
2007/07/18 - 2007/07/18
318位(同エリア468件中)
まみさん
2007/07/18(水)第11日目:マラムレシュ地方観光3日目(w/現地ガイド)
【宿泊:Pension Prisacaru(ヴァド・イセイ村)】
シゲット・マルマッツィエイの市場見学、木彫りの門の彫刻家のアトリエ見学、バルサナ修道院、ボティザの司祭の家で昼食&カーペット・アトリエ見学、ボティザの木造教会、イェウドの木造教会(閉鎖中だったので窓から眺めた)
※時間が足らなくて、ポイエニレ・イセイの教会には行けなかった(泣)
ブルサナ村の修道院に向かう途中、現地ガイドのニコラエさんが、「このあたりに木彫り師のアトリエとミュージーアムがあるけれど、行ってみたい?」と私に尋ねました。
こういう「飛び入り」は大歓迎です。
「行きたい!」と即座に答えました。
そして訪れた木彫り師のトアデール・ブルサン(Tader Barsan)さんのことは、帰国後にRomanianMonasteries.orgのサイトで購入したMetaneira社のマラムレシュガイドブックにも載っていました。
ブルサナ村にはたくさんの木彫り師がいるようですが、その中でもトアデール・ブルサンさんは特に有名だそうです。
ルーマニア国内のみならず、海外でもその名は知られているようです。
彼の作品は、ルーマニアのさまざまな村や町のみならず、海外でも目にすることができるそうです。
ブルサンさんのアトリエが、そのままミュージーアムにもなっていました。
先にそのミュージーアムをお邪魔させてもらいました。
1本の丸太から作り出された鎖付のスプーンもあれば、イコンもありました。
伝統にこだわらない奇抜な、でも可愛らしい木彫刻群は、息子さんの作品でした。
野外のアトリエではトアデールさん本人と息子さん(2人のうちの1人)が仕事をしていました。
たくさんの木材が横倒しになっており、木のなんともいえない良い匂いがしました。ちょうど、大きな木造の門を制作中で、門の中央には制作年度を示す「2007」と記されていました。
ニコラエさんは2人とそれぞれ少し世間話をし、その内容をかいつまんで私に翻訳してくれました。
なんでもウクライナの方で列車事故か何かがあり、その爆発の黒煙がハンガリーの方に今、流れてしまっているとのこと。
そういったニュースから、ルーマニア政府が木造建築を保護する木がないために、コストのかかる木造建築を手放す家が多くて残念だ、という話まで。
実は、新潟県中越沖地震のことを知ったのは、このときだったりします。
ニコラエさんのペンションにはテレビはあるのですが、ルーマニア語放送しか入りません。そのため、ニュースではなく、まだ会話の見当のつきそうなドラマしか見ていなかったものですから。
ただ、「いま結婚していないのなら、若い男を紹介するからここで暮らしたらどうだ?」と2度も言われたのには、ちょっと閉口しましたけどね。
社交辞令というか、本当にこのあたりの生活を一番と思っている人の、一種のおもてなしの心と思いましょう。
マラムレシュでの田舎暮らしは心がやすらぐとはいえ、一日中、乾草をつくり、ミルクを絞り、家畜を世話したいとは思わなかったので。
だいいたい、当事者となったらどうでしょう。農作業はとても重労働でしょう。
今、ゆっくりまったりと穏やかに過ごせているのは、休暇中だからです。
それに私は、劇場やショッピングといった都会の魅力に毒されています。このルーマニア旅行中ですら、見たいテレビを家ではタイマー録画してあったりします。
確かに、ここマラムレシュの暮らしに比べたら、私の日常生活は、小さなことであくせくしたり振り回されるばかりの一日だとつくづく思います。
都会生活は、人が生きていくのに本当は必要でないものばかりを背負い込んでいて、マラムレシュのような田舎生活の方が精神的に健全な生活が送れるかもしれません。
でも、振り回されるのは、ほとんどは人と人との付き合いから来るもの。プライベートであれ仕事であれ。
どんなにまったりした田舎のマラムレシュ地方であっても、人と人との付き合いの難しさは、やはり人が集まればどんなに小さなコミュニティでも無縁ではないはずです。人が集まって生活を営むところでは必ず、争いもあれば、負の感情と向き合うことも避けられないでしょう。
都会で人が多いところに比べたら、ストレスは低いかもしれませんが。
そういうのが一切無縁な世界といったら───もうそれは、あなた、すでにこの世にいないということかもしれません。
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木彫り師のお宅の門
すてきな文字で「MUZEU」とあります@ -
三次元(彫刻)のキリスト像
これも一種のトロイツァ(ルーマニア版道祖神)のようなものでしょう。 -
博物館兼アトリエに続く門
最初のゲートをくぐって、左手にありました。
先に博物館兼アトリエを見学することになりました。 -
アトリエ兼博物館
ポーチのある、マラムレシュの典型的な家です。 -
アトリエを守る木彫りのクマ
このあたりはクマもオオカミもキツネもでるそうです。 -
我々を出迎えた面白いオブジェ
木の枝でできた顔@ -
アトリエ兼博物館のポーチの柱の美しい浮彫
-
我々を出迎えた面白いオブジェ
ニヤリ@ -
灰皿入れと網目の浮彫りが美しいポーチの柱
柱の方は、生命の綱のモチーフたっぷり@ -
アトリエ兼博物館のおしゃれなポーチの柱
アングルを変えてもう一枚@ -
2人の息子さんの、伝統に捉われない楽しい作品
アトリエの第一室目に所狭しと展示されてありました@ -
2人の息子さんの、伝統に捉われない楽しい作品
コインタイプのヴラド・ツェペシュ(ドラキュラのモデルとなったワラキア公)と、奇妙な顔たち -
ヘビと人面柱が気に入ったので、もう一枚!
