2007/07/18 - 2007/07/18
285位(同エリア469件中)
まみさん
2007/07/18(水)第11日目:マラムレシュ地方観光3日目(w/現地ガイド)
【宿泊:Pension Prisacaru(ヴァド・イセイ村)】
シゲット・マルマッツィエイの市場見学、木彫りの門の彫刻家のアトリエ見学、バルサナ修道院、ボティザの司祭の家で昼食&カーペット・アトリエ見学、ボティザの木造教会、イェウドの木造教会(閉鎖中だったので窓から眺めた)
※時間が足らなくて、ポイエニレ・イセイの教会には行けなかった(泣)
ブルサナは、最近建てられ、今やマラムレシュの木造建築の代表ともなっている修道院のおかげで、マラムレシュで最も有名な村の一つだそうです。
それが、今回、私が訪れたブルサナ修道院でした。
実は、当初、ブルサナを旅程の候補に入れ、あらかじめリクエストしておいたのは、世界遺産の木造教会のためでした。
ところが、現地ガイドのニコラエさんいわく、その古い教会の方は今は修復中で見学できないというので、新しい修道院の方に案内してもらいました。
新しいといってもすべて木造建築です。
ブルサナを有名にしただけあって、すばらしい修道院でした。
さまざまな木造建築のオンパレード!
そして博物館@
今やブルサナの観光といったら、世界遺産の木造教会よりもこっちの方が見ごたえあるかもしれません。
といっても、両方見て比較したわけではないので、あしからず。多分に独断が入っていると思いますが@
でも、信者さんたちにとっても、宗教心だけでなく、観光客と同じ好奇心を満足させられること、請け合いです。
修道院としての歴史はたとえ浅くても、これだけの木造建築がそろっているのですから。
たった数年でここまでの修道院を完成させたやり手の修道院長さまにブラヴォーです。
ちなみに、ブルサナの修道院は今や人気の巡礼地なのだそうです。
「Barsana「ブルサナ」村の教会
シゲット・マルマツィエイ市から17km、バヤマレ市から55km。この教会は1720年に建て始められましたが、現在の姿が完成したのは1800年。二重の構造が特徴です。聖壇には当時の絵が残っています。当時の有名画家が描かれたものと伝えられ、現在も見学できます。面白いことに、教会建設の途中段階から、神父たちの住居が教会の周辺部に建てられたため、今日では教会プラス住居の、複合記念物として知られています。」
(ルーマニア政府観光局公式サイト「世界遺産─Maramures─マラムレシュ地方の木造教会」より)
http://www.romaniatabi.jp/unesco/maramures.html
-
ブルサナ修道院へのゲート
ここからゆるやかな坂を上った先に、修道院はあります。
このゲートには扉がないですね。
ブルサナ修道院では写真代は有料です。
5レウでした。
(2007年7月現在、1レウ=約55円で換算)
ブルサナ村はヴァド・イゼイから12kmのところにあります。
人口は約5,000人(情報源:2007年8月発行のMetaneira社のマラムレシュガイドブック)。
ブルサン(barsan)とは、もともと、分厚くて長い毛の羊を飼う羊飼いの意味だったそうです。
中世にこの言葉はファミリー・ネームとしてよく使われるようになりました。
村のついての最古の記録は1326年にさかのぼります。
世界遺産の方の古い教会は1720年に建てられました(はじめは村の郊外、1802年に村の真ん中に移設)。 -
鐘楼(左)と木造教会(右)
鐘は鳴らすと建物が揺れて危険なため、教会と鐘楼は別々の建物にするのが普通だそうです。
ブルサナの修道院が人気の巡礼地だということはLonely Planet(2004年発行3rd edition)も書かれてあります。
そして、11時のミサは、「うっとりするような経験(magical experience)」と評しています。
毎日のミサは教会の中で行われますが、日曜日や特別の祝日のミサは野外で行われます。
教会の中で行われたとしても、正教会には信者席がないので、ミサの最中は立っていなければなりません。
特別の祝日ともなると、4時間くらい行われることもあるそうです。
「その間中、立っているのは大変ではないですか」とニコラエさんに尋ねたところ、「信仰があるので、神の言葉を拝聴するありがたいミサの間は4時間なんて苦にならない」とのことでした@
もっともブルサナ修道院でそういった特別のミサが行われるときは、司祭さまがおわす中央の東屋周辺はなだらかな丘になっているので、長いミサの間は座って拝聴することも可能かもしれません。 -
ブルサナ修道院の教会
教会の塔の高さは57メートルあります。
サプンツァ・ペリの教会ができるまでヨーロッパ一高いといわれたスルデシュティの教会が、本体18m+塔54m、=72m、サプンツァ・ペリの教会が、塔だけの部分のデータは見当たらなかったのですが、塔を含めて78m。
修道院内の建物としては、教会の他、暖かい季節に外でミサを行うための「夏の聖堂」の建物、2005年に開設されたイコンと古書の博物館(16〜19世紀のイコン、宗教書、写本。ほか村人が制作したイコンや民芸品などをコレクション)、修道女がガラス・イコンや木造イコンや毛織物を制作するアトリエ、アギアスマルル((aghiasmarul)=聖水の源泉の建物)、門塔、僧侶の宿舎(たった一人しか住んでいない)、図書館と修道女たちの宿舎、迎賓館などがあります。
