。 -
轟音をあげて流れる、増水した村の水路から、少し距離を置いて(笑)おじさんと連れ立って歩きます。
-
うっそうと土楼がそびえる初渓村は、「村」というより、やはり大昔の都市を思わせます。
-
いまは、村自体の人口が少ないのか、土楼を生活の場とする世帯が減ってきているのか、(たんに悪天候だからか?)人通りもなく、静寂が漂っています。
-
住む人や、日常的な利用者が消えれば、管理されていたとしても、建物は時間をかけて廃墟になっていきます。
-
現在中国では、都市化する沿岸部に人口が集中しています。
こんな巨大な土楼が、存続できるコミュニティーを今後も維持していくことが出来るかは、想像の域をでませんが。
そこに暮らす人々とセットで、生き残ってほしいと思います。 -
ユニークでデカイ建物っつーなら、世界を見渡せばエライあるけど、建てた人の一族がいまでも住んで、生活してるっていうのが、来てみてわかった土楼の魅力です。
スローライフならぬ、土楼ライフ!
続いていってほしいものです。
そろそろ、初渓村の見学も終わりに近づき、おじさんともと来た道を引き返します。
川!
川が、怖いべさっ!
水路同様、水かさも勢いも増していて、マジやばい。
渡りきった時は、正直ヘンな汗が額に浮かんでいます。
これ、なんとかしてくださいヨ。 -
「おみやげ、なに買ったの?」
駐車場へ戻り、帰路を走る車内で今日1日お付き合いくださった、おじさんが話しかけてきます。
「えへへ♪
タイガーバームと〜、竹で出来た土楼の模型と、福建省土楼マップでございます」
土楼内の売店で購入した、観光客丸出しおみやだ(笑)。悪いか!
オイラはメンソール系の匂いがダメだけど、ウチの母上がタイガーバーム大好きなので、買うてみました。
あんなん、塗ってるって、10メートル先でもわかっちゃうじゃん。
自分のおみやに、自分でクレーム。
強弱する雨の道を走り、ふたたび謎の宿泊先の町へ。
アヤシイ宿へ戻ると、土楼でゲットおみやを手にした私に、目敏いぼったくりオバさんが素早く近づいて来て、言います。
「お茶を買わない?」
ゼッタイ、買わん。 -
1日いっしょに付き合ってもらって、運転手のおじさんは信頼に足る人と見ましたが、オバさんはとてもじゃないけど・・・アヤシイ!
同席していると、また何か売り込まれそうなので、適当に言い訳して、お昼を頂いたイイ感じの食堂へ逃げ込みます。
はあ〜。
気が休まらないよ。 -
ちょいと早お夕飯ですがー。
ここだと寝るのが早いから、いいのだ。
周辺には団地はあるものの、これといったお店もないし、街灯が少ないので夜歩き出来る場所じゃない。
就寝するしかない。
なので、ゴハンも早めで。
お昼と同じものは、どうかと思うので、夕飯には焼きそば!
もちろん、ソース味じゃなくて、中華風の複雑な香辛料の味がします。
ちょっと、油が強すぎて完食は出来ませんでしたが、まあまあのお味でございました。
ご馳走様す。 -
夕飯を済ませ、腹ごなしに辺りを探索してみることにします。
まず、この町がいったい何処なのかを確定することから。
『永定土楼民俗文化村』ではナイのは確実。
ぼったくりオバさんが『振成楼』だといった土楼は、夜が明けてみれば、『環興樓』という土楼だったコトが判明・・。
しかし、まったく『永定土楼民俗文化村』と関わりの無い場所かというと、そうともいえず。
『世界遺産』のロゴ入り記念碑や、『福建土楼客家永定、歓迎您』という大きな看板が、道路わきに掲げてあります。
なにより気になるのは、『歩き方』掲載の写真のような、白い鳥居っぽい門があって、ゲートも見えること。 -
ひょっとして、この付近が『永定土楼民俗文化村』なのかも知れない?
そんな淡い希望を胸に、日の沈みかけた薄暗闇の中、ゲート横の小道を進みます。
なんだか分からないゲートは、朝は開いてないし、この時間にはもうクローズしてしまっているので、さきへ通過するこができませんが、「外側からチョットのぞけるか?」と、行けるとこまで行ってみることに。 -
ゲート広場の左手に、小さな横道がのびています。
道なりに歩いて行きますが、観光施設のようなものはなく、完全に農道といったようす。
川向うに、四角い土楼まで現れます。
あっれー?? -
「ダメだ・・こっちじゃない・・」
永定土楼民俗文化村は、一体どこにあるんでしょう?
あの、ゲートの向うが怪しいけど、開いてないしな〜。
結局、この道からでは、どんどん違う方向へ、行っちゃっているっぽいし。
口惜しいので、四角土楼を1枚。
いや、2枚・・。 -
角度を変えて・・。
(アホか)
残念ながらこの場所が何処なのか、決定打となる確証を得ることなく、夜が近づいてきます。
ぼったくりオバさんの宿へ、帰えろ。 -
さて、次回は!
――ココハドコ――
その謎は、解けるのか?
まったく、あぶなっかしい旅でスミマセン。
それなりに、ガンバってんすよ?
それなりに。
(二度くり返すと胡散臭い?)
ま!いい旅しましょー。
『ハードに生きろ!⑤福建省・土楼群(マスコットおじいちゃん??)』
おったのしみに~。
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