奥にある作品、大阪万博のときに作られたという岡本太郎の「太陽の塔」をなんとなく似ている気が@ -
伝統的な木のスプーン
とても巨大です。
大きさの比較のために、ガイドのニコラエさんに指でさしてもらいました。
ニコラエさんの手が右端にあるのが見えるでしょうか。
こういう鎖つきのスプーンは、鎖の部分も含めて、1つの木から作られています。
輪を作って後から鎖状にしたのではなく、最初からつながって出来上がるように彫られています。 -
テーブルセット
見事です。
これも全て、1つの木から作られているのです。 -
この地方の伝統的な毛皮の上着「グバ」
見て分かるとおり、真冬のコートです。
羊毛を粗く紡いで織ったもので、昔は富農は白いグバ、小作人や貧農はグレイのグバを着ることがきまりとなっていましたが、今はそのようなことはないそうです。
(情報源:「マラムレシュ〜ルーマニア山村のフォークロア」みやこうせい著(未知谷社))
奥の民族衣装の浮彫りもかわいいです@
上着がおいてある木のベンチの背もたれのところも、見事な浮掘りです。 -
木の十字架や燭台や門や教会の模型など、さまざまな作品
テーブルそのものにも、生命の綱をモチーフにした美しい浮彫り! -
我々を見送ったタコ!
アトリエ兼博物館のすぐ外にて
ユニークなこれも、息子さんの作品ですね。 -
アトリエ兼博物館の美しい浮彫のある柱頭
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木浮彫の美しいアトリエ兼博物館のポーチの一部
「屋根を支える柱には素朴な木彫りが施されている。これこそ、ルーマニアの生んだ彫刻家ブランクーシの名作「終わりなき円柱」の原型だといわれたりする。祈りと瞑想の彼の彫刻の中には、マラムレシシュの民衆芸術──それは名もなき農民が生活のためつくり出した必需品だった。また、土着の信仰に基づく神秘思想の原型、あるいは再生への希求がありありと見られる──の影響をうけたと思しきものがある。有名な彼の「接吻の門」や、生地のゴルジ県の木の門は疑いなく、マラムレシュ県の木の門に何より深い啓示をうけたのではないかといわれたりする。」
(「マラムレシュ〜ルーマニア山村のフォークロア」みやこうせい著(未知谷社)より) -
アトリエ兼博物館の2階を見上げて
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お仕事中のトアデール・ブルサンさん
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大まかに、チェーンソーで彫った後
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ここからは手作業
手前の格子模様の溝は、息子さんの手で彫りたてもの@ -
フォークのような支柱でバランスをとって汲むタイプの井戸
支柱の部分
ガイドのニコラエさんちにあったような車輪に巻きつけるタイプとこのタイプの2つが、マラムレシュ地方の典型的な井戸です。
関連の写真
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/12887459/
関連の旅行記
「2007年ルーマニア旅行第9日目(5)マラムレシュ地方:ヴァド・イゼイ村を散歩」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10189140/
★マラムレシュ地方の木の門について
ハプスブルグ支配時代のマラムレシュ地方は貴族階級が最も多かったそうです。
ただし、領有していたのは、小さな村が1つといった小貴族ばかりで、それほど裕福ではありませんでした。
そういった貴族の特権の一つが、高い門を屋敷の前に建てることでした。庶民にはそれは許されていませんでした。
また、マラムレシュ地方では、教会と住居は、聖と俗世界といった明確な区分けはなく、密接な関係にありました。
教会で行われるのと同じ儀式が家の中でも行われ、教会と家のもつ役割の区分はあいまいでした。
教会と同じく、住居も日の出の方向、東向きに建てられました。教会に施されたのと同じシンボリックなレリーフが、住居にも施されました。
こういった密接な関係は、他の地方ではみられなかったものです。
木の門は、かつては呪術的な意味や魔よけ、家の守りといった意味をもっていましたが、現在ではむしろ芸術的、美的な意味合いを持つようになってきました。
それでも、裕福さの象徴であることは今も昔も変わりません。
レリーフによく使われる模様は、生命の樹の象徴の「ねじれたロープ」、永遠の命の象徴の「魂の鳥」、太陽や星、守り神的な動物、たとえば古代信仰に根ざすヘビや、夜の守り神と考えられたニワトリなど。
門の限らず木造建築物には、狼の牙の模様もよく使われます。要するにギザギザのことです@
門を建てる人は、次の3タイプいるそうです。
まずは、家主本人。自分の家のために自分の手で建てます。もちろん、家も自力で作ってしまいます。
それから、今回訪れた彫刻家のように、親より技術を教わって代々続いている専門家。
そして、ふだんは農夫ですが、彫刻の才能もあるため、冬などの農閑期のみ木の門の制作に携わる人。
(情報源:RomanianMonasteries.orgのサイトで購入したMetaneira社のマラムレシュガイドブック)
http://www.romanianmonasteries.org/buymaramuresbook.html
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