ゲストや巡礼者のための宿泊施設もあるそうです。
6月30日の12使徒の祝日には、盛大なミサが行われます。
ちなみに、やり手の女子修道院長さまは、2007年8月発行のMetaneira社のマラムレシュガイドブックによると、フィロフテア・オルテアン(Filoftea Oltean)とおっしゃる方だそうです。
ただし名前のスペルは、ブルサナで買ったパンフレットの方では、フィロフイア(Filofteia)となっていました。むむ。 -
教会さらに近寄って
この教会の屋根には小塔がない分、シンプルです。
小塔があるととてもお洒落なのですが……単なる装飾ではありません。司法権を持つ教会だったということを意味するのですから。
★屋根に小塔のある木造教会
・スルデシュティの教会
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/12868720/
関連の旅行記
「2007年ルーマニア旅行第9日目(1):世界遺産のスルデシュティ木造教会を訪ねて」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10189130/
・ブデシュティの教会
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/12887190/
関連の旅行記
「2007年ルーマニア旅行第9日目(3)マラムレシュ地方:ブデシュティからヴァド・イゼイへ」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10189134/
・ブカレストの農村博物館に移設された教会
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/12589943/
関連の旅行記
「2007年ルーマニア旅行第2日目(7):まだ未整備の(?)もう一つの農村博物館」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10172929/ -
「夏の聖堂」とその他の建物
中央の建物「夏の聖堂」は、日曜日や祝日の特別なミサを挙げるときのものです。
でも、さすがに冬は外でミサを挙げないようです。
この地方は冬の寒さが厳しいですからね。
奥の左の建物は、他の教会から僧侶が来たときなどにもてなすときの建物です。
ニコラエさんは「ダイニング」と説明してくれましたが、要するに迎賓館みたいなものかしら。
奥の右の建物は、修道女たちの住まい。
これらの建物は、建てられてからまだ14年くらいです(2007年現在)。
このような短期間にこれだけのものができたのも、修道女長さまがやり手だったから、とニコラエさん。 -
毎日のミサが行われる地下礼拝堂
イコノスタシスの王門(中央の門)を中心に&車輪のようなシャンデリラ
木造教会の中を見学しました。
地下礼拝堂では写真撮影を許可してもらえました。
イコノスタシスは、両脇にもちゃんと扉があります。
真ん中に王門があり、左右と3つあるのがふつうなのです。
※イコノスタシス
正教会には必ずある、神の聖なる領域と私たちのいる俗世の境界線であるイコンの壁。
そうやって聖俗2つの世界を厳密に分けるとともに、異質な2つの世界の接点となっている壁でもあります。
ミサのときにはこの扉が開かれ、信者はあの世と神の存在を、司祭の祈りとイコノスタシスの壁を越えてやってくる聖書から感じ取るのです。
以上は、主に以下の書籍から得た、私なりのイコノスタシス解説。
主な参考書籍
「イコンのこころ」(高橋保行・著/春秋社)
「イコンのあゆみ」(高橋保行・著/春秋社)
「読んで旅する世界の歴史と文化 ロシア」(原卓也・監修/新潮社)
ただし、どれもルーマニア正教ではなく、その親戚ともいえるロシア正教会についての本です。
コメントに上記の「イコンのこころ」(高橋保行・著/春秋社)からイコノスタシスについての記述を抜粋引用した写真(ブラショフのルーマニア正教会のイコノスタシスの写真)
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/11967865/
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/11967883/
関連の旅行記「2006年ハンガリーとルーマニア旅行第18日目(4):ブラショフ中央公園とルーマニア正教会」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10135677/ -
天井画は、お決まりの「荘厳のキリスト」像&車輪のようなシャンデリア
毎日のミサが行われる地下礼拝堂にて -
毎日のミサが行われる地下礼拝堂
入口入って、ふりかえって左側の壁画
ここには教会が何に捧げられて造られたか分かる絵が描かれています。
この教会は12使徒に捧げられているので、12使徒が描かれていました。
頭に光輪がないのが、裏切りのユダですね。 -
イコノスタシスの王門に注目
毎日のミサが行われる地下礼拝堂にて
ワシの透かし彫りがキュート!
