弘前の近代建築を訪ねて～教会編～

2008/05/10 - 2008/05/10

明治の初めの頃より津軽の学都として発展した弘前の町。中でもキリスト教系の学校である東奥義塾が古くから外国人教師や宣教師がいたこともあってか、弘前の町には古い素敵な教会が３つありました。ここでは、その３つの教会を紹介いたします。

エリア 弘前(青森)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 高速・路線バス 徒歩

一番目の教会は赤煉瓦で造られた弘前昇天教会。早朝で開いていなかったため、外側からだけの見学です。

設計は立教大学の三代目校長も勤めた、Ｊ．Ｍ．ガーディナー。大正１０年の建設ですから彼の末期の作品になります。

ガーディナーの手掛けた教会は他に京都の日本聖公会　聖アグネス教会、明治村に移築された日本聖公会 京都五条教会、そして彼の遺骨が眠る日本聖公会　日光真光教会３ヶ所見ましたがどれも素晴らしい教会でした。

石で造られた館名板の文字は風化で薄くかすれてしまい長い歴史を感じさせます。

このアングルいいですね。てっぺんにある鐘楼は立体的なものでなく薄い平面的なものでこんな形ははじめてみました。

ハーバード大学出身のガーディナーは敬虔なキリスト教信者で米国聖公会によって２３歳の若さで、当時築地にあった立教学校に派遣され第３代立教学校の校長に就任します。

以来６８歳で聖路加病院でなくなるまで４５年間日本に滞在し立教大学の三代目校長を退官後設計事務所を開設し４０棟余りの作品を残しました。

明治27年の東京地震と大正12年の関東大震災という2度の大きな地震でその大半が倒壊し現存するのは１０棟あまりになってしまいました。

ガーディナーは愛娘にハスノハナと名付けるほどの親日家で、こよなく愛した日光にある、自ら設計した真光教会の聖書台の足下に妻のフロレンス、３人の娘や孫愛犬と共に遺骨が埋められているそうです。

教会以外にも横浜にある山手の外交官の家や京都の円山公園の前にあるタバコ王旧村井別邸（長楽館）などの住宅も手がけています。いずれもすばらしい建物で私の好きな建築家の一人でもあります。

教会をバックに入口に咲いていた花のスナップ写真をパチリ。

中が見れなかったのが残念ですが次に訪れることがあればまたじっくり見てみたいものです。

２番目の教会はカトリック弘前教会　明治43年（1910年）オージュ神父の設計で、堀江佐吉の弟の横山常吉が施工したものです。

幼稚園が併設されている教会です。

正面のゴシック様式の祭壇と開放的な単廊式コウモリ天井に特徴がある礼拝堂です。

この祭壇はオランダの聖トマス教会から譲り受けたもので１８６６年（慶応２年）に造られたもので、昭和１４年にここに設置されました。ベルギーの展覧会で、当時ゴシック建築としては最優秀賞を取った芸術作品だそうです。

あまり気にしてみなかったのですが、両サイドについていたステンドグラス、かなりきれいです。じっくり見なくて損した気分。

入口上部にはイコンも飾られています。

ステンドグラスは良く見ると創世記の「天地創造」以外に、ご当地弘前ならではのリンゴや津軽三味線、岩木山などを描いたのもありました。

中央に尖頭のあるロマネスク様式の木造モルタル造の聖堂です。

日本キリスト教団弘前教会。
　明治８年（１８７５年）「弘前公会」の名で創設された東北地方で最初の教会で、東奥義塾の英語教師ジョン・イング氏の元で洗礼を受けた人々が中心となって設立されたプロテスタントの教会です。
　

この礼拝堂は三代目になり、明治４０年（１９０７年）堀江佐吉の四男斉藤伊三郎によって建設されました。
　ノートルダム寺院を意識したという双塔ゴシック様式の建物です

初代の牧師は東奥義塾の塾長だった本多庸一氏がつとめ、津軽一円にキリスト教を広めたとされています。

内部は意外にシンプルで白を基調とした明るい礼拝堂になっています。

礼拝堂の入口側の背面に一部２階の部屋があります。

そこには二間続きの和室になっていました。外観のノートルダム寺院風の教会からは、和室はちょっと想像できませんでした。

尖塔アーチ窓に畳敷きの部屋　なんとなくミスマッチな感じがしないでもありませんが・・・。

青森産のヒバ材を使った明治のゴシックスタイルの教会　なかなか見事でした。