2004春、台湾旅行記3(6)：3月26日(5)台北・夜の中正紀念堂、総統府前、国民党本部

2004/03/26 - 2004/03/28

3月26日の旅行写真の続きです。総統選挙の開票を巡って大荒れの中、中正紀念堂に立ち寄った後、バリケードが張られた総統府前に移動しました。その前に国民党本部の中にも入りました。少し無謀でしたが、台湾の政治情勢が実感できた一夜でした。

エリア 台北(台湾)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 鉄道

電飾で飾った車も構内に停めてありました。この時は賑やかな音楽を流しており、演台にも早変わりしていました。

中正祈念堂の中に集まってきた人達です。家族連れや、友達同士のグループもいました。

｢大中至正｣の掲額がある中正紀念堂は、国民党の指導者で総統だった蒋介石を祀ったものです。広大な敷地を有しています。

中正紀念堂の敷地の中には、コンサートホールなどの大きな建物もあり、この日は夜遅くまで煌煌と明かりが灯っていました。

普段の夜は、こんなに空が明かりで染まることはないでしょう。小雨にも反射して、夜空を照らしていました。

中正紀念堂での抗議集会は下火になり、総統府広場方面に人が移動しているとの気配がありましたので、私も歩いて移動しました。

総統府前付近に移動するため後にした、中正祈念堂です。街全体をただならぬ気配が覆っていました。

｢天下為公｣の文字の後には、孫文の署名がされています。原書も孫文の自筆によるものでしょう。国民党本部の正面です。

ここはもう本部建物の中です。誰でも自由に出入りができましたので、此処までやって来ました。総統府から程近い距離にありました。

本部建物の中には、投票日の前日に起きた陳水扁候補銃撃事件の写真や、この真相をめぐる疑惑の説明書きで溢れていました。

この写真は銃撃直後の陳候補です。銃撃にあったとされる腹部を、大勢が写った写真から、順次アップにしてありました。

国民党本部のロビーにはテレビが備え付けられていて、時々刻々伝わるニュースに支援者が見入っていました。

皆さん真剣そのもので、私のようなよそ者が入ってきても、まったく気に留める人はいませんでした。入口で、国旗と鉢巻を貰いました。

この椅子席のホールでは、定時的に報告や演説が行われているようでした。その合間には休憩所を兼ねていて、静かでした。

国民党本部の見学(?)を終えた後、総統府前の広場での選挙不当を訴える抗議集会の方を覗きました。小雨が降り続いていました。

夜の11時に近くなっても民衆の数は一向に減りませんでした。時々刻々に、動員や場所の移動も指示されているようでした。

バリケードの最前線には演台が設けられ、かわるがわる演説が行われていました。長期戦に備えて、腰掛持参の人が多くみえました。

細かい雨が降り続いていましたが、総統府前の広場に籠もった熱気で、それは振り払われていました。

総統府広場近くの塀全面に、ポスターが貼ってありました。｢罷免総統｣｢台湾陳水扁騙子｣等の文字が見えます。ファックス等です。

此処が総統府付近を立入り禁止にしたバリケードの最前線です。バリケードを挟んで、機動隊と連候補支持の民衆が対峙していました。

昨晩、総統府前広場を離れたのは0時少し前でした。後方に機動隊の車が多数と、大きなクレーン車が配備されたためでした。

総統府前のバリケードの演台は、クレーン車で撤去され、機動隊が隊列を組んで大衆の強制排除を実施しはじめました。こちらは慶福宮の様子です。

画面には、｢執行慶福門浄空・警将執行第三波駆離｣のタイトルが映されています。慶福宮付近での強制排除の模様です。

強制執行のテレビを見たのは翌日の朝でした。テレビでは、民衆側が早朝に不意を突かれたような報道をしていました。

強制退去には抵抗もありましたが、怪我人等はなく、概ね平穏に終わりました。機動隊の説得に応じて、握手するご年配の人もいました。

抵抗を最後まで続けていたのは女性の方々でした。広場にダイイングして強制排除に精一杯抵抗していました。

テレビ報道は両候補に中立の立場を保っていたようですが、抗議行動の方達に同情的な場面を多く流していました。

日本や韓国でしたら、流血騒ぎになっていたところでしょう。台湾の人達は、基本的には穏やかな性向を持った人だと実感しました。

画面の上の文字は｢警力駆逐・府前浄空｣です。警察の強制力で、総統府前から抗議デモが排除されたことを報じていました。一方、下側の文字は、慶福宮前で衝突があったことを報じていました。

総統府前広場を排除された民衆は、もう一つの大きな拠点、中正紀念堂へと移動を始めました。プラスチックの椅子持参でした。