イコノスタシスの奥の聖なる祭壇の壁画もちょっと覗けます。
うーん、最後の晩餐かしら。
イコノスタシスの上の方に1993と文字があるのは、この礼拝堂が聖別された年でしょう。
その両方には、アルファとオメガ───始まると終わり、全てを意味します。 -
イコノスタシスの右側の扉とその前の壁と書見台
毎日のミサが行われる地下礼拝堂にて
天井の梁に描かれたキュートな装飾にも注目@ -
「荘厳のキリスト」が描かれた壁画と4人の福音書記者が描かれた壁
毎日のミサが行われる地下礼拝堂にて
天井を支える横木には、頭と羽だけの天使の絵が@ -
旧約聖書の3天使が描かれている天井画と壁画
毎日のミサが行われる地下礼拝堂にて
3天使が描かれたこういう図柄を見ると、すぐに思い浮かべるのは有名なロシアのイコン画家アンドレイ・ルブリョーフのイコンです。
この構図がルブリョーフの創作というわけではないとは思いますけど。
イコンは図柄が伝統的に決まっています。
イコン画家は神の世界を写し出す使命をもって、西欧のキリスト教美術とは違って個性は極力出さないのです。 -
教会の上のフロアから修道院の他の建物を眺めて
かわいらしい花の道が続いています@ -
右は修道女たちの住まい、左は修道士のための住まい
このブルサナ修道院には男の修道士はたった1人しかいません。
というのも、修道院では男女の住まいは別々にするからだそうです。 -
木造教会の窓
ギザギザ模様は、「オオカミの歯」というそうです。
伝統的な模様です。 -
木造教会の一部
クギもすべて木です@ -
斜めに見上げたところ
木造教会にて
こうやってはめ込むようにしてしっかり組み立てられています。 -
木造教会の階段に注目
この教会も、サプンツァ・ペリの教会同様、下の部分は石造りです。
その方が丈夫だからでしょうか。
あるいは安上がりだから?
材料の石は川原の石だそうです。
関連の写真
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/12942836/
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/12957671/
関連の旅行記
「2007年ルーマニア旅行第10日目(5):世界で一番高いサプンツァ・ペリ木造教会」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10192260/ -
墓地に続く木造の門と教会の塔
ちょっといいアングルでしょ。
実はこれ、お手洗いの前から見上げて撮ったものです@
えっ? そんな余計なコメントはいらないですか? -
修道女たちの住まい
-
一番巨大な建物は、ダイニング@
そう、ニコラエさんは「ダイニング」と説明してくれましたが、要するに、迎賓館みたいなものでしょう。
アーチが美しいです@ -
池にかかる木の橋と博物館の建物
博物館の入場料は1レウでした。
(2007年7月現在、1レウ=約55円で換算)
博物館には古い聖書や祝日の行進のときに使われる旗、木のイコンがありました。
2〜3階はちょっとした民俗博物館ニになっていて、古い農家の道具が展示されていました。
いままで民俗博物館で見かけて用途が分からなかったものもあったのですが、ここでニコラエさんに教えてもらうことができました。
おかげで翌日のシゲット・マルマッツィエイ民俗博物館では、だいぶいろんな道具が見分けがつくようになりました@
最上階では、ブルサナ村の人々の手による民芸品が売られていました。
また、1階のチケット売り場のところでは、修道女さんがガラス・イコンを作っていました。
ガラス・イコンは、ガラスに裏側から絵を描くため、通常の絵とは逆に、手前にくるものから色づけしていきます。
博物館内は、残念ながら写真は禁止でした。 -
ふもとの村
緑の屋根の建物は、かつては孤児院だったそうです。
今は法律によりこのような孤児院経営は禁じられ、孤児たちは家庭に引き取られることになったそうです。
他の建物はいまは主にペンションとなっているようです。 -
ブルサナ修道院全体
修道院で買ったポストカードより
(1枚1レウ)
中央手前は博物館、右手手前が入口兼鐘楼、その奥で一番右にあるのが木造教会。
左側にならっているのは、迎賓館や、修道士や修道女の宿舎。
★ブルサナ村の教会・修道院の略歴
ブルサナには14世紀後半には古い修道院がありましたが、1717年にタタール人(モンゴル人)の来襲により破壊されてしまいました。
1720年に再建されましたが、18世紀に入ると、ハプスブルグ支配のもとでは、修道院の存続が困難になります。1791年まで正教会として弾圧に耐えていましたが、1791年7月12日、土地・財産は全て押収され、修道院は閉鎖されてしまいました。
最後まで残っていた正教会の僧侶はネアムトの修道院に移り、教会は、ギリシャ・カトリック教会に転向しました。
1806年、村人たちは教会をもっと村の近くに移設することに決めました。現在、世界遺産の木造教会があるところです。
新しい修道院は、村の郊外、世界遺産の方の古い木造教会が移設される前にあった場所に建てられました。
体制崩壊以前、修道院の再建を始めることができませんでした。
1991年にやっと建築に必要な木材を集め出し、1993年に再建が始まりました。
教会の建築様式は「ネオ・マラムレシュ様式」と呼ばれ、伝統的な様式にとてもよく似ていますが、それよりもずっと大きいものです。
(情報源:RomanianMonasteries.orgのサイトで購入したMetaneira社のマラムレシュガイドブック&ブルサナ修道院で買ったパンフレット) -
6月30日の12使徒の祝日の日のブルサナ修道院
ブルサナ・パンフレット(4レウ)より
祝日はこんな風に、「夏の聖堂」でミサが行われます。
そして芝生に座ったりしてくつろぐこともあるみたいですね。
(違ったら失礼!)
そして右下の写真@
こんな民族衣装で着飾った人たちを、翌々日の7月20日の祝日に、ブコヴィナ地方へ移動する途中、あちこちの村で見ることができました@
「木造教会は未だすべて現役で、各共同体の宗教空間の中心になっている。マラムレシュの農村社会が生きながらえているのも、この木造教会の存在によるところ大である。木造教会は、その形の特異性ばかりについ目が行きがちとなる。しかし、マラムレシュでこれらの教会が担っている宗教的かつ社会的役割は、想像よりもはるかに大きいものがある。」
(「旅名人ブックス ルーマニア 伝説と素朴な民衆文化と出会う」(日経BP社)より)
旅名人ブックスシリーズでは、「木造教会は未だすべて現役」とありましたが、手狭になったために石造りの大きな教会が建てられて、廃れてしまった木造教会もなかったわけではありません。
しかしブルサナの修道院のように、新しく建てられる教会も木造のこともあります。
そして変らずに人々の心の支えとなり、共同体(コミュニティ)の結びつきを強めるのに大きな役割を果たしているのでしょう。
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この旅行記へのコメント (2)
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- スタリモストさん 2007/11/16 12:33:15
- 木造教会
- まみさん、こんにちは。
2006年にルーマニアを旅行した時、シゲットマルマツイエイからイエウドへ向かう道すがら沢山の木造教会を見ました。
ブルサナのことは帰国してから知り、タクシーを降りて見学しなかったことを悔やみました。まみさんの旅行記を読んで行った気分を味わっています。
規模が大きく、とても美しい教会ですね。西ヨーロッパの壮麗な石造りの教会はもちろんすばらしいですが、木造の教会には独特の魅力を感じます。
日本の木造建築に通ずるものがあるからでしょうか。
まみさんの旅行記を読んでいたら去年の東欧旅行が思い出され、私もルーマニアの思い出を少しですがアップしました。
時間があいたら見て下さいね。
続きを楽しみにしています。
- まみさん からの返信 2007/11/17 20:20:46
- RE: 木造教会
- スタリモストさん、こんにちは。書き込みありがとうございます。
ブルサナ修道院は小高いところにあるので、下からでも建物が一部見えますよね。
この敷地内にいろんなタイプの木造教会があるところが、ほんとにお得なかんじ。
夏だと花もたくさんでしたし@
スタリモストさんの2006年の旅行記、興味深く拝見しました。
バスも鉄道もないところを、一人でいかれたのはすごいですね。
ほかにどんなところを回ったのか、どんな行程をたどられたのか、とても興味があります。
ぜひ続きを載せてくださいね。
私のルーマニア旅行記もやっと半分を終えたったところです。
交通の不便なところゆえ、思いきって現地ガイドを雇って回ったので、一人で回るときにはなかなかチャンスがないだろうと思えるところで、たくさん写真が撮れたと思います